エレキギターを始めたばかりの頃は、「どの曲を練習すればいいのか」でかなり迷います。好きな曲を弾きたい気持ちは大事ですが、いきなり速いソロや難しいコードが出てくる曲を選ぶと、最初の数日で手が止まりやすくなります。
ここでは、エレキギター初心者の練習曲を「曲名の有名さ」だけで選ばず、続けやすさ、身につく技術、最初の達成感で整理します。まずは短いリフ、次にパワーコード、慣れてきたらコードストロークという順番で考えると、練習がかなり進めやすくなります。
譜面やTAB、歌詞は著作権が関わるため本文には載せません。正確なコードやフレーズは、公式スコア、正規の楽譜サービス、信頼できるレッスン教材と合わせて確認してください。
初心者の練習曲は「簡単そう」より「続けやすい」で選ぶ
最初の練習曲で大切なのは、難易度が低いことだけではありません。初心者にとって本当に大事なのは、短い時間でも「弾けた」と感じられることです。
たとえば、曲全体は難しくても、イントロのリフだけなら練習できる曲があります。逆に、コード数は少なくてもテンポが速すぎたり、ずっと右手を振り続けたりする曲は、見た目以上に疲れます。
- 短いフレーズだけでも曲らしく聞こえる
- 使うコードやポジションが少ない
- テンポを落としても練習しやすい
- エレキらしい音が出て楽しい
- 原曲どおりに完璧でなくても達成感がある
この条件に合う曲から始めると、指が痛い時期やコードチェンジが遅い時期でも続けやすくなります。最初から1曲を丸ごと仕上げる必要はありません。イントロだけ、サビだけ、8小節だけでも十分です。
最初の1曲は短いリフ曲から始める
初心者が最初に取り組みやすいのは、短いリフが印象的な曲です。リフとは、曲の中で何度も出てくる短いフレーズのことです。コードをたくさん覚える前でも、単音を順番に押さえれば曲らしく聞こえるものがあります。
単音リフの練習では、左手の指を置くタイミングと、右手でピックを当てるタイミングを合わせる力が育ちます。これは後でコードやソロを練習する時にも役立ちます。
初心者向けでよく名前が挙がるのは、Deep Purple「Smoke on the Water」やThe White Stripes「Seven Nation Army」のような、短く覚えやすいリフを持つ曲です。どちらも原曲の雰囲気を完全再現するには奥がありますが、最初の入口としては「ギターで曲を弾いている感覚」をつかみやすい曲です。
練習するときは、まず原曲テンポよりかなり遅くします。音が途切れてもよいので、左手の場所を確認しながら弾き、慣れてきたらリズムをそろえます。最初から速く弾こうとすると、手の形が崩れたまま覚えてしまいます。
リフ練習で見るポイント
短いリフを練習するときは、音の数より「同じ強さで鳴っているか」を見ます。1音目だけ大きく、後半だけ小さくなる場合は、左手より右手のピック角度が原因かもしれません。アンプの歪みを少なめにして、音の粒がそろっているかを確認すると、雑な部分が見つけやすくなります。
パワーコード曲はエレキらしさを出しやすい

エレキギター初心者が早めに覚えたいのが、パワーコードです。パワーコードは、主に2本の弦を使って鳴らすロック向きのコードです。一般的なコードより押さえる音が少ないため、左手の形を作りやすく、アンプを通すと太くはっきりした音になります。
パワーコードのよいところは、フォームを1つ覚えると場所をずらして使える点です。指の形を毎回大きく変えなくてよいので、初心者でも曲の流れを追いやすくなります。
邦楽ならDOES「曇天」やMONGOL800「小さな恋のうた」、洋楽ならNirvana「Smells Like Teen Spirit」やRamones「Blitzkrieg Bop」のような曲が、パワーコード練習の候補になります。ただし、原曲テンポは速いものもあります。最初はテンポを落とし、右手のダウンピッキングと、余計な弦を鳴らさないミュートを優先しましょう。
「それっぽい音」が出やすいことは、初心者にとってかなり大きなメリットです。エレキを始めた実感があると、地味な基礎練習にも戻りやすくなります。
ミュートとダウンピッキングを分ける
パワーコード曲で音が荒れるときは、左手のミュートと右手のダウンピッキングを同時に直そうとしないほうが楽です。まず左手だけで余計な弦に軽く触れ、鳴らす弦と止める弦を分けます。次に右手だけを見て、毎回同じ深さでピックが入っているかを確認します。
コードストローク曲は歌える速さで選ぶ
リフとパワーコードに慣れてきたら、開放コードを使う曲にも挑戦できます。開放コードとは、押さえない弦も鳴らしながら作る基本的なコードです。C、G、D、Em、Amなどは、初心者が早めに覚えることが多いコードです。
コードストローク曲を選ぶときは、歌えるくらいの速さで練習できる曲が向いています。Ben E. King「Stand By Me」やCreedence Clearwater Revival「Bad Moon Rising」のように、基本コードの流れをつかみやすい曲は、右手のリズム練習にも使えます。
邦楽では、スピッツ「チェリー」のように定番として挙がる曲もあります。ただし、Fコードやセーハが出てくる場合は、最初から原曲どおりに押さえようとしなくても大丈夫です。簡単な押さえ方に置き換えた練習版で流れを覚え、その後で本来のコードに近づけるほうが続きます。
初心者におすすめの練習曲一覧
ここでは、エレキギター初心者が練習しやすい曲を、目的別に整理します。難易度はあくまで目安です。使用する楽譜、アレンジ、テンポ設定によって体感は変わります。
| 曲名 | 最初の練習テーマ | 目安 | 最初のゴール |
|---|---|---|---|
| Smoke on the Water / Deep Purple | 短い単音リフ | 入門 | イントロの流れをゆっくり弾く |
| Seven Nation Army / The White Stripes | 覚えやすいリフ | 入門 | 音の移動とリズムをそろえる |
| 曇天 / DOES | パワーコードと8ビート | 初級 | テンポを落としてサビ進行を弾く |
| 小さな恋のうた / MONGOL800 | パワーコードのコードチェンジ | 初級 | 右手を止めずに1コーラス弾く |
| Blitzkrieg Bop / Ramones | ダウンピッキング | 初級 | 速さより粒をそろえる |
| Smells Like Teen Spirit / Nirvana | パワーコードとミュート | 初級から中級 | イントロの強弱をつける |
| Stand By Me / Ben E. King | 基本コードの流れ | 入門から初級 | コードチェンジを止めずに続ける |
| Bad Moon Rising / Creedence Clearwater Revival | 明るいストローク | 初級 | 一定のテンポで伴奏する |
| チェリー / スピッツ | 開放コードとセーハ準備 | 初級から中級 | 簡単版から1コーラスを通す |
この表の中で迷うなら、最初は「Smoke on the Water」か「Seven Nation Army」のような短いリフ曲を選びます。次に「曇天」や「小さな恋のうた」のようなパワーコード曲へ進むと、エレキらしい音作りとリズム練習を両方進められます。
1曲を仕上げる練習順
練習曲を決めたら、すぐに最初から最後まで通そうとしないほうが上達しやすいです。初心者のうちは、曲全体を何度も流すより、短い範囲を確実に弾けるようにするほうが効果的です。
- 原曲を聞いて、どの部分を弾きたいか決める
- 最初の2小節だけを取り出す
- テンポをかなり落として、左手の場所を確認する
- 右手のピッキングを同じ強さでそろえる
- メトロノームやドラム音源に合わせる
- スマホで録音して、リズムのズレを確認する
- 弾ける範囲を4小節、8小節と広げる
録音は少し恥ずかしく感じるかもしれませんが、上達にはかなり役立ちます。弾いている最中は気づかないリズムの遅れや、音の切れ方が分かります。1回の録音で直す点を1つだけ決めると、練習が散らかりません。
録音は1回につき1点だけ直す
録音を聞くと、音のミス、リズムの遅れ、ノイズ、ピックの強さなど、直したいところが一気に見えます。そこで全部を直そうとすると練習が重くなります。今日は「2拍目が遅れないようにする」だけ、明日は「コードチェンジで音を切らない」だけ、というように1点ずつ直すと、練習が続きます。
つまずきやすいポイントと直し方
エレキギター初心者がつまずくポイントは、ほとんどの場合、才能ではなく練習の分け方で解決できます。曲が難しいと感じたら、曲を変える前に、何で止まっているのかを分けて見ます。
| 困りごと | 原因の例 | 直し方 |
|---|---|---|
| 音がビビる | 指がフレットから遠い | フレットのすぐ近くを押さえる |
| 余計な弦が鳴る | ミュートが足りない | 左手の余った指や右手の腹で軽く触れる |
| テンポに追いつかない | 原曲が速すぎる | 半分くらいの速さから始める |
| コードチェンジで止まる | 次の形を見てから動いている | 次のコードに移る直前だけを反復する |
| 練習が飽きる | 同じ場所だけを長く弾く | 5分ごとにリフ、コード、録音確認を切り替える |
特にパワーコードでは、鳴らす弦より「鳴らさない弦」をどう止めるかが重要です。歪ませた音では余計な弦のノイズが目立ちやすいため、最初はクリーン寄りの音で練習し、慣れてから歪みを足すと確認しやすくなります。
今日の練習を始める前のチェック
練習曲を決めたら、始める前に環境を整えます。エレキギターは、チューニングやアンプ設定がずれているだけで、同じ練習でも弾きにくく感じます。
まずチューニングを合わせ、アンプは歪ませすぎず、5分だけ短いリフを弾いてください。続けられそうなら、同じ曲のパワーコード部分を10分練習します。最後にスマホで1回録音し、明日直す点を1つだけメモします。
ピックが薄すぎて弦に負ける、弦が古くてチューニングが安定しない、アンプの音量が小さすぎてニュアンスが分からない、ということもあります。楽器や機材の価格、在庫、ポイント還元は変わるため、購入前には販売ページや店舗で最新情報を確認してください。
練習曲を変えるタイミング
初心者のうちは、同じ曲を続けるべきか、別の曲に移るべきかでも迷います。1曲を完全に仕上げてから次へ進む必要はありませんが、毎日違う曲へ移っていると、指の動きもリズムも定着しにくくなります。
目安として、短いリフなら「ゆっくりなら3回続けて止まらず弾ける」、パワーコード曲なら「テンポを落とせばサビやイントロを通せる」、コードストローク曲なら「右手を止めずに1コーラス進める」くらいまで来たら、次の曲を足しても大丈夫です。
反対に、同じ場所で何日も止まっているなら、曲を捨てる前に範囲を小さくします。4小節が難しければ2小節、2小節が難しければ1拍だけに分けます。曲を変える判断は「飽きたから」だけでなく、「今の課題が分かったか」で決めると練習が前へ進みます。
好きな曲が難しい場合は、練習曲リストから離れなくてもかまいません。好きな曲は目標曲として残し、普段の練習は短いリフやパワーコード曲で手を作る、という分け方ができます。目標曲と練習曲を分けると、挫折感を減らしながら好きな曲にも近づけます。
よくある質問
- 1曲目は邦楽と洋楽のどちらがいいですか?
好きなほうで大丈夫です。ただし、邦楽はテンポが速い曲も多いため、最初はテンポを落として練習する前提で選ぶと続けやすくなります。
- 楽譜が読めなくても練習できますか?
最初はTAB譜やレッスン動画を使えば練習できます。ただし、正確なコードやフレーズは公式スコアや正規の楽譜サービスで確認すると安心です。
- 1日何分くらい練習すればいいですか?
最初は10分から15分でも十分です。長時間まとめて弾くより、短い時間でも毎日ギターに触れるほうが、指とリズムが安定しやすくなります。
- ギターソロはいつから練習すればいいですか?
短いリフとパワーコードに慣れてからで大丈夫です。最初から長いソロを狙うより、2小節のフレーズをきれいに弾く練習から始めると無理がありません。
- アンプなしでも練習できますか?
指の場所を覚えるだけならできます。ただし、エレキらしい音やノイズの出方はアンプを通したほうが分かります。小音量でもよいので、音が確認できる環境を作ると練習しやすくなります。
- メトロノームは最初から必要ですか?
最初から完璧に合わせる必要はありませんが、早めに使うとリズムのズレに気づきやすくなります。速く弾くためではなく、ゆっくりでも同じ間隔で弾くために使うと考えると続けやすいです。
まとめ:エレキギター初心者練習曲の選び方
エレキギター初心者の練習曲は、最初から難しい名曲を完璧に弾くためではなく、ギターを続けるために選びます。最初は短いリフで「曲を弾けた感覚」を作り、次にパワーコードでエレキらしい音を出し、慣れてきたらコードストローク曲へ進む流れがおすすめです。
曲を選ぶときは、好きな曲かどうかに加えて、短く区切れるか、テンポを落として練習できるか、今の手の形で無理がないかを見てください。1曲全部を一気に弾けなくても、イントロだけ、サビだけ、8小節だけで十分に前進です。
練習を続けるコツは、できなかった場所だけでなく、できた場所も残すことです。「今日はイントロ2小節だけ止まらなかった」「昨日よりテンポを少し上げられた」という記録があると、上達が見えます。小さな記録が増えるほど、次の練習曲にも進みやすくなります。練習ログはノートでもスマホのメモでも十分です。三日後に見返すと、できる範囲が広がったことにも気づけます。
今日の練習曲を1つ決めたら、まずは5分だけゆっくり弾いてみましょう。うまく弾けない場所が分かれば、次に何を練習すればよいかも見えてきます。最後に「明日は同じ場所をもう一度弾く」と決めて終えると、次の練習を始めやすくなります。焦らず進みましょう。

