ZOOM G2 FOURは、2022年12月に発売されたギター用マルチエフェクターです。
発売当初はその価格帯から「G1 FOUR」の正当進化モデルと見られていましたが、近年の大幅な価格改定(値下げ)により、1万円台前半という驚異的なコストパフォーマンスを実現しました。
しかし、多くのレビューや評判を調べる中で、「G1 FOURと何が違うのか?」「音質は本当に良いのか?」「価格なりのデメリットはないのか?」といった疑問を持つ方も多いでしょう。
この記事では、G2 FOURの音質、特徴、おすすめな点から、購入前に知っておくべき注意点(デメリット)まで、各種レビュー情報を徹底的に分析し、その実力を詳しく解説します。
ZOOM G2 FOUR 徹底レビュー:結論「1万円台の革命児」
G2 FOURは「買い」か? 総合評価
結論から言えば、G2 FOURは現在の価格帯(1万円台前半)において、間違いなく「買い」のマルチエフェクターです。
音質の中核を担う「マルチレイヤーIR」技術、宅録に必須のオーディオインターフェイス機能、USB-C給電の利便性をこの価格で実現している点は、従来の常識を覆すものです。
練習から簡単なレコーディングまで、ギタリストが必要とする機能が高次元でまとまっています。
どんな人におすすめ?(初心者、宅録ギタリスト、コスパ重視派)
G2 FOURは、特に以下のような方に強くおすすめできます。
- 初めてマルチエフェクターを買う初心者:直感的な操作性と実践的なプリセット音源が、音作りの楽しさを教えてくれます。
- 宅録(DTM)を始めたいギタリスト:オーディオインターフェイス機能が内蔵されているため、別途機材を購入せずともPCやスマホで録音が始められます。
- コストパフォーマンスを最重要視する人:1万円台でこの音質と機能性は、他の追随を許しません。
- 自宅での練習環境を充実させたい人:AUX IN、ヘッドフォン端子、ルーパー、リズムマシンが全て揃っており、最高の練習パートナーになります。
どんな人には向かない?(PC編集したい人、電池駆動必須な人)
非常に優秀なG2 FOURですが、いくつかの明確な弱点も存在します。
- PCの大画面で音作りをしたい人:G2 FOURはPC用のエディタソフトに非対応です。編集は本体か、有料のスマホアプリのみとなります。
- 電池駆動が必須な人:G1 FOURとは異なり、G2 FOURは電池駆動に対応していません。電源はACアダプタかUSB給電(モバイルバッテリー)が必須です。
- ディレイの音切れ(TAIL)が許せない人:ディレイエフェクトをオフにした際、残響音がブツっと切れる仕様です。
G2 FOURの価格は? 発売当初からの価格改定(値下げ)でコスパ最強に
現在の実売価格はいくら?(1万3000円〜1万4000円)
G2 FOURは2022年12月の発売当初、約2万4,000円前後で販売されていました。
しかし、2024年頃から大幅な価格改定(値下げ)が行われ、現在では多くの楽器店や通販サイトで13,000円~14,000円程度で購入可能です。
この価格変更により、G2 FOURは「ミドルクラス」から「エントリークラス最強」のポジションへと変貌しました。
ライバル機種(GT-1など)との価格比較
G2 FOURの値下げが際立つ理由の一つに、競合製品の動向があります。
例えば、長らくエントリークラスの定番であったBOSS「GT-1」は、近年の情勢により値上げ傾向にあります。
その結果、機能面や音質面でGT-1を凌駕する部分も多いG2 FOURが、価格面でも優位に立つという「逆転現象」が発生しています。
G2 FOURの音質は?G1 FOURから劇的に進化したサウンド
新技術「マルチレイヤーIR」とは? ピッキングへの反応がリアル
G2 FOURの音質を語る上で欠かせないのが、ZOOM独自の新技術「マルチレイヤーIR」です。
従来のIR(インパルス・レスポンス)が、ある一瞬のキャビネットの響きを捉えた「静止画」だとすれば、マルチレイヤーIRは音の強弱(LOUD / MEDIUM / SOFT)に応じた3つのIRを動的にブレンドする「動画」のような技術です。
これにより、ピッキングの強弱に対するキャビネットの反応が非常にリアルになり、演奏のニュアンスがダイレクトに音に反映されます。
アンプシミュレーターの音質(デラリバ、マーシャル系)
マルチレイヤーIRの恩恵もあり、アンプシミュレーターのクオリティはG1 FOURから格段に向上しています。
特に「DELUXE REVERB(デラリバ)」モデルなどのクリーントーンは、解像度が高く、弾いていて気持ちが良いと高い評価を得ています。
マーシャル系のドライブサウンドも、G1 FOUR時代に感じられたデジタルの粗さが軽減され、より自然な歪みサウンドが得られます。
クリーンと歪みの音質は?「音がクリアになった」との口コミ多数
G1 FOURは、設定によっては純粋なクリーンを出すのが難しく、常にうっすらと歪みが乗る傾向がありました。
G2 FOURではこの点が大幅に改善され、透明感のあるクリアなサウンドが作りやすくなっています。
歪みに関しても、音が潰れにくく、分離感が向上したとのレビューが多く見られます。
プリセットはそのまま使える? 実践的なサウンドが多い
従来のZOOMマルチエフェクターのプリセットは、インパクト重視の「飛び道具」的なサウンドが多い印象でした。
G2 FOURではその傾向が変わり、最初から入っているプリセット(250種類)が、そのまま楽曲やセッションで使える「実践的な音作り」にシフトしています。
初心者が音作りのリファレンスにするにも最適です。
ノイズは? 優秀なノイズリダクション「NZR」を搭載
ZOOM製品の伝統とも言える高性能なノイズリダクション「NZR(またはZNR)」はG2 FOURにも搭載されています。
ハイゲインに歪ませた設定でも、ギターを弾いていない時のノイズを驚くほどカットしてくれます。
音の切れ際も自然で、多くのユーザーから高い評価を得ている機能の一つです。
G2 FOURの「おすすめな点」:進化した機能と圧倒的な使いやすさ
特徴(1):オーディオインターフェイス機能搭載で宅録が完結
G2 FOURは、USB-C端子でPCやスマートフォンと接続することで、オーディオインターフェイスとして機能します。
ギターの音をデジタル信号として直接DAW(音楽制作ソフト)に録音できるため、別途オーディオインターフェイスを購入する必要がありません。
この一台で、高音質な宅録(DTM)環境が整います。
特徴(2):USB-C給電対応(モバイルバッテリーで駆動可能)
電源がUSB-C(5V)に対応した点も大きな進化です。
これにより、付属のアダプタだけでなく、汎用のスマートフォン充電器やモバイルバッテリーでの駆動が可能になりました。
スタジオやライブハウスでの「電源タップ争い」を回避できるだけでなく、電源ノイズの影響を受けにくいクリーンな電源環境を構築できるメリットもあります。
特徴(3):ルーパー(80秒)とリズムマシン機能
練習や曲作りに便利なルーパー機能は、G1 FOURの30秒から最大80秒(モノラル)へと大幅にスペックアップしました。
また、68種類のリズムパターンを内蔵したドラムマシンも搭載しており、ルーパーと同期させることで、一人でもセッションや実践的なフレーズ練習が可能です。
特徴(4):AUX INとヘッドフォン端子で練習用に最適
本体には、スマートフォンなどの音楽プレイヤーを接続できるAUX IN端子と、ヘッドフォン端子(ステレオミニ)が搭載されています。
夜間の練習や、好きな曲の音源を流しながらのコピー練習など、自宅での練習環境を強力にサポートします。
特徴(5):グローバルEQとボリュームが「物理ノブ」で瞬時に調整可能
ディスプレイ下部に配置された4つのノブは、全体の音量(Volume)や音質(Lo / Mid / Hi)を調整するグローバルEQとして機能します。
スタジオのアンプやPAの環境に合わせて音質を微調整したい時、メニュー画面に入ることなく、物理ノブで瞬時に調整できるのは非常に便利です。
特徴(6):起動時に「アンプ/ライン」の出力設定を聞いてくれる
電源を入れると、まず「AMP(ギターアンプに接続)」か「LINE(ミキサーやヘッドフォンに接続)」か、出力先を選択する画面が表示されます。
マルチエフェクターでやりがちな「ライン設定のままアンプに繋いで変な音になる」というミスを、起動のたびに防いでくれる親切な設計です。
特徴(7):軽量(約700g)かつ頑丈な金属筐体
G1 FOURの筐体はプラスチック製でチープさが否めませんでしたが、G2 FOURはフットスイッチや入出力端子部に金属パーツを採用し、堅牢性が向上しました。
それでいて重量は約707gと非常に軽量で、持ち運びの負担になりません。
G2 FOURの「注意点」:購入前に知っておくべき10のデメリット
注意点(1):スマホアプリ「Handy Guitar Lab」が有料(100円〜)
G2 FOURの全機能を引き出すスマートフォン用アプリ「Handy Guitar Lab」は、有料(iOS版150円、Android版100円 ※2025年時点)です。
本体価格が安いとはいえ、追加エフェクトの管理やパッチ編集に便利なアプリが別料金である点には注意が必要です。
注意点(2):PC版の編集ソフト(GUITAR LAB)に非対応
G1 FOURや他のZOOM製品とは異なり、G2 FOURはPC版の編集ソフト「GUITAR LAB」に対応していません(2025年10月時点)。
音色の編集は、本体の小さな画面か、有料のスマホアプリのどちらかで行う必要があります。
PCの大画面でじっくり音作りをしたい人にとっては、最大のデメリットとなる可能性があります。
注意点(3):Bluetooth非対応(スマホとの接続はUSBケーブル必須)
スマホアプリに対応していますが、Bluetooth(ワイヤレス)接続には対応していません。
アプリを使用する際は、別途OTG(On-The-Go)対応のUSBケーブルを用意し、スマートフォンとG2 FOUR本体を物理的に接続する必要があります。
注意点(4): 電池駆動ができない(G1 FOURは可能)
G1 FOURは単3電池4本での駆動が可能でしたが、G2 FOURは電池駆動に非対応となりました。
コンセントのない場所で使いたい場合は、前述の通りモバイルバッテリーが必須となります。
注意点(5):キャビネット(IR)の変更・取り込みができない
G2 FOURは「マルチレイヤーIR」を搭載した代わりに、G1 FOURで可能だったキャビネットモデルの単体選択や、ユーザーIRの取り込みができなくなりました。
アンプモデルとキャビネットは常にセットで固定されており、音作りの自由度という点ではG1 FOURに劣る部分もあります。
注意点(6):エフェクター選択中に「選択中の音」しか鳴らない問題
多くのレビューで指摘されている操作性の問題点です。
パッチの編集中、例えばアンプを鳴らした状態で歪みエフェクトを選ぼうとすると、「アンプ+選ぼうとしている歪み」の音ではなく、「選ぼうとしている歪み単体」の音しか出力されません。
実際に組み合わせた音を確認するには、一度エフェクトを決定して戻る必要があり、音作りが非常に煩雑になります。
注意点(7):DSP不足で同時使用エフェクト数に制限が出る
仕様上の同時使用エフェクト数は最大7(6エフェクト+1ペダル)ですが、これは処理の軽いエフェクトを使った場合の最大値です。
アンプシミュレーターやリバーブ、ディレイなど、処理の重いエフェクトを組み合わせると、DSP(処理能力)の限界(PROCESS OVER FLOWと表示)に達し、3〜4個程度しか同時に使えない場合があります。
注意点(8):本体メモリ容量に限りがあり追加エフェクトが全て入らない
G2 FOURにはアップデートで54種類以上のエフェクトが追加されますが、本体のメモリ容量に限りがあるため、それら全てをインストールすることはできません。
使いたいエフェクトをスマホアプリで厳選し、本体のメモリ(使用率100%まで)に転送する必要があります。
注意点(9):ディレイのTAIL(テイル)機能がない
ディレイエフェクトをオフにした際、残響音(TAIL)がスパッと途切れてしまいます(リバーブにはTAIL機能があります)。
演奏中にディレイのオンオフを頻繁に行う場合、この音切れが不自然に聞こえる可能性があります。
注意点(10):入力トリム(ゲイン)の調整機能がない
G2 FOURには、ギターからの入力信号レベル(ゲイン)を調整する「入力トリム」機能がありません。
出力の大きいギターを接続した際に音が歪みやすくなるなど、使用するギターによっては最適なサウンドが得にくい場合があります。
G1 FOURとG2 FOURの比較:どちらを選ぶべき?
スペックと機能の徹底比較(音質、IF機能、ルーパー、同時使用数)
G1 FOURとG2 FOURの主な違いをまとめます。
| 比較項目 | G2 FOUR | G1 FOUR |
| 音質技術 | マルチレイヤーIR | 従来のモデリング |
| オーディオIF | あり (USB-C) | なし |
| 電源 | ACアダプタ / USB給電 | ACアダプタ / 電池駆動 |
| ルーパー | 最大80秒 | 最大30秒 |
| リズムマシン | 68種類 | 68種類 |
| 同時使用数 | 最大7 | 最大5 |
| キャビ選択 | 不可(アンプと一体) | 可能 |
| PCソフト | 非対応 | 対応 (Guitar Lab) |
| 筐体 | 金属パーツ多用 | プラスチック |
| 価格帯 | 1.3万〜1.4万円 | 1万円前後 |
操作性の違い(G2はアンプ・キャビ一体型)
音作りの操作性において、G2 FOURはアンプとキャビネットが一体型になったため、選択がシンプルになりました。
一方で、G1 FOURはアンプとキャビネットを別々に選べたため、あえて違う組み合わせを試すといった、よりマニアックな音作りが可能でした。
これは一長一短であり、シンプルさを求めるならG2 FOUR、自由度を求めるならG1 FOURという見方もできます。
【結論】G1 FOURがおすすめな人(価格、電池駆動)
今あえてG1 FOURを選ぶ理由は、以下の2点に集約されます。
- 電池駆動が絶対に必要な(ストリートライブなど)人
- G2 FOURよりもさらに初期費用を抑えたい人
- PCのGuitar Labで音作りをしたい人
【結論】G2 FOURがおすすめな人(音質、宅録、機能性)
G1 FOURのデメリットを許容できるのであれば、基本的にはG2 FOURがおすすめです。
- **音質(マルチレイヤーIR)**を最優先する人
- **宅録(オーディオIF)**で使いたい人
- モバイルバッテリーでの駆動(USB給電)で問題ない人
- より高性能なルーパーや同時使用数を求める人
G2 FOURの評判・口コミまとめ
良い口コミ:「音が良い」「プリセットが使える」「軽い」「コスパ最高」
G2 FOURの良い評判として、やはり「音質」と「価格」に関する声が圧倒的に多いです。
- 「G1 FOURとは別物。音が格段にクリアでリアルになった」
- 「マルチレイヤーIRの恩恵は大きく、ピッキングの反応が楽しい」
- 「プリセットの音が実践的ですぐに使える」
- 「値下げで1万円台になった今、ライバルは存在しない」
- 「モバイルバッテリーで動くのが便利すぎる」
悪い口コミ:「アプリが有料」「PC非対応」「電池で動かない」「音が鼻詰まり感」
一方で、悪い評判は機能制限や操作性に関するものが目立ちます。
- 「PCに繋いで大画面で編集できないのが致命的」
- 「アプリが有料なのは理解できない」
- 「エフェクトを選ぶ時に音が鳴らない仕様はストレスが溜まる」
- 「電池で動かないのが不便。G1 FOURから買い替えられない」
- 「音がクリアになった反面、少し鼻詰まり感がある」
まとめ:G2 FOUR レビューの総括
ZOOM G2 FOURは、大幅な値下げによって「1万円台の革命児」と呼ぶにふさわしいマルチエフェクターとなりました。
音質、機能、価格のバランスが非常に高く、特に「自宅での練習」や「宅録」においては、これ以上ないほどのコストパフォーマンスを発揮します。
もちろん、「PC非対応」「電池駆動不可」「エフェクター選択時の操作性」といった明確なデメリットも存在します。
しかし、これらの注意点を理解した上で、自分の用途(特に宅録やUSB給電)と合致するならば、G2 FOURはあなたのギターライフを最も安価に、そして劇的にアップデートしてくれる一台となるでしょう。
- G2 FOURは2022年12月発売、G1 FOURの後継機である
- 発売当初2万円台だったが、現在1万円台前半に値下げされコストパフォーマンスが劇的に向上した
- 新技術「マルチレイヤーIR」搭載で、ピッキングの強弱に応じたリアルな音質を実現
- G1 FOURより音がクリアになり、実践的なプリセットが多いと高評価
- オーディオインターフェイス機能を内蔵し、USB-Cで宅録(DTM)に対応
- USB-C給電に対応し、モバイルバッテリーでの駆動が可能
- ルーパー(最大80秒)やリズムマシン、AUX IN、ヘッドフォン端子など練習機能が充実
- 最大のデメリットはPC版の編集ソフト(Guitar Lab)に非対応である点
- スマホアプリ(Handy Guitar Lab)は有料(100円〜)で、接続にはUSBケーブルが必須
- 電池駆動には非対応(G1 FOURは可能)、ディレイのTAIL機能がない点も注意が必要

