ギターエフェクターの世界では、低価格ながら高機能な製品が次々と登場しています。
特にモジュレーション系のペダルは、コーラスやフランジャーなど複数の効果を一台で賄いたいという需要が高く、どれを選べばよいか迷っている方も多いのではないでしょうか。
「Donner Mod Square II」は、驚くべきことに16種類ものエフェクトを小さな筐体に詰め込んだ、非常にコストパフォーマンスに優れたモデルです。
しかし、あまりの多機能さと安さに、「実際の音質は使えるレベルなのか?」「操作性は悪くないのか?」といった不安を感じることもあるでしょう。
この記事では、実際に使用された方の評価やスペック情報に基づき、Donner Mod Square IIの実力を徹底的に紐解いていきます。
購入を検討している方が、自分のプレイスタイルに合うかどうかを正しく判断するための情報を提供します。
Donner Mod Square IIとは?16種類のモジュレーションを搭載したミニペダル
Donner Mod Square IIは、中国のエフェクターブランドDonnerが展開する、超小型のデジタル・マルチモジュレーションペダルです。
ペダルボードの隙間に収まるミニサイズでありながら、ギターサウンドに揺らぎや空間的な広がりを加える「モジュレーション効果」を網羅しています。
まずは、このペダルの基本的な仕様と、従来モデルからの進化点について確認していきましょう。
Donner Mod Square IIの基本スペックと特徴(サイズ・重量・消費電流)
このペダルの最大の特徴は、そのコンパクトさとデジタル回路による多機能性です。
一般的なコンパクトエフェクターよりも一回り小さいミニペダルサイズ(約95 x 45 x 48 mm)で、重量も約250gと非常に軽量です。
筐体はアルミニウム合金製で、見た目以上に堅牢な作りになっています。
電源に関しては注意が必要で、消費電流は140mAとなっています。
一般的なアナログペダルよりも多くの電流を必要とするため、余裕のあるパワーサプライやアダプターを用意することが推奨されます。
また、トゥルーバイパスではなく「バッファードバイパス」仕様となっている点も特徴の一つと言えるでしょう。
旧モデル「Mod Square」との違いは?搭載エフェクト数が7種から16種へ倍増
Donnerには以前「Mod Square」というモデルが存在していましたが、今回解説する「II」はその正統進化版にあたります。
旧モデルでは搭載エフェクト数が7種類でしたが、Mod Square IIではその倍以上となる16種類に大幅増強されました。
また、筐体のデザインやカラーリングも変更され、よりモダンな印象になっています。
単なるマイナーチェンジにとどまらず、サウンドのバリエーションを一気に広げたことで、より実験的な音作りが可能になりました。
搭載エフェクト全16種類リスト(コーラス・フランジャー・フェイザー他)
16種類のエフェクトは、筐体中央の大きなモード切り替えノブを回すことで選択できます。
具体的には以下のようなエフェクトが搭載されています。
- コーラス系: Chorus A, Chorus B
- フランジャー系: Flanger 1, Flanger 2, Flanger 3
- フェイザー系: Phaser 1, Phaser 2
- トレモロ系: Tremolo 1, Tremolo 2
- その他: Vibrato, Rotary, Liquid, Auto Wah, Kiwa, Lo-Fi, Overtone
定番の揺れモノだけでなく、「Kiwa」や「Liquid」といったユニークな名称のエフェクトが含まれている点が興味深いです。
これ一台あれば、とりあえずモジュレーション系で困ることはないと言えるほどの充実ぶりです。
タップテンポ機能とは?フットスイッチ長押しでの設定方法
モジュレーション系エフェクターにおいて重要なのが、揺れの速さ(Rate)を楽曲のテンポに合わせることです。
Donner Mod Square IIには、この価格帯では珍しくタップテンポ機能が搭載されています。
使い方は、フットスイッチを長押しすることでタップテンポモードに入り、LEDが点滅します。
その状態でスイッチを楽曲のテンポに合わせて数回踏むことで、揺れのスピードを直感的に設定可能です。
ただし、一部のエフェクトモード(Lo-Fiなど)ではこの機能がサポートされていない場合があるため、使用時には確認が必要です。
【実機レビュー】Donner Mod Square IIの音質は使えるのか?徹底解説
スペック上は魅力的ですが、肝心なのは「実際の現場で使える音なのか」という点です。
激安マルチエフェクターにありがちな「音が薄い」「デジタル臭い」といった懸念点について、具体的なエフェクトごとの印象を解説します。
プロレベルのレコーディングに耐えうるか、あるいは飛び道具としての用途が適しているのかを見ていきましょう。
音質評価①:コーラス・トレモロ・ビブラートは「普通に使える」クオリティ
まず、使用頻度の高い基本エフェクトについてです。
コーラスやトレモロ、ビブラートに関しては、クセが少なく「普通に使える」音質であると評価できます。
特にコーラスは、深さを調整すればアルペジオの広がりを綺麗に演出でき、アンサンブルに馴染みやすいサウンドです。
トレモロも極端な設定にしなければ、ヴィンテージアンプのような揺らぎを得ることができます。
これらの定番エフェクトに関しては、価格以上の働きをしてくれるため、とりあえずボードに入れておく用途としては十分に合格点です。
音質評価②:フランジャーとフェイザーは「あっさり目」で調整がシビア
一方で、ジェットサウンドのような強烈な効果を期待するフランジャーやフェイザーについては、好みが分かれるところです。
全体的にかかり方が「あっさり」しており、音が薄いと感じる場面があるかもしれません。
有名ブランドのアナログペダルのような、太く濃厚なうねりを期待すると肩透かしを食らう可能性があります。
また、DEPTH(深さ)やRATE(速さ)のノブ調整がややシビアで、少し回しただけで音が大きく変わったり、逆にかかり具合がわかりにくかったりすることがあります。
これらは「隠し味」的に薄くかける使い方が向いていると言えるでしょう。
音質評価③:オートワウやLo-Fi(ローファイ)等の飛び道具が意外と優秀
意外な高評価を得ているのが、オートワウ(Auto Wah, Kiwa)やLo-Fiといった変わり種のエフェクトです。
特にオートワウ系は、カッティングに絡めた際にファンキーなニュアンスを出しやすく、激安マルチとは思えない存在感を発揮します。
Lo-Fiモードは、音質の劣化具合をシミュレートした独特のサウンドで、イントロや曲の展開を変える「飛び道具」として非常に優秀です。
定番エフェクトよりも、こうした個性的なサウンドの方が、このペダルの真骨頂かもしれません。
音質痩せやデジタル臭さはある?バイパス音とエフェクト音の印象
デジタル回路特有の「音の硬さ」や「ハイファイ感」は多少なりとも感じられます。
アナログのような温かみは少ないですが、逆に言えば音がクリアで抜けが良いとも捉えられます。
音痩せに関しては、バッファードバイパス仕様であるため、極端に信号が劣化して音が細くなるといった現象は少ないようです。
ただし、エフェクトをオンにした際に、原音の芯が少し後ろに下がるような印象を受ける場合もあります。
ライブでの使用においては、バンドアンサンブルの中で埋もれないよう、レベル調整を慎重に行う必要があるでしょう。
Donner Mod Square IIの操作性と使い勝手に関する注意点
機能と価格のバランスは素晴らしいですが、実際に操作してみるといくつかの「使いにくさ」や「罠」が見えてきます。
購入後に後悔しないよう、ハードウェアとしての操作性や仕様に関する注意点を詳しく解説します。
最大の欠点?筐体の文字が小さすぎて見えない問題と対策
ユーザーから最も多く指摘される不満点が、「モード切り替えノブ周辺の文字が小さすぎて読めない」という問題です。
16種類ものモード名が小さなダイヤルの周りに印字されていますが、フォントサイズが極小である上に、筐体の色と文字色のコントラストによっては判読が困難です。
さらに、ノブの目印と文字の位置が微妙にズレている個体もあり、今どのエフェクトを選択しているのかが一目で分かりにくい場合があります。
暗いライブハウスのステージ上で、目視でモードを切り替えるのは至難の業と言えるでしょう。
対策としては、よく使うモードの位置にシールを貼ったり、蛍光マーカーで印をつけたりするなどの工夫が必要です。
E.LEVELノブの挙動に注意!エフェクト音量ではなく全体の出力レベル?
一般的なモジュレーションペダルの「LEVEL」ノブは、原音に対するエフェクト音の混合比(ミックスレベル)を調整するものが主流です。
しかし、Donner Mod Square IIの「E.LEVEL」ノブは、エフェクトオン時の「全体の出力音量」を調整する挙動に近いという報告があります。
つまり、エフェクトのかかり具合を調整しようとしてこのノブを下げると、ギターの音量そのものが下がってしまう可能性があります。
逆に、エフェクト音を目立たせようとして上げすぎると、音量が突発的に大きくなるリスクもあります。
この挙動を理解した上で、DEPTH(深さ)ノブと組み合わせて音作りを行う必要があります。
プリセット保存は不可!ライブ中の音色切り替えは現実的か
デジタルペダルではありますが、音色の設定を保存して呼び出す「プリセット機能」は搭載されていません。
そのため、曲の途中でコーラスからフェイザーに切り替えたい場合は、しゃがみ込んで手でノブを回す必要があります。
16種類ものエフェクトが入っていますが、フットスイッチ一つで音色を切り替えることはできないのです。
ライブ中に複数のエフェクトを使い分けたい場合は、曲間に余裕がある時以外は難しいと考えた方が良いでしょう。
基本的には、「この曲ではコーラス専用機」「次の曲ではオートワウ専用機」といったように、1曲につき1つの役割を持たせる使い方が現実的です。
電源供給の罠!電池駆動不可・消費電流140mA以上のサプライが必須
ミニペダル全般に言えることですが、筐体内部に9V電池を入れるスペースはありません。
必ずACアダプターやパワーサプライからの電源供給が必要です。
また、消費電流が約140mAと、アナログの歪みペダル等に比べて大きめです。
容量の少ない安価なパワーサプライや、電圧が不安定なタコ足配線などで使用すると、正常に動作しなかったりノイズが発生したりする原因になります。
さらに、一部のUSB給電タイプのケーブルではうまく動作しない事例もあるため、コンセントから電源を取るしっかりとしたパワーサプライの使用が推奨されます。
Donner Mod Square IIの評判・口コミまとめ
実際にDonner Mod Square IIを購入したユーザーは、どのような評価を下しているのでしょうか。
ネット上やSNS、動画サイトなどで見られる肯定的な意見と否定的な意見を整理しました。
良い評判:圧倒的な低価格で「とりあえず全部入り」が手に入るコスパ
良い評判の多くは、やはりその圧倒的なコストパフォーマンスに向けられています。
「5,000円~6,000円程度でこれだけの種類のエフェクトが手に入るのは凄い」という意見が大多数です。
特に、メインで使うわけではないけれど、たまに飛び道具が欲しいというギタリストにとって、非常にありがたい存在となっています。
「オートワウやリングモジュレーター的な音など、単体で買うほどではないエフェクトが試せるのが楽しい」という声も多く聞かれます。
おもちゃ感覚で購入してみたら、意外と実用的な音がして驚いたというポジティブなサプライズもあるようです。
悪い評判:モード切り替えダイヤルの視認性と印のズレ
一方、悪い評判で圧倒的に多いのが、前述した操作性と視認性の悪さです。
「文字が小さすぎて、老眼には厳しい」「ステージでは全く見えない」といった切実な声が上がっています。
また、モード切り替えのクリック感と表示位置が微妙にズレているため、「コーラスを選んだつもりがフランジャーになっていた」という誤操作も起きやすいようです。
音質に関しても、「フランジャーが薄い」「フェイザーの効きが悪い」といった、特定のエフェクトに対する不満の声も散見されます。
海外ユーザーの反応は?デジタル回路特有のノイズ耐性について
海外のレビュー動画やフォーラムでは、音質のバリエーションについては概ね好評ですが、ノイズに対する指摘もいくつか見られます。
特に、ハイゲインな歪みエフェクターと組み合わせた時や、電源環境が悪い場所で使用した時に、デジタル特有の高周波ノイズが乗ることがあるようです。
また、E.LEVELの挙動についても、「もっと直感的なミックスコントロールが欲しかった」という意見があります。
それでも、価格を考えれば許容範囲内であるという結論に至るユーザーが多いのが特徴です。
Donner Mod Square IIはどんな人におすすめ?価格と競合比較
ここまで解説してきた特徴や評価を踏まえて、Donner Mod Square IIは具体的にどのようなギタリストにおすすめなのかをまとめます。
また、競合製品と比較した場合の立ち位置についても触れておきましょう。
結論:飛び道具用やサブボードの隙間埋めとして最適
このペダルが最も輝くのは、メインのモジュレーションペダルとしてではなく、「飛び道具」や「サブ機」としての運用です。
「特定の曲のワンフレーズだけで変な音を出したい」「セッション用に最低限の揺れモノを持っておきたい」といったニーズには完璧に応えてくれます。
ペダルボードのスペースが限られている場合でも、このサイズなら無理なく組み込むことができます。
低価格なので、壊れても精神的なダメージが少ないという点も、ガシガシ使い倒したい人にはメリットとなるでしょう。
初心者の「モジュレーション入門機」としての価値
エフェクターをまだあまり持っていない初心者の方にとっても、非常におすすめできる一台です。
コーラス、フェイザー、フランジャー、トレモロなど、エフェクトごとの音の違いを一台で学ぶことができます。
これを最初に買って、自分が好きなエフェクトやよく使うエフェクトが分かってきたら、将来的にその種類専用の上位機種に買い替えるというステップアップの踏み台としても優秀です。
いろいろな音が出る楽しさを低予算で体験できるのは、初心者にとって大きな価値があります。
Zoom MS-50Gなどのマルチストンプと比較した場合の選び方
競合としてよく挙げられるのが、ZoomのMS-50GやMS-70CDRといった「マルチストンプ」です。
Zoom製品は液晶画面があり、音質も高く、プリセット保存も可能で非常に高機能です。
機能面だけで見ればZoomに軍配が上がりますが、Donner Mod Square IIの強みは「アナログライクな操作性」にあります。
メニュー画面を呼び出してボタンをポチポチ操作するのではなく、物理的なノブを回して直感的に音を変えられる手軽さは、Donnerの方に分があります。
「画面操作が面倒くさい」「ツマミを回してサッと音を決めたい」というシンプル志向の方には、Donner Mod Square IIの方が使いやすく感じるかもしれません。
まとめ:Donner Mod Square II レビュー解説の総括
Donner Mod Square IIは、驚異的なコストパフォーマンスで16種類のモジュレーション効果を楽しめる、遊び心満載のミニペダルです。
操作性や視認性にいくつかの課題はありますが、それを補って余りある多機能さと手軽さが魅力です。
メイン機材としても、サブの飛び道具としても、一台持っておくとギターライフがより豊かになるでしょう。
最後に、この記事のポイントをまとめます。
- 16種類の多彩なモジュレーションエフェクトを搭載している
- 筐体は非常にコンパクトで軽量だが、電池駆動は不可である
- タップテンポ機能を搭載し、楽曲に合わせて揺れを調整できる
- コーラスやトレモロは実用性が高く、クセのない音質である
- オートワウやLo-Fiなどの飛び道具的なサウンドが優秀である
- フランジャーやフェイザーのかかり具合はやや薄味な傾向がある
- モード切り替えの文字が極小で、視認性に難があるため工夫が必要
- E.LEVELノブはエフェクト音量だけでなく全体音量に影響する
- プリセット保存機能はないため、曲中の瞬時の切り替えは難しい
- 飛び道具用や初心者の入門機として最適な一台である

