アコースティックギターの選び方で、特に「カッタウェイ」モデルに興味をお持ちの方は多いのではないでしょうか。
スタイリッシュな見た目だけでなく、演奏性にも関わるカッタウェイですが、「本当に必要?」「音が悪くなるって本当?」「ダサいという意見も見るけど…」など、さまざまな疑問や不安がつきものです。
この記事では、そんなアコギのカッタウェイモデルに関するあらゆる疑問を解消し、初心者から上級者まで、あなたにぴったりの一本を見つけるためのお手伝いをします。
カッタウェイの基本的な知識から、メリット・デメリット、さらには人気メーカーのおすすめモデルまで、網羅的に解説していきますので、ぜひ最後までご覧ください。

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後悔しない!アコギのカッタウェイをおすすめする理由と選び方

まずは、アコギのカッタウェイに関する基本的な知識や、巷でささやかれる疑問について深掘りしていきましょう。
カッタウェイを選ぶべきかどうかの判断材料になるはずです。
アコギのカッタウェイによる違いとは?
アコギのカッタウェイについて理解を深めることは、最適な一本を選ぶための最初のステップです。
カッタウェイの目的と役割
カッタウェイとは、アコースティックギターのボディの、ネックとの接合部分(ショルダー)がえぐり取られたような形状を指します。
この「えぐれ」の最大の目的は、ハイポジション、つまり高音フレットでの演奏性を格段に向上させることにあります。
通常のアコギでは、ボディが物理的に邪魔になり、14フレットあたりから左手が窮屈に感じられることが多いです。
しかし、カッタウェイがあれば、サウンドホールのすぐ近く、20フレット付近までスムーズに指が届くようになります。
これにより、ギタリストはより広い音域を自在に操ることが可能となり、ギターソロやテクニカルなフレーズ、フィンガースタイルでのメロディ弾きなど、音楽表現の幅が大きく広がります。
カッタウェイの形状:ベネチアンとフローレンタイン
カッタウェイには、主に見た目の違いとなる2つの代表的なデザインが存在します。
サウンドへの影響はごくわずかとされているため、基本的にはご自身の好みで選んで問題ありません。
- ベネチアン・カッタウェイ (Venetian Cutaway)
丸みを帯びた滑らかな曲線が特徴で、優雅で上品な印象を与えます。
「ラウンデッドカッタウェイ」とも呼ばれ、製作上の理由から多くのブランドで採用されています。
TaylorやTakamineといった現代的なアコギブランドでよく見られる形状です。 - フローレンタイン・カッタウェイ (Florentine Cutaway)
先端が鋭く尖った、シャープで攻撃的なルックスが特徴です。
「ポインテッドカッタウェイ」とも呼ばれます。
Gibsonのフルアコースティックギターや一部のアコースティックモデル、Larriveeなどで採用例があります。
より洗練された、あるいはロックな印象を与えるデザインと言えるでしょう。
これらの名称はイタリアの都市ヴェネツィアとフィレンツェに由来しますが、楽器の歴史と直接的な関連性は明確ではありません。
主に1950年代から60年代にかけて、Gibsonが自社のギターの形状を区別するために使い始めたのが起源とされています。
カッタウェイギターのデメリットはあるの?
カッタウェイ付きアコギを選ぶ際に、最も多くの方が気にされるのが「音質への影響」、特に生音の響きに関するデメリットです。
この点を正しく理解することが、後悔しないギター選びの重要なポイントとなります。
生音の響きへの物理的な影響
カッタウェイの構造的な宿命として、ボディの一部を切り取る(カットする)ため、ギター全体の容積が物理的に減少します。
アコースティックギターは、ボディという「箱」全体を共鳴させて音を増幅する楽器です。
そのため、箱の容積が小さくなると、特に生音の豊かさ、具体的には低音域の響きや音量が若干犠牲になる、というのが古くから言われている定説です。
複数の情報源が「音は犠牲になる」と指摘していますが、その差は多くの人にとって「微妙なもので、必ずしも聞き分けられるほどではない」という見解も見られます。
「音の犠牲」は相対的な概念
この「音の犠牲」という言葉は、絶対的なものではなく、プレイヤーの置かれた状況や価値観によってその意味合いが大きく変わる、非常に相対的な概念です。
ギターの音を評価する軸が複数存在することが、この議論を複雑にしています。
一つは「純粋な生音の豊かさ」、もう一つは「ピックアップを通してアンプから出力される最終的なサウンド」です。
- 生音を最優先する場合
マイクを使ってレコーディングしたり、生音での弾き語りをメインにするプレイヤーにとっては、わずかな低音の減少も無視できないデメリットと感じるかもしれません。
生のサウンドに徹底的にこだわるプレイヤーがノンカッタウェイ(カッタウェイのないモデル)を好むのは、このためです。 - ライン出力を前提とする場合
ライブステージでピックアップを通して演奏する「エレアコ(エレクトリックアコースティックギター)」として使用する場合、この音質の差はほとんど問題にならないことが多いです。
なぜなら、最終的なサウンドはピックアップの性能やプリアンプでの音作りによって大きく左右されるため、ボディ容積のわずかな差は、他の要素に比べて影響が小さくなるからです。
つまり、カッタウェイによる音質への影響は、「誰が、どのような状況で、何を重視して弾くか」という文脈によってその重要度が変わるのです。
メリットである圧倒的な演奏性と、この音質への影響を天秤にかけ、自身のプレイスタイルや求めるサウンドに照らし合わせて判断することが大切です。
アコギのカッタウェイはダサい?その真相
インターネットで「アコギ カッタウェイ」と検索すると、「ダサい」といった関連キーワードが目に付くことがあります。
これは一部の意見であり、決して万人がそう感じているわけではありませんが、なぜそのような印象を持つ人がいるのか、その背景を探ってみましょう。
伝統とモダンの美学の対立
「カッタウェイはダサい」という意見の根底には、アコースティックギターの歴史と伝統への敬意が存在します。
MartinのD-28やGibsonのJ-45に代表される、左右対称の美しい曲線を持つノンカッタウェイのボディシェイプは、長年にわたり「アコギらしさ」の象徴とされてきました。
これらのギターが持つ完成されたフォルムと、そこから生まれる豊かな生音こそが至上であると考える「伝統派(トラッド派)」のプレイヤーにとって、演奏性という機能のためにそのシンメトリーを崩したカッタウェイは、どこか野暮ったく、不格好に見えてしまうことがあるのです。
機能美としてのカッタウェイ
一方で、カッタウェイを肯定的に捉える「モダン派」のプレイヤーも数多く存在します。
彼らにとってカッタウェイは、ハイポジションでの演奏を可能にするための合理的な進化であり、その機能美こそがスタイリッシュだと感じられます。
特に、ドレッドノートサイズのギターにカッタウェイが施されると、オーディエンスに「ロック」で「パワフル」な印象を与え、パフォーマンス性を高める視覚的効果も期待できます。
エレキギターに慣れ親しんだ世代にとっては、カッタウェイはむしろ自然な形状とさえ言えるでしょう。
結局のところ、「ダサい」か「スタイリッシュ」かは個人の美的感覚や価値観に大きく左右される部分です。
伝統的なアコギのフォルムを愛するか、機能性を重視したモダンなデザインを好むか、ご自身の感性を信じて選ぶのが一番です。
アコギにカッタウェイはいらない?必要性を解説
「カッタウェイはいらない」という意見も、アコギ選びの際によく耳にする言葉です。
これは、個人の好みだけでなく、より実践的で合理的な理由に基づいていることが多いです。
プレイヤーの演奏スタイルに深く関わっています。
プレイスタイルとカッタウェイの必要性
弾き語りのように、ローコード(ネックのヘッド側で押さえる比較的簡単なコード)を中心にジャカジャカとストロークするプレイスタイルでは、ハイポジションを弾く機会はほとんどありません。
このようなプレイヤーにとって、カッタウェイは文字通り「使わない機能」となります。
使わない機能のために、わざわざ生音の響きに影響を与える可能性のあるボディ容積の減少を受け入れる必要はない、と考えるのは非常に自然なことです。
カッタウェイが活きるプレイスタイル
対照的に、ソロギターを本格的に弾きたい人、バンドの中でリードギターを担当する人、あるいはフィンガースタイルでメロディと伴奏を同時に奏でるようなテクニカルなプレイヤーにとっては、カッタウェイは「あると便利」な機能どころか、表現の幅を広げるための必須の機能と言っても過言ではありません。
ハイポジションを多用する楽曲のコピーや、アドリブ演奏、複雑なコードヴォイシングなど、カッタウェイがあることで初めて可能になる表現も多く存在します。
結論:あなたの音楽に必要な機能か
「カッタウェイはいらない」という意見は、主にプレイスタイルに起因します。
あなたがどのような音楽を演奏したいのか、どのようなギタリストを目指しているのかを明確にすることが、カッタウェイの必要性を判断する上で最も重要です。
もしハイポジションを多用する予定がないのであれば、無理にカッタウェイ付きを選ぶ必要はありません。
逆に、少しでもハイポジションでの演奏に興味がある、あるいは将来的に挑戦してみたいと考えているなら、カッタウェイ付きを選んでおく方が後悔は少ないでしょう。
初心者のアコギにカッタウェイはおすすめ?
ギターを始めようと決意した初心者にとって、「最初の1本にカッタウェイ付きを選ぶべきか?」は大きな悩みどころです。
ここでは、初心者ならではの視点からカッタウェイの必要性を考え、後悔しない最初の1本を選ぶためのアドバイスをします。
初心者にとってのカッタウェイのメリット
もしあなたが将来的に、好きなアーティストの曲を完全コピーしたい、あるいは華麗なギターソロを弾いてみたいという夢を持っているなら、カッタウェイは強力な味方になります。
最初からハイポジションに触れることができる環境は、練習の選択肢を広げ、上達へのモチベーションを高く保つ助けとなるでしょう。
実際に、多くの初心者向けセット商品がカッタウェイモデルを採用していることからも、その需要の高さがうかがえます。
「いつかあんな風に弾きたい」という憧れを実現するための可能性を広げてくれるのが、初心者にとってのカッタウェイの大きなメリットです。
初心者が考慮すべき点
一方で、まずは基本的なコードを覚えて弾き語りを楽しみたい、という目標を持っている初心者にとっては、カッタウェイは必ずしも必須の機能ではありません。
むしろ、ノンカッタウェイのギターが持つ、バランスの取れた豊かな響きの中でコードを鳴らす感覚を学ぶ方が、アコギの基礎を固める上で有益な場合もあります。
初心者モデルにエレアコ(カッタウェイ付き)が多い理由
楽器店やオンラインストアで初心者向けのアコギを探すと、その多くがピックアップを搭載した「エレアコ」仕様であり、その多くがカッタウェイ付きであることに気づくでしょう。
これは、現代のギター初心者のニーズを的確に捉えた市場戦略の結果です。
YouTubeなどでソロギタリストやバンドのライブ映像を見てギターに憧れる現代の初心者は、「いつか人前で演奏したい」「アンプに繋いで大きな音を出したい」という願望を最初から持っていることが少なくありません。
市場はこのニーズに応え、ソロプレイに対応するカッタウェイと、ライブに対応するピックアップを標準装備したモデルを「初心者向け」として提供しているのです。
賢い選び方:安価な初心者セットの注意点
1万円前後から手に入る初心者セットは、必要なものがすべて揃っており非常に魅力的です。
しかし、価格だけで選んでしまうと、後々後悔する可能性もあります。
あまりに安価なモデルの中には、チューニングがすぐに狂ってしまったり、弦高(弦とフレットの隙間)が高すぎて弦を押さえる指が痛くなったり、音が詰まったり響きが乏しかったりするといった問題を抱えているものも少なくありません。
上達への一番の近道は、最初の1本こそ、信頼できるメーカーの、弾きやすく、良い音がするギターを選ぶことです。
予算の目安としては、最低でも3万円程度を確保することをおすすめします。
そして可能であれば、ギターの音質を大きく左右するボディトップの板に、一枚板である「単板(ソリッドウッド)」を使用したモデルを選びましょう。
合板(プライウッド)に比べて格段に豊かな響きが得られ、弾き込むほどに音も成長していくため、長く愛用できる最高のパートナーになります。
おすすめのアコギはこれ!カッタウェイモデルのメーカー比較

ここからは、具体的なカッタウェイモデルの選び方について、価格帯別のおすすめや人気メーカーの特徴を交えながら解説していきます。
あなたの予算や好みに合った一本を見つけるための参考にしてください。
安いアコギでカッタウェイモデルを探すには
「できるだけ予算を抑えたいけど、カッタウェイ付きの良いアコギが欲しい」というのは、特に初心者の方に共通する願いかもしれません。
この価格帯、具体的には5万円以下のモデルを中心に見ていきましょう。
~5万円:はじめの一歩に最適な高コスパモデル
この価格帯は、ギターを始めるために必要なアクセサリーがセットになった、初心者向けのパッケージが市場の中心です。
ボディ材は、薄い板を複数枚貼り合わせた「合板(ラミネートウッド、プライウッドとも)」が主流ですが、これはコストを抑えつつ、湿度変化などに比較的強いというメリットもあります。
しかし、この価格帯で真に注目すべきは、ボディのトップ材(表板)に一枚板である「単板(ソリッドウッド)」を使用したモデルです。
単板は合板に比べて弦の振動をより豊かに、ダイレクトに音に変換できるため、響きの深さや音量が格段に向上します。
約5万円という価格は、ギターの心臓部であるトップ材が合板から単板へと切り替わる、品質における最初の、そして最も重要な「しきい値」と言えるでしょう。
もし予算が許すのであれば、少し背伸びをしてでもトップ単板モデルを選ぶことを強く推奨します。
それは単なるスペックアップ以上の意味を持ち、アコギ本来の「鳴り」を体感することで練習のモチベーションを高め、結果として上達を早めるための最も効果的な投資となるからです。
この価格帯の代表的なおすすめカッタウェイアコギ
メーカー/モデル名 | 実売価格帯 | トップ材 | ボディ形状 | ピックアップ | 特徴・おすすめポイント |
---|---|---|---|---|---|
YAMAHA / FX370C | 3万円台 | スプルース(合板) | トラッドウェスタン・カッタウェイ | 〇 (SYSTEM58) | ヤマハならではの安定した品質と作り。3バンドEQ搭載で音作りも可能。信頼性の高い入門エレアコの定番。 |
Legend / FG-15CE | 2万円台 | スプルース(合板) | フォーク・カッタウェイ | 〇 (AEQ-4) | 非常に安価で手に入るエレアコ。4バンドEQとチューナー機能付きプリアンプを搭載し、機能性は十分。 |
Ibanez / PC12MHCE | 3万円前後 | オクメ(合板) | グランドコンサート・カッタウェイ | 〇 (AEQ-2T) | 全身をオクメ材で構成し、温かみのあるサウンドが特徴。コンパクトなボディと握りやすいネックで演奏性も高い。 |
James / J-300C | 5万円前後 | シトカ・スプルース単板 | フォーク・カッタウェイ | 〇 (James Duo Tone/FX) | トップ単板に加え、アンプなしでエフェクトがかけられる画期的な機能を搭載。コストパフォーマンスが非常に高い。 |
Fender / Redondo Player | 4万円台 | シトカ・スプルース単板 | Redondo | 〇 (Fishman) | エレキのようなスリムなネックで抜群の弾きやすさ。ユニークなルックスとパワフルなサウンドが魅力。 |
これらのモデルは、価格を抑えながらもカッタウェイの利便性を享受でき、中にはトップ単板を採用して音質にもこだわったものもあります。
試奏して、自分のフィーリングに合うものを選びましょう。
おすすめのエレアコはカッタウェイ付き?
カッタウェイ付きのアコースティックギターを探していると、その多くがピックアップを搭載した「エレアコ」であることに気づきます。
この二つの要素は、現代のアコギシーンにおいて、切っても切れない深い関係にあります。
なぜカッタウェイモデルはエレアコが多いのか?
その理由は、プレイヤーがカッタウェイを必要とするシチュエーションを考えれば自ずと見えてきます。
前述の通り、カッタウェイが真価を発揮するのは、ハイポジションを多用するギターソロやテクニカルなフレーズを弾く場面です。
そして、そうしたプレイが求められるのは、多くの場合、バンドアンサンブルの中や、大勢の観客の前で演奏するライブステージです。
このような環境では、アコギの生音だけでは音量が絶対的に不足するため、ピックアップで音を拾い、アンプやPAシステムで増幅することが必須となります。
つまり、「ハイポジションでの高度な演奏性(カッタウェイ)」と「大音量での演奏(ピックアップ)」という二つのニーズは、同じプレイヤー、同じシチュエーションの中に同時に存在することが多いのです。
この極めて論理的な結びつきこそが、カッタウェイモデルの多くがエレアコ仕様である主要な理由です。
おすすめカッタウェイ・エレアコモデル厳選
これまでの情報も踏まえ、特にエレアコとしての性能に定評のあるカッタウェイモデルをいくつか紹介します。
- エントリーレベルの鉄板:YAMAHA APX600 / CPX600
ライブでの使いやすさを徹底的に追求して設計された、ヤマハのロングセラーモデルです。
APXの薄胴ボディはステージでの取り回しに優れ、CPXの深胴ボディは豊かな響きで弾き語りをサポートします。
初心者にも扱いやすい操作性と安定したサウンドが魅力です。 - ミドルレンジの世界的標準:Taylor 114ce / 214ce
そのナチュラルなサウンドで高い評価を得ているTaylor独自の「ES2ピックアップシステム」を搭載しています。
生音のニュアンスを損なうことなく、クリアでバランスの取れたラインサウンドを出力します。
抜群の弾きやすさも兼ね備え、多くのギタリストに支持されています。 - ハイエンドの多機能機:Martin GPC-16E
Fishman社の高性能デュアルピックアップシステム「Matrix VT Enhance」を搭載しています。
サドル下のピエゾに加え、ブリッジプレートの振動を拾うセンサーをブレンドすることで、よりナチュラルな箱鳴り感を再現します。
ボディを叩くパーカッシブな奏法(スラム奏法)の音もしっかりと拾うため、現代的なフィンガースタイルにも完全対応します。
サウンドの心臓部!ピックアップシステムの種類と選び方
エレアコのサウンドを決定づける最も重要な要素がピックアップシステムです。
集音方式によって音のキャラクターやハウリングへの強さが大きく異なるため、自分のプレイスタイルに合ったものを選ぶことが重要です。
- ピエゾ・ピックアップ (Piezo)
最も一般的で、ブリッジのサドルの真下に圧電素子を仕込んで弦振動を拾います。
アタックが強く、輪郭のはっきりした硬質なサウンドが特徴です。
構造上ハウリングに非常に強く、大音量のバンドアンサンブルでも音が埋もれにくいという大きなメリットがあります。 - マグネティック・ピックアップ (Magnetic)
サウンドホールに取り付ける、エレキギターのピックアップに近い構造のタイプです。
磁石の力で弦の振動を拾うため、スチール弦専用です。
ピエゾに比べてウォームで甘い、メロウなサウンドが特徴です。
こちらもハウリングには比較的強い傾向があります。 - マイクブレンド・ピックアップ (Mic Blend)
ピエゾやマグネティックのサウンドに、ギター内部に仕込んだ小型のコンデンサーマイクで拾った音を混ぜ合わせるタイプです。
マイクの音を加えることで、ピエゾだけでは再現しきれない、アコギ本来の箱鳴りや空気感(エア感)をプラスすることができます。
L.R. Baggsの「Anthem」やFishmanの「Rare Earth Blend」がこのタイプの代表格です。
生音に非常に近いナチュラルなサウンドが得られる反面、マイクの比率を上げすぎるとハウリングを起こしやすくなるため、バランス調整が重要になります。
この分野では、FishmanとL.R. Baggsが二大ブランドとして知られています。
一般的に、Fishmanはクリアでモダンなサウンド、L.R. Baggsは生音の忠実な再現性を重視する傾向があるとされています。
近年の高性能ピックアップ技術の進化は、カッタウェイがもたらす可能性のある「音の犠牲」という課題を克服する方向へと向かっています。
例えばYAMAHAのSRT (Studio Response Technology) システムは、ピエゾピックアップの信号を元に、デジタル技術を用いて「失われた生音の空気感」をリアルタイムで付加します。
これは、演奏性のための物理的な改造(カッタウェイ)によって影響を受ける可能性のある音響特性を、最先端の電子技術(高性能ピックアップ)で補うという、技術的な進歩を示しています。
アコギの3大ブランドとは?それぞれの特徴
アコースティックギターの世界には、その歴史とサウンドを牽引してきた巨星たちがいます。
現代において、その筆頭に挙げられるのがMartin(マーティン)、Gibson(ギブソン)、Taylor(テイラー)の3社であり、これらは敬意を込めて「アコギ三大ブランド」と呼ばれています。
かつてはこの一角にGuild(ギルド)が数えられていましたが、近年では革新的なアプローチで急成長を遂げたTaylorがその座を確固たるものにしています。
各社がカッタウェイという形状にどのような思想を持ち、自社のラインナップにどう組み込んでいるのか、その特徴を見ていきましょう。
Martin (マーティン) – 伝統の響きと革新の融合
- カッタウェイ哲学:
アコースティックギターの原点であり、D-28に代表される豊かで深みのある「生鳴り」こそがマーティンの真骨頂です。
その思想から、伝統的にボディ形状の変更を伴うカッタウェイには慎重な姿勢を見せてきました。
しかし、時代のニーズに応える形で、近年では演奏性を高めたカッタウェイモデルを積極的に開発しています。
マーティンのカッタウェイ戦略は、あくまで伝統的なマーティンサウンドを損なうことなく、現代的な演奏性を「付加」するという、伝統と革新のバランスを重視したアプローチです。 - 代表的なカッタウェイモデル:
GPC (Grand Performance Cutaway) シリーズ (例: GPC-11E, GPC-13E) や、より革新的なSC (S-Shape Cutaway) シリーズ (例: SC-10E, SC-13E) が挙げられます。
GPCはドレッドノートのパワフルさとOM/000の抱えやすさを両立し、SCシリーズは究極の演奏性を追求したモデルです。
Gibson (ギブソン) – 唯一無二のロックな魂
- カッタウェイ哲学:
J-45に代表される、唯一無二のサウンドキャラクターがギブソンのアイデンティティです。
そのサウンドは、しばしば「ジャキッ」と表現される歯切れの良さと、泥臭くも温かみのある中低音域が特徴で、ロックやブルースとの相性は抜群です。
ギブソンのカッタウェイモデルは、この荒々しいサウンドキャラクターを一切変えることなく、ハイポジションでの表現力をプラスするという、明快な思想に基づいています。 - 代表的なカッタウェイモデル:
J-45 Standard Cutaway が代表的です。
伝統的なラウンドショルダーのルックスとサウンドはそのままに、滑らかなベネチアンカッタウェイを追加し、ネックも現代的なスリムテーパー形状を採用して演奏性を高めています。
標準でL.R. Baggs社のElement VTCピックアップを搭載しており、ライブやレコーディングでの即戦力となります。
Taylor (テイラー) – プレイアビリティの革命児
- カッタウェイ哲学:
Taylorにとってカッタウェイは「追加機能」ではなく、「モダン設計の標準装備」です。
1974年の創業以来、Taylorは常にプレイヤーの演奏性(プレイアビリティ)を最優先に考えてきました。
コンピューター制御による精密な設計と製造技術を駆使し、個体差の少ない安定した品質と、誰もが弾きやすいと感じるネックシェイプを実現しています。 - 代表的なカッタウェイモデル:
114ce や 214ce はTaylorの入門機にして世界的なベストセラーモデルです。
ボディシェイプは、フィンガーピッキングからストロークまであらゆるスタイルに対応する万能なGA(グランド・オーディトリアム)を採用し、優雅なベネチアンカッタウェイを組み合わせています。
特許取得のNTネックや高性能なES2ピックアップシステムもTaylorの大きな特徴です。
これらの3大ブランドは、それぞれ異なるアプローチでカッタウェイモデルを開発しており、その個性はサウンドや演奏性に色濃く反映されています。
アコギを買うならどのメーカーがいいの?
前述の3大ブランド(Martin, Gibson, Taylor)は確かに素晴らしい選択肢ですが、日本が世界に誇るYAMAHA(ヤマハ)も忘れてはなりません。
この4大メーカーの動向を追うことで、カッタウェイ・アコギの現在地と未来が見えてきます。
それぞれのメーカーが持つカッタウェイ戦略と、それに基づくおすすめモデルを比較してみましょう。
YAMAHA (ヤマハ) – 圧倒的な品質と先進技術
- カッタウェイ哲学:
YAMAHAの戦略は「全方位型高品質」です。
特定の哲学に固執するのではなく、あらゆるプレイヤーのあらゆるニーズに対して、その価格帯で考えられる最高の品質で応えるという実用主義的なアプローチを取ります。
伝統的なサウンドを求める層にはLシリーズを、モダンなエレアコを求める層にはAPX/CPXシリーズを提供し、その両方に独自の先進技術を投入して付加価値を高めています。 - 代表的なカッタウェイモデル:
APX/CPXシリーズ (例: APX600, CPX600) はライブパフォーマンスでの使いやすさを追求したエレアコの定番です。
Aシリーズ / Lシリーズ・カッタウェイ (例: AC5R, LLX26C) は生音のクオリティを重視した本格派シリーズで、SRT2ピックアップシステムやA.R.E. (Acoustic Resonance Enhancement) 技術などが搭載されています。
四大メーカー代表カッタウェイモデル徹底比較
各ブランドの思想と特徴を、具体的なフラッグシップ級またはそれに準ずる人気モデルを通して比較してみましょう。
メーカー | モデル名 | ボディ形状 | 木材 (T/S&B) | サウンドの特徴 | ピックアップ | こんな人におすすめ |
---|---|---|---|---|---|---|
Martin | GPC-13E | Grand Performance Cutaway | スプルース単板 / ジリコテ | 重厚感があり、低音と高音が豊かに響く。長いサスティーンが魅力。 | Fishman MX-T | 伝統的な響きを保ちつつ、ソロギターでメロディを歌わせたいプレイヤー。 |
Gibson | J-45 Cutaway | Round Shoulder Cutaway | スプルース単板 / マホガニー | ウォームな低域とエッジの効いた中高域。パワフルでバランスの取れたサウンド。 | L.R. Baggs Element VTC | ロックやブルースを愛し、唯一無二のギブソンサウンドで弾き語りもソロもこなしたいプレイヤー。 |
Taylor | 214ce | Grand Auditorium | スプルース単板 / ローズウッド(レイヤード) | 114ceより複雑で深みのある音色。バランスが良く、あらゆるジャンルに対応。 | Taylor ES2 | 弾きやすさと安定したラインサウンドを最優先する、現代的なスタイルのギタリスト。 |
YAMAHA | A5R ARE | Concert Cutaway | スプルース単板 (A.R.E.) / ローズウッド単板 | 弾き込まれたヴィンテージギターのような豊かな鳴り。バランスの取れたクリアなサウンド。 | SYSTEM71 (SRT2) | 生音の良さと、最高峰のリアルなラインサウンドの両方を求める、品質に妥協しないプレイヤー。 |
これらの情報はあくまで一例であり、各メーカーにはさらに多様なカッタウェイモデルが存在します。
最終的には、実際に楽器店で試奏し、ご自身の耳と手で確かめることが最も重要です。
自分のプレイスタイル、求めるサウンド、そして予算を総合的に考慮して、最適なメーカーとモデルを選びましょう。
ヤマハのアコギ、カッタウェイモデルの魅力
YAMAHA(ヤマハ)は、初心者向けのエントリーモデルからプロが使用するハイエンドモデルまで、幅広いラインナップと高い品質で世界的に評価されている日本の総合楽器メーカーです。
特にアコースティックギターにおいては、その長い歴史と技術力に裏打ちされた信頼性で、多くのギタリストに愛用されています。
ヤマハのカッタウェイモデルには、どのような魅力があるのでしょうか。
幅広いニーズに応えるラインナップ
ヤマハのカッタウェイモデルは、プレイヤーの多様なニーズに応えるために、いくつかの特徴的なシリーズを展開しています。
- APXシリーズ:
薄胴ボディとカッタウェイが特徴で、抱えやすく、ステージ上での取り回しに非常に優れています。
サウンドはレスポンスが良く、キレのある中高音域が魅力で、バンドアンサンブルの中でも埋もれにくい音色が特徴です。
エレキギターからの持ち替えもスムーズで、ライブパフォーマンスを重視するプレイヤーに人気があります。
代表モデル:APX600、APX700IIなど。 - CPXシリーズ:
APXシリーズよりも胴厚が深く、より豊かな生鳴りとパワフルな低音を実現しています。
カッタウェイによる演奏性とアコースティックな響きのバランスが良く、弾き語りなど、生音の響きを重視しつつもステージでの使用も視野に入れるプレイヤーに向いています。
代表モデル:CPX600、CPX700IIなど。 - Aシリーズ:
生音のクオリティとエレクトリックシステムの両方に徹底的にこだわったシリーズです。
ヤマハ独自のSRT2(Studio Response Technology)ピックアップシステムを搭載し、まるで高級マイクでレコーディングしたかのようなリアルなラインサウンドを再現します。
ボディシェイプもドレッドノートタイプ(A)とフォークタイプ(AC)があり、カッタウェイモデルも用意されています。
木の鳴りを最大限に引き出す設計が施されており、本格的なサウンドを求めるプレイヤーにおすすめです。
代表モデル:AC3R ARE、A5R AREなど。 - Lシリーズ・カッタウェイモデル:
ヤマハの伝統的なギター製作技術の結晶ともいえるLシリーズにも、カッタウェイモデルが存在します(LLX、LJX、LSXなど)。
独自の木材改質技術「A.R.E. (Acoustic Resonance Enhancement)」によって、長年弾き込んだかのような豊かな鳴りを実現しています。
最高級の材と職人技によって作られるこれらのモデルは、国内外のプロアーティストにも愛用されており、ヤマハのアコースティックギター製作技術の粋を集めた逸品です。
ヤマハ独自の先進技術
ヤマハのアコギ、特にカッタウェイ付きエレアコモデルの魅力は、ピックアップシステムや木材加工技術における先進性にあります。
SRT2ピックアップシステムは、ピエゾピックアップの音に、スタジオでマイク録りしたような音の響きや空気感をシミュレートして加えることで、非常にナチュラルで豊かなラインサウンドを実現します。
また、A.R.E.技術は、新品の木材に特殊な処理を施すことで、長年使い込まれたヴィンテージギターのような鳴りを生み出す画期的な技術です。
これらの技術により、ヤマハのカッタウェイモデルは、演奏性の高さに加え、生音でもライン出力でも高品質なサウンドを提供します。
予算内で最高の品質と信頼性を求めるプレイヤーにとって、ヤマハのカッタウェイアコギは、初心者からプロフェッショナルまで、どんなレベルの人にも安心しておすすめできる、最も間違いのない選択肢の一つと言えるでしょう。
まとめ:あなたに最適なアコギ カッタウェイ おすすめモデルを見つけるために
この記事では、アコギのカッタウェイモデルに関する様々な情報をお届けしてきました。
カッタウェイの基本からメリット・デメリット、そして具体的なおすすめモデルまで、あなたのギター選びの一助となれば幸いです。
最後に、この記事のポイントをまとめます。
- カッタウェイはハイポジションの演奏性を向上させる形状である
- カッタウェイには主にベネチアンとフローレンタインの2種類がある
- カッタウェイによる生音への影響は、プレイスタイルや使用環境で重要度が変わる
- 「ダサい」「いらない」という意見は個人の価値観やプレイスタイルに基づく
- 初心者にとってカッタウェイは将来の演奏の幅を広げる投資になり得る
- 5万円以下の予算でもトップ単板のカッタウェイモデルは存在する
- カッタウェイモデルの多くはエレアコ仕様で、ライブ演奏に適している
- Martin、Gibson、Taylor、YAMAHAが主要なアコギメーカーである
- 各メーカーは独自の哲学でカッタウェイモデルを開発している
- 最終的なギター選びの決め手は、スペックだけでなく「ときめき」も大切である

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