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PRS 10Topの違いを徹底解説!SEやCEとの比較も網羅

美しい杢目と高い演奏性で、世界中のギタリストを魅了するPaul Reed Smith(PRS)ギター。

その中でも、一際目を引くのが「10Top」と呼ばれる特別なグレードのモデルです。

「レギュラーモデルと何が違うの?」「価格差ほどの価値はある?」といった疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。

また、フラッグシップであるCustom 24だけでなく、ボルトオン構造のCE24や、高いコストパフォーマンスを誇るSEシリーズとの違いも気になるところです。

この記事では、PRSの10Topとレギュラーモデルの明確な違いから、各シリーズの特徴、サウンドの評価に至るまで、網羅的に解説していきます。

PRSギター選びで後悔しないためにも、それぞれの違いを正しく理解し、あなたにとって最適な一本を見つける手助けとなれば幸いです。

目次

PRS 10Topの定義とレギュラーモデルとの違い

prs custom24 10topとは何か

PRS Custom24 10Topとは、Paul Reed Smith(PRS)のフラッグシップモデルである「Custom 24」の中でも、特に厳選された美しい杢目(もくめ)を持つメイプル材をボディトップに使用した、特別なグレードのギターを指します。

この「10Top」という名称は、「PRSのストックルームにあるメイプル材の中から10本を並べた際に、その中で最も美しい杢目を持つ1本」という意味合いが込められています。

つまり、レギュラーモデルのCustom 24とは、使用されるトップ材の「見た目の美しさ」において明確な差別化が図られているのです。

PRSギターの大きな魅力の一つに、まるで工芸品のような美しいルックスが挙げられます。
その中でも10Topは、炎が揺らめくような「フレイムメイプル」や、水面のさざ波のような「キルトメイプル」の杢が、より均一に、そして深く立体的に現れている個体が選ばれます。
このため、レギュラーモデルでも十分に美しいのですが、10Topの個体は見る角度によって表情を変える、息をのむような高級感を放ちます。

もちろん、この特別な選定基準を持つ木材を使用するため、価格はレギュラーモデルよりも高価に設定されています。
重要な点として、10Topはあくまで「ルックス」に関するアップグレードであり、サウンドそのものに直接的な影響を与えるものではない、とされています。
しかし、唯一無二の美しいギターを所有する満足感や、ステージ上での圧倒的な存在感は、多くのギタリストにとって価格以上の価値を感じさせる要素となっています。

PRS 10Topの基準と見分け方

PRS 10Topは、その名の通り厳しい基準に基づいて選定されており、簡単な方法で見分けることが可能です。

まず、10Topの選定基準ですが、これはPRS社の専門スタッフが目視で行います。
明確な数値基準があるわけではありませんが、一般的に「トップ材の全面にわたって、均一で途切れのない美しい杢目が出ていること」が求められます。
特に、ワイルドで荒々しい杢目が特徴の「East Coast Maple」と、整った美しい杢目が多い「West Coast Maple」では杢の表情が異なりますが、どちらの材であっても、その材が持つポテンシャルを最大限に引き出した杢を持つ個体が10Topとして認定されます。

この厳格な基準をクリアした個体を見分ける最も確実な方法は、ギターヘッドの裏側を確認することです。
10Topに認定されたギターには、ヘッド裏の右上あたりに、小さく「10」という数字が記載されています。
このマークがあれば10Top、なければレギュラーモデルということになり、一目瞭然です。
中古でPRSを探す際や、楽器店で杢目の美しさに惹かれた個体があった場合は、この「10」マークの有無がグレードを判断する決定的な証拠となります。

ただし、店頭でギターを確認する際は注意が必要です。
高価な楽器ですので、勝手に裏返したりすると落下させてしまう危険があります。
必ず店員の方に声をかけ、許可を得てから見せてもらうようにしましょう。

稀に「マークがない10Topも存在するのか?」という疑問を持つ方もいますが、基本的には現行モデルで10Topとされているものは必ずこの表記があります。
購入を検討する際は、このヘッド裏のマークを基準に判断するのが最も確実な方法と言えるでしょう。

PRS CE24とCustom24の構造的な違い

PRSのラインナップの中で、見た目が似ていることから比較されることの多い「CE 24」と「Custom 24」ですが、その構造にはサウンドを決定づける明確な違いが存在します。

最も大きな違いは、ボディとネックを接合する方法と、使用されているネック材です。

項目CE 24Custom 24 (Coreモデル)
ネックジョイントボルトオン・ジョイントセットネック・ジョイント
ネック材メイプルマホガニー
ボディトップ形状比較的浅いアーチ深いヴァイオリンカーブ
サウンド傾向明るく、シャープで立ち上がりが速い暖かく、豊かでサスティーンが長い
価格帯比較的安価高価

ネックジョイントとネック材の違い

CE 24は、Fender社のギターに代表される「ボルトオン・ジョイント」方式で、メイプル材のネックをボディにネジで固定しています。
これにより、サウンドはアタック感が強く、明るく歯切れの良い、レスポンスに優れたトーンが特徴となります。

一方、Custom 24は、Gibson社のギターに代表される「セットネック・ジョイント」方式で、マホガニー材のネックをボディに接着剤で固定しています。
これにより、ボディとネックが一体となって振動するため、豊かで暖かみのある中低域と、伸びやかなサスティーン(音の伸び)が得られます。

ボディ形状と価格

さらに、ボディトップのカーブにも違いがあります。
Custom 24はPRSの象徴ともいえる、深く美しい「ヴァイオリンカーブ」が施されていますが、CE 24はそれよりも浅いアーチ形状になっています。
これらの製造工程における手間や、使用される木材のグレードの違いが価格にも反映されており、一般的にCustom 24の方が高価になります。

弾きやすさについてはネックシェイプの好みにもよりますが、サウンド面では明確なキャラクターの違いがあります。
どちらが優れているというわけではなく、シャープでキレのあるサウンドを求めるならCE 24、豊かでオールマイティなサウンドを求めるならCustom 24というように、プレイヤーの音楽性によって最適な選択は変わってくるのです。

上位モデルとPRS SEシリーズの違い

PRSには、アメリカのメリーランド工場で製造されるUSA製の上位モデル(Core、S2、Bolt-Onなど)と、インドネシアの工場でOEM生産される「SEシリーズ」が存在します。
この両者には、価格だけでなく、ギターを構成するあらゆる要素に違いがあります。

生産国と製造工程

最も根本的な違いは生産国です。
USA製モデルは、熟練の職人による手作業の工程を多く含み、丹念に時間をかけて製造されます。
一方、SEシリーズは、PRSが監修するインドネシアの工場で、効率的な生産ラインを用いて製造することで、高いコストパフォーマンスを実現しています。

使用木材のグレードと構造

USA製モデル、特にCoreラインでは、厳選された高品質な木材が使用されます。
ボディトップには厚みのあるメイプル材(カーブド・メイプル・トップ)が使われ、10Topのような杢目のグレードも選択できます。
対してSEシリーズは、ボディトップに「メイプル材+フレイムメイプル化粧板(Veneer)」という構造を採用しています。
これにより美しい杢目を持ちながらコストを抑えていますが、USA製モデルのような厚い一枚板のメイプルがもたらす豊かな鳴りとはキャラクターが異なります。

ハードウェア(パーツ)

ピックアップ、ブリッジ、ペグ(糸巻き)といったハードウェアも異なります。
USA製モデルには自社開発・製造された高品質なパーツが搭載されており、チューニングの安定性やサウンドの解像度に大きく貢献します。
SEシリーズにもPRS設計のパーツが搭載されていますが、これらはOEM生産されたもので、コストと品質のバランスが取られた仕様となっています。

もともと「Student Edition(学生向けモデル)」としてスタートしたSEシリーズですが、近年その品質は飛躍的に向上しており、プロの現場でも使用されるほどの実力を持っています。
しかし、USA製モデルが持つ本物の質感、豊かな生鳴り、所有欲を満たす仕上げの美しさといった点では、依然として明確な差が存在します。
SEシリーズは素晴らしいギターですが、USA製モデルとは目指す場所が異なる、別の魅力を持ったラインナップと理解するのが良いでしょう。

PRSの評価と10Topを選ぶ価値の違い

CoreモデルのPRS Custom 24のサウンド

PRSの「核(Core)」となるモデル、Custom 24のサウンドは、一言で表すならば「究極のオールラウンダー」です。
そのサウンドは非常にバランスが良く、クリーンからハイゲインまで、あらゆる音作りにおいて高いクオリティを発揮します。

しばしば「ギブソンとフェンダーのいいとこ取り」と形容されるように、Custom 24のサウンドには両者の優れた点が融合されています。
クリーンサウンドでは、ガラスのように透き通った高音域と、コードを弾いた際の各弦の分離の良さが際立ちます。
これは、シングルコイルピックアップが得意とする領域に近い、煌びやかなトーンです。

一方で、アンプをドライブさせると、ハムバッカーピックアップならではのパワフルで太いサウンドが得られます。
しかし、ただ太いだけでなく、音の芯がしっかりと残り、輪郭がぼやけることがありません。
これにより、ハードなリフでも音潰れすることなく、リードプレイでは伸びやかで歌うようなサスティーンを生み出します。

この汎用性をさらに高めているのが、多彩なピックアップのコンビネーションです。
モデルにもよりますが、5ウェイ・ブレードスイッチや、各ピックアップを個別にコイルタップできるスイッチング・システム(Custom 24-08など)を搭載しており、1本のギターでハムバッカーの力強いサウンドから、シングルコイル風の繊細で歯切れの良いサウンドまで、幅広い音色を瞬時に切り替えることが可能です。

このため、ポップス、ロック、ブルース、フュージョン、さらにはモダンなメタルまで、特定のジャンルに縛られることなく、プレイヤーの表現力にどこまでも応えてくれます。
PRS Custom 24は、まさにどんな状況でも最高のパフォーマンスを発揮できる、信頼性の高い一本と言えるでしょう。

「PRSは音が悪い」という評価の真相

インターネット上などで、稀に「PRSは音が悪い」という評価を見かけることがあります。
しかし、世界中のトッププロミュージシャンが愛用している事実を考えれば、その評価が客観的な品質を指しているとは考えにくいでしょう。
この評価の真相は、「音が悪い」のではなく、「音に特徴がない」あるいは「優等生すぎる」という主観的な感想が変化したものと捉えるのが適切です。

理由1:強烈な「アク」のなさ

Gibson Les Paulの野太く甘いトーンや、Fender Stratocasterの枯れた味わい深いトーンのように、歴史的な名機には強烈な個性、いわゆる「アクの強さ」があります。
PRSのサウンドは、前述の通り非常にバランス良く洗練されているため、こうした特定の「アク」を求めるプレイヤーからは、個性がなく物足りない、と感じられることがあります。
特にヴィンテージサウンドを好むギタリストにとっては、「整いすぎている」と感じるかもしれません。

理由2:機材との相性とセッティング

PRSギターは非常に感度が高く、ピッキングのニュアンスを素直に出力します。
そのため、アンプやエフェクターのセッティングが不適切だと、ギターが持つ本来のポテンシャルを引き出せず、「音が薄っぺらい」「硬い」と感じてしまうことがあります。
ギターの特性を理解し、それに合わせた音作りをする必要があるのです。

理由3:モデルごとのキャラクターの誤解

PRSにはCustom 24以外にも、CE 24やS2シリーズなど、様々なモデルが存在します。
例えば、CE 24の持つブライトでアタッキーなサウンドを体験して、「PRSの音は細い」と一括りにしてしまうのは早計です。
モデルごとに明確なサウンドコンセプトがあるため、一部のモデルの印象だけでブランド全体を評価してしまうと、このような誤解が生まれることがあります。

結論として、「PRSは音が悪い」というのは、多くの場合、個人の好みや音楽ジャンルとのミスマッチ、あるいはギターのポテンシャルを引き出せていないことに起因します。
客観的に見て品質が低いわけでは決してなく、むしろそのバランスの良さこそが、多くのプロに選ばれる理由なのです。
先入観を持たずに、ぜひ一度実際に試奏して、そのサウンドを自身の耳で確かめてみることをお勧めします。

価格を考えるとPRS SEで十分なのか

「USA製のCoreモデルは高価すぎる。価格を考えればSEシリーズで十分なのではないか?」という疑問は、多くのPRS検討者が抱くものでしょう。
この問いに対する答えは、「プレイヤーがギターに何を求めるか」によって変わります。

SEシリーズで「十分」と言えるケース

趣味としてバンドを楽しんだり、ライブで気兼ねなく使えるギターを探しているのであれば、SEシリーズは非常に有力な選択肢です。
近年のSEシリーズは、創業当初の「スチューデント・エディション」という位置づけを遥かに超える品質向上を遂げています。
作りもしっかりしており、チューニングも安定していますし、PRS設計のピックアップは幅広いジャンルに対応できるだけのポテンシャルを持っています。
実際に、BUMP OF CHICKENの藤原基央氏が過去にSEシリーズを使用していたように、プロの現場でも通用するクオリティを持っているのです。
また、比較的安価であるため、ピックアップを交換したりパーツをアップグレードしたりといった、自分好みのカスタムを楽しむベースとしても最適です。

USA製Coreモデルを選ぶべきケース

一方で、「一生ものの特別な一本が欲しい」「所有する喜びを最大限に感じたい」という方にとっては、USA製のCoreモデルが持つ価値は、価格差以上のものがあります。
Coreモデルのギターを手に取った瞬間に感じる、吸い付くようなネックの握り心地、細部にまでこだわり抜かれた仕上げの美しさ、そしてボディ全体が豊かに鳴る「生鳴り」の感覚は、SEシリーズでは決して味わうことのできないものです。
特にレコーディングにおいては、その豊かな倍音成分や繊細なピッキングニュアンスへの追従性が、楽曲のクオリティを一段階引き上げてくれるでしょう。

結論として、SEシリーズは「非常にコストパフォーマンスに優れた実用的なギター」であり、多くの場面で「十分」な性能を発揮します。
しかし、PRSというブランドが持つ本来の魅力、すなわち芸術品レベルの美しさと、プレイヤーの感性を刺激する極上のサウンドと演奏性を体験したいのであれば、USA製のCoreモデルを選ぶ価値は間違いなくあると言えます。

PRS Custom24 10Topを選ぶ価値とは

レギュラーモデルのCustom 24と10Topモデル。
そのサウンドに違いはないとされている中で、数十万円の価格差を払ってまで10Topを選ぶ価値はどこにあるのでしょうか。
その答えは、ギターを単なる「音を出す道具」として見るか、「感性を刺激する芸術品」としても見るか、という価値観の違いにあります。

10Topを選ぶ最大の価値は、なんといってもその「唯一無二の圧倒的な美しさ」と、それによってもたらされる「所有満足度」です。
ギターのトップに広がる、深く揺らめくような杢目は、自然が生み出した芸術そのものです。
同じ模様は二つとして存在せず、そのギターは世界に一本だけの、あなただけの特別な存在となります。
この「自分だけの特別な一本」という感覚は、ギターへの愛着を深め、日々の練習や創作活動へのモチベーションを格段に高めてくれるでしょう。

また、ステージに立った際の存在感も格別です。
照明を浴びて輝く美しい杢目は、観客の視線を引きつけ、プレイヤーのパフォーマンスをより一層華やかに演出します。
ギタリストにとって、ルックスはサウンドやプレイアビリティと同様に、自己表現の重要な要素なのです。

もちろん、実用的な面もあります。
10Topモデルは中古市場においても人気が高く、レギュラーモデルに比べて資産価値が下がりにくい傾向にあります。
これは、将来的にギターを買い替える際にも有利に働く可能性があります。

PRS Custom24 10Topは、サウンドクオリティを追求した先にある、「感性」や「所有欲」といった付加価値を求めるプレイヤーのための選択肢です。
音という機能的な価値だけでなく、見た目の美しさという情緒的な価値に、価格差分の魅力を見出せるのであれば、それはあなたにとって最高の投資となり、かけがえのない相棒となってくれるはずです。

まとめ:PRS 10Topとレギュラーモデルの違いを理解して選ぼう

  • PRS 10Topは、特に美しい杢目を持つトップ材が選ばれた特別なグレードである
  • 10Topの基準は「10本中1番の杢目」で、ヘッド裏の「10」のマークで見分けられる
  • 10Topとレギュラーモデルのサウンドに、直接的な違いはないとされる
  • Custom 24はセットネックで暖かく豊かな音、CE 24はボルトオンで明るくシャープな音が特徴である
  • USA製モデルとSEシリーズでは、生産国、木材、パーツ、製造工程の全てが異なる
  • SEシリーズは高いコストパフォーマンスを誇るが、USA製モデルの質感や鳴りとは明確な差がある
  • 「PRSの音が悪い」という評価は、個性のなさやセッティングの問題に起因することが多い
  • 趣味やライブでの実用性ではSEシリーズで十分な場合も多い
  • 一生もののギターや所有満足度を求めるならUSA製Coreモデルに価値がある
  • 10Topの価値は、唯一無二のルックスがもたらす所有満足度とモチベーションの向上にある
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