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tc electronic JUNE-60 V2 レビュー解説|80年代の名機コーラスを1万円で手に入れる

「Roland JUNO-60に搭載されていた、あの伝説的なコーラスサウンドをペダルで再現できたら——」。

そんな夢を抱くギタリストやシンセ奏者は少なくないでしょう。

しかし、JUNO-60の実機は中古市場で数十万円。

手軽に試せる価格帯ではありません。

tc electronic JUNE-60 V2は、その名機のコーラス回路をアナログBBD(Bucket Brigade Device)で再現し、わずか1万円前後で手に入るペダルとして注目を集めています。

ただし、「安かろう悪かろうではないのか」「V1は評判が悪かったけどV2は本当に改善されたのか」「シンセにも使えるの?」という疑問の声も多く聞かれます。

本記事では、JUNE-60 V2の特徴・スペックから、実際の使用者が語るリアルな評価、そして購入前に必ず知っておくべき注意点までを徹底的に解説します。

この1記事で、あなたにとってJUNE-60 V2が「買い」なのかどうかを判断できるはずです。

目次

tc electronic JUNE-60 V2の特徴・概要

Roland JUNO-60の伝説的コーラスを再現したアナログBBDペダル

tc electronic JUNE-60 V2は、1980年代にシンセサイザーの名機として一世を風靡したRoland JUNO-60のコーラスセクションを、コンパクトペダルとして再現することを目指した製品です。

内部回路にはBBD(Bucket Brigade Device/バケツリレー素子)を採用しており、デジタル処理を一切介さない完全アナログ設計となっています。

BBD特有の温かみのある揺らぎと、どこか不完全さを感じさせる有機的なコーラスサウンドは、デジタルコーラスでは得難い質感を持っています。

JUNO-60に搭載されていたコーラスは、a-haの「Take On Me」をはじめ数々の80年代ヒット曲で使用され、その独特のきらめきと厚みのあるサウンドは今なお多くのミュージシャンを魅了し続けています。

JUNE-60 V2は、そのサウンドをギターでもキーボードでも手軽に体験できるペダルとして設計されています。

V1からV2で何が変わったのか——回路設計の刷新と新機能

JUNE-60には先行して発売されたV1(初代モデル)が存在しますが、V1は発売当初から「LFOスピードが速すぎてトレモロのように聞こえる」「JUNO-60のコーラスとは似ても似つかない」という厳しい評価を受けていました。

tc electronicはこれらのフィードバックを受け、V2では回路をゼロから再設計しています。

V2での主な改善点は大きく4つあります。

第一に、入力レベルをギターとキーボードで切り替えるスイッチが追加されました。

第二に、入力インピーダンスがギターモードで500kΩ、キーボードモードで12kΩと選択可能になりました。

第三に、プリセットスイッチIとIIのLFOスピードをFastとSlowで切り替えられるようになり、V1で最大の不満だった「速すぎるLFO問題」が解消されています。

第四に、ステレオ出力の広がりが大幅に強化され、よりワイドなステレオフィールドを実現しています。

加えて、V2ではプリセットスイッチIとIIを同時押しすることで発動する「モード3」が新たに追加され、より複雑な揺らぎが得られるようになりました。

ノブなし・プリセット3モードという潔い設計思想

JUNE-60 V2の外観で最も目を引くのは、一般的なエフェクターに必ずあるはずのノブが一切存在しないという点です。

筐体上部にはプリセット選択用のスイッチ(I / II)が2つと、ON/OFF用のフットスイッチが1つあるだけ。

SpeedやDepthといったパラメータを手動で調整する手段は、外部からは用意されていません。

この設計は、オリジナルのJUNO-60のコーラスセクションがボタン切替のみで操作する仕様だったことに倣ったものです。

モードI(緩やかな揺れ)、モードII(やや速い揺れ)、モードI+II同時押し(両方のLFOが混合された複雑な揺れ)という3つのプリセットが用意されており、「選ぶだけで完成された音が出る」という割り切った思想が貫かれています。

tc electronic JUNE-60 V2のスペック・仕様

基本スペック:入出力・電源・サイズ

JUNE-60 V2の基本的な仕様は以下のとおりです。

エフェクトタイプはアナログBBDコーラスで、入力は1系統(1/4インチ標準フォーンジャック)、出力はモノラル/ステレオ切替対応のTRS端子1系統です。

ステレオ使用時にはTRS→TS×2の変換ケーブル(Y字ケーブル)が別途必要となります。

バイパス方式はトゥルーバイパスを採用しています。

電源は9Vバッテリーまたはセンターマイナス9V DCアダプター(100mA以上)に対応しています。

筐体はメタル製で、両サイドに木製パネルが装着されたヴィンテージライクなデザインです。

コンパクトなサイズでペダルボードへの組み込みも容易です。

V1との仕様比較:入力インピーダンス・LFOスピード・ステレオ出力の違い

V1とV2の仕様上の違いを整理すると、その差は明確です。

入力インプットレベルの切り替え機能はV1にはなく、V2で新たに追加されました。

入力インピーダンスはV1が350kΩ固定であるのに対し、V2はギターモード500kΩ/キーボードモード12kΩの切り替え式です。

出力インピーダンスはV1が1kΩ、V2が100kΩとなっています。

LFOスピードの選択機能もV1にはなく、V2でFast/Slowの切り替えが可能になりました。

また、V2ではモードI+IIの同時押しによる「モード3」が使用可能です。

こうした数値を見ると、V2は単なるマイナーチェンジではなく、ギターとキーボードの両方に最適化するための根本的な回路再設計が行われたことが分かります。

内部ディップスイッチで切り替えられる設定項目

JUNE-60 V2には筐体内部にディップスイッチが配置されており、ギター/キーボードの入力モード切替と、LFOスピードのFast/Slow切替をここで行います。

出力のモノラル/ステレオ切替スイッチも筐体内部にあります。

これらの設定変更にはドライバーでネジを外して筐体裏蓋を開ける必要があり、演奏中や曲間での即時切替には対応していません。

購入後に自分の使用環境に合わせて一度設定すれば、頻繁に変更する性質のものではないという設計意図が読み取れます。

tc electronic JUNE-60 V2のおすすめポイント

1万円前後とは思えないリッチで温かいアナログコーラスサウンド

JUNE-60 V2の最大の魅力は、この価格帯では異例ともいえるリッチなアナログコーラスサウンドです。

BBD素子が生み出す揺らぎは、デジタルコーラスの「正確だが冷たい」印象とは一線を画し、温かく厚みのある音像が得られます。

特にモードIのSlow設定で得られるゆったりとした揺れは、80年代のレコードに刻まれたあの煌めくコーラストーンを彷彿とさせるものです。

多くのユーザーが「この価格でこの音質は驚異的」と評価しており、数倍の価格帯のコーラスペダルと比較しても遜色ないという声も少なくありません。

特にクリーントーンとの組み合わせでは、音に立体感と奥行きが生まれ、コード弾きでもアルペジオでも心地よいきらめきを加えてくれます。

迷わない操作性——セッティング不要で即戦力の3プリセット

ノブが一切ないという潔い設計は、「セッティング沼」に陥りがちなペダル選びにおいて大きなメリットとなります。

ボタンを押すだけで完成されたコーラスサウンドが得られるため、ライブでもスタジオでも迷いが生じません。

モードIは緩やかで上品な揺れが特徴で、バッキングからリードまで幅広く対応します。

モードIIはやや速い揺れで、シングルノートやリフに存在感を加えたい場面に適しています。

モードI+II同時押しのモード3は、2つのLFOが混ざり合うことでより複雑で深みのある揺れが生まれ、アンビエントやシューゲイザー的なサウンドメイクに活用できます。

3つのモードそれぞれが実用的なサウンドに仕上がっている点は、プリセット型ペダルとして非常に高い完成度です。

木製サイドパネルが映えるヴィンテージルックスと堅牢な筐体

サウンド面だけでなく、JUNE-60 V2はルックスでも所有欲を満たしてくれるペダルです。

筐体両サイドに配された木製パネルは、ヴィンテージシンセサイザーを彷彿とさせる上質な佇まいを演出しています。

メタル製の本体は頑丈で、実際に使用しているユーザーからも「ビルドクオリティに不満はない」という声が多く聞かれます。

上部のプリセットスイッチも、当時のシンセサイザーを思わせるレトロなデザインで、押し心地の良さも評価されています。

ペダルボード上で独特の存在感を放つ外観は、機能性とは別の次元で「このペダルを使いたい」と思わせる魅力を持っています。

tc electronic JUNE-60 V2の注意点・デメリット

最大の懸念:エフェクトON/OFF時の音量差問題

JUNE-60 V2を検討するうえで、最も注意すべきポイントがエフェクトのON/OFF時に発生する音量差です。

この問題は多くのユーザーから報告されており、使用環境によっては致命的な欠点になり得ます。

ギターモードではエフェクトON時に約3〜5dBのボリュームブーストが発生する傾向があり、コーラスをかけた瞬間に音量が跳ね上がるため、繊細な音量コントロールが求められるスタジオワークやライブでは問題になるケースがあります。

コンプレッサーペダルを後段に配置することである程度緩和できるという報告もありますが、根本的な解決にはなりません。

一方で、常時ONで使用する場合にはこの問題は実質的に無関係となるため、使い方次第で評価が大きく変わるポイントです。

シンセモードの信号ドロップと低域の欠落——キーボード用途の限界

V2の目玉機能であるキーボードモードですが、実際の使用では約10〜12dBもの大幅な信号ドロップが発生するという報告が相次いでいます。

バイパス時と比較してエフェクトON時の音量が極端に小さくなるため、ミキサー側のゲインを大幅に持ち上げる必要があり、その結果ノイズフロアも上昇してしまいます。

ギターモードのまま使用しシンセ側の出力を下げるという回避策を取るユーザーもいますが、本来の設計意図とは異なる使い方です。

加えて、実機のJUNO-60と比較した場合、コーラスON時の低域の再現に大きな差があることが指摘されています。

JUNO-60のコーラスは低域にも重厚な厚みを加える効果がありますが、JUNE-60 V2ではコーラスをかけると低域が痩せる傾向があるとされています。

シンセの太い音をそのまま活かしたいキーボード奏者にとっては、看過できないポイントでしょう。

内部スイッチへのアクセスや調整自由度の低さ

先述のとおり、ギター/キーボード切替やLFOスピードの変更は筐体内部のディップスイッチでしか行えません。

設定を変更するたびにドライバーでネジを外し、裏蓋を開ける必要があります。

「ライブのセットリストに合わせてモードを切り替えたい」「曲によってギターとシンセで使い分けたい」といった柔軟な運用には向いていません。

また、SpeedやDepthなどのパラメータを外部から微調整できないため、プリセットされた3つの音色が好みに合わなかった場合、調整の余地がほぼありません。

この「決め打ち」の設計は、好みに合えば最大のメリットになりますが、合わなかった場合には返品するしかないという両刃の剣です。

コーラスサウンドを細かく追い込みたいタイプのプレイヤーには、ノブ付きの他製品を検討することをおすすめします。

tc electronic JUNE-60 V2の評判・口コミ

ユーザーが評価するおすすめな点——「最高の80年代コーラス」「この価格で本物のBBD」

ポジティブな評価として最も多いのは、やはりサウンドの質に対するコストパフォーマンスの高さです。

「5年間で十数台のコーラスペダルを試したが、最終的にこれに落ち着いた」「他のコーラスペダルをすべて手放してJUNE-60 V2だけを残した」という熱烈な支持者の声があるほどです。

特にV2のSlow設定で得られるモードIのサウンドは「まさにPurple Rainのあの音」「80年代コーラスの完璧な再現」と絶賛されています。

操作のシンプルさも高評価のポイントで、「ノブが多いペダルを買っても結局お気に入りの1セッティングしか使わない自分には最適」「セッティングに悩む時間がゼロになった」といった声が目立ちます。

V1からの改善度合いについても「V1を2回買って手放したが、V2は手放す気がない」「LFOスピードの問題が解消されて別物になった」と、進化を実感しているユーザーが多い印象です。

ギター以外の楽器での使用報告も興味深く、「ハンマーダルシマーとの相性が素晴らしい」「モジュラーシンセに通すと美しすぎて弾くのをやめられない」「ベースに使うとThe Cureのようなダークで雰囲気のあるサウンドになる」など、多彩な楽器との組み合わせが試されています。

購入前に確認すべき注意点——「ワントリックポニー」「歪みとの相性に難あり」

否定的な意見として繰り返し挙がるのは「ワントリックポニー(一芸しかない)」という表現です。

3つのモードはあるものの、いずれもコーラスの方向性は似通っており、フランジャー的な深い揺れやヴィブラート的な効果は得られません。

幅広いモジュレーションサウンドを1台でカバーしたいプレイヤーにとっては物足りなさを感じるでしょう。

歪みエフェクターとの組み合わせにも注意が必要です。

ファズやハイゲインのディストーションの後段にJUNE-60 V2を配置すると、「音量が不規則に出入りする」「スパッタリング(途切れ)が発生して使い物にならない」という報告があります。

クリーン〜軽いオーバードライブまでの範囲が本機の得意領域と考えたほうが無難です。

音量差の問題は購入者の間で最も意見が割れるポイントです。

「気にならないレベル」「V1よりは改善された」という声がある一方で、「スタジオでもライブでも使えないレベルの音量ジャンプ」と厳しい評価もあり、個体差や使用環境による違いが大きい可能性があります。

満足度が分かれるポイント——ギター用途 vs. シンセ用途で評価が真っ二つ

ユーザー満足度を大きく左右しているのが、使用楽器の違いです。

ギター(特にクリーントーン)での使用者は総じて高い満足度を示しており、「このペダルはずっと手元に置く」「80年代サウンドを求めるなら最高の選択肢」という声が目立ちます。

販売サイトでの総合評価もおおむね5点満点中4.0〜4.5と良好です。

一方、シンセ・キーボード用途では評価が厳しくなる傾向があります。

「キーボードモードの音量ドロップが大きすぎる」「低域が削られるのでシンセの太さが活かせない」「無料のTAL Chorusプラグインのほうがよほどオリジナルに忠実」といった指摘があり、シンセ専用として購入を検討している場合は注意が必要です。

ただし、ギターモードのままシンセ側の出力を下げて使用することで満足しているユーザーもおり、工夫次第で活用の道はあります。

また、V1での失望体験がV2への期待値を下げている層が一定数存在しており、「V1があの出来で市場に出たこと自体がブランドへの信頼を損ねている」という根深い不信感も見受けられます。

まとめ:tc electronic JUNE-60 V2

総合評価——「クリーン×常時ON」なら最高峰、万能型を求めるなら要検討

tc electronic JUNE-60 V2は、80年代のアナログコーラスサウンドを驚くほど手頃な価格で体験できる唯一無二のペダルです。

「クリーントーンに常時かけて使う」という明確な用途があるなら、この価格帯で本機を超えるコーラスペダルを見つけるのは困難でしょう。

一方で、万能型のモジュレーションペダルを求めるなら、ノブ付きで細かな調整が可能な他製品も視野に入れるべきです。

こんな人におすすめ/おすすめしない人

JUNE-60 V2がフィットするのは、80年代のJUNO系コーラスサウンドにピンポイントで惹かれているプレイヤーです。

クリーンギターやアルペジオに美しい揺らぎを加えたい方、セッティングに時間をかけず即戦力のコーラスが欲しい方、ペダルボードの省スペース化と予算の両立を図りたい方には、強くおすすめできます。

逆に、シンセのメイン用コーラスとして頻繁にON/OFFを切り替えたい方、歪みサウンドと積極的に組み合わせたい方、Speed・Depthを自分好みに追い込みたい方にはおすすめしにくい製品です。

購入前に押さえておきたい最終チェックリスト

  • JUNE-60 V2はRoland JUNO-60のコーラスを再現したアナログBBDペダルで、完全アナログ回路による温かく有機的なサウンドが最大の魅力である
  • V1から回路が全面再設計され、LFOスピード選択・入力インピーダンス切替・ステレオ出力強化など大幅に改善されている
  • 価格は1万円前後と、アナログBBDコーラスとしては破格のコストパフォーマンスを誇る
  • ノブなし・3プリセットという割り切った設計のため、操作に迷うことがない反面、音色の微調整は一切できない
  • エフェクトON/OFF時の音量差(ギターモードでブースト、キーボードモードでドロップ)は購入前に認識しておくべき最大の注意点である
  • キーボードモードでは約10〜12dBの信号ドロップが報告されており、シンセ用途では工夫が必要になる場合がある
  • ステレオ出力にはTRS→TS×2の変換ケーブルが別途必要で、バイパス時はモノラルになる仕様である
  • 入力切替やLFOスピードの変更は内部ディップスイッチで行うため、頻繁な設定変更には向かない
  • 歪みエフェクターとの相性には注意が必要で、クリーン〜軽いオーバードライブの範囲での使用が推奨される
  • 「ギター×クリーン×常時ON」という使い方では多くのユーザーが高い満足度を報告しており、その用途に限れば価格を超えた価値のあるペダルである
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