「自宅でのギター練習、準備が面倒…」「良い音で練習したいけど、大きなアンプは置けない…」そんな悩みを抱えるギタリストは多いのではないでしょうか。
アンプのセッティング、エフェクターの接続、ヘッドホンの準備。
練習を始めるまでのハードルが高いと、ついついギターから手が遠のいてしまいます。
この記事では、そんなギタリストの悩みを一挙に解決する可能性を秘めた機材、ZOOMの「MS-80IR+」を徹底レビューします。
特徴やスペック、実際の音質、メリット・デメリット、そしてユーザーのリアルな評判まで、あらゆる角度から深掘りしました。
この記事を読めば、MS-80IR+があなたのギターライフに本当に必要な一台かどうかが明確になります。
ZOOM MS-80IR+とは?自宅練習の最強ツールを徹底レビュー
まずは結論から|MS-80IR+はこんなギタリストにおすすめ!
ZOOM MS-80IR+は、コンパクトエフェクターサイズの筐体に、高品位なアンプシミュレーターとIR(インパルスレスポンス)ローダー機能を凝縮したペダルです。
特に、以下のようなニーズを持つギタリストにとって、最高のパートナーとなるでしょう。
- 自宅での練習環境を手軽に、かつ高音質にしたい方
- 準備の手間を最小限にして、すぐに練習を始めたい方
- PCと接続して、音源に合わせた練習やレコーディングをしたい方
- FenderやMarshall、Bognerなど、特定のアンプサウンドで演奏したい方
- 省スペースで機能的なエフェクターボード(ミニボード)を組みたい方
- コストパフォーマンスに優れた機材を探している方
これらのいずれかに当てはまるなら、MS-80IR+はあなたの期待を大きく上回る満足感を提供してくれるはずです。
一目でわかる!MS-80IR+の主な特徴とスペック
MS-80IR+がどのような製品なのか、まずはその主な特徴とスペックを表で確認しましょう。
項目 | スペック/特徴 |
---|---|
カテゴリ | アンプ&キャビネットシミュレーター |
アンプ/キャビモデル数 | 23種類(16種の既存モデル+7種のZOOMオリジナルモデル) |
IR技術 | マルチレイヤーIR(特許出願中) |
同時使用エフェクト | AMPLIFIER + STUDIO AMBIENCE + 1 EFFECT |
内蔵エフェクト数 | 12種類(EQ, ノイズリダクション, ディレイなど) |
パッチメモリー | 80(50プリセット内蔵)+外部IRロード用80スロット |
入出力端子 | INPUT(L/R)、OUTPUT(L/MONO/PHONES)、OUTPUT(R) |
ヘッドホン出力 | 標準ステレオフォーンジャック |
USB機能 | オーディオインターフェース、バスパワー駆動、MIDI、専用アプリ連携 |
電源 | DC9Vアダプター、単三電池2本、USBバスパワー |
サイズ・重量 | 130.3 (D) × 77.5 (W) × 58.5 (H) mm / 353 g (本体のみ) |
最大の特徴は、ZOOM独自の「マルチレイヤーIR」技術と、コンパクトな筐体に詰め込まれた多彩な機能性です。
USBバスパワーで駆動し、オーディオインターフェースにもなるため、PC環境との親和性が非常に高い設計となっています。
従来のマルチストンプ(MS-50G+など)との違いは何か?
同じZOOMのマルチストンプシリーズには、ベストセラーモデルの「MS-50G+」も存在します。
MS-50G+にもアンプモデリングは搭載されていますが、MS-80IR+はよりアンプサウンドに特化した設計思想が明確です。
主な違いは以下の通りです。
- コンセプトの違い:
- MS-80IR+: アンプ&キャビネットシミュレーターが主役。
- MS-50G+: 多彩なエフェクトの一つとしてアンプモデルが搭載されたマルチエフェクター。
- IR技術:
- MS-80IR+: 演奏の強弱をリアルに再現する「マルチレイヤーIR」を搭載。
- MS-50G+: 通常のIR技術。
- ヘッドホン出力:
- MS-80IR+: 標準サイズのヘッドホン端子を装備。
- MS-50G+: ヘッドホン出力はなし。
- オーディオインターフェース機能:
- MS-80IR+: 搭載。PCへのダイレクトレコーディングや音源再生が可能。
- MS-50G+: 非搭載。
簡単に言えば、「一台で何でもやりたい」ならMS-50G+、「アンプサウンドを核にした音作りや、ヘッドホンでの快適な練習・録音環境」を求めるならMS-80IR+が最適な選択となります。
【音質レビュー】気になるサウンドは?特許出願中「マルチレイヤーIR」の実力
「マルチレイヤーIR」とは?従来のIRとの違いをわかりやすく解説
MS-80IR+の音質の核となるのが、ZOOMが特許出願中という「マルチレイヤーIR」技術です。
従来のIR(インパルスレスポンス)は、スピーカーキャビネットの響きを捉えるために、ある一つの音量で録音されたデータを使用していました。
これに対し「マルチレイヤーIR」は、LOUD(大)、MEDIUM(中)、SOFT(小)という3段階の異なる音量で録音されたIRデータを採用しています。
そして、ギタリストのピッキングの強弱に応じて、これら3つのデータを動的にブレンドします。
これにより、実際にアンプを鳴らした時のような、優しく弾けばクリーンに、強く弾けばパワフルに歪むといった、生々しいレスポンスと有機的なサウンドを実現しているのです。
有名アンプのモデリングサウンドをレビュー(Marshall, Fender, Bogner Ecstasyなど)
MS-80IR+には、歴史的な名機からモダンなブティックアンプまで、23種類のアンプモデルが搭載されています。
特に注目すべきは、多くのユーザーから高い評価を得ている特定のアンプモデルです。
例えば、ASIAN KUNG-FU GENERATIONの喜多氏や、アニメ「ぼっち・ざ・ろっく!」の結束バンドの三井さんが使用する「Bogner Ecstasy」のモデリングが搭載されています。
Marshallのプレキシサウンドとは一味違う、粘りのあるジューシーな歪みは、ファンならずともテンションが上がるサウンドです。
また、FenderのDeluxe ReverbやMarshall 1959といった定番アンプの再現度も高く、ピッキングニュアンスへの追従性も良好で、生楽器のようなダイナミックレンジを感じさせます。
ZOOM特有のデジタル臭さはある?20年前の音とは違うのか
かつてのデジタルアンプシミュレーターには、「デジタル臭さ」や「音が平面的」といったイメージが付きものでした。
しかし、MS-80IR+のサウンドは、そうした古い先入観を完全に覆します。
技術の進歩は著しく、出音は非常にナチュラルです。
特にマルチレイヤーIRの恩恵か、アンプが「呼吸」しているかのような立体感があり、かつてのデジタル臭さを感じることはほとんどありません。
20年前にPODなどを使っていた世代のギタリストが弾けば、その進化に驚くことでしょう。
ギターだけじゃない!ベースでの使用感と音質もチェック
MS-80IR+はギタリスト向けに設計されていますが、ベーシストにとっても魅力的な選択肢となり得ます。
内蔵アンプモデルの中には「FENDER BASSMAN」が含まれており、これが非常に良いサウンドだと評判です。
往年のモデルらしい、コリっとしたアタック感を持つヴィンテージサウンドを、ヘッドホンから手軽に出力できます。
ギターとベースの両方を演奏するプレイヤーにとって、一台で両方に対応できるのは大きなメリットと言えるでしょう。
【5つのメリット】なぜMS-80IR+は「買い」なのか?おすすめな点を解説
① コンパクトさが正義!デスクに置いても邪魔にならないサイズ感
MS-80IR+の最大の魅力の一つは、そのコンパクトさです。
サイズはBOSSのコンパクトエフェクターとほぼ同じ。
この小さな筐体に23種類ものアンプモデルが詰まっています。
自宅で練習する際、アンプのツマミを頻繁に調整するギタリストにとって、デスクの上に置けるサイズ感は非常に重要です。
大きなマルチエフェクターやアンプでは邪魔になりますが、MS-80IR+ならその心配はありません。
② 準備がとにかく楽!USBバスパワー駆動とオーディオIF機能
練習のモチベーションを削ぐ最大の要因は「準備の面倒くささ」です。
MS-80IR+はUSBバスパワーに対応しているため、PCにUSBケーブルを一本接続するだけで電源がONになります。
わざわざ電源アダプターをコンセントから引っ張ってくる必要がありません。
さらにオーディオインターフェース機能も内蔵。
シールド、ヘッドホン、そしてPCに繋いだUSBケーブルの3本を接続すれば、PCの音源を聴きながら、高音質なアンプサウンドで練習を始められます。
この手軽さは、日々の練習を継続する上で強力な武器となります。
③ 変換プラグ不要!標準ヘッドホン端子で快適な練習環境を実現
これは多くのユーザーが絶賛する、地味ながらも非常に重要なポイントです。
多くの小型アンプシミュレーターやマルチエフェクターのヘッドホン出力はミニジャック仕様ですが、MS-80IR+は標準ジャックを採用しています。
これにより、多くのスタジオ用ヘッドホンで使われている標準プラグを、変換プラグなしで直接接続できます。
変換プラグを介すことで生じる接触不良のリスクや、ケーブルに負荷がかかって破損する心配から解放されます。
「思う存分ヘッドホンをぶっ挿して弾きまくれる」という安心感は、練習の質を大きく向上させます。
④ ライブでも活躍!PAとアンプに音を分けるスプリット出力機能
MS-80IR+は、Rチャンネルの出力信号を、パッチメモリー内の任意の場所から分岐させる「R OUT POSITION」機能を搭載しています。
これを使えば、ライブ演奏時に非常に便利な音作りが可能です。
例えば、アンプモデルを通したリアルなサウンド(L OUT)をPAミキサーに送りつつ、アンプモデルを通す前の素の音(R OUT)をステージ上の自分のギターアンプに送る、といったスプリット出力ができます。
これにより、客席には完成されたアンプサウンドを届け、ステージ上では自分のモニターしやすい音を鳴らす、というプロフェッショナルな環境構築が手軽に実現します。
⑤ 驚異のコスパ!2万円以下で手に入る多機能アンプシミュレーター
これだけの機能を搭載しながら、MS-80IR+の実売価格は2万円を大きく下回ります(2024年現在)。
高品位なアンプシミュレーター、IRローダー、オーディオインターフェース、ヘッドホンアンプ、そしてチューナーや基本的なエフェクトまで内蔵してこの価格は、まさに驚異的です。
これからギターを始める初心者の方が最初のアンプとして選ぶにも、すでに機材を持っている中上級者がサブシステムや練習用として導入するにも、最適な一台と言えるでしょう。
【注意点】購入前に知っておきたいMS-80IR+のデメリットと弱点
操作性は良い?ノブの配置やフットスイッチの使い勝手
多くのメリットがある一方で、操作性にはいくつかの注意点があります。
本体上部にある4つのエンコーダーノブは、直感的な音作りを可能にしますが、一部のユーザーからは「ノブが小さく、隣と近いため回しにくい」という声も聞かれます。
また、カーソル型フットスイッチは、足元でパッチやエフェクトを切り替えられて便利ですが、一般的なフットスイッチとは感覚が異なるため、慣れが必要かもしれません。
内蔵エフェクトは12種類のみ(歪み・フィルター系は非搭載)
MS-80IR+はアンプシミュレーターが主役のため、内蔵エフェクトは音質補正用のEQやノイズリダクション、ディレイなどが中心です。
オーバードライブやディストーションといった歪み系や、ワウなどのフィルター系エフェクトは搭載されていません。
そのため、MS-80IR+単体で多彩な音作りを完結させるというよりは、お気に入りの歪みペダルなどを前段に接続し、MS-80IR+を「アンプ」として使うのが基本的なスタイルになります。
USB端子が1つだけ|給電とMIDIの同時使用はできる?
本体に搭載されているUSB-C端子は1つのみです。
この端子は、バスパワー給電、オーディオインターフェース機能、専用アプリとの連携、そしてUSB-MIDI機能と、多くの役割を兼ねています。
そのため、例えばモバイルバッテリーで給電しながら、同時に外部MIDI機器でパッチチェンジを行うといった使い方はできません。
この点は、特定のヘビーな使い方を想定しているユーザーは注意が必要です。
サンプリングレートは44.1kHz|実際の音質への影響は?
MS-80IR+のサンプリングレートは44.1kHzです。
より高価格帯のプロ用機材では96kHzなどが主流となっているため、スペックを重視する方には少し物足りなく感じるかもしれません。
しかし、CD音源も44.1kHzであり、一般的なリスニングやライブ、自宅練習の用途においては、音質に大きな影響を与えるレベルではない、というのが大方の見解です。
実際に多くのユーザーがその音質に満足しており、実用上は全く問題ないレベルと言えます。
【評判・口コミ】ユーザーのリアルな評価を徹底調査
高評価な評判・口コミまとめ(音質・手軽さ・コスパ)
ユーザーレビューを調査すると、やはりその音質、手軽さ、コストパフォーマンスを絶賛する声が圧倒的に多いです。
- 「生々しい音。ピッキングで歪み具合をコントロールできて、まるで生楽器のよう。」
- 「USBケーブル一本でPCに繋げば音が出て、準備が信じられないくらい楽になった。」
- 「標準ジャックのヘッドホンアウトが最高。変換プラグのストレスから解放された。」
- 「この機能でこの価格はすごすぎる。ボードに忍ばせておけばオールジャンルに対応できる。」
- 「Bognerのモデリング目当てで買った。好きなアーティストと同じアンプの音で弾けるのはテンションが上がる。」
低評価な評判・口コミまとめ(操作性・遅延・ノイズ)
一方で、少数ながら改善を望む声も見られます。
- 「ノブが回しにくい。ライブでの素早い操作には向かないかも。」
- 「マルチエフェクターとしては使いにくい。フットスイッチの操作に慣れが必要。」
- 「USB給電だと環境によってはノイズが乗ることがあった。ACアダプターの方が安定する。」
- 「複数のエフェクトを同時に使うと、わずかな遅延を感じることがある。」
これらの意見は、製品の特性や使用環境に起因するものが多く、購入前に自身の使い方と照らし合わせておくことが重要です。
他社製品との比較|BOSS IR-2やTC IMPULSEと比べてどう違う?
ミニボード用のアンプシミュレーターとして、BOSSの「IR-2」やTC ELECTRONICの「IMPULSE IR LOADER」などが競合製品として挙げられます。
製品名 | 主な特徴 | メリット | デメリット |
---|---|---|---|
ZOOM MS-80IR+ | 多機能(IF、USBバスパワー、豊富なアンプモデル、標準ヘッドホン端子) | コスパ最強、準備が楽、ヘッドホン練習が快適 | 歪み系エフェクトなし、操作性にややクセあり |
BOSS IR-2 | シンプルな操作性、Celestion DigitalのIR搭載、ステレオ・ループ | 直感的で使いやすい、定評のあるIRサウンド | USBオーディオIF機能なし、ヘッドホン端子がミニ |
TC IMPULSE | 非常に多くのIRスロット(99)、高品質な公式IR、シンプルなIRローダー | IRの自由度が高い、高品位なサウンド | アンプモデリングが主ではない、単体での音作りは限定的 |
どの製品が優れているというよりは、何を最も重視するかで選択が変わります。
「手軽さと多機能性、コスパ」ならMS-80IR+、「シンプルな操作性とIRの質」ならIR-2、「IRの入れ替えをとことん楽しみたい」ならIMPULSE、といった選び方ができるでしょう。
まとめ:ZOOM MS-80IR+ レビュー|ギタリストの「欲しい」を凝縮した一台
改めてわかるMS-80IR+のメリット・デメリット一覧
MS-80IR+は、現代のギタリストが抱える多くの悩みに応える、非常によく考えられた製品です。
その万能性は、自宅練習の質を劇的に向上させるだけでなく、レコーディングからライブまで、幅広いシーンで活躍するポテンシャルを秘めています。
まさに、ギタリストの「こんなの欲しかった!」をコンパクトな一台に凝縮した、傑作ペダルと言えるでしょう。
自宅練習からレコーディング、ミニボードまでこなす万能ペダル
- MS-80IR+はコンパクトなアンプ&キャビネットシミュレーターである
- 独自の「マルチレイヤーIR」技術でリアルなアンプの反応を再現
- USBバスパワー駆動とオーディオIF機能でPCとの連携が非常に楽
- 標準サイズのヘッドホン端子を搭載し、変換プラグが不要
- 23種類のアンプモデルを内蔵し、Bognerなど人気のモデルも収録
- 2万円以下という驚異的なコストパフォーマンスを実現
- スプリット出力機能を使えばライブでもPAとアンプで音を分けられる
- 注意点として、歪み系エフェクトは内蔵していない
- 操作ノブがやや小さく、フットスイッチの操作には慣れが必要
- 自宅練習の質を向上させたい全てのギタリストにおすすめできる一台である
どこで買うのがお得?販売サイトと価格情報
ZOOM MS-80IR+は、全国の楽器店や、Amazon、サウンドハウスといったオンラインストアで購入可能です。
価格や在庫状況は変動するため、各サイトで最新の情報をチェックしてみてください。
あなたのギターライフをより豊かにするこの一台、ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。