近年、ギター本体にエフェクト機能を搭載した「スマートギター」が急速に普及しています。
その中でも、実戦的なマルチエフェクター機能を内蔵し、宅録からライブまで1本で完結できると話題なのが「Divitone MF Studio」です。
従来のスマートギターとは異なり、木製ボディを採用し、本格的なアンプサウンドを追求している点が大きな特徴といえます。
この記事では、Divitone MF Studioの音質や機能、競合製品との違いについて、レビュー解説を行います。
実際に購入を検討されている方が、ご自身の演奏スタイルに合っているかどうかを判断するための情報をお届けします。
Divitone MF Studioとは?マルチエフェクター内蔵スマートギターの特徴
Divitone MF Studioの基本スペックと製品概要
Divitone MF Studioは、一般的なエレキギターのボディに、高度なデジタル処理を行うDSP(デジタル信号処理)チップを内蔵した次世代の楽器です。
ギターとしての基本構成は、ボディ材にマホガニーに近い特性を持つ「オクメ」、ネックには「メイプル」、指板には「パープルハート」を採用しています。
ピックアップはハムバッカーを2基搭載しており、電源オフの状態でも通常のエレキギターとしてアンプに繋いで演奏することが可能です。
重量やバランスも一般的なストラトキャスタータイプに近く、スマートギター特有の奇抜なデザインではなく、伝統的なエレキギターの操作感を踏襲しています。
小型マルチ「PocketMaster」同等の高音質エフェクトを内蔵
このギターの最大の特徴は、内蔵されているエフェクトエンジンのクオリティの高さにあります。
同ブランドと関連の深いHotoneやSonicakeの技術が投入されており、小型マルチエフェクターとして評価の高い「PocketMaster」と同等のサウンドエンジンを搭載しています。
おもちゃのような簡易的なエフェクトではなく、ノイズゲート、コンプレッサー、オーバードライブ、アンプモデリング、IRキャビネット、空間系など、本格的なシグナルチェーンをギター内部で完結させています。
そのため、ギターからシールド1本でPA卓やオーディオインターフェースに繋ぐだけで、完成されたギターサウンドを出力することが可能です。
AIアンプキャプチャ「NAM」対応でリアルなアンプサウンドを実現
最新のファームウェアアップデートにより、Divitone MF Studioは「NAM(Neural Amp Modeler)」に対応しました。
NAMとは、AI(人工知能)技術を用いて実機のアンプやエフェクターのサウンドをキャプチャ(複製)するオープンソースの技術です。
これにより、ユーザーは世界中の有志が作成した膨大なアンプデータのファイルをギター本体に読み込ませることができます。
5万円台のギターでありながら、数十万円クラスのハイエンド機材でしか扱えなかったようなリアルなアンプサウンドを鳴らせる点は、他社のスマートギターにはない圧倒的な強みです。
交換可能な18650バッテリー採用で長く使える設計
デジタルガジェットとしての側面を持つスマートギターにおいて、バッテリーの寿命は大きな課題ですが、本機は解決策を持っています。
Divitone MF Studioは、背面のパネルからアクセスできる「18650リチウムイオンバッテリー」を採用しています。
これは汎用性の高い規格の充電池であるため、万が一バッテリーが劣化しても、ユーザー自身で簡単に新しい電池に交換することが可能です。
内蔵バッテリーが交換不可能な製品が多い中、楽器として長く使い続けられるメンテナンス性の高さは、プロユースや長期愛用を考える上で非常に重要なポイントといえます。
Divitone MF Studioの実機レビュー!音質と演奏性を徹底検証
内蔵エフェクトとピックアップシミュレーターの音質評価
音質に関しては、現代のマルチエフェクターらしい、クリアで解像度の高いサウンドです。
内蔵のピックアップシミュレーターを使用することで、搭載されているハムバッカーの音を、ストラトキャスターのシングルコイルや、アコースティックギターのサウンドに変換できます。
シミュレーター特有のデジタル臭さは若干あるものの、ライブやアンサンブルの中で使用するには十分なクオリティです。
特に歪み(ドライブ)サウンドの質が高く、ギターの手元だけでクリーンから激しいリードトーンまで、破綻することなくスムーズに変化させることができます。
オクメボディ・メイプルネックの質感と弾き心地
演奏性については、価格以上の丁寧な作り込みが感じられます。
特にフレットの端(エッジ)の処理が丸く仕上げられており、ネックを握り込んだ際に手に刺さるような感覚がなく、スムーズなフィンガリングが可能です。
ネックのシェイプは「Cシェイプ」で、極端に薄すぎず厚すぎない、握りごたえのある標準的な太さです。
ボディのエルボーコンター(肘が当たる部分の削り加工)などは好みが分かれる部分ですが、座って弾く際もバランスが良く、長時間弾いていても疲れにくい設計になっています。
5wayセレクターによるサウンド切り替えの操作感
操作面で最も画期的なのは、通常のギターではピックアップを切り替えるための「5wayセレクター」が、プリセット切り替えスイッチとして機能する点です。
例えば、セレクターを一番上にすると「クリーン」、真ん中で「クランチ」、一番下で「リード」といったように、全く異なる音色を一瞬で切り替えることができます。
足元のエフェクターを踏み変える必要がなく、手元の操作だけで曲の展開に合わせた音色チェンジが可能です。
この機能により、スタジオ練習やちょっとしたセッションにおいて、機材を持ち込まずとも多彩なアプローチができるようになります。
専用アプリの使い勝手と音作りの自由度
音作りは、iOSおよびAndroid対応の専用アプリ「Divitone」とBluetooth接続して行います。
アプリの画面では、アンプやエフェクターのアイコンを並べ替えてシグナルチェーンを構築する、一般的なマルチエフェクターと同じ操作感です。
パラメータの調整項目は多岐にわたり、イコライザーの微調整やディレイのタイム設定など、かなり追い込んだ音作りが可能です。
初心者には項目が多く感じるかもしれませんが、プリセットも多数用意されているため、まずはそれらを選んで微調整するだけでも十分楽しめます。
Divitone MF StudioとENYA Nova GO Sonicの違いを比較
【最大の違い】内蔵スピーカーの有無と用途の差
Divitone MF Studioと、よく比較される「ENYA Nova GO Sonic」の決定的な違いは、本体スピーカーの有無です。
ENYA Nova GO Sonicは本体にスピーカーを内蔵しており、ギター単体で音を出して楽しむことができます。
一方、Divitone MF Studioはスピーカーを搭載していません。
そのため、Divitoneの音を聞くには、必ずヘッドホンを接続するか、シールドケーブルでアンプやスピーカーに繋ぐ必要があります。
【機能比較】本格的な音作りのDivitone vs 手軽さのENYA
機能面でのコンセプトも大きく異なります。
ENYAは「手軽さ」を重視しており、ボタン一つで4つのプリセットを切り替えるシンプル操作で、電源を入れてすぐに弾けるのが魅力です。
対してDivitoneは「本格的な音作り」を重視しており、詳細なパラメータ設定やNAMの読み込みなど、ギター内蔵型マルチエフェクターとしての性格が強いです。
リビングで気軽に爪弾きたいならENYA、スタジオや宅録でこだわった音を出したいならDivitoneという住み分けになります。
【メンテナンス】バッテリー交換可否とボディ素材の違い
ハードウェアの素材やメンテナンス性にも違いがあります。
ENYAはカーボンファイバー一体成型のため、湿度変化に強く頑丈ですが、フレット交換などの調整は難しい場合があります。
Divitoneは伝統的な木材とボルトオンネックを採用しているため、一般的なギターリペアショップでの調整やパーツ交換が容易です。
また、前述の通りDivitoneはバッテリー交換が可能ですが、ENYAは内蔵式のためバッテリー交換には分解が必要となる点も考慮すべき違いです。
結論:あなたにおすすめなのはどっち?比較表で解説
これまでの比較を以下の表にまとめました。
| 特徴 | Divitone MF Studio | ENYA Nova GO Sonic |
| 本体スピーカー | なし(ヘッドホン/アンプ必須) | あり(単体で音が出る) |
| 音質・機能 | 本格的マルチ・NAM対応 | 簡易エフェクト・シンプル |
| 操作性 | 5wayセレクターでプリセット切替 | ボタンで4色切替 |
| ボディ素材 | 木材(オクメ/メイプル) | カーボンファイバー |
| バッテリー | 交換可能(18650電池) | 内蔵式(交換困難) |
| おすすめ | 音作り派・宅録・スタジオ | 手軽さ重視・リビング練習 |
購入前に知っておきたいDivitone MF Studioの注意点・デメリット
ハードウェア(ペグ・ブリッジ)の品質と調整の必要性
コストパフォーマンスに優れた製品ですが、ペグ(チューニングを合わせる部品)やブリッジなどの金属パーツは、価格相応のグレードです。
チューニングの安定性やアーミングのスムーズさを求める場合、ロック式ペグや精度の高いブリッジに交換する「改造ベース」として考えるのも一つの手です。
また、通販で購入した場合、一般的な楽器店のようなセットアップ(弦高調整など)がされていない状態で届くことがあるため、最初に自分好みに調整する必要があります。
スピーカー非搭載のためヘッドホンかアンプが必須
繰り返しになりますが、本機にはスピーカーがありません。
「スマートギター=本体から音が出る」というイメージで購入すると、期待外れになってしまうため注意が必要です。
必ず有線のヘッドホンやイヤホン、または外部のアンプを用意する環境で使用することを前提としてください。
Bluetooth接続の手順とアプリの仕様について
スマートフォンとのBluetooth接続には、「オーディオ再生用」と「アプリ操作用(コントロール)」の2種類の接続が必要になる場合があります。
また、アプリの接続やNAMファイルの転送には、ギター本体のファームウェアを最新にする必要があるため、購入後はまずPCに接続してアップデートを行うことを強く推奨します。
デジタル機器の操作に不慣れな方は、最初のセットアップで少し戸惑う可能性があることを理解しておきましょう。
Divitone MF Studioの評判・口コミから見るリアルな評価
良い評判:荷物が減らせる利便性とサウンドクオリティ
ユーザーからの高評価として最も多いのは、「リハーサルに行く際の荷物が劇的に減った」という声です。
重いエフェクターボードを持ち運ぶ必要がなく、ギターケースのポケットにシールドを入れるだけで済む身軽さは、多くのギタリストにとって革命的です。
また、「期待以上の音が出る」「アンプシミュレーターの質が高く、宅録でも即戦力になる」といったサウンド面での満足度も非常に高い傾向にあります。
悪い評判:細部の仕上げや初期設定への戸惑い
一方で、ネガティブな評価としては「ペグの動きが渋い」「初期状態の弦高が高い」といったハードウェアの仕上げに関する指摘が見られます。
また、多機能ゆえに「アプリの使い方が直感的ではない」「ファームウェアの更新方法が分かりにくい」といった、デジタル機能への不満も一部存在します。
これらは、ギターそのものの欠陥というよりは、多機能なデバイス特有の学習コストや、低価格帯ゆえのコストカット部分と言えるでしょう。
口コミから分かる「買って満足する人・後悔する人」
評判を総合すると、ある程度ギター機材の知識があり、自分で調整や設定を楽しめる「中〜上級者」は高い満足度を得ています。
一方で、ギターを始めたばかりで、「箱から出してすぐに完璧な状態で弾きたい」「難しい設定なしで音を出したい」と考える完全な初心者の場合、少しハードルが高く感じるかもしれません。
しかし、一台で音作りの基礎から応用まで学べるため、学習意欲のある初心者にとっては最高の教材ともなり得ます。
Divitone MF Studioはどんなユーザーにおすすめ?
機材を最小限にしてリハやライブを行いたい中~上級者
普段からマルチエフェクターやアンプシミュレーターを使用しているギタリストにとって、Divitone MF Studioは最強のサブ機、あるいはメイン機になり得ます。
ちょっとしたセッションや、転換時間の短いライブイベントなどで、PA卓に直結するだけでいつもの自分のサウンドが出せる安心感は絶大です。
自宅でのレコーディング(宅録)をシンプルにしたい人
USBケーブルでPCやスマホと接続すれば、オーディオインターフェースとしても機能します。
DTM(デスクトップミュージック)環境において、別途インターフェースやプラグインを立ち上げることなく、ギター本体で作った音をそのままDAWソフトに録音できるため、アイデアを形にするスピードが格段に上がります。
本格的なエフェクトや音作りを学びたい初心者
これからエフェクターについて学びたい初心者の方にもおすすめです。
実機のエフェクターを一つずつ買い揃えると多額の費用がかかりますが、本機なら100種類以上のエフェクトが使い放題です。
どのような接続順にすればどんな音がするのか、アプリ上で視覚的に学びながら音作りのセンスを磨くことができます。
Divitone MF Studioの価格情報とまとめ
現在の実売価格と購入可能なショップ
Divitone MF Studioは、公式代理店であるHot Musicのオンラインショップや、AmazonなどのECサイトで購入可能です。
2025年現在、実売価格は約59,400円前後で推移しています。
一般的なマルチエフェクター単体でも数万円することを考えると、ギター本体とセットでこの価格は非常にコストパフォーマンスが高いといえます。
カラーバリエーションや在庫状況は時期によって変動するため、購入前には各サイトで最新情報をチェックすることをおすすめします。
まとめ:Divitone MF Studio レビュー解説と総評
Divitone MF Studioは、単なる「飛び道具」ではなく、実用性を極めた次世代のギアです。
スピーカー非搭載という点は用途を選びますが、その分、ライン出力されるサウンドの質は本物です。
「ギターを弾く」という行為そのものを、より身軽に、よりクリエイティブにしてくれる一本といえるでしょう。
- Divitone MF Studioは本格的なマルチエフェクターを内蔵した木製スマートギター
- 内蔵エフェクトは「PocketMaster」同等で、AIアンプキャプチャ「NAM」にも対応
- スピーカーは非搭載のため、ヘッドホンやアンプへの接続が必須となる
- ENYA製品と比較すると、Divitoneは「音作り」や「現場での実用性」に特化している
- 5wayセレクターでプリセットを一瞬で切り替えられる機能がライブで強力
- バッテリーは交換可能な18650電池を採用しており、メンテナンス性が高い
- ペグなどのハードウェアは価格相応だが、カスタムベースとしても優秀
- アプリでの音作りは自由度が高く、多彩なジャンルに対応可能
- 荷物を減らしたい中級者や、エフェクトを学びたい初心者に最適
- 5万円台という価格帯では破格の機能性を持ち、コスパは非常に高い

