「ライブでマルチエフェクターを使いたいけれど、音が悪いと言われないか心配」
「アンプへの繋ぎ方や音量バランスの設定が難しそう」
このようにお悩みではないでしょうか。
かつては「デジタル臭い」「使いにくい」と言われることもあったマルチエフェクターですが、近年はプロの現場でもメイン機材として採用されるほど進化しています。
特に2025年現在は、小型かつ高音質なモデルが多数登場しており、ライブでの利便性は飛躍的に向上しました。
しかし、そのポテンシャルを引き出すには、ライブ特有の「選び方」「接続方法」「音作り」の知識が不可欠です。
この記事では、ライブでマルチエフェクターを最大限に活用するためのノウハウを、最新のおすすめ機種とあわせて徹底解説します。
正しい知識を身につけて、トラブルのない最高のライブパフォーマンスを実現しましょう。
ライブでマルチエフェクターを使うのは「あり」か?現場のリアルな評価
結論から申し上げますと、現代のライブシーンにおいてマルチエフェクターを使用することは「大いにあり」です。
実際に多くのプロミュージシャンや、ライブハウスで活動するバンドマンがマルチエフェクターを導入しています。
なぜこれほどまでに普及したのか、現場でのリアルな評価と理由を深掘りしていきましょう。
プロも愛用する理由:転換の早さとトラブルの少なさ
ライブイベントでは、限られた時間内で機材をセッティングし、撤収しなければなりません。
マルチエフェクターは、ギターとアンプの間に1台繋ぐだけでセッティングが完了するため、転換時間を大幅に短縮できます。
また、複数のコンパクトエフェクターをパッチケーブルで繋ぐボードシステムに比べて、ケーブルの本数が圧倒的に少なくて済みます。
これにより、断線や接触不良による「音が出ない」というトラブルのリスクを激減させることができるのです。
安定した動作と素早いセッティングは、精神的な余裕を生み、演奏そのものに集中できる環境を作ってくれます。
コンパクトエフェクターと比較した際のメリット・デメリット
コンパクトエフェクターとマルチエフェクターには、それぞれ異なる特徴があります。
マルチエフェクターのメリット
- 1台ですべて完結する: 歪み、空間系、モジュレーションなど、あらゆるエフェクトが網羅されています。
- プリセット切り替え: 曲ごとの大幅な音色変更も、フットスイッチ一つで瞬時に行えます。
- コストパフォーマンス: 複数のコンパクトエフェクターを揃えるよりも、遥かに低予算でシステムを構築できます。
- 軽量で持ち運びが楽: 重たいエフェクターボードを持ち運ぶ労力から解放されます。
マルチエフェクターのデメリット
- 操作の学習が必要: 多機能ゆえに、使いこなすための操作を覚える必要があります。
- デジタルの質感: 機種によっては、アナログ特有の太さやレスポンスと異なる場合があります。
現代のマルチエフェクターは音質面でのデメリットがほぼ解消されつつあり、メリットの方が上回るケースが多くなっています。
「音が悪い・埋もれる」と言われる原因と解決策
「マルチは音が細い」「バンドで埋もれる」という意見を耳にすることがあるかもしれません。
しかし、その原因の多くは機材の性能ではなく、「設定」や「使いこなし」にあります。
よくある原因として、自宅でヘッドホンをして作った音を、そのままスタジオやライブハウスの大型アンプで鳴らしていることが挙げられます。
ヘッドホンで気持ち良い音(高域と低域が強調されたドンシャリ)は、バンドアンサンブルの中では他の楽器と帯域が被り、埋もれて聞こえなくなる傾向があります。
解決策としては、必ずスタジオでアンプから音を出し、中音域(ミドル)を意識した音作りを行うことです。
また、アンプシミュレーターと実機のアンプを二重に通してしまう設定ミスも、音がこもる大きな原因となります。
正しい知識で設定すれば、マルチエフェクターでも太く抜ける音を作ることは十分に可能です。
ライブ用マルチエフェクターの選び方とおすすめ機種5選【2025年最新】
ライブで使用することを前提とする場合、自宅練習用とは違った視点で機材を選ぶ必要があります。
2025年の最新トレンドも踏まえ、ライブで真価を発揮するモデルを厳選しました。
ライブ向きのスペックとは?フットスイッチ数と視認性をチェック
ライブ用の機種選びで最も重要なのは「操作性」です。
演奏中に足元を見て操作するため、以下のポイントを確認しましょう。
- フットスイッチの数: 音色の切り替えやエフェクトのON/OFFを行うため、最低でも3つ以上のスイッチがあると便利です。
- ディスプレイの視認性: 暗いステージでも現在の設定やチューナーが見やすい、大型カラー液晶や高輝度LEDを搭載したモデルがおすすめです。
- ペダルの有無: ボリュームペダルやワウを使用したい場合は、エクスプレッションペダル一体型のモデルを選びましょう。
初心者・コスパ重視なら:BOSS GT-1 / Zoom G1X FOUR / M-VAVE MK-300
予算を抑えつつ、ライブで使える機能を備えたエントリーモデルです。
- BOSS GT-1:軽量コンパクトで持ち運びに最適です。BOSS伝統の高品位なサウンドが凝縮されており、初心者でも扱いやすい「EASY SELECT」機能を搭載しています。電池駆動も可能で、場所を選ばずに使用できます。
- Zoom G1X FOUR:圧倒的なコストパフォーマンスを誇るモデルです。70種類以上のエフェクトとアンプモデルを搭載し、ルーパーやリズムマシンも内蔵しています。ペダル付きのG1X FOURなら、ワウやボリューム操作も可能です。
- M-VAVE MK-300:近年注目を集めている激安多機能マルチエフェクターです。2万円台という価格ながら、カラー液晶やIRロード機能、Bluetooth接続など、現代的な機能を網羅しています。バッテリー内蔵で電源不要という点も、転換の多いライブでは大きな武器になります。
操作性と音質を両立する中級機:BOSS ME-90 / GX-10
音質にこだわりたいけれど、複雑なメニュー操作は苦手という方におすすめのモデルです。
- BOSS ME-90:「コンパクトエフェクターを並べた感覚」で直感的に操作できるのが最大の特徴です。各エフェクトに専用のノブが用意されており、演奏中でも素早く音色を調整できます。最新のアンプモデル「AIRD」を搭載し、プロクオリティのサウンドを実現しています。
- BOSS GX-10:2024年後半から2025年にかけての注目モデルです。上位機種GX-100のサウンドエンジンをそのまま小型化し、タッチパネル操作に対応しています。サイズ感と音質のバランスが非常に良く、「ちょうど良い」スペックを求めるギタリストに最適です。
プロユースのハイエンドモデル:Line 6 Helix / BOSS GX-100 / POD Go
プロのレコーディングや大規模なステージにも対応できる、最高峰のモデルです。
- Line 6 Helix / POD Go:アンプモデリングの業界標準とも言えるLine 6の上位シリーズです。リアルなアンプサウンドと柔軟なルーティング機能は、音作りに一切の妥協を許しません。特にPOD Goは、Helixのサウンドを継承しつつ、フットスイッチやペダルを備えたフロアタイプとして人気があります。
- BOSS GX-100:フラッグシップモデルGT-1000譲りの高音質と、カラータッチパネルによる操作性を兼ね備えています。接続順を自由に変更できる柔軟性があり、あらゆるジャンルの音楽に対応可能です。
ライブハウスでの接続方法完全ガイド:アンプのインプット・リターン・PA直
マルチエフェクターは、繋ぎ方によって音が大きく変わります。
ライブハウスのアンプを使う場合や、アンプを使わずにPAへ送る場合など、状況に合わせた適切な接続方法を選びましょう。
ギターアンプのインプット(前面)に繋ぐ場合の基本設定
最も一般的で簡単な方法は、アンプの前面にある「INPUT」端子に接続することです。
スタジオや自宅のアンプと同じ感覚でセッティングできます。
この場合、アンプ側のプリアンプ(音色を作る回路)を通ることになるため、マルチエフェクター側のアンプシミュレーターはOFFにするか、特性のフラットなプリアンプモデルを選ぶのが基本です。
アンプ側の設定は、EQをフラット(12時)にし、歪みのないクリーンな状態を作ることで、マルチエフェクターで作った音を素直に出力できます。
アンプの「リターン挿し」とは?プリアンプを活かす4ケーブルメソッド
「リターン挿し」とは、アンプの背面にある「RETURN」端子(またはPOWER AMP IN)にマルチエフェクターを接続する方法です。
これにより、アンプ固有のプリアンプ回路をバイパスし、パワーアンプとスピーカーのみを使用することができます。
リターン挿しのメリット
- アンプごとの個体差(プリアンプのクセ)の影響を受けにくくなる。
- マルチエフェクターで作ったアンプモデルの音を、より忠実に再生できる。
さらに高度な接続として「4ケーブルメソッド」があります。
これはマルチエフェクターのセンド/リターン端子とアンプのインプット/センド/リターン端子を4本のケーブルで繋ぐ方法です。
アンプのプリアンプ音とマルチエフェクターの内蔵エフェクトを自由に組み合わせて使うことができる、プロ御用達の接続方法です。
マルチエフェクターを「PA直(ライン)」で繋ぐメリットとDIの必要性
ギターアンプを使用せず、マルチエフェクターから直接PAミキサーへ信号を送る方法を「PA直(ライン出し)」と呼びます。
PA直のメリット
- ステージ上のアンプの状態に関わらず、常に一定のクオリティの音を客席に届けられる。
- アンプからの生音が減るため、ステージ上の中音がスッキリし、他のメンバーの音が聴きやすくなる。
PAへ送る際は、通常「DI(ダイレクトボックス)」と呼ばれる機器を経由します。
多くのライブハウスにはDIが常設されていますが、マルチエフェクターによってはXLR出力端子を備え、DI機能として使えるモデルもあります。
ただし、BOSS GT-1Bのようにバランス出力がないモデルの場合は、別途DIを用意するか、PAエンジニアにDIを用意してもらう必要があります。
キャビネットシミュレーター(IR)の正しいON/OFF設定
接続方法によって、キャビネットシミュレーター(キャビシミュ)の設定を切り替えることが非常に重要です。
- ギターアンプに繋ぐ場合:キャビネットシミュレーターは「OFF」にします。実物のキャビネットから音が出るため、シミュレーターを重ねてしまうと音がこもってしまいます。
- PA直(ライン)で繋ぐ場合:キャビネットシミュレーターは「ON」にします。これがないと、ギターらしいふくよかさが失われ、ジリジリとした耳障りな音になってしまいます。
最近の機種では、出力先(OUTPUT SELECT)を選ぶだけで、自動的に最適な設定にしてくれるものも増えています。
ライブで失敗しない音作りのコツ!「音量差」と「音抜け」対策
ライブで最も多い失敗の一つが「音量バランス」です。
家では完璧だと思っても、バンドで合わせると聞こえなかったり、逆にうるさすぎたりすることがよくあります。
クリーン・バッキング・ソロの「音量差」を揃える具体的な手順
複数のパッチ(音色)を切り替えて使う場合、それぞれの音量差を整える必要があります。
音量がバラバラだと、クリーントーンになった途端に音が消えたり、歪ませた瞬間に爆音になったりと、聴いている側にとって非常にストレスになります。
音量調整の手順
- まず基準となる「バッキング用」の歪み音色を決め、アンプからの出音をバンド全体の音量に合わせます。
- 次に「クリーン」の音色を出し、バッキング用と同じくらいの聴感上の音量になるよう調整します。※歪みよりもクリーンの方が音が大きく聞こえやすいため、メーター上の数値だけでなく耳で判断することが大切です。
- 最後に「ソロ用」の音色を、バッキングよりも少し大きく(ブースト)設定します。
ライブで音が聞こえない?モニタースピーカー環境を考慮したEQ設定
「自分の音が聞こえない」からといって、単に音量を上げるのは逆効果になることがあります。
音が聞こえにくい原因の多くは、他の楽器と周波数帯域が被っていることです。
特にベースやバスドラムとかぶる低音域を上げすぎると、全体がモコモコして抜けが悪くなります。
EQ設定のポイント
- Low(低域): バンドアンサンブルではベースに任せるため、少しカット気味にします。
- Mid(中域): ギターの「おいしい帯域」です。ここをしっかりと出すことで、音量を上げすぎなくても音が前に飛ぶようになります。
- High(高域): 上げすぎると耳に痛い音になるので、バンド全体のバランスを見ながら調整します。
トラブル回避!「無色設定(バイパス音)」を作って基準にする方法
音作りの迷宮に迷い込まないための裏技として、「無色設定」のパッチを作っておくことをおすすめします。
これは、アンプシミュレーターやエフェクトを全てOFFにし、ボリュームペダルやマスターボリュームだけが効く状態にしたパッチです。
無色設定のメリット
- 基準が作れる: ギターとアンプ本来の音を確認できるため、エフェクトを足していく際の基準になります。
- トラブル時の避難場所: 本番中に作った音が極端におかしくなった場合、とりあえずこのパッチに切り替えれば、最低限「ギターの音」を出して演奏を続けることができます。
まずこの「無色設定」でアンプとの音量バランスを取り、そこから各エフェクトを足していく方法が、最も失敗の少ない音作り手順です。
パッチ切り替え時の「音切れ」を防ぐ機能(スナップショットなど)の活用
マルチエフェクターの弱点として、パッチを切り替える際に一瞬音が途切れる「音切れ」があります。
これを防ぐために、最近の機種には「スナップショット(Line 6)」や「シーン(BOSS)」といった機能が搭載されています。
これは、1つのパッチの中で複数のエフェクトのON/OFF状態を切り替える機能です。
パッチそのものを切り替えるわけではないため、音切れが発生せず、ディレイやリバーブの残響音を残したまま(スピルオーバー)音色を変えることができます。
曲中のスムーズな展開には欠かせない機能ですので、ぜひ活用してください。
リハーサルから本番までの準備とトラブルシューティング
素晴らしい機材と音作りができても、当日の準備不足で台無しになっては意味がありません。
リハーサルと本番をスムーズに進めるためのチェックポイントを確認しましょう。
スタジオ練習で確認すべき「外音」と「中音」のバランス
リハーサルスタジオでは、アンプから出る音(中音)だけでなく、バンド全体で合わせた時の聞こえ方(外音のイメージ)を確認します。
メンバーに「ギターの音、うるさくない?」「ソロ聞こえる?」と積極的に確認し、音量やEQの最終調整を行いましょう。
また、本番で使用するアンプと同じ機種がスタジオにある場合は、必ずそのアンプを使って音作りをしておくことが成功への近道です。
当日慌てないために!電源確保とケーブル周りのチェックリスト
ライブ当日は予期せぬトラブルが起こりやすいものです。
以下のアイテムを忘れずにチェックしましょう。
- 電源アダプター: マルチエフェクター専用のアダプターは必須です。電池駆動の場合でも、予備の電池を必ず用意しましょう。
- 延長コード: ステージ上のコンセントが遠い場合に備えて、長めの電源タップがあると安心です。
- 予備のシールド: ケーブルの断線は突然起こります。最低1本は予備を持っておきましょう。
ライブ中に音が鳴らない・設定が飛んだ時の緊急対応マニュアル
もし本番中に音が出なくなったら、慌てずに以下の手順で確認します。
- ボリュームペダル: 誤ってペダルを踏み込み、音量がゼロになっていないか確認します。
- チューナー: チューナーモード(ミュート状態)になっていないか確認します。
- ケーブル: ギター側のジャックや、アンプへの接続が抜けていないか確認します。
- 電源: 電源が落ちていないか確認します。
設定がおかしくなってしまった場合は、前述の「無色設定」パッチへ避難するか、あらかじめ設定しておいた「マニュアルモード(コンパクトエフェクター感覚で操作するモード)」に切り替えて乗り切りましょう。
まとめ:マルチエフェクター ライブの完全ガイド
ライブでマルチエフェクターを使いこなすためのポイントをまとめました。
- マルチエフェクターは転換が早くトラブルも少ないため、ライブでの使用に最適です。
- 最新機種は音質が大幅に向上しており、プロの現場でも通用するクオリティを持っています。
- 初心者にはBOSS GT-1やM-VAVE MK-300などのコスパに優れたモデルがおすすめです。
- アンプの「インプット」と「リターン」では、適切な設定が異なるため注意が必要です。
- PA直で接続する場合は、必ずキャビネットシミュレーターをONにします。
- 音作りでは、まず「無色設定」を作り、そこを基準にエフェクトを足していくと失敗しません。
- 音量差は「聴感上」で揃え、ソロは少しブーストさせるのが基本です。
- 「音切れ」を防ぐには、スナップショットやシーン機能を活用しましょう。
- リハーサルでは中音と外音のバランスを確認し、EQで補正を行います。
- 予備の電池やケーブルを準備し、トラブルに備えることで安心して演奏できます。
マルチエフェクターは、あなたのライブパフォーマンスを強力にサポートしてくれる頼もしい相棒です。
この記事を参考に、自信を持ってステージに立ち、最高の音を観客に届けてください。

