2012年の登場以来、多くのギタリストに愛されてきたZOOM MS-50G。
その待望の後継機「MS-50G+」が発売され、その評判や進化した特徴に注目が集まっています。
旧モデルからの音質向上や機能追加が話題になる一方で、実際の使い勝手や注意点について詳しく知りたい方も多いのではないでしょうか。
この記事では、ZOOM MS-50G+を様々な角度から徹底的にレビューし、そのスペックや価格、おすすめな点から注意点まで、購入を検討しているあなたのあらゆる疑問に答えます。
結論:ZOOM MS-50G+は買うべき?10年愛された名機の後継機を徹底レビュー
【総評】MS-50G+はこんな人には絶対おすすめ!
結論から言うと、MS-50G+は「エフェクターボードをコンパクトにまとめたい中級者以上」から「初めてのマルチエフェクターを探している初心者」まで、幅広い層におすすめできる一台です。
特に、すでにこだわりの歪みペダルを持っていて、良質な空間系やモジュレーション系を手軽に追加したいギタリストにとっては、まさに「かゆい所に手が届く」最高の選択肢となるでしょう。
また、1万円台という価格で多彩なエフェクトと進化したサウンドを手に入れられるため、コストパフォーマンスを重視する方にも自信を持って推奨できます。
実際に使ってわかった良い評判・口コミまとめ
MS-50G+の使用者からは、特にサウンドクオリティの向上を評価する声が多数挙がっています。
旧モデルと比較して音の解像度が上がり、特に歪み系エフェクトは「実機に迫るニュアンス」と高く評価されています。
また、実用性が大幅に向上したチューナー機能や、エフェクトの種類によって色が変わる視認性の良いディスプレイも好評です。
コンパクトな筐体はそのままに、中身が現代のニーズに合わせて正統進化した点が、多くのユーザーに受け入れられている理由と言えるでしょう。
購入前に知っておきたい気になる評判・口コミまとめ
一方で、いくつかの注意点も指摘されています。
最も多く聞かれるのが、本体上部に配置された4つのツマミが「小さくて操作しにくい」という点です。
また、アンプへの接続を前提にサウンドが最適化されているため、オーディオインターフェースへのライン出力やヘッドホンでの使用では、音が硬質に感じられるという意見もあります。
さらに、専用の編集ソフトが現状iOS版のみという点も、PCやAndroidユーザーにとっては購入をためらう一因かもしれません。
【新旧比較】MS-50G+は旧モデルMS-50Gから何が進化した?
サウンドはどれくらい進化した?マルチレイヤーIR搭載の効果は絶大
MS-50G+の最も大きな進化点は、サウンドの核となるプリアンプモデルに最新技術「マルチレイヤーIR」が搭載されたことです。
これにより、ピッキングの強弱に対する応答性が飛躍的に向上し、旧モデルにあったデシタル特有の丸みや硬さが解消されました。
実際に弾き比べると、アタックの追従性や音の分離感が格段に良くなっており、より生々しく立体的なサウンドを出力します。
このサウンドの進化だけでも、旧モデルから買い替える価値は十分にあると言えるでしょう。
操作性は向上した?足で操作できる新型フットスイッチの評価
旧モデルでは難しかった「足での操作」を可能にするため、MS-50G+では新たにカーソル型のフットスイッチが採用されました。
これにより、ライブ中に足元でパッチの切り替えやエフェクトの選択が可能になり、実用性が大きく向上しています。
ただし、スイッチ自体のサイズや配置から、特に上側のスイッチは慣れが必要という声もあります。
とはいえ、しゃがみこむ必要がなくなった点は大きな進歩であり、多くのユーザーが待ち望んでいた改良点です。
ディスプレイはどう変わった?エフェクトごとに色が変わる画面の視認性
ディスプレイは、選択しているエフェクトの種類に応じてバックライトの色が7色に変化するカラー液晶へと進化しました。
例えば、歪み系は赤、空間系は青といったように、一目でどの系統のエフェクトを操作しているかが判別できます。
これにより、暗いステージ上でも直感的な操作が可能となり、音作りのストレスを大幅に軽減してくれるでしょう。
パッチメモリは倍増!USB-C対応など機能面の変更点一覧
機能面でも細かなアップデートが施されています。
特にユーザーにとって嬉しいのは、作成した音色を保存できるパッチメモリー数が旧モデルの50個から100個へと倍増した点です。
これにより、より多くのサウンドバリエーションをストックできます。
その他、現代の標準規格であるUSB Type-Cポートの採用や、マスターボリュームの追加など、使い勝手を向上させるための改良が随所に見られます。
| 項目 | MS-50G+ (新モデル) | MS-50G (旧モデル) |
|---|---|---|
| 発売年 | 2023年 | 2012年 |
| パッチメモリー | 100 | 50 |
| プリセット | 85 | 30 |
| ディスプレイ | カラーLCD | モノクロLCD |
| フットスイッチ | カーソル型 | 十字キー型 |
| ツマミ数 | 4 | 3 |
| USB端子 | Type-C | mini-B |
| プリアンプ技術 | マルチレイヤーIR搭載 | 搭載なし |
| 専用アプリ | iOS版あり | なし |
エフェクト数は減った?今後のアップデートへの期待
スペック上、内蔵エフェクト数は旧モデル(最終アップデートで172種)より減少しています。
しかしこれは、発売当初の数であり、旧モデルがファームウェアアップデートを重ねてエフェクト数を増やしてきた歴史を考慮すると、悲観する必要はありません。
ZOOMはユーザーの声に応えて製品を進化させてきた実績があるため、今後の無料アップデートによってMS-50G+のエフェクトライブラリも着実に強化されていくことが期待されます。
【音質レビュー】MS-50G+のサウンドは本当に使えるレベル?
一番進化したのは歪み系エフェクト!実機のニュアンスを再現
MS-50G+の音質向上は、特に歪み系エフェクトで顕著に感じられます。
旧モデルではややデジタル的な質感がありましたが、新モデルではサウンド全体の密度が増し、チューブアンプに接続した際の質感や追従性が大幅に向上しました。
有名ブティックペダルをモデリングしたエフェクトも、それぞれが持つキャラクターの再現度が高く、これ一台で多彩なドライブサウンドを完結させることも可能です。
これまでMSシリーズの歪みに満足できなかった人ほど、この進化に驚くことでしょう。
空間系エフェクトと新搭載ダブラーのクオリティは?
ディレイ、リバーブ、コーラスといった空間系エフェクトも、全体的にクリアで高品位なサウンドへと進化しています。
また、新たに追加されたダブラーエフェクトは、手軽に音に厚みを加えることができ、特にギター1本で演奏する際に大きな効果を発揮します。
ステレオ出力に対応しているため、2台のアンプを使えば広がりのあるゴージャスな空間演出が可能です。
アンプモデリングはプリアンプとしての活用が前提か
MS-50G+のアンプモデリングは、キャビネットシミュレーターが搭載されておらず、「ギターアンプへの接続」に最適化されたプリアンプとして設計されています。
そのため、オーディオインターフェースに直接接続するライン録音では、音が硬く、いわゆる「ライン臭さ」を感じることがあります。
このペダルの真価は、あくまで実際のギターアンプのインプットに接続したり、アンプのリターン端子に接続したりする際に発揮されると考えるのが良いでしょう。
ノイズはどれくらい少ない?単体使用でも問題ないレベルか検証
ノイズの少なさもMS-50G+の特筆すべき点です。
ハイゲインな歪みエフェクトを使用しても、ノイズはほとんど気にならないレベルに抑えられています。
エフェクターボードに組み込んでも他のペダルに悪影響を与えにくく、単体で使用する限りはノイズリダクションやノイズゲートが不要なほどクリーンな信号処理を実現しています。
MS-50G+のココが凄い!7つのメリット(おすすめな点)
メリット①:エフェクターボードの隙間に収まる圧倒的なコンパクトさ
最大のメリットは、BOSSのコンパクトエフェクターとほぼ同等という、その圧倒的なサイズ感です。
この小さな筐体に100種類以上のエフェクトが凝縮されており、エフェクターボードのわずかな隙間にも収まります。
「あと一つ、コーラスが欲しい」「飛び道具系のエフェクトを加えたい」といったニーズを、スペースを気にすることなく解決してくれる万能選手です。
メリット②:1万円台でこの音質は異常!驚異のコストパフォーマンス
最新のマルチレイヤーIR技術を搭載し、サウンドクオリティが大幅に向上したにもかかわらず、販売価格は1万円台に抑えられています。
これは驚異的なコストパフォーマンスと言わざるを得ません。
単体のコンパクトエフェクター1台分、あるいはそれ以下の価格で、実用レベルの多彩なエフェクト群が手に入るのです。
初心者から上級者まで、すべてのギタリストにとって魅力的な選択肢です。
メリット③:「使える」レベルに進化したチューナー機能の見やすさと精度
マルチエフェクター内蔵のチューナーは「おまけ」レベルのものも少なくありませんが、MS-50G+のチューナーは実用レベルへと大きく進化しました。
反応速度が速く、ディスプレイの視認性も高いため、ライブ中でもストレスなく正確なチューニングが可能です。
音程が合うと画面が緑色に点灯する機能も直感的で分かりやすく、これ一台あれば別途ペダルチューナーを用意する必要性を感じさせません。
メリット④:iOSアプリ対応で音作りがさらに快適に
専用のiOSアプリ「Handy Guitar Lab」に対応したことで、スマートフォンやタブレットの大きな画面でパッチの編集や管理が可能になりました。
本体の小さな画面とツマミで操作するよりも、直感的かつスピーディーに音作りができます。
作成したパッチのバックアップや、アプリ経由でのエフェクト追加など、利便性は格段に向上しています。
メリット⑤:どんな組み合わせでも最大6エフェクト同時使用が可能に
旧モデルでは、処理負荷の大きいエフェクトを組み合わせると、メモリ不足で6つまで同時使用できない「DSP Full!」という問題がありました。
MS-50G+では内部処理能力が向上し、原則としてどのようなエフェクトの組み合わせでも最大6つまで同時に使用できるよう改善されています。
これにより、音作りの自由度がさらに広がり、より複雑なサウンドメイクにも対応可能です。
メリット⑥:USB給電対応で電源確保がさらに手軽に
電源供給は、従来のACアダプターや電池駆動に加え、USB Type-Cポート経由でのモバイルバッテリー給電にも対応しました。
これにより、コンセントがない場所でも手軽に電源を確保でき、リハーサルスタジオや屋外での演奏など、活用の幅が大きく広がります。
ACアダプターを持ち運ぶ必要がなくなり、荷物をさらにコンパクトにできるのも嬉しいポイントです。
メリット⑦:頑丈なボディでライブでも安心して踏める
コンパクトで軽量ながら、ボディは堅牢な金属製で、高い耐久性を誇ります。
ライブでのハードな使用にも耐えうるタフな設計なので、安心してステージで踏み込むことができます。
安価な製品にありがちなチープさはなく、長年にわたってギタリストの相棒として活躍してくれる信頼性も備えています。
購入前に知るべき6つの注意点(デメリット)
注意点①:ツマミが小さく、慣れるまで操作しにくい?
本体上部に4つ配置されたエンコーダーノブは、旧モデルより数が増えた一方で、一つ一つのサイズが小さくなっています。
指でつまみにくい、回そうとしたらプッシュ操作になってしまう、といった声が一部のユーザーから挙がっており、特に手の大きな方は慣れるまで少しストレスを感じるかもしれません。
注意点②:足でのパッチチェンジはコツが必要
足での操作が可能になったフットスイッチですが、本体がコンパクトなため、スイッチ同士の間隔が狭く、正確に踏み分けるには練習が必要です。
特に上段のスイッチは物理的に踏みづらい位置にあり、ライブでの複雑な操作には向いていません。
曲間でパッチを切り替える、といったシンプルな使い方を想定するのが現実的でしょう。
注意点③:ライン出力やヘッドホンでの練習には向いていない?
前述の通り、MS-50G+はギターアンプに繋いでこそ真価を発揮する設計です。
ヘッドホン端子がなく、オーディオインターフェースへのライン出力では音が硬質になる傾向があるため、自宅でのサイレント練習やライン録音がメインの用途の方には不向きな場合があります。
注意点④:ルーパーやリズムマシン機能は非搭載
近年のマルチエフェクターに搭載されることの多いルーパーやリズムマシンといった練習支援機能は、MS-50G+には搭載されていません。
エフェクト機能に特化したシンプルな設計思想のため、アドリブ練習や作曲のスケッチなどでこれらの機能を使いたい場合は、別途機材を用意する必要があります。
注意点⑤:PC・Android版の編集ソフトはなぜ無いのか
便利な専用編集ソフト「Handy Guitar Lab」ですが、2024年現在、iOS版のみの提供となっています。
PC(Windows/Mac)やAndroidユーザーは利用できないため、本体のみでの操作が必須となります。
将来的な対応が期待されますが、現時点ではiOSデバイスを持っていないユーザーにとっては大きなデメリットです。
注意点⑥:MIDI制御は可能?(※ファームウェアアップデートで対応)
発売当初はMIDI機能に非対応でしたが、その後のファームウェアアップデート(Ver.1.30以降)により、USB経由でのMIDIプログラムチェンジに対応しました。
これにより、外部のMIDIコントローラーからのパッチ切り替えが可能となり、システムへの組み込みやすさが向上しています。
ただし、標準的なMIDI端子はないため、USB-MIDIホスト機能を持つ機器が別途必要になる点には注意が必要です。
初心者でも簡単?MS-50G+の基本的な使い方と音作りのコツ
エフェクトの追加・削除・並び替えの方法
MS-50G+の操作は非常に直感的です。
エフェクトを追加したい場合は、一番左のツマミ(ADD)をプッシュし、表示されるリストから使いたいエフェクトを選ぶだけです。
削除は左から二番目のツマミ(DELETE)、エフェクトの順番を入れ替えたい場合はメニューから「MOVE EFFECT」を選択し、ツマミを回すことで簡単に行えます。
4つのツマミを使ったパラメーター調整の基本
画面に表示されているエフェクトのパラメーターは、本体上部の4つのツマミを回すことで直接調整できます。
どのツマミがどのパラメーターに対応しているかは画面下に表示されるため、迷うことはありません。
まるでコンパクトエフェクターを操作するような感覚で、スピーディーな音作りが可能です。
作った音を保存するには?パッチメモリーの編集方法
MS-50G+は、設定を変更すると自動で保存される「オートセーブ機能」が初期設定でオンになっています。
そのため、特別な保存操作は不要です。
もし特定のパッチとして名前を付けて保存したい場合は、メニューから「SAVE PATCH」を選択し、任意の番号に保存することができます。
【一覧】ZOOM MS-50G+のスペックと価格情報
一目でわかる詳細スペック一覧表
| 項目 | スペック詳細 |
|---|---|
| エフェクトタイプ | 102種類 (ドライブ、モジュレーション、ディレイ、リバーブ、コンプ、フィルター、SFX、プリアンプ) |
| 同時使用エフェクト数 | 6 |
| パッチメモリー数 | 100 (ユーザーエリア) |
| プリセットパッチ | 85種類 |
| A/D, D/A変換 | 24-bit 128倍オーバーサンプリング |
| 信号処理 | 32-bit |
| ディスプレイ | LCD(バックライト色変更機能付き) |
| 入力 | 標準モノラルフォーンジャック × 1 |
| 出力 | 標準モノラルフォーンジャック × 2 (L/R) |
| 電源 | ACアダプタ (AD-16)、単3アルカリ電池 × 2、USBバスパワー (Type-C) |
| 電池寿命 | 約7時間(アルカリ電池使用時) |
| 外形寸法 | 133 (D) x 79 (W) x 61 (H) mm |
| 質量 | 353 g(電池を除く) |
価格はいくら?新品・中古の相場と最安値で買う方法
MS-50G+の新品価格は、おおむね12,000円から14,000円前後で推移しています。
発売から人気が高く、品薄状態が続いたため、中古市場での価格も比較的高値で安定している状況です。
最安値で購入するには、大手楽器店のオンラインストアやAmazon、楽天市場などのセール時期を狙うのがおすすめです。
まとめ:MS-50G+のレビュー結果、ギタリストの「あと一つ」を解決する最高の相棒
MS-50G+の購入を強くおすすめする人の特徴
今回のレビューを通して、MS-50G+は以下のような方に特におすすめできると結論付けました。
エフェクターボードをできるだけ小さく、軽くしたい方。
こだわりのメイン歪みは持っていて、多彩なモジュレーションや空間系を手軽に追加したい方。
1万円台の予算で、実用的なサウンドのマルチエフェクターを探している初心者の方。
ライブやスタジオでのセッティング時間を短縮したい方。
G2 FOURなど他のモデルを検討した方が良い人の特徴
一方で、以下のような方は、MS-50G+ではなく、ZOOM G2 FOURなどの他のモデルを検討する方が幸せになれるかもしれません。
自宅でのヘッドホン練習やライン録音がメインの方。
ルーパーやリズムマシンを使った練習をしたい方。
PCやAndroidデバイスで音作りを完結させたい方。
足元で複雑なエフェクトのオンオフやパッチ切り替えを行いたい方。
品薄は続く?今すぐ手に入れるべき理由と最終評価
ZOOM MS-50G+は、10年以上愛された名機MS-50Gのコンセプトを見事に継承し、現代の技術でサウンドと利便性を大幅に向上させた正統後継機です。
その圧倒的なコストパフォーマンスと実用性の高さから、今後もギタリストの定番アイテムとして長く愛され続けることは間違いないでしょう。
いくつかの注意点はあるものの、それを補って余りある魅力と実力を備えています。
あなたのエフェクターボードの「最後の1ピース」として、あるいは音作りの世界の扉を開く「最初の一台」として、MS-50G+は最高のパフォーマンスを発揮してくれるはずです。
- MS-50G+は旧モデルから音質と操作性が大幅に向上した正統後継機である
- 最新技術マルチレイヤーIR搭載によりサウンドのリアルさが飛躍的に向上した
- 特に歪み系エフェクトの進化は顕著で、単体でも実用的なサウンドを提供する
- コンパクトなサイズ感は健在で、エフェクターボードの省スペース化に大きく貢献する
- 1万円台という価格で得られるサウンドクオリティは驚異的である
- 実用レベルに進化したチューナー機能により、別途チューナーが不要になる
- 足元での操作が可能になったが、スイッチの操作性には慣れが必要である
- アンプ接続時に真価を発揮する設計で、ライン出力やヘッドホン使用には不向きな側面がある
- 専用編集ソフトはiOS版のみで、PC・Androidユーザーは注意が必要である
- ギタリストの「あと一つ欲しいエフェクト」というニーズを高次元で満たす一台である

