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Fender Player II Modified Strat HSS FR レビュー解説

フェンダーの伝統的なスタイルに、現代のテクニカルな演奏に対応する機能を搭載した「Fender Player II Modified Stratocaster HSS Floyd Rose」。

ロック式トレモロを搭載したストラトキャスターを探しているけれど、使い勝手や音質、通常のモデルとの違いが分からず購入を迷っていませんか。

この記事では、Fender Player II Modified Stratocaster HSS Floyd Roseのスペック、音質、演奏性を徹底的にレビューし解説します。

最新のPlayer IIシリーズをベースに、どのような「改造(Modified)」が施されているのか、その真価を明らかにします。

この記事を読むことで、このギターが自分のプレイスタイルに合っているかどうかが明確になり、後悔のないギター選びができるようになります。

目次

Fender Player II Modified Stratocaster HSS Floyd Roseとは?特徴と魅力を解説

Fender Player II Modified Stratocaster HSS Floyd Roseは、フェンダー・メキシコ製のエントリー~ミドルクラスである「Player II」シリーズを基盤に、より実践的でモダンな仕様へとアップグレードされたモデルです。

その最大の特徴は、製品名にある通り「Floyd Rose(フロイドローズ)」トレモロシステムを搭載している点と、演奏性を極限まで高めたネック周りの仕様変更にあります。

Player IIシリーズを「Modified(改造)」した特別仕様の概要

本モデルは、通常のPlayer IIシリーズとは明確に異なるコンセプトで設計されています。

「Modified(モディファイド)」という名の通り、現代のギタリストが求める高い演奏性と多様なサウンドメイクを実現するために、ピックアップやハードウェアが強化されています。

具体的には、ノイズレスピックアップの採用や指板ラジアスの変更など、プロの現場でも即戦力となるようなカスタマイズが施されているのが特徴です。

単なるバリエーション違いではなく、テクニカルなプレイを志向するプレイヤーに向けた、明確な意図を持ったモデルと言えます。

伝統的なアルダーボディとモダンな演奏性の融合

ボディ材には、フェンダーの伝統であるアルダーが使用されています。

アルダーボディは、中低域に粘りのある、バランスの取れた「フェンダーらしい」トーンを生み出す重要な要素です。

このクラシカルなボディ鳴りを維持しつつ、ネックやブリッジには最新の人間工学やハードウェア技術が投入されています。

伝統的なストラトキャスターの鳴りと、激しいアーミングや速弾きに対応するモダンな演奏性が見事に融合しており、新旧の良さを兼ね備えたハイブリッドなギターに仕上がっています。

カラーバリエーションとルックスの特徴

ルックス面では、3-Color SunburstやOlympic Pearlといった王道のカラーに加え、Duskなどの新色もラインナップされています。

また、本モデルはピックガードにもこだわりが見られ、カラーによってべっ甲柄(Tortoiseshell)などが採用されており、高級感を演出しています。

フロイドローズユニットの重厚な金属パーツと相まって、通常のストラトキャスターよりもアグレッシブで存在感のあるルックスが魅力です。

ステージ映えする洗練されたデザインは、所有する満足感を大きく高めてくれるでしょう。

詳細スペック徹底分析:通常のPlayer IIとの違いは?

Player II Modified Stratocaster HSS Floyd Roseのスペックは、通常のPlayer IIシリーズと比較して、よりテクニカルな演奏に適した仕様になっています。

ここでは、特に注目すべき3つのポイントについて詳しく解説します。

テクニカルプレイに特化した12インチラジアス指板とロールオフ加工

ネック周りの最大の特徴は、指板のR(ラジアス)が12インチ(約305mm)に設定されていることです。

通常のフェンダーギター(9.5インチ)よりも指板面が平らであるため、弦高を低く設定しやすく、チョーキング時の音詰まりも起きにくくなっています。

さらに、指板のエッジ(角)には「ロールオフ加工」が施されています。

これは指板の角を丸く削り落とす処理のことで、握り込んだ際のフィット感が格段に向上し、長時間の演奏でもストレスを感じにくい設計です。

Player II Humbucker & NoiselessピックアップのHSS構成

ピックアップ構成は、リアにハムバッカー、センターとフロントにシングルコイルを搭載した「HSS」配列です。

特筆すべきは、シングルコイル部分に「Player II Noiseless Strat」ピックアップが採用されている点です。

これにより、シングルコイル特有のきらびやかなサウンドを保ちつつ、ハイゲイン時でもノイズを気にすることなく演奏できます。

リアにはパワーのある「Player II Modified Humbucker」を搭載しており、繊細なクリーントーンから激しいディストーションサウンドまで、幅広いジャンルに対応可能です。

Floyd Rose Specialダブルロッキングトレモロの仕様

ブリッジには「Floyd Rose Special」ダブルロッキングトレモロシステムが搭載されています。

これは、ナット側とブリッジ側の2箇所で弦をロックする仕組みで、極めて高いチューニング安定性を誇ります。

アームを完全に緩めるようなダイナミックなアーミングを行っても、チューニングの狂いを最小限に抑えることができます。

また、ロックナット(R3 Locking Nut)により、激しいプレイでも弦がナットから外れる心配がありません。

音質・演奏性レビュー:HSS構成とフロイドローズの相性は?

実際に演奏してみると、HSS構成のピックアップとフロイドローズの組み合わせが、非常に高いポテンシャルを持っていることが分かります。

サウンドの傾向と操作感についてレビューします。

ハムバッカーのパワフルさとコイルタップによるサウンドバリエーション

リアのハムバッカーは、アルダーボディとの相性が良く、太く粘りのあるドライブサウンドを出力します。

リフやソロプレイにおいて十分なパワーを発揮しますが、それだけではありません。

Tone 2ノブにはプッシュ/プルスイッチが搭載されており、これを操作することでハムバッカーをコイルタップ(シングルコイル化)することが可能です。

これにより、クラシックなストラトキャスターらしい枯れたリアシングルのサウンドも手元で瞬時に呼び出すことができ、1本のギターで多彩な音色を使い分けられます。

ノイズレスシングルコイルによるクリアなクリーントーン

フロントとセンターのPlayer II Noiselessピックアップは、非常に優秀です。

従来のシングルコイルと比較して、高域の煌めきやアタック感はそのままに、不快なハムノイズだけが見事にカットされています。

深く歪ませたセッティングでフロントピックアップを使っても、ノイズに埋もれることなく、クリアで抜けの良いリードトーンが得られます。

レコーディング環境や照明機器の多いステージ上など、ノイズが乗りやすいシチュエーションでも安心して使用できるでしょう。

激しいアーミング時のチューニング安定性と操作感

Floyd Rose Specialトレモロは、期待通りの安定性を提供してくれます。

クリケット奏法や急激なダイブボムなど、シンクロナイズドトレモロでは不可能な過激なアクションを行っても、チューニングはしっかりと維持されます。

アームの操作感もスムーズで、フロイドローズ特有の金属的なサステインも感じられます。

ただし、セットアップの状態によって操作感が変わるため、自分好みのフローティング状態に調整することが重要です。

サテンフィニッシュネックによるスムーズなプレイアビリティ

ネック裏のフィニッシュには、サラサラとした手触りの「サテンウレタンフィニッシュ」が採用されています。

手汗をかいてもベタつきにくく、ポジション移動がスムーズに行えるため、速弾きなどのテクニカルなプレイを強力にサポートします。

ネックシェイプは「Modern C」と呼ばれる形状で、薄すぎず厚すぎない絶妙なグリップ感があり、多くのプレイヤーにとって馴染みやすい形状です。

Fender Player II Modified Stratocaster HSS Floyd Roseのおすすめポイント

このギターを選ぶべき理由は、単なるスペックの羅列以上の価値にあります。

特に魅力的だと感じるポイントを3つ挙げます。

ジャンルを選ばない万能性とモダンな弾きやすさ

HSS構成、コイルタップ機能、ノイズレスPU、ロック式トレモロという組み合わせは、まさに「万能」です。

ポップス、ロック、メタル、フュージョンなど、あらゆるジャンルを1本でカバーできるポテンシャルを持っています。

特に、モダンな演奏性を求めるギタリストにとっては、12インチラジアス指板などの仕様が大きなアドバンテージとなるでしょう。

フェンダー純正スタイルでフロイドローズを搭載した希少性

フロイドローズを搭載したストラトキャスタータイプのギターは他社からも多く出ていますが、「Fenderロゴ」が入った純正モデルは意外と選択肢が限られます。

特にこの価格帯で、伝統的なヘッド形状とロゴを持ちながらフロイドローズを搭載している点は、フェンダーファンにとって大きな魅力です。

80年代のハードロックシーンを彷彿とさせるルックスでありながら、中身は最新仕様というギャップも所有欲をそそります。

ローズウッド指板採用による温かみのあるトーンと高級感

Player IIシリーズの大きなトピックとして、指板材にローズウッド(またはメイプル)が採用されていることが挙げられます。

一時期のモデルでは代替材であるパーフェローが使用されていましたが、本モデルではローズウッドが選択可能です。

ローズウッド指板は、見た目の高級感はもちろん、サウンドに温かみと粘りを加える効果があります。

ロールオフ加工されたローズウッド指板の質感は非常に良く、指先のタッチニュアンスを繊細に表現してくれます。

購入前に知っておきたい注意点とデメリット

魅力の多いモデルですが、購入前に理解しておくべき注意点やデメリットも存在します。

特にフロイドローズ初心者の方は、以下の点を確認してください。

Floyd Rose Specialの耐久性とメンテナンスの難易度

搭載されている「Floyd Rose Special」は、本家のOriginal Floyd Roseと設計は同じですが、一部のパーツに亜鉛合金などが使用されているコストパフォーマンスモデルです。

そのため、長期間の使用においては、サドルやインサートブロックなどの耐久性がオリジナルよりも劣る可能性があります。

また、フロイドローズシステム自体が複雑な構造をしているため、オクターブ調整や弦高調整には専用の知識と手間が必要です。

弦交換の手間とフローティング調整の知識が必要な点

ロック式トレモロの宿命ですが、弦交換は通常のギターよりも時間がかかります。

弦のボールエンドを切断して固定する必要があり、チューニングを安定させるまでのフローティング調整にも慣れが必要です。

ライブ中に弦が切れた場合、復旧に時間がかかるため、サブギターを用意しておくなどの対策が推奨されます。

手軽にギターを弾きたいという方にとっては、このメンテナンスの手間が障壁になるかもしれません。

メキシコ製(Ensenada工場)における個体差とチェックポイント

Fender Mexico製品は近年品質が向上していますが、それでも個体差がゼロではありません。

特にフロイドローズ搭載機はセットアップがシビアなため、出荷状態によっては調整が甘い場合があります。

ナットの高さ、フレットの処理、ブリッジの水平状態などは、購入時に実機を確認するか、信頼できるショップで調整してもらうことをおすすめします。

価格と競合モデル比較:このギターはコスパが良いのか?

Player II Modified Stratocaster HSS Floyd Roseの価格設定は、スペックを考慮すると適正なのでしょうか。

競合モデルと比較しながら検証します。

実売価格とスペックから見るコストパフォーマンス

メーカー希望小売価格は18万円台(税込)前後ですが、実売価格は店舗によって異なります。

10万円台後半という価格帯で、アルダーボディ、ローズウッド指板、ノイズレスPU、フロイドローズ搭載というスペックを手に入れられるのは、コストパフォーマンスが高いと言えます。

特に、改造費をかけずに最初から「完成されたモディファイギター」を入手できる点は大きなメリットです。

通常のPlayer II Stratocasterや日本製Hybrid IIとの違い

通常のPlayer II Stratocasterと比較すると、価格は高くなりますが、パーツのグレードや指板処理の手間を考えれば納得の差です。

一方、日本製のMade in Japan Hybrid IIシリーズと比較した場合、あちらはシンクロナイズドトレモロが主流であり、フロイドローズ搭載モデルは限定的です。

「フロイドローズ搭載のフェンダー」という条件であれば、本モデルが有力な選択肢となります。

Squierや他社フロイドローズ搭載機との比較

下位ブランドのSquier Contemporaryシリーズなどもフロイドローズ搭載機を出していますが、ボディ材やピックアップの質、そして「Fenderブランド」の資産価値という点でPlayer II Modifiedが勝ります。

他社のスーパーストラト系と比較しても、フェンダー特有のネックシェイプやサウンドキャラクターを求めるならば、このモデルに代わるものは少ないでしょう。

評判・口コミから見るFender Player II Modifiedの評価

市場での評価やユーザーの声を分析すると、このモデルに対する満足度や懸念点が見えてきます。

ポジティブな評価:ルックスと実用性の高さ

多くのユーザーが高く評価しているのは、やはりそのルックスと実用性の高さです。

「フェンダーの見た目で激しいプレイができる」「ノイズレスピックアップが使いやすい」「ネックが握りやすくて弾きやすい」といった声が多く聞かれます。

特にローズウッド指板の質感を評価する声も多く、Player IIシリーズ全体の品質向上を感じさせます。

ネガティブな評価:初期セットアップやパーツ精度への意見

一方で、「購入直後の調整が必要だった」「アームの固定部分が緩みやすい」といった、セットアップやパーツ精度に関する指摘も見られます。

また、「Floyd Rose Specialのサスティーンブロックを交換したい」といった、さらなるアップグレードを望むマニアックな意見もあります。

これらは調整やパーツ交換で対応可能な範囲ですが、完璧な状態を求めるなら購入後のケアも視野に入れるべきでしょう。

まとめ:Fender Player II Modified Stratocaster HSS Floyd Rose レビュー解説

Fender Player II Modified Stratocaster HSS Floyd Roseは、伝統と革新が同居した、非常に実用的なギターです。

最後に、このギターがどのような人に向いているのかを整理します。

初めてのフロイドローズギターとしてのアリ・ナシ判定

結論として、初めてのフロイドローズギターとしても「アリ」です。

メンテナンスの手間はありますが、それを補って余りある演奏の自由度と、チューニングの安定性が得られます。

特に、ハードロックやメタルに挑戦したいが、変形ギターではなくストラトキャスターの形が好きという方には最適な1本となるでしょう。

モダンな仕様でライブ・レコーディングをこなしたいプレイヤーへ

ノイズレスピックアップやコイルタップ機能、フラットな指板など、現代の音楽制作やライブパフォーマンスに必要な要素が詰め込まれています。

ジャンルを問わず、テクニカルなプレイや多様なサウンドメイクを求められるギタリストにとって、このギターは頼れる相棒になるはずです。

  • Player IIシリーズをベースに演奏性を強化した特別仕様モデル
  • アルダーボディとローズウッド指板による王道のフェンダートーン
  • Floyd Rose Special搭載で激しいアーミングでもチューニングが安定
  • 12インチラジアス指板とロールオフ加工でテクニカルなプレイに対応
  • HSS構成とコイルタップ機能により多彩なサウンドメイクが可能
  • Player II Noiselessピックアップ採用でクリアかつローノイズ
  • サテンフィニッシュのModern Cネックがスムーズな演奏をサポート
  • メンテナンスには専門知識が必要だが得られるメリットは大きい
  • 同価格帯の競合と比較してもスペックとブランド力のバランスが良い
  • ハードロックからポップスまで幅広く使える万能な一本
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