「ギターの基礎練習って、地味で退屈だし本当に意味あるの?」「基礎練習はいらないって聞いたけど、本当かな?」と疑問に思っていませんか。
好きな曲を弾きたくてギターを始めたのに、メトロノームに合わせて単調な指の運動を繰り返すのは、確かに気が進まないかもしれません。
しかし、結論から言うと、ギター上達のために基礎練習は絶対に必要です。
ただし、やみくもに時間をかけるだけの「苦行」は必要ありません。
この記事では、「ギター基礎練習はいらない」という言葉の真意を解き明かし、なぜ基礎が重要なのか、そして本当に効果のある必須練習メニューと、挫折せずに続けるコツをプロの視点から徹底的に解説します。
この記事を読めば、無駄な練習に時間を費やすことなく、着実に上達への道を歩むことができるでしょう。
「ギター基礎練習はいらない」は本当?嘘?結論から解説します
【結論】基礎練習は「いらない」は嘘。ただし目的のない練習は不要です
「ギターの基礎練習はいらない」という意見は、半分本当で半分嘘です。
より正確に言うと、「目的を理解せずに行う、単調で苦痛なだけの基礎練習は、いらない」というのが真実です。
全てのプロギタリストが断言するように、演奏技術の土台を作るための基礎練習は、上達に不可欠な要素です。
しかし、なぜその練習をするのか理解しないまま続けても、モチベーションが続かず、結果的に時間の無駄になってしまう可能性があります。
「基礎練習はいらない」と言われる3つの理由とは?
多くの人が基礎練習を敬遠してしまうのには、主に3つの理由があります。
1つ目は、練習自体が地味で音楽的な楽しさを感じにくいことです。
好きな曲を弾く高揚感に比べ、クロマチックスケールのような機械的な練習は退屈に感じがちです。
2つ目は、効果がすぐに実感しづらい点です。
基礎練習の成果は日々の僅かな積み重ねによって現れるため、即効性を求める人にとっては「意味がない」と感じられてしまいます。
3つ目は、その練習が最終的にどのような演奏技術に繋がるのか、目的がわからないまま行っているケースが多いからです。
何のためにやっているか分からない作業は、ただの苦行になってしまいます。
それでもプロが「基礎練習は絶対に必要」と断言する本当の理由
ではなぜ、プロのギタリストたちは口を揃えて「基礎練習は絶対に必要だ」と断言するのでしょうか。
それは、基礎練習がギター演奏における全ての技術の「土台」を築く、最も合理的で効率的なトレーニングだからです。
頑丈な基礎がなければ立派な家が建たないのと同じで、盤石な基礎がなければ高度な演奏技術は身につきません。
指の独立性を高め、正しいフォームを体に覚え込ませ、正確なリズム感を養う。
これら全てが、将来的に難しいフレーズを弾きこなしたり、表現力豊かな演奏をしたりするための、必要不可欠な準備なのです。
ギターの基礎練習をしないとどうなる?やらないことの4つのデメリット

もし基礎練習を全くせずに、好きな曲のコピーばかりを続けていたらどうなるでしょうか。
ここでは、基礎をおろそかにした場合に起こりうる4つの具体的なデメリットを解説します。
デメリット1:変な癖がついて後から直せなくなる
自己流で練習を続けると、無意識のうちに非効率的なフォームや指の動かし方など、いわゆる「悪い癖」が身についてしまいます。
一度染みついた癖を後から修正するのは、ゼロから技術を習得するよりもはるかに困難です。
基礎練習の段階で正しいフォームを体に覚え込ませることが、結果的に上達への一番の近道となります。
デメリット2:あるレベルから全く上達しない「伸び悩みの壁」にぶつかる
初心者の頃は曲を覚えるだけで上達を実感できますが、基礎ができていないと、ある一定のレベルで必ず成長が止まります。
「速いフレーズが弾けない」「コードチェンジがもたつく」といった中級者が直面する悩みのほとんどは、基礎技術の精度不足が原因です。
この「伸び悩みの壁」を突破するためには、一度初心に返って基礎を見直す必要があります。
デメリット3:リズム感が養われず、バンド演奏で足を引っ張ってしまう
プロとアマチュアの最大の違いは「リズム感」にあると言われるほど、音楽においてリズムは重要です。
メトロノームを使わずに練習していると、自分では気づかないうちにテンポが揺れてしまう癖がついてしまいます。
正確なリズム感がなければ、バンドで他の楽器と合わせる際に演奏がずれてしまい、アンサンブルを壊してしまう原因にもなりかねません。
デメリット4:弾ける曲のレパートリーがいつまでも増えない
基礎ができていないと、新しい曲を覚えようとしても、特定のテクニックでつまずいてしまい、なかなか1曲をマスターすることができません。
結果として、簡単な曲は弾けるけれど、少し難易度が上がると挫折してしまう、という状況に陥りがちです。
運指やピッキングといった基礎能力が高ければ、新しい技術の習得もスムーズになり、弾ける曲のレパートリーも効率的に増えていきます。
これだけでOK!ギター初心者が毎日やるべき基礎練習メニュー9選

ここでは、プロも実践している、本当に効果のある基礎練習メニューを9つに絞って紹介します。
全てをやる必要はありませんが、自分の課題に合わせていくつか組み合わせ、毎日の練習に取り入れてみてください。
【運指の基本】クロマチックスケールで指を独立させるトレーニング
クロマチックスケールは、各指が他の指に影響されずにスムーズに動く「指の独立性」を鍛える最も基本的な練習です。
人差し指から小指までを1フレットずつ順番に弾くことで、特に動きにくい薬指や小指のコントロール能力を高めます。
速く弾くことよりも、一音一音をクリアに、正確なリズムで鳴らすことを意識しましょう。
【音楽的な運指】メジャースケールで指板上の音を覚える練習
メジャースケール(ドレミファソラシド)の練習は、単なる指の運動だけでなく、指板上の音の位置関係を理解するために非常に重要です。
スケール練習を繰り返すことで、頭の中に「音の地図」が描けるようになり、アドリブ演奏や耳コピ能力の向上に直結します。
【リズム感の向上】メトロノームを使ったカッティング練習(1日10分)
カッティングは、リズミカルな演奏の要であり、正確なリズム感を養うのに最適な練習です。
メトロノームを使い、まずはゆっくりなテンポで16分音符のストロークを練習しましょう。
右手と左手のタイミングを完璧にシンクロさせることで、演奏全体にキレと安定感が生まれます。
【ピッキング強化】オルタネイトピッキングを安定させる弦移動トレーニング
オルタネイトピッキング(ダウンとアップを交互に繰り返す奏法)は、速いフレーズを弾くための基本です。
特に弦を移動する際にタイミングがずれやすいため、異なる弦を交互に弾く練習を取り入れましょう。
左右の手の連携を高め、ピッキングの精度を上げることが目的です。
【表現力アップ】コードトーンを意識したアルペジオ練習
コードトーン(コードの構成音)を一つずつ弾くアルペジオは、メロディアスな演奏やアドリブに不可欠な要素です。
ただの指の練習としてではなく、今鳴らしている音がコードの中でどのような役割を持っているかを意識しながら弾くことで、音楽的な理解が深まります。
【弱点克服】動かない小指を強化するトレーニング
多くのギタリストが悩むのが「小指が思うように動かない」という問題です。
小指を意識的に使うフレーズや、小指を軸にしたトリル練習などを集中的に行うことで、弱点を克服できます。
使える指が増えれば、それだけ演奏の幅も格段に広がります。
【見た目も改善】指のバタつきを抑えるための練習法
演奏中に指が必要以上に弦から離れてしまう「指のバタつき」は、無駄な動きが多く、見た目も美しくありません。
クロマチック練習の際に、弾き終えた指をなるべく弦の近くに待機させておく意識を持つことで、効率的でスムーズな運指が身につきます。
【速弾きの土台】指の動きを早くするためのトリル練習
トリル(ハンマリングとプリングを連続して行う奏法)は、指の筋力と持久力を鍛え、速弾きに必要なフィジカルを向上させます。
自分の限界まで連続して行うことで、指の運動能力が向上し、より速いフレーズに対応できるようになるでしょう。
【実践力】覚えたコードをスムーズに切り替えるコードチェンジ練習
曲を演奏する上で避けて通れないのがコードチェンジです。
2つのコードを決め、メトロノームに合わせてひたすら行き来する練習が効果的です。
最初はゆっくりでも、つっかえずにスムーズに移行できるようになるまで繰り返すことで、実践的な演奏能力が身につきます。
基礎練習が嫌い・続かない人へ|挫折しないための3つのコツ

どんなに基礎練習が重要だとわかっていても、続かなければ意味がありません。
ここでは、基礎練習が嫌いな人でも挫折せずに続けるためのコツを3つ紹介します。
コツ1:「基礎練習のための練習」はやめる|常に曲との関連性を意識する
最も重要なのは、「この練習が、あの曲のあのフレーズを弾くために必要だ」と、常に目的を意識することです。
例えば、弾きたい曲の速いフレーズでつまずいているなら、その部分と同じ動きのスケール練習を基礎練習に取り入れます。
基礎練習と実践を結びつけることで、単調な作業ではなく、目標達成のための具体的なステップだと感じられるようになります。
コツ2:「1日8時間弾く」ではなく「気づいたら8時間経っていた」を目指す
「練習しなきゃ」という義務感は、長続きの最大の敵です。
根性論で無理に長時間練習するのではなく、楽しむことを最優先にしましょう。
基礎練習も、時間を決めて義務的に行うのではなく、テレビを見ながら、あるいは好きな音楽を聴きながらなど、リラックスした状態で行うことで継続しやすくなります。
「ギターを弾いていたら、あっという間に時間が過ぎていた」という感覚が理想です。
コツ3:練習をゲーム化する|アプリの活用やタイムアタックを取り入れる
単調な練習にゲーム性を取り入れるのも非常に効果的です。
例えば、ギター練習用のアプリを使えば、自分の演奏を採点してくれたり、ゲーム感覚で課題をクリアできたりします。
また、「BPM(テンポ)を毎週5ずつ上げる」「ミスなく弾ける回数を記録する」など、自分で目標を設定し、それをクリアしていくことで達成感が得られ、モチベーションを維持しやすくなります。
ギターの基礎練習に関するよくある質問(Q&A)
最後に、ギターの基礎練習に関して多くの人が抱える疑問について、Q&A形式で回答します。
Q. 基礎練習は毎日やらないとダメ?理想の頻度は?
A. 理想を言えば、5分~10分程度の短時間でも毎日ギターに触れるのがベストです。
毎日続けることで、指の感覚を維持し、練習を習慣化することができます。
時間が取れない日でも、ギターを構えてチューニングするだけでも効果はあります。
Q. 基礎練習と曲の練習、時間の配分はどうすればいい?
A. 初心者のうちは、「基礎練習2:曲の練習8」くらいの割合から始めるのがおすすめです。
まずはウォーミングアップとして10分~15分程度、基礎練習で指を慣らします。
その後、メインである曲の練習に時間を割くことで、モチベーションを保ちながらバランス良く上達できます。
Q. 中級者になっても基礎練習は必要ですか?
A. はい、必要です。
中級者になると、より高度なテクニックを習得するため、あるいは自分の苦手な部分を克服するための、より専門的な基礎練習が必要になります。
また、習得した技術を維持するためにも、日々の基礎練習は欠かせません。
Q. プロのギタリストはどんな基礎練習をしていますか?
A. プロのギタリストも、クロマチックスケールやスケール練習といった基本的な練習を、日々のウォームアップやコンディション維持のために必ず行っています。
それに加えて、自分の演奏スタイルに必要な特定のテクニックを磨くための、独自の練習メニューを組んでいることがほとんどです。
Q. 独学だと間違った練習をしてしまいそうで不安です…
A. 独学で最も重要なのは、自分の演奏を客観的に見ることです。
スマートフォンなどで自分の演奏を録画・録音し、定期的に見返してみましょう。
音の粒が揃っているか、リズムは正確か、指に無駄な動きはないかなどをチェックすることで、間違った癖がつくのを防ぐことができます。
まとめ:ギターの基礎練習はいらない、という考えを卒業しよう
この記事では、ギターの基礎練習の重要性から具体的な練習メニュー、そして継続するためのコツまでを詳しく解説しました。
「基礎練習はいらない」という言葉は、目的のない単調な練習を指すものであり、上達のための土台作りは決して避けて通れません。
- ギター上達に基礎練習は不可欠であり、「いらない」は嘘である
- ただし、目的意識のない苦行のような練習は不要である
- 基礎練習をしないと、悪い癖がつき、いずれ上達が頭打ちになる
- クロマチックスケールは指の独立性を高める最も基本的な練習である
- メジャースケール練習は、音楽的な運指と指板の理解を深める
- メトロノームを使ったリズム練習は、正確な演奏の土台を作る
- 基礎練習が続かない場合は、常に曲との関連性を意識することが重要である
- 義務感ではなく、「楽しむ」ことを優先するのが継続のコツである
- 中級者やプロにとっても、技術の維持・向上のために基礎練習は必須である
- 独学では自分の演奏を録画・録音し、客観的にチェックすることが大切である

