IbanezのAZシリーズに興味があるけれど、「ネックが太い」という評判が気になって購入をためらっていませんか。
あるいは、長年Ibanezの代名詞であるRGシリーズを愛用してきた方にとって、AZのネック形状が自分のプレイスタイルに合うのかどうか、不安に感じているかもしれません。
この記事では、そうした疑問や不安を解消するため、Ibanez AZのネックに関する情報を徹底的に掘り下げます。
RGシリーズとの具体的な比較、実際の弾き心地に関する所有者のリアルな評判、さらには上位モデルのPrestigeとPremiumの違い、おすすめの弦高セッティングやブリッジのベタ付けの可否まで、AZについて知りたい情報を網羅的に解説します。
この記事を最後まで読めば、Ibanez AZのネックが自分にとって本当に「太い」のか、そしてどのモデルが最適なのか、明確な答えが見つかるはずです。
Ibanez AZのネックは本当に太い?RGとの比較とリアルな弾き心地を徹底レビュー
【結論】AZのネックは「太い」のではなく「現代の標準的な厚み」
結論から言うと、Ibanez AZのネックは「太い」というよりも、「現代のギターにおける標準的な厚みを持つCシェイプ」と表現するのが最も的確です。
「太い」という印象は、主にIbanezの代名詞ともいえるRGシリーズの極薄ネック「Wizardネック」と比較されるために生まれるものです。
RGシリーズに慣れ親しんだギタリストがAZを手に取ると厚みを感じるのは自然なことですが、Suhrなどのモダンなハイエンドギターと比較すると、むしろ標準的か、ややスリムと感じるほどの握り心地です。
したがって、AZのネックは決して扱いにくいものではなく、多様なプレイスタイルに対応するために設計された、バランスの取れた形状であると言えます。
Ibanezの代名詞「RGシリーズ」の極薄ネックとの違いは?
Ibanez AZシリーズのネックとRGシリーズのネックの最も大きな違いは、その形状と厚みにあります。
RGシリーズに採用されている「Wizardネック」は、速弾きに特化した非常に薄く平たいDシェイプが特徴です。
一方、AZシリーズで採用されている「AZ Oval Cシェイプ」は、文字通り楕円に近い断面を持つCシェイプで、Wizardネックに比べて厚みと丸みがあります。
この丸みがあるおかげで、クラシカルフォームだけでなく、ネックを握り込むシェイクハンドでの演奏時に、手のひらにしっくりと馴染む安定感をもたらします。
ネックが太いと弾きにくい?実際の演奏性(チョーキング・速弾き)への影響
ネックの厚みは、演奏性に直接的な影響を与えます。
AZのネックはRGに比べて厚みがあるため、親指をネック裏に回して弦をしっかりと押さえ込むチョーキングやビブラートが非常にやりやすいというメリットがあります。
握り込んだ際の安定感が増すため、少ない力で豊かな表現が可能です。
一方で、指を大きく広げるストレッチフレーズに関しては、薄いネックに慣れていると最初は違和感を覚えるかもしれません。
しかし、ハイポジションに関しては、大胆なヒールカット加工のおかげで演奏性は極めて高く、RG以上に弾きやすいと感じるギタリストも少なくありません。
速弾きにおいても、慣れれば問題なく対応できる汎用性の高さを持っています。
手が小さい人でも大丈夫?シェイクハンドでの握りやすさと安定感を解説
「手が小さいから太いネックは不安」と感じる方もいるかもしれませんが、AZのネックはシェイクハンドで握り込んだ際のフィット感が非常に良好です。
ネックの厚みが手のひらをしっかりと支え、安定したグリップ感を生み出します。
これにより、コードプレイやバッキング、ブルージーなリードプレイなどで力を発揮します。
もちろん、手の大きさには個人差があるため一概には言えませんが、単純な厚みの数値だけでなく、ネックシェイプ全体の丸みがもたらす握りやすさが、手の大きさをカバーしてくれる側面も持ち合わせています。
弾き心地を左右するネックの仕上げは?ローステッドメイプルとフレット処理の評判
Ibanez AZシリーズのネックは、弾き心地を高めるためのこだわりが随所に見られます。
ネック材には、近年のハイエンドギターで人気の高いローステッドメイプルが採用されており、サラサラとしたサテンフィニッシュで仕上げられています。
これにより、汗をかいても滑りが良く、スムーズなポジション移動が可能です。
また、フレットには硬質で錆びにくいステンレススチールフレットが採用されています。
フレットの端は丁寧に丸め込む球面処理が施されており、チョーキングやビブラート時の指の引っ掛かりが全くなく、非常に快適な演奏性を実現しています。
これらの丁寧な仕上げは、多くのユーザーから高く評価されています。
Ibanez AZシリーズの評判は?所有者のリアルな口コミからメリット・デメリットを分析
良い評判まとめ:なぜ「A to Zまで対応できる万能ギター」と呼ばれるのか?
Ibanez AZシリーズが「A to Zまでどんなジャンルでも対応できる」と高く評価される最大の理由は、その驚異的なサウンドバリエーションの豊富さにあります。
ピックアップセレクターと「Alterスイッチ」の組み合わせにより、SSHモデルでは9種類、HHモデルでは10種類ものサウンドを切り替え可能です。
これにより、パワフルなハムバッカーサウンドから、シャープなシングルコイルサウンド、さらには疑似的なハムバッカーサウンドまで、1本のギターで多彩な音作りができます。
ファンクのカッティングからヘヴィなメタルリフ、ジャズ風のメロウなトーンまで、文字通りあらゆるジャンルをカバーできる万能性が、多くのギタリストから支持されています。
悪い評判・注意点まとめ:購入前に知っておくべき個体差や弱点
多くのメリットがある一方で、Ibanez AZには購入前に知っておくべき注意点も存在します。
特に、インドネシアで製造されるPremiumシリーズについては、一部の個体でネックポケットの隙間やフレット処理のわずかな甘さといった、作りの荒さを指摘する声があります。
また、サウンド面では、搭載されているHyperionピックアップの特性上、中低音が控えめであるため、豊かなクリーントーンの音作りが難しいと感じるユーザーもいます。
さらに、ローステッドメイプルネックは一般的に強度が高いとされていますが、個体によってはハイ起きなどのネックの動きが発生したという報告もあり、過信は禁物です。
サウンドの多様性:Seymour Duncan製HyperionピックアップとAlterスイッチの実力
AZシリーズのサウンドの核となるのが、Seymour Duncanと共同開発された専用ピックアップ「Hyperion」です。
このピックアップは、特定のジャンルに特化した強烈な個性を持つタイプではなく、ピッキングニュアンスを忠実に再現するバランスの取れたキャラクターが特徴です。
特に、クランチからオーバードライブ気味の歪みとの相性が良いと評価されています。
そして、その実力を最大限に引き出すのが「Alterスイッチ」です。
このスイッチは、ハムバッカーをシングルコイルとして動作させるだけでなく、シングルコイルモード時のパワーロスを補正する「パワー・タップ」機能も備えています。
これにより、シングルとハムを切り替えた際の音量差が少なく、ライブ中でもシームレスなサウンドチェンジが可能です。
ワイヤレスが挿さらない?特徴的なアウトプットジャックの問題と対策
初期のAZシリーズ、特に「AZ224F」などの一部モデルでは、アウトプットジャックの形状が問題視されていました。
ジャックがボディに深く埋め込まれた斜め出しの形状になっているため、Line 6のG10Tなど、一部のワイヤレストランスミッターが物理的に挿さらないというケースが報告されています。
しかし、この問題は後のモデル、例えば「AZ2402」や年次改良によって改善されたようで、現在では多くのモデルで問題なくワイヤレスが使用できます。
もし古いモデルでこの問題に直面した場合は、変換コネクターを使用したり、ジャック部分を少し改造したりすることで対応したユーザーもいます。
Ibanez AZを買った人の意見:デザインとカラーバリエーションの評価
Ibanez AZのデザインやカラーバリエーションについては、所有者の間で意見が分かれるポイントです。
機能性や演奏性は高く評価されている一方で、特にマットフィニッシュ(艶消し塗装)のモデルに関しては、「演奏中に触れる部分がテカってきてしまい、美観の維持が難しい」という声があります。
また、カラーバリエーションが白、黒、サンバーストといった定番色に偏っていたり、好みの色がマット仕上げしか選べなかったりと、選択肢の少なさに不満を持つユーザーもいるようです。
デザインは個人の好みが大きく影響する部分ですが、購入を検討する際は、塗装の仕上げやカラー展開も確認しておくと良いでしょう。
価格差10万円!PrestigeとPremium、買うならどっち?違いをスペックとサウンドで比較
一目でわかるPrestigeとPremiumのスペック比較表
Ibanez AZシリーズのPrestigeとPremiumの主な違いを以下の表にまとめました。
項目 | Prestige | Premium |
---|---|---|
生産国 | 日本 | インドネシア |
ネック材 | S-TECH WOOD ローステッドメイプル | ローステッドメイプル |
ブリッジサドル | チタンサドル (Gotoh T1802) | スチールサドル (Gotoh T1502) |
ナット材 | 牛骨ナット | Graph Tech TUSQ XLナット |
フレット処理 | Prestigeフレットエッジトリートメント | 球面カスタムトリートメント |
ノブ | Sure-Grip III ノブ | 通常のメタルノブ |
価格帯(目安) | 約20万円~ | 約13万円~ |
【品質】日本製Prestigeとインドネシア製Premium、仕上げや作りの違いは?
PrestigeとPremiumの最も大きな違いは、生産国とそれに伴う品質管理の差にあります。
日本製であるPrestigeシリーズは、細部に至るまで非常に丁寧な作りが特徴で、工場出荷段階でのセットアップ精度も高く、購入してすぐに最高の状態で演奏できる個体が多いです。
一方、インドネシア製のPremiumシリーズは、コストパフォーマンスに優れる反面、個体差が大きい傾向にあります。
前述の通り、フレット処理の甘さやネックポケットの隙間など、細部の仕上げでPrestigeに劣る部分が見られることがあります。
もちろん、Premiumが劣っているというわけではなく、しっかりと調整すれば非常に優れたギターになりますが、品質の安定性ではPrestigeに軍配が上がります。
【ネック】Prestigeの「S-TECH WOOD」は本当に安定している?
Prestigeシリーズのネックには、「S-TECH WOOD」と呼ばれる特殊な窒素加熱処理が施されたローステッドメイプルが使用されています。
この処理により、木材の含水率をコントロールし、温度や湿度変化に対する高い安定性と耐久性を実現しています。
多くのユーザーがその効果を実感しており、ネックのコンディションが安定しているという評判が多数あります。
ただし、木材である以上、反りなどの動きが全く起きないわけではありません。
実際にPrestigeモデルでもネック調整が必要になったケースも報告されているため、「通常のローステッドメイプルよりもさらに安定性が高い」という認識でいるのが良いでしょう。
【サウンド】チタンサドル(Prestige)とスチールサドル(Premium)で音はどう変わる?
サウンド面での大きな違いを生み出すのが、ブリッジサドルの材質です。
Prestigeに搭載されているチタンサドルは、スチールサドルに比べてブライトで高音域の倍音が豊かなサウンドキャラクターを持ちます。
これにより、音が前に出てくるような抜けの良さが生まれ、アンサンブルの中でも埋もれにくい存在感のあるトーンが得られます。
一方、Premiumのスチールサドルは、よりウォームで落ち着いたサウンド傾向です。
この違いは、ボディ材(Prestigeのアルダー対Premiumのバスウッドなど)との組み合わせも影響しますが、パーツによるサウンドへの貢献度は非常に大きいと言えます。
ロックなど歪ませたサウンドでの音の輪郭を重視するならPrestigeが、よりマイルドなサウンドを好むならPremiumが適しているかもしれません。
コストパフォーマンスで選ぶならPremium?価格差分の価値はPrestigeにある?
どちらのモデルを選ぶべきか、最終的には予算と何を重視するかによります。
基本的な演奏性やサウンドの方向性は共通しているため、Premiumシリーズのコストパフォーマンスの高さは非常に魅力的です。
個体差を吟味し、購入後にしっかりと調整することを前提とすれば、素晴らしいメインギターになり得ます。
一方で、約10万円の価格差には、細部の仕上げの美しさ、パーツのグレード、そしてサウンドの抜けの良さといった明確な価値が存在します。
滑りにくいSure-Gripノブの操作性や、改造せずともワイヤレスが使える快適さなど、日々の演奏で感じる満足感はPrestigeの方が高いでしょう。
少しでも良いサウンドとストレスのない演奏性を求めるのであれば、Prestigeへの投資は十分に価値があると言えます。
Ibanez AZのセッティング|おすすめの弦高とブリッジのベタ付けについて
Ibanez AZのおすすめ弦高セッティングの目安は?
Ibanez AZは、丁寧なフレット処理とネックの精度により、低めの弦高セッティングにも十分に対応できます。
具体的な数値は個人の好みやピッキングの強さによって大きく異なりますが、多くのユーザーは12フレット上で1弦側が約1.5mm、6弦側が約2.0mm前後を目安に調整しているようです。
ステンレスフレットは摩耗に強いため、低めのセッティングにしてもフレットが削れにくく、ビビリが発生しにくいというメリットがあります。
まずは標準的なセッティングから始め、自分のプレイスタイルに合わせて少しずつ下げていくことで、最適な弦高を見つけることができるでしょう。
フローティングが標準だけど、ブリッジのベタ付けはできる?
Ibanez AZに搭載されているGotoh製トレモロブリッジは、アームアップとダウンが両方可能な2点支持のフローティングセッティングが標準となっています。
しかし、チューニングの安定性を最優先したい、あるいはブリッジをボディに密着させたタイトな鳴りが好きだという理由で、ベタ付けを希望する方もいます。
構造上、トレモロスプリングを増やしたり、締め込んだりすることでブリッジをボディに接地させる「ベタ付け」セッティングにすることは可能です。
ただし、これはアームアップができなくなるなど、本来の設計思想とは異なる使い方になる点は理解しておく必要があります。
チューニングの安定性は?GOTOH製ロックペグとブリッジの評価
Ibanez AZシリーズのチューニングの安定性は、非常に高いと評価されています。
その理由は、全モデルに搭載されているGOTOH製の高品質なハードウェアにあります。
ペグには、弦交換が容易でチューニングの狂いを最小限に抑えるマグナムロック式のロックペグが採用されています。
ブリッジも同じくGOTOH製で、スムーズなアーミングと安定性を両立した専用設計品(T1802/T1502)です。
フローティングセッティングでありながら、激しいアーミングをしてもチューニングがほとんど狂わないという声が多く、ライブやレコーディングで安心して使用できる信頼性を持っています。
具体例:人気モデルIbanez AZ224Fのレビューと特徴
Ibanez AZシリーズの中でも特に人気の高いモデルの一つが、Premiumシリーズの「AZ224F」です。
このモデルは、SSH(シングル/シングル/ハムバッカー)のピックアップレイアウトが特徴で、Alterスイッチとの組み合わせにより非常に幅広いサウンドメイクが可能です。
ネックにはローステッドメイプル、フレットにはステンレススチールが採用され、高い演奏性を実現しています。
ボディトップには美しいフレイムメイプルが貼られ、見た目の高級感も兼ね備えています。
サウンドはバランスが良く、クリーンからディストーションまで気持ちの良いトーンを出力しますが、フロントピックアップは比較的マイルドなサウンドキャラクターです。
高い汎用性とコストパフォーマンスを両立した、AZシリーズの魅力を体感できる代表的なモデルと言えるでしょう。
まとめ:Ibanez AZのネックは太いのか?購入前に確認すべき全ポイント
Ibanez AZの購入が向いている人の特徴
これまでの情報を総合すると、Ibanez AZシリーズは以下のような方に特におすすめのギターです。
RGシリーズの極薄ネックが苦手で、ある程度の厚みと丸みがあるモダンなネックシェイプを求めている方。
ヘヴィメタルからフュージョン、ポップスまで、1本のギターで幅広いジャンルに対応したいと考えている方。
ピッキングニュアンスを忠実に再現してくれる、バランスの取れたサウンドを好む方。
チューニングの安定性が高く、ライブやレコーディングで安心して使える信頼性の高いギターを探している方。
Ibanezの他シリーズや他ブランド(PRS SEなど)と迷っている人へ
もしあなたがIbanezのRGシリーズや、他ブランドのPRS SEシリーズなどとAZを比較して迷っているなら、それぞれのギターが持つ方向性の違いを理解することが重要です。
RGシリーズは、言うまでもなく速弾きやテクニカルなプレイに特化したモデルです。
一方、PRS SEシリーズは、伝統的なレスポールのフィーリングとモダンな演奏性を両立させた、独自のサウンドとルックスが魅力です。
それらに対してAZシリーズは、特定のジャンルに特化するのではなく、あらゆるプレイスタイルと音楽ジャンルを高い次元で融合させることを目指した「モダンな万能機」という立ち位置になります。
自分が最も重視するプレイスタイルやサウンドを明確にすることで、最適な一本が見えてくるでしょう。
購入前に必ず試奏すべき理由とチェックするべきポイント
Ibanez AZシリーズの購入を検討する際は、必ず楽器店で実機を試奏することを強く推奨します。
最大の理由は、ネックの握り心地を自分自身の手で確かめるためです。
「太い」という言葉の印象だけでなく、実際に握ってみて自分の手に馴染むかどうかを確認することが何よりも重要です。
また、特にPremiumシリーズを検討している場合は、複数の個体を弾き比べることをお勧めします。
フレット端の処理が丁寧か、ネックポケットに不自然な隙間がないかなど、作りの個体差をチェックすることで、より満足度の高い一本を選ぶことができます。
- Ibanez AZのネックはRGより厚いが、現代のギターとしては標準的な太さである
- ネックの適度な厚みは、チョーキングやビブラート時の安定性に寄与する
- AlterスイッチとHyperionピックアップにより、非常に多彩なサウンドメイクが可能
- 日本製Prestigeとインドネシア製Premiumで、品質やパーツ、サウンドに差がある
- Prestigeはチタンサドルによりブライトで抜けの良いサウンドが特徴である
- Premiumはコストパフォーマンスに優れるが、作りの個体差に注意が必要である
- 初期モデルはワイヤレスが挿さらないジャック形状の場合があるため確認が推奨される
- GOTOH製のロックペグとブリッジにより、チューニングの安定性は非常に高い
- Hyperionピックアップはバランス型で、豊かなクリーントーンの音作りは難しいという意見もある
- 購入時はスペックだけでなく、ネックの握り心地と個体差の確認が不可欠である