フェンダージャパンのギターを購入しようとしたとき、「フジゲン製」と「ダイナ楽器製」という言葉を目にしたことはありませんか。
中古市場では「フジゲン時代が良い」という声が多く聞かれる一方で、ダイナ楽器製についての評価はさまざまです。
両社の違いや品質の差、そしてシリアルナンバーによる見分け方を知らないまま購入してしまうと、期待と異なる製品を手にする可能性があります。
この記事では、ダイナ楽器とフジゲンの歴史的背景から品質比較、シリアルナンバーの見分け方、さらには自社ブランドの違いまで網羅的に解説します。
Fender Japanの当たり年やハズレ年、中古購入時の注意点、最新の製造動向まで把握できる内容となっています。
ギター選びで後悔しないための判断材料として、ぜひ最後までお読みください。
ダイナ楽器とフジゲンとは?基本情報と歴史
ダイナ楽器とフジゲンは、いずれも長野県に本社を置く日本を代表するギター製造メーカーです。
両社ともFender Japanの製造を手がけた実績があり、日本製ギターの品質を世界に示してきました。
まずは両社の基本情報と歴史について詳しく見ていきましょう。
フジゲンの歴史と特徴|世界一の生産数を誇る老舗メーカー
フジゲン株式会社は1960年に「富士弦楽器製造株式会社」として長野県松本市で創業しました。
当初はバイオリンの試作から始まり、間もなくクラシックギターの製造に転換しています。
1962年からエレキギターの製造を開始し、その後急速に成長を遂げました。
1983年には「ギター生産数世界一」を記録するほどの規模に達しています。
フジゲンの特徴は、長年のOEM生産で培った技術力を自社ブランドに惜しみなく投入している点です。
特に2002年から採用された「サークルフレッティングシステム(CFS)」は、フレットを弧状に配置することでクリアな響きと豊かなサスティンを実現する独自技術として知られています。
現在はFUJIGENとFGNという2つの自社ブランドを展開し、初心者からプロまで幅広い層に支持されています。
ダイナ楽器の歴史と特徴|国内最大のOEM工場
ダイナ楽器は1972年に長野県茅野市で創業したギター製造メーカーです。
神田商会の子会社として設立され、創業以来一貫してOEM生産を主軸としてきました。
国内最大の生産力を誇り、フェンダーをはじめとする国内外の有名ブランドの製品を数多く手がけています。
ダイナ楽器の強みは、「他社ができたことはウチもできます」という姿勢に表れる柔軟な対応力です。
LEDポジションマークやファンフレットなど、前例のない仕様にも積極的に挑戦してきた実績があります。
2013年には自社ブランド「Dyna Musical Instruments」を立ち上げ、「D-SOUND GEAR」のロゴを冠したオリジナルギターの製作も開始しました。
試作品の製作スピードが速く、通常3ヶ月以内で完成品を仕上げられる体制を整えています。
両社の関係性|Fender Japan製造を担った2大工場
Fender Japanの歴史において、フジゲンとダイナ楽器は時代を分けて製造を担当してきました。
1982年にFender Japanブランドが設立された際、製造を担当したのはフジゲンでした。
フェンダーとフジゲンが筆頭株主となり、株式会社フェンダージャパンを運営する形でスタートしています。
この時期のフジゲン製品は、本家フェンダーUSAを凌ぐ品質だったと評価されることも少なくありません。
1997年、バブル崩壊の影響でフジゲンがフェンダージャパン社を売却すると、神田商会がライセンス契約を引き継ぎました。
以降、Fender Japanの製造はダイナ楽器が担当することになります。
2015年にFender Japanブランドが終了した後も、Fender Made in Japanシリーズの製造はダイナ楽器が継続しています。
両社は競合関係ではなく、時代の変遷とともに役割を引き継いできたパートナーといえるでしょう。
ダイナ楽器とフジゲンの品質比較|どっちが良い?
中古市場でFender Japanを探すと、「フジゲン製が良い」という意見を頻繁に目にします。
しかし、この評価は本当に正しいのでしょうか。
両社の品質について、具体的な根拠とともに検証していきます。
フジゲン製の評価が高い理由と実際の品質
フジゲン製Fender Japan(1982年〜1997年)が高く評価される理由は複数あります。
最も大きな要因は、当時の品質が本家フェンダーUSAに匹敵、あるいは凌駕していたという事実です。
特に初期のJVシリアル(1982年〜1984年)は、フェンダー本社から「品質を落とすように」と要請があったという逸話が残るほどの出来栄えでした。
フジゲンは単なるOEMメーカーではなく、Fender Japanの筆頭株主として製品開発にも深く関与していました。
この立場から、コスト削減よりも品質重視の姿勢で製造に臨めたことが、高品質な製品を生み出す背景となっています。
また、フジゲンは自社で培った技術を惜しみなく投入できる環境にありました。
ただし、現在の中古市場における価格高騰には「希少性」という付加価値も含まれています。
実際の品質差以上に、ヴィンテージとしての価値が上乗せされている側面もあることは認識しておく必要があります。
ダイナ楽器製の品質は本当に劣るのか?
ダイナ楽器製がフジゲン製より劣るという評価は、必ずしも正確ではありません。
「弾いたことのない人でもフジゲンが良いと言えばそれらしく聞こえる」という指摘があるように、評価には先入観が含まれている可能性があります。
ダイナ楽器は国内最大の生産力を持つOEM工場として、数々の有名ブランドから信頼を得てきました。
Fender以外にも、CharvelやJacksonのMade in Japan製品を製造しており、技術力は確かなものです。
2007年以降、神田商会の設備投資によりダイナ楽器は全工程を自社で行えるようになりました。
この時期以降の製品は品質が安定しており、「それほど悪くない」という評価を得ています。
実用上の品質差は、多くのプレイヤーにとって体感できるほど大きくないというのが実情でしょう。
Crafted in Japan時代が不人気な理由
1997年から2007年頃のCrafted in Japan時代は、Fender Japan史上最も不人気な時期とされています。
この時期が敬遠される最大の理由は、製造体制にあります。
Crafted in Japan時代、木工や塗装は東海楽器、寺田楽器、アトランシアなどに外注されていました。
ダイナ楽器が担当したのは組み込み工程のみで、複数の工場が連携して一つの製品を作る体制だったのです。
このような分業体制では、品質の一貫性を保つことが難しくなります。
各工場の技術水準や品質基準にばらつきがあれば、最終製品にも影響が出てしまいます。
「Crafted in Japan」という表記自体が、全工程を一つの工場で行っていないことを示すものでした。
この時期の製品は個体差が大きいとされ、中古市場でも価格が抑えめになっています。
2007年以降のダイナ楽器製は品質が安定
2007年は、Fender Japanの品質が大きく向上した転換点です。
この年、神田商会がダイナ楽器への設備投資を実施し、全工程を自社で完結できる体制が整いました。
木工から塗装、組み込みまですべてダイナ楽器で行われるようになり、品質の一貫性が確保されています。
製品の表記も「Made In Japan」に戻り、単一工場での製造を示すものとなりました。
2007年以降のダイナ楽器製品に対する評価は「それほど悪くない」というものが主流です。
PLEKの導入など最新設備も積極的に取り入れており、製品の均一性も向上しています。
コストパフォーマンスを重視するなら、2007年以降のMade In Japan表記の製品は有力な選択肢といえるでしょう。
フジゲン製とダイナ楽器製の見分け方|シリアルナンバー一覧
Fender Japanを購入する際、製造元を知る手がかりとなるのがシリアルナンバーです。
ネックのジョイント部分やヘッドに記載されたシリアルから、製造年代と製造元を特定できます。
正確な情報をもとに判断するため、シリアルナンバーの読み方を詳しく解説します。
フジゲン製のシリアルナンバー早見表(1982年〜1997年)
フジゲン製のFender Japanは、すべて「MADE IN JAPAN」表記となっています。
以下がフジゲン製のシリアルナンバー一覧です。
| シリアル | 製造年代 |
|---|---|
| JV+5桁 | 1982年〜1984年 |
| SQ+5桁 | 1983年〜1984年 |
| E+6桁 | 1984年〜1987年 |
| A+6桁 | 1985年〜1986年 |
| B+6桁 | 1985年〜1986年 |
| C+6桁 | 1985年〜1986年 |
| F+6桁 | 1986年〜1987年 |
| G+6桁 | 1987年〜1988年 |
| H+6桁 | 1988年〜1989年 |
| I+6桁 | 1989年〜1990年 |
| J+6桁 | 1989年〜1990年 |
| K+6桁 | 1990年〜1991年 |
| L+6桁 | 1991年〜1992年 |
| M+6桁 | 1992年〜1993年 |
| N+6桁 | 1993年〜1994年 |
| O+6桁 | 1993年〜1994年 |
| P+6桁 | 1993年〜1994年 |
| Q+6桁 | 1993年〜1994年 |
| S+6桁 | 1994年〜1995年 |
| T+6桁 | 1994年〜1995年 |
| U+6桁 | 1995年〜1996年 |
| V+6桁 | 1996年〜1997年 |
JVシリアルとSQシリアルが最も初期の製品で、現在の中古市場では特に高値で取引されています。
ダイナ楽器製のシリアルナンバー早見表(1997年〜現在)
ダイナ楽器製は、時期によって「Crafted in Japan」と「Made In Japan」の2種類の表記が存在します。
Crafted in Japan時代(外注製造+ダイナ楽器組み込み)のシリアルは以下の通りです。
| シリアル | 製造年代 |
|---|---|
| N+5桁 | 1995年〜1996年 |
| A+6桁 | 1997年〜1998年 |
| O0+5桁 | 1997年〜2000年 |
| P0+5桁 | 1999年〜2002年 |
| Q0+5桁 | 2002年〜2004年 |
| R0+5桁 | 2004年〜2006年 |
| S0+5桁 | 2006年〜2008年 |
| T0+5桁 | 2007年〜2008年 |
Made In Japan時代(ダイナ楽器全工程製造)のシリアルは以下の通りです。
| シリアル | 製造年代 |
|---|---|
| T0+5桁 | 2007年〜2010年 |
| U0+5桁 | 2010年〜2012年 |
| JD+年数下2桁+6桁 | 2012年〜現在 |
2007年〜2008年の「T0」シリアルは、Crafted in JapanとMade In Japanが混在する時期にあたります。
見分ける際の注意点|混同しやすいシリアル
シリアルナンバーを確認する際、いくつか注意すべき点があります。
最も混同しやすいのは、フジゲン製の「U+6桁」とダイナ楽器製の「U0+5桁」です。
「U」の後ろに「0」が付くかどうかで製造元が異なるため、慎重に確認してください。
同様に、「P+6桁」(フジゲン製)と「P0+5桁」(ダイナ楽器組み込み)も混同されやすいパターンです。
アルファベットの後に「0」が付いている場合は、ダイナ楽器が関与している製品と判断できます。
また、「MADE IN JAPAN」と「Made In Japan」の表記の違いにも注目してください。
大文字表記の「MADE IN JAPAN」はフジゲン製、頭文字のみ大文字の「Made In Japan」は2007年以降のダイナ楽器製を示します。
中古購入の際は、シリアルナンバーと表記の両方を確認することで、より正確な判断が可能になります。
自社ブランド比較|FUJIGENとD-SOUND GEARの違い
両社はOEM生産だけでなく、自社ブランドのギターも展開しています。
フジゲンの「FUJIGEN/FGN」とダイナ楽器の「D-SOUND GEAR」には、それぞれ異なる特徴と魅力があります。
自社ブランドの違いを理解することで、購入時の選択肢が広がるでしょう。
フジゲン自社ブランドの独自技術と価格帯
フジゲンの自社ブランドは「FUJIGEN」と「FGN」の2種類で展開されています。
FUJIGENはオーダーメイドや特別仕様のモデルに使用され、FGNはレギュラーラインナップに付されるロゴです。
フジゲン自社ブランドの最大の特徴は、独自技術の数々にあります。
「サークルフレッティングシステム(CFS)」は、フレットを弧状に配置することで全ポジションでクリアな響きを実現する技術です。
「コンパウンドラディアス指板」は、ローポジションでは丸く、ハイポジションでは平たくなる設計で、演奏性を高めています。
「ローセッティングセットアップ」では、ネックを通常より1mm深く彫り沈めることで、低い弦高設定を可能にしています。
価格帯は入門機のBoundaryシリーズが5〜7万円程度、標準機のJ-Standardシリーズが10万円前後、最高グレードのExpertシリーズが20万円以上となっています。
ウェブオーダーシステムを利用すれば、自宅からカスタムオーダーの見積もりと発注が可能です。
ダイナ楽器D-SOUND GEARの特徴と価格帯
ダイナ楽器は2013年に自社ブランド「Dyna Musical Instruments」を立ち上げました。
ヘッドには「D-SOUND GEAR」のロゴが添えられ、歯車をかたどったマークがダイナの「D」をイメージしています。
D-SOUND GEARの特徴は、OEM生産で培った技術を惜しみなく投入している点です。
メーカー主導の製品開発ではコスト面から採用できない仕上げも、自社ブランドでは積極的に採用しています。
価格帯はJA-STER Standardが95,000円、MOTIVE-IIの6弦モデルが165,000円程度です。
フジゲンと比較すると流通量が限られているため、試奏できる機会は少なめです。
ダイナ楽器では、一定期間のレンタルサービスも検討しているとのことで、自分のアンプやエフェクターで試せる機会が今後増える可能性があります。
カスタムオーダーについては相談ベースで対応しており、特殊な仕様にも柔軟に応じてもらえます。
どちらを選ぶべき?用途別おすすめ
フジゲンとD-SOUND GEARの選択は、用途や重視するポイントによって変わります。
以下の表で特徴を比較してみましょう。
| 項目 | フジゲン(FUJIGEN/FGN) | ダイナ楽器(D-SOUND GEAR) |
|---|---|---|
| 独自技術 | CFS、コンパウンドラディアス指板など | OEM技術の結晶、柔軟なカスタム対応 |
| 価格帯 | 5万円〜30万円以上 | 9.5万円〜16.5万円程度 |
| 流通量 | 全国の楽器店で購入可能 | 取扱店舗が限られる |
| カスタム対応 | ウェブオーダーシステムあり | 相談ベースで特注対応 |
| 知名度 | 国内外で高い認知度 | OEMメーカーとしての認知が主 |
全国どこでも試奏や購入がしやすい環境を求めるなら、フジゲンが適しています。
独自技術による演奏性の高さも、フジゲンを選ぶ大きな理由となるでしょう。
一方、他の人と被りにくい個性的なギターを求めるなら、D-SOUND GEARは魅力的な選択肢です。
流通量が少ないため所有する満足感があり、OEM技術を結集した品質も信頼できます。
Fender Japanの当たり年とハズレ年はいつ?
中古市場でFender Japanを探す際、「当たり年」と「ハズレ年」という言葉をよく耳にします。
この評価は製造元や製造体制と密接に関連しています。
具体的にどの年代が評価され、どの年代が敬遠されているのかを解説します。
最も人気のJVシリアル(1982年〜1984年)の魅力
Fender Japan史上、最も評価が高いのがJVシリアルの製品です。
JVとは「Japanese Vintage」の略で、1982年〜1984年に製造された初期モデルを指します。
JVシリアルが特別視される理由は、その品質の高さにあります。
当時のフジゲンは、フェンダーの株主として製品開発に深く関与していました。
ヴィンテージシリーズとして57年型、62年型のストラトキャスターや52年型のテレキャスターを忠実に再現し、本家USAを凌ぐクオリティを実現していたのです。
あまりの品質の高さに、フェンダー本社から「品質を落とすように」という要請があったという逸話も残っています。
当時の定価は上位モデルで115,000円程度でしたが、現在の中古市場では大幅に価格が高騰しています。
JVシリアルに続くSQシリアル、Eシリアルも同様に人気が高く、見つけたらチェックする価値があるでしょう。
フジゲン時代(1982年〜1997年)が評価される理由
JVシリアル以外のフジゲン時代(1982年〜1997年)も、総じて高い評価を受けています。
この時期のFender Japanが支持される理由は、製造体制の安定性にあります。
フジゲンは単一の工場ですべての工程を完結させており、品質の一貫性が保たれていました。
「MADE IN JAPAN」という表記は、全工程を一つの工場で行っていることを示すものです。
また、フジゲンは自社の技術力を証明する場として、Fender Japanの製造に真剣に取り組んでいました。
OEMでありながら手を抜かない姿勢が、高品質な製品を生み出す原動力となっていたのです。
1986年〜1994年に製造された上位機種「EXTRADシリーズ」は、セミオーダーシステムを導入した贅沢な仕様で、現在も20万円台後半で取引されることがあります。
ダイナ楽器時代で狙い目の年代はどこ?
ダイナ楽器時代のFender Japanを購入するなら、2007年以降の製品がおすすめです。
前述の通り、2007年に神田商会の設備投資によりダイナ楽器は全工程を自社で行えるようになりました。
この時期以降は品質が安定しており、コストパフォーマンスの高い選択肢となります。
表記も「Made In Japan」に変更され、単一工場での製造を示すものとなっています。
一方、1997年〜2007年のCrafted in Japan時代は、品質のばらつきが指摘されています。
この時期の製品を購入する場合は、実際に試奏して個体の状態を確認することが重要です。
ただし、Crafted in Japan時代の製品は価格が抑えめになっているため、良い個体に出会えればお買い得といえます。
予算に応じて、リスクとリターンを考慮した選択をしてください。
中古Fender Japan購入時の注意点と選び方
Fender Japanの中古市場は活況を呈しており、さまざまな年代の製品が流通しています。
しかし、知識なく購入すると期待と異なる製品を手にする可能性があります。
後悔しない購入のために、具体的な選び方と注意点を解説します。
予算別おすすめの製造年代
予算に応じて、狙うべき製造年代は変わってきます。
以下は予算別のおすすめ年代です。
10万円以下の予算であれば、1997年〜2007年のCrafted in Japan時代が現実的な選択肢となります。
この時期は品質のばらつきがあるため、必ず試奏して個体の状態を確認してください。
10万円〜15万円の予算があれば、2007年以降のMade In Japan(ダイナ楽器全工程製造)を狙えます。
品質が安定しており、コストパフォーマンスに優れた選択となるでしょう。
15万円〜25万円の予算では、フジゲン時代後期(1990年代)の製品が視野に入ってきます。
JVシリアルほどの価格高騰は見られないため、比較的手が届きやすい価格帯です。
25万円以上の予算があれば、JVシリアルやEシリアル、EXTRADシリーズなどの希少モデルを探すことができます。
購入前にチェックすべきポイント
中古Fender Japanを購入する際は、以下のポイントを必ず確認してください。
まず、シリアルナンバーと製造年代の対応を確認します。
ネックのジョイント部分またはヘッドに記載されたシリアルから、製造元と年代を特定してください。
次に、「MADE IN JAPAN」と「Crafted in Japan」の表記を確認します。
前述の通り、この表記の違いは製造体制の違いを示しています。
フレットの摩耗状態も重要なチェックポイントです。
特にフジゲン製でCFSが採用されているモデルは、フレット交換がフジゲンでしか対応できません。
電装系(ピックアップ、ポット、スイッチ)の状態も確認してください。
経年劣化によるガリノイズや接触不良がないか、実際に音を出して確かめましょう。
ネックの反りやフレット浮きなど、木部の状態も見逃せないポイントです。
価格高騰中のモデルと相場の目安
近年、Fender Japanの中古価格は高騰傾向にあります。
特に人気の高いモデルと、現在の相場目安を紹介します。
JVシリアル(1982年〜1984年)のストラトキャスターは、状態が良ければ20万円を超えることも珍しくありません。
当時の定価が10万円前後だったことを考えると、大幅な値上がりといえます。
EXTRADシリーズ(1986年〜1994年)は、セミオーダーシステムを導入した上位機種です。
現在の相場は20万円台後半から30万円程度で、マニアの間で根強い人気があります。
Eシリアル(1984年〜1987年)やGシリアル(1987年〜1988年)も、フジゲン全盛期の製品として人気があります。
相場は10万円〜20万円程度ですが、モデルや状態によって大きく変動します。
Crafted in Japan時代の製品は5万円〜10万円程度で見つかることが多く、予算を抑えたい方には狙い目です。
最新動向|Fender Made in Japanの製造元は今どこ?
2015年にFender Japanブランドが終了した後も、日本製フェンダーは継続して製造されています。
現在のFender Made in Japanシリーズは、どのような体制で作られているのでしょうか。
最新の製造動向と今後の展望について解説します。
2024年〜2025年の製造体制と最新モデル
現在のFender Made in Japanシリーズは、引き続きダイナ楽器が製造を担当しています。
フェンダーミュージック株式会社が日本での販売と流通を直接運営し、ダイナ楽器でフルラインナップを製造する体制が確立されています。
2025年には「Made in Japan Traditional 2025 Collection」が限定生産モデルとして発売されました。
ヴィンテージスタイルを踏襲しつつ、Black Pearl、White Pearlなど特徴的なフィニッシュが施されています。
「Made in Japan Hybrid II」シリーズも継続しており、モダン仕様とヴィンテージ要素を融合させたモデルが人気です。
日本製フェンダーは日本国内向けが中心ですが、その品質の高さから海外でも需要が増加しています。
近年、日本製の人気が高まっているため、ダイナ楽器だけでは生産が追いつかないという状況も報告されています。
一部の情報では、JFシリアルの製品はフジゲンが製造を担当しているとの噂もあります。
ダイナ楽器とフジゲンの今後の役割
日本製ギターの需要増加に伴い、ダイナ楽器とフジゲンの役割も変化しつつあります。
ダイナ楽器は引き続きFender Made in Japanの主力製造元として、生産体制の拡充を進めています。
CharvelやJacksonのMade in Japan製品も引き続き製造しており、OEMメーカーとしての地位を確立しています。
フジゲンは自社ブランドの展開に注力しつつ、需要に応じてOEM生産も継続しています。
海外での日本製ギター人気を受けて、両社ともに生産能力の増強が求められている状況です。
日本のギター製造技術は世界的に高く評価されており、この流れは今後も続くと予想されます。
ダイナ楽器とフジゲンは、日本製ギターの品質を世界に示す両輪として、それぞれの強みを活かした展開を続けていくでしょう。
ダイナ楽器とフジゲンのデメリット・注意点
両社の製品には多くのメリットがありますが、購入前に知っておくべきデメリットや注意点も存在します。
後悔しない選択のために、それぞれの弱点を正直に解説します。
フジゲン製品のデメリット|フレット交換の制限
フジゲン自社ブランドの最大のデメリットは、フレット交換の制限です。
フジゲン独自のサークルフレッティングシステム(CFS)は、フレットを弧状に配置する特殊な技術です。
この技術が採用されたネックのフレット交換は、フジゲンでしか対応できません。
一般の楽器店やリペアショップでは、CFSのフレット打ち替えを断られる可能性が高いです。
将来的なメンテナンスを考えると、この制限は無視できないポイントとなります。
また、フジゲンのギターは「癖が弱い」音が特徴とされています。
タイトでハイレンジなサウンドは万人向けですが、個性的な音を求めるプレイヤーには物足りなく感じる可能性があります。
中古市場での評価がフェンダーやギブソンより低い傾向にあることも、リセールバリューを気にする方には気になる点かもしれません。
ダイナ楽器製品のデメリット|流通量と認知度
ダイナ楽器製品の最大のデメリットは、自社ブランド「D-SOUND GEAR」の流通量の少なさです。
取扱店舗が限られているため、試奏できる機会が非常に少ないのが現状です。
ギターは実際に弾いてみないと自分に合うかどうかわからないため、この点は大きなハードルとなります。
ブランド認知度の低さも課題です。
ダイナ楽器はOEMメーカーとしては知られていますが、自社ブランドの知名度は限定的です。
他の人に「どこのギター?」と聞かれた際、説明が必要になる場面もあるでしょう。
一部のユーザーからは、Fender Japan製品の品質管理に対する批判的な意見も見られます。
個体差の報告があることは事実であり、購入時には慎重な確認が求められます。
中古購入時に失敗しないための対策
中古のFender Japanを購入する際、失敗を避けるための具体的な対策を紹介します。
まず、可能な限り実物を確認してから購入してください。
オンラインでの購入は便利ですが、状態を直接確認できないリスクがあります。
試奏可能な楽器店で、実際に音を出して確認することをおすすめします。
シリアルナンバーと製造年代の対応表を必ず確認してください。
売り手が「フジゲン製」と説明していても、実際にはダイナ楽器組み込み期の製品である可能性があります。
返品・返金ポリシーが明確なショップを選ぶことも重要です。
信頼できる楽器店であれば、記載内容と実物が異なる場合に対応してもらえます。
フレットの残り具合、電装系の状態、ネックの反りなど、チェックすべきポイントをリスト化しておくと見落としを防げます。
まとめ:ダイナ楽器とフジゲン比較の完全ガイド
結論|どちらを選ぶべきかの判断基準
ダイナ楽器とフジゲンのどちらを選ぶべきかは、何を重視するかによって変わります。
品質の安定性と独自技術を重視するなら、フジゲン自社ブランドが適しています。
CFS(サークルフレッティングシステム)やコンパウンドラディアス指板など、演奏性を高める技術が投入されています。
全国の楽器店で購入・試奏ができる点も、フジゲンを選ぶメリットです。
一方、コストパフォーマンスや個性を重視するなら、ダイナ楽器製品も有力な選択肢となります。
D-SOUND GEARは流通量こそ少ないものの、OEM技術を結集した品質と他の人と被りにくい個性があります。
中古Fender Japanを探すなら、予算と製造年代のバランスを考慮してください。
フジゲン時代(1982年〜1997年)は価格が高騰していますが、品質は折り紙付きです。
2007年以降のダイナ楽器製は品質が安定しており、コストパフォーマンスに優れています。
目的別おすすめの選択肢
目的別のおすすめをまとめると、以下のようになります。
初めての1本として確実な品質を求めるなら、フジゲンのJ-Standardシリーズがおすすめです。
予算を抑えつつ日本製フェンダーの音を楽しみたいなら、2007年以降のMade In Japan(ダイナ楽器製)を探してください。
ヴィンテージ感と希少性を重視するなら、フジゲン時代のJVシリアルやEシリアルが最高の選択肢です。
他の人と被らない個性的なギターを求めるなら、D-SOUND GEARに注目してみてください。
いずれの選択でも、シリアルナンバーの確認と可能な限りの試奏を忘れずに行いましょう。
- フジゲンは1960年創業の老舗で、1983年にギター生産数世界一を記録した
- ダイナ楽器は1972年創業で、国内最大の生産力を持つOEM専門工場である
- Fender Japanは1982年〜1997年がフジゲン製、1997年以降がダイナ楽器製となる
- フジゲン製が高評価される理由は、品質の高さと希少性の両面がある
- Crafted in Japan時代(1997年〜2007年)は外注製造のため品質にばらつきがある
- 2007年以降のダイナ楽器製は全工程を自社で行い品質が安定している
- シリアルナンバーで製造元と年代を特定でき、「0」の有無が見分けのポイントとなる
- フジゲン独自のCFSはフレット交換がフジゲンでしか対応できないデメリットがある
- D-SOUND GEARは流通量が少なく試奏機会が限られる点に注意が必要である
- 現在のFender Made in Japanはダイナ楽器が製造を継続している

