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Jim Dunlop QZ1 Crybaby QZone レビュー解説|踏まないワウの実力

「ワウペダルのあの”おいしいポイント”を、演奏中にずっと固定できたら——」そんな願いを一度でも抱いたことがあるギタリストは多いのではないでしょうか。

ライブ中にトレッドルが動いてしまい、せっかく見つけたスウィートスポットを失った経験や、ペダルボードにワウを載せたいけれどスペースが足りないという悩みは、多くのプレイヤーに共通するものです。

Jim Dunlop QZ1 Crybaby QZoneは、そうした課題に対して「固定ワウ」という独自のアプローチで応えるエフェクトペダルです。

本記事では、基本スペックから実際の音質傾向、メリット・デメリット、そしてユーザーのリアルな評価まで、購入前に知っておきたい情報を余すことなくお伝えします。

目次

Jim Dunlop QZ1 Crybaby QZoneの特徴・概要

「固定ワウ」という唯一無二のコンセプト

Jim Dunlop QZ1 Crybaby QZoneは、いわゆる「コックドワウ(cocked wah)」の音を専用ペダル化した製品です。

コックドワウとは、通常のワウペダルのトレッドルをある一定の位置で固定し、その状態で得られる独特のフィルター感・鼻にかかったようなトーンを意味します。

多くのギタリストがワウペダルを中間位置に置いたまま演奏するテクニックとして古くから活用してきましたが、トレッドル式では演奏中の振動や足の接触でポジションがずれてしまうリスクが常につきまといます。

QZ1はトレッドルそのものを廃止し、3つのノブによって「ワウのどの位置の音を使うか」を正確に設定・固定できるよう設計されています。

つまり、コックドワウの音だけを抽出し、それを安定的に再現することに特化したペダルなのです。

トレッドル不要——3つのノブで完結する操作体系

QZ1の操作系統は極めてシンプルです。

筐体上面に配置された3つのノブ——Volume、Q Zone、Peak——のみで、すべてのサウンドメイクが完結します。

Volumeはエフェクト信号のレベルを調整し、十分なブースト量も確保されているため、単なる音色変化だけでなくソロ時の音量持ち上げとしても機能します。

Q Zoneノブはバンドパスフィルターの帯域幅を広い状態から狭い状態まで連続的に調整するもので、これによりワウの「かかり具合」の強弱をコントロールできます。

そしてPeakノブは通常のワウペダルにおけるトレッドル位置に相当し、フィルターの中心周波数を設定します。

つまりPeakを回すことが、ワウの踏み込み位置を選ぶことと同義です。

この3つの組み合わせにより、微妙なトーンシフトからクワックの効いた強烈なフィルターサウンドまで、幅広い音色を指先だけでダイヤルインできます。

SlashやKerry Kingも愛用した”コックドワウ”の系譜

QZ1のルーツをたどると、90年代半ばに登場したオリジナルのDunlop Q Zoneに行き着きます。

Guns N’ RosesのSlashはUse Your Illusion期のレコーディングで「ハーフコックドワウ」のテクニックを多用しており、Q Zoneはまさにその音を簡単に得るために開発されました。

またSlayerのKerry Kingはこのペダルを深く愛用し、自身のシグネチャーモデルまで生み出しています。

さらにMichael Schenkerも同様のコックドワウアプローチで知られており、QZ1はこうしたレジェンドたちのトーンを再現するための入口としても位置づけられています。

QZ1は2020年のNAMM Showで3ノブ仕様のリイシューとして再登場し、現行モデルとして改めて注目を集めました。

伝説的なRed Faselインダクターを搭載しており、60〜70年代のクラシックなワウサウンドの質感を受け継いでいる点も、歴史あるCry Babyブランドならではの強みです。

Jim Dunlop QZ1 Crybaby QZoneのスペック・仕様

基本スペックと搭載パーツ

QZ1の中核をなすのは、Cry Babyシリーズ伝統のRed Faselインダクターです。

このインダクターはワウサウンドの「温かみ」「太さ」「ヴォーカルライクな表現力」を決定づける重要パーツであり、60〜70年代のヴィンテージワウが持つ豊かな倍音成分を再現します。

バイパス方式はトゥルーバイパスを採用しており、エフェクトOFF時に信号経路に余計な色付けが加わることはありません。

本体はダイキャストメタルの堅牢な筐体で構成されており、ツアーやスタジオでのハードな使用にも十分に耐えうる剛性を備えています。

製造はUSAで行われており、Dunlopの品質管理のもとで組み上げられています。

コントロール(Volume・Q Zone・Peak)の役割

改めて3つのコントロールの役割を整理します。

Volumeノブはエフェクト適用後の出力レベルを調整するもので、ユニティゲイン(原音と同じ音量)からかなりのブースト域までカバーします。

アンプの入力段をプッシュして自然なオーバードライブを得る使い方も可能です。

Q Zoneノブはフィルターの「Q値」——すなわちバンドパスの帯域幅を調整します。

広く設定すれば穏やかなトーンシフトとなり、狭く絞ればいわゆる「ワウが強くかかった」鋭いフィルターサウンドになります。

Peakノブはフィルターの中心周波数を設定するもので、低い位置に回せばダークで太い響きに、高い位置に回せばブライトで鼻にかかったキャラクターになります。

これらを組み合わせることで、同じ「固定ワウ」でもまったく異なる音色を作り出すことが可能です。

電源・サイズ・重量——ペダルボードへの収まり

電源は9V電池または9V DCアダプター(別売)の2方式に対応しています。

消費電流はわずか4mAと極めて低く、9V電池でもかなりの長時間駆動が見込めます。

ペダルボード用のパワーサプライから供給する場合でも、電源容量をほとんど圧迫しません。

本体サイズは幅64mm×奥行110mm×高さ50mmと非常にコンパクトで、一般的なMXRサイズのストンプボックスとほぼ同等のフットプリントです。

重量は約250g(0.55 lbs)と軽量であり、トレッドル式のフルサイズワウペダルと比較すると、設置面積・重量ともに大幅なアドバンテージがあります。

入出力は標準的な1/4インチモノラルジャックがそれぞれ1系統ずつ用意されています。

Jim Dunlop QZ1 Crybaby QZoneのおすすめポイント

一度設定すればズレない——スウィートスポットの完全固定

QZ1最大の存在意義ともいえるのが、設定した音色が演奏中に一切変化しないという安定性です。

トレッドル式のワウペダルでコックドワウサウンドを作る場合、ステージ上での振動や無意識の足の動きでトレッドル位置がわずかにずれてしまうことは避けられません。

しかしQZ1ではノブでポジションを固定するため、ライブの1曲目から最後の1曲まで、まったく同じ音色を保ち続けることができます。

さらにノブ式であることで、「次のライブでも前回と同じセッティングを再現する」ことも容易です。

ノブの位置を写真に撮っておくだけで、いつでも同じトーンに戻せるのは、ステージとスタジオを往復するプレイヤーにとって大きなメリットです。

コンパクト筐体とブースト機能による万能性

幅64mm×奥行110mmというフットプリントは、すでにペダルボードが埋まっているギタリストにとって福音です。

フルサイズのワウペダルを新たに追加しようとすれば大幅なボード再構築が必要になりますが、QZ1ならMXR系のコンパクトペダル1個分のスペースに収まります。

加えてVolumeノブのブースト量が豊富なため、単に音色を変えるだけでなく「ソロ時のレベルアップ」としても活用できます。

実質的にコックドワウとクリーンブーストの2つの機能を1台で兼ねることができるわけです。

さらにこのペダルをEQ的に活用し、特定の中域周波数をブーストすることでミックスの中で抜けるリードトーンを作るという使い方も可能で、ソロ用のEQ、ブースト、ワウを一台でこなせる万能性が高く評価されています。

歪みペダルとの組み合わせで広がるサウンドメイク

QZ1はシグナルチェーン上の配置によってまったく異なる表情を見せる点も見逃せません。

歪みペダルの前段に配置すれば、特定の周波数帯域を強調した信号がディストーションに入力されるため、より攻撃的でフォーカスの効いたリードトーンが得られます。

逆に歪みペダルの後段に配置すれば、歪んだ信号全体にフィルターをかける形になり、よりマイルドでヴォーカルライクなキャラクターが生まれます。

この柔軟性は、独立した固定ワウペダルだからこそ実現できるものです。

通常のワウペダルでも同様の配置変更は可能ですが、QZ1の場合はコンパクトなサイズゆえにチェーン内の移動が容易であり、実験的なサウンドメイクのハードルが格段に低くなります。

オーバードライブやディストーションとの相性は非常に良く、ジャンルを問わない汎用性がある点は多くのプレイヤーから好意的に受け止められています。

Jim Dunlop QZ1 Crybaby QZoneの注意点・デメリット

ダイナミックなワウスウィープはできない

QZ1の本質を理解するうえで最も重要なのは、「このペダルは通常のワウペダルの代替品ではない」という点です。

トレッドル式のワウペダルが持つ、足の動きに連動したリアルタイムの周波数スウィープ——あの「ワウワウ」という動的な表現は、QZ1では原理的に不可能です。

QZ1が提供するのはあくまで「ワウのある一点を固定した音」であり、曲中でワウの位置を動かしたい場合は演奏を止めてノブを回すしかありません。

したがって、ファンキーなカッティングやソロ中のダイナミックなワウ表現を主目的とするプレイヤーにとっては、QZ1は適切な選択肢とはいえません。

コックドワウのサウンドが欲しいのか、ワウスウィープが欲しいのかを購入前に明確にしておく必要があります。

高域設定時のハーシュさとバンドアンサンブルでの馴染み

QZ1はCry Babyの回路設計をベースとしているため、Peakノブを高域側に振り切った際にはCry Baby特有の「耳に刺さるようなハーシュさ」が目立つ場合があります。

特にQ Zoneノブで帯域幅を狭く絞った状態で高域設定にすると、かなりピーキーで鋭い音になり、好みが大きく分かれます。

ソロで弾いている分には個性的で面白い音ですが、バンドアンサンブルの中ではこの独特の中高域のピークが他の楽器とぶつかり、うまく馴染まないケースがあるとの声も聞かれます。

このあたりはアンプのEQや前後のペダルとの組み合わせで調整が可能ですが、「どの設定でも即座にバンドサウンドに溶け込む」タイプのペダルではないことは認識しておくべきでしょう。

固定ワウというコンセプトへの理解が必要

QZ1に対して「何に使えばいいのかわからない」という第一印象を抱くプレイヤーは少なくありません。

一般的な「ワウペダル」という言葉からイメージされる製品とは根本的に異なるため、固定ワウという概念に馴染みがない場合は購入後に戸惑う可能性があります。

SlashやKerry King、Michael Schenkerといったギタリストのトーンに特定のインスピレーションを持っている方や、EQ的なトーンシェイピングに興味がある方であれば直感的にその価値を理解できますが、「とりあえずワウペダルが欲しい」という動機で購入すると期待とのギャップに失望するリスクがあります。

事前にコックドワウサウンドのデモ音源を聴き、自分の求めるサウンドと合致しているかを確認することを強くおすすめします。

Jim Dunlop QZ1 Crybaby QZoneの評判・口コミ

ユーザーが評価するおすすめな点

QZ1に対して最も多く寄せられるポジティブな評価は「スウィートスポットの再現性」に関するものです。

ノブでポジションを設定できるため、トレッドル式では困難だった「毎回同じ音を確実に出す」という点に満足しているユーザーが目立ちます。

「ソロ用のEQ・ブースト・ワウを一台で兼ねている」という実用性への評価も高く、ペダルボードの省スペース化に成功したという報告が複数見られます。

音質面では「エピックなトーン」「信じられないほど多彩な音が詰まっている」といった絶賛の声があり、特にMarshall系アンプとの組み合わせでSlash風のリードトーンが容易に得られる点が高い満足度につながっています。

ダイヤルの可動域が広く、微調整が効くため「何時間も弾き続けてしまう」ほどの中毒性があるという声や、コントロールされたサスティンの美しさに感動したというレポートもあります。

ベースギターとの相性についても肯定的な意見があり、特定の周波数帯域を強調することでベースに独特のキャラクターを与えられると評価されています。

購入前に確認すべき注意点

ネガティブな評価として繰り返し挙がるのは、やはり「ダイナミックなワウ操作ができない」という固定ワウの本質的な制約です。

通常のワウペダルを期待して購入したユーザーからは失望の声が上がっており、コンセプトの理解不足がミスマッチの原因となっています。

音質面では「Cry Baby系特有のハーシュさがある」という指摘が複数あり、より滑らかなフィルターサウンドを求めるなら、パラメトリックEQやFulltone Wah-Full、EHX Cock Fightなどの代替品も検討すべきとの意見があります。

Volumeノブについては「カット方向の効きが弱く、ブースト方向に偏っている」という報告があり、音量をわずかに下げたい用途には不向きとの声もあります。

また「バンドの中で音が浮いてしまうことがある」という指摘も見られ、アンサンブルでの使用にはアンプ側のEQ調整を含めた追い込みが必要になるケースもあるようです。

満足度とコストパフォーマンスへの評価

総合的な満足度は高水準で、購入者の大多数が友人にも薦めたいと回答しています。

集約されたレビュースコアではビルドクオリティ4.5/5、サウンドクオリティ4/5、操作性4/5、機能性4.5/5という評価が出ており、製品としての完成度の高さが数字にも表れています。

一方でコストパフォーマンスについては3.5/5とやや辛めの評価となっており、実勢価格約154〜160ドル(日本では約2万円前後)という価格帯が「固定ワウ専用ペダルとしてはやや高い」と感じるユーザーがいることを示しています。

ただし「プロ・アマ問わず適正な価格帯」という見方も多く、Red Faselインダクター搭載・USA製造・トゥルーバイパスというスペックを考慮すれば納得できるという意見が主流です。

ニッチな用途のペダルであるがゆえに万人向けとはいえないものの、「その仕事は完璧にこなす」というのが多くのユーザーに共通する結論です。

まとめ:Jim Dunlop QZ1 Crybaby QZone

総合評価——「ニッチだが唯一無二」の存在価値

Jim Dunlop QZ1 Crybaby QZoneは、固定ワウ(コックドワウ)というニッチな需要に対して、極めて高い精度と品質で応える専門性の高いペダルです。

通常のワウペダルとは根本的に目的が異なるため、購入前のコンセプト理解が不可欠ですが、その本質を正しく理解したうえで導入すれば、他のペダルでは代替しがたい唯一無二のトーンメイキングツールとなります。

こんな人におすすめ/おすすめしない人

コックドワウのサウンドを安定的に使いたいギタリストや、SlashやKerry Kingのようなリードトーンに憧れるプレイヤーには最適な一台です。

ペダルボードのスペースが限られている方や、EQ的なトーンシェイピングを手軽に追加したい方にも強くおすすめできます。

逆に、ダイナミックなワウスウィープを主目的とする方や、固定ワウのコンセプトにピンとこない方には向きません。

購入を迷っている方への最終アドバイス

最後に、本記事の要点を整理します。

  • 「固定ワウ」専用ペダルであり、通常のワウペダルの代替品ではない
  • Volume・Q Zone・Peakの3ノブのみで操作が完結し、セッティングは極めてシンプル
  • 一度設定したスウィートスポットが演奏中にズレることがなく、再現性が非常に高い
  • Red Faselインダクター搭載により、60〜70年代のクラシックなワウの質感を持つ
  • Volumeノブのブースト量が豊富で、ソロ時のレベルアップにも活用可能
  • 幅64mm×奥行110mmのコンパクト設計で、ペダルボードのスペースを圧迫しない
  • 歪みペダルの前段・後段で異なるキャラクターが得られ、サウンドメイクの幅が広い
  • 高域設定時にはCry Baby特有のハーシュさが出るため、EQ調整との併用が望ましい
  • 実勢価格は約154〜160ドル(日本では約2万円前後)で、品質を考慮すれば適正な水準
  • ニッチな製品だが「その仕事は完璧にこなす」という評価が大勢を占めており、用途が明確なら非常に高い満足度が得られる

購入を検討しているなら、まずコックドワウのサウンドが自分の求めるものかどうかをデモ音源で確認してください。

そのうえで「これだ」と感じたなら、QZ1はその音を最も確実に、最も手軽に、最もコンパクトに手に入れるための最短ルートとなるはずです。

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