愛用のギブソンギターがいつ、どこで生まれたのか、気になったことはありませんか。
その歴史を解き明かす鍵となるのが、ヘッド裏やラベルに刻まれた「シリアルナンバー」です。
ギブソンのシリアルナンバーには、現行の9桁や広く知られる8桁のものから、ヴィンテージに見られる6桁や5桁、さらにはシリアルナンバーがない個体まで、様々なパターンが存在します。
この複雑さが、ギブソンの歴史の深さを物語っているのです。
この記事では、ギブソンのシリアルナンバー、特に「9桁」の読み方をはじめ、各年代のナンバー体系の見方、モデルごとにシリアルが記載されている場所、そしてナンバーが存在しない理由まで、あなたの疑問を解決するために徹底的に解説します。
この記事を読み終える頃には、愛器への理解がさらに深まっていることでしょう。
ギブソン シリアルナンバー 9桁の基本的な見方と調べ方

ギブソンシリアルナンバーの基本的な見方
ギブソンのシリアルナンバーは、単なる製造番号ではありません。
それは、ギター1本1本のIDであり、その個体の製造年月日、製造工場、そしてその日に何番目に作られたかといった情報が凝縮されたコードなのです。
このシリアルナンバーを正しく読み解くことで、私たちはギターの素性を正確に知ることができます。
ギブソン社がこのような体系的なシリアルナンバーを導入した主な理由は、品質管理と製品のトレーサビリティ(追跡可能性)を確保するためです。
特に生産本数が増加するにつれて、各個体を正確に識別し、管理する必要性が高まりました。
現在最も広く使われているのは、2005年後半から採用された9桁のシリアルナンバーです。
このシステムは「YDDDYBPPP」という形式で構成されており、非常に詳細な情報を含んでいます。
- Y (1桁目): 製造年の末尾1桁
- DDDY (2〜5桁目): 製造年の通算日と、製造年の末尾から2番目の桁
- B (6桁目): バッチナンバー
- PPP (7〜9桁目): その日のバッチ内での製造順
例えば、シリアルナンバーが「136450123」だった場合、1桁目の「1」と5桁目の「5」を組み合わせて、2015年製であることがわかります。
このように、シリアルナンバーは年代によってその解読方法が異なりますが、その基本は「いつ・どこで・何番目に」作られたかを示すためのものであると理解しておくことが重要です。
ギブソンのシリアルナンバーはギターのどこにある?
ギブソンギターのシリアルナンバーを見つけるには、まずモデルの特性を知ることが大切です。
記載されている場所は、モデルのタイプ(ソリッドボディ、セミアコースティック、アコースティックなど)によって、いくつかの決まったパターンがあります。
最も一般的で多くの人が目にする場所は、ギターの「ヘッドストックの裏側」です。
ここは確認がしやすく、演奏中に邪魔になることもないため、多くのソリッドボディ・エレクトリックギターで採用されています。
しかし、全てのモデルがヘッド裏にあるわけではありません。
モデルごとの代表的な記載場所を把握しておくと、自分のギターや中古楽器店でギターをチェックする際にスムーズです。
以下に、主要モデルごとのシリアルナンバー記載場所をまとめました。
モデルタイプ | 代表的なモデル | シリアルナンバーの主な記載場所 |
ソリッドボディ | Les Paul, SG, Flying V, Firebird, Explorer | ヘッドストックの裏側(刻印またはインクスタンプ) |
セミアコ/フルアコ | ES-335, ES-175, Byrdland | Fホールから見えるボディ内部のオレンジラベル、またはヘッドストックの裏側 |
アコースティック | J-45, Hummingbird, J-200, Dove | サウンドホールから見えるボディ内部のラベル、またはネックブロック(ネックとボディの接合部)へのスタンプ |
特にヴィンテージのセミアコースティックやフルアコースティックモデルでは、オレンジ色や白色のラベルにモデル名と共にシリアルナンバーが印字されていることが多く、ギターの個性を象徴する部分にもなっています。
また、アコースティックギターの場合は、ネックがボディに接合されている「ネックブロック」と呼ばれる木製のブロックに、直接スタンプされていることも少なくありません。
自分のギターのシリアルナンバーを探す際は、まずヘッド裏を確認し、見当たらない場合はモデルのタイプに応じてラベルやネックブロックをチェックしてみてください。
ギブソンシリアルナンバー8桁の読み解き方
ギブソンの歴史の中で、1977年から2005年半ばまでという長期間にわたって採用されていたのが、8桁のシリアルナンバー体系です。
多くのギブソンオーナーにとって最も馴染み深い形式かもしれません。
この8桁のシリアルは「YDDDYPPP」という非常に合理的なフォーマットで構成されています。
このフォーマットを理解すれば、誰でも簡単に愛器の誕生日を知ることができます。
- Y (1桁目と5桁目): 製造年を示します。
- DDD (2〜4桁目): その年の1月1日から数えて何日目かを示す「通算日」です。
- PPP (6〜8桁目): 製造工場とその日の製造順を示します。
具体例を挙げて読み解いてみましょう。
例えば、シリアルナンバーが「82143501」だったとします。
- 製造年 (Y) の特定: 1桁目の「8」と5桁目の「3」を組み合わせ、「1983年製」であると判断します。
- 製造日 (DDD) の特定: 2〜4桁目の「214」は、1983年の1月1日から数えて「214日目」に製造されたことを意味します。これは、おおよそ8月上旬にあたります。
- 工場と製造順 (PPP) の特定: 6〜8桁目の「501」で製造工場と順番がわかります。ギブソンはこの時期、主に2つの工場でギターを製造しており、番号で区別していました。
- 001-499: ナッシュビル工場 (テネシー州)
- 500-999: カラマズー工場 (ミシガン州) ※1984年に閉鎖
- 500番台であるため、このギターは「カラマズー工場」で、その日の1番目に製造されたギターということになります(500を引いた数が順番)。
このように8桁のシリアルナンバーは、パズルを解くようにギターの出自を明らかにできる、非常に優れたシステムです。
便利なギターシリアルナンバー検索サイト
ギターのシリアルナンバーから製造年を手軽に調べたいとき、オンラインの検索サイトは非常に便利なツールとなります。
中でも「The Guitar Dater Project」は、多くのギタープレイヤーに知られている有名なサイトの一つです。
これらのサイトは、メーカー名を選択し、シリアルナンバーを入力するだけで、自動的に製造年や工場などの情報を割り出してくれる手軽さが魅力です。
特に、ギブソンのように年代によってシリアル体系が複雑に変化するメーカーの場合、こうしたツールは初歩的な調査の第一歩として役立ちます。
しかし、これらの検索サイトを利用する際には、重要な注意点があります。
それは、表示される結果が「100%正確であるとは限らない」ということです。
検索サイト利用時の注意点
- 非公式サイトであること:これらのサイトの多くは、ギター愛好家や個人が収集したデータを基に運営されており、ギブソン社の公式データベースではありません。そのため、情報が古かったり、一部の例外的なシリアルに対応していなかったりする場合があります。
- ヴィンテージモデルの限界:特に、シリアルナンバーが重複していた60年代や、体系が不規則だったそれ以前の年代については、誤った結果を表示するか、「特定できない」と表示されることがよくあります。これらの年代の特定には、サイトの情報だけを鵜呑みにするのは危険です。
- あくまで参考情報として:ギターシリアルナンバー検索サイトは、あくまで「参考情報」や「目安」として活用するのが賢明な使い方です。表示された結果は一つの手がかりとし、最終的な判断は、後述するポットデイトやパーツの仕様など、他の要素と総合的に照らし合わせて行う必要があります。
結論として、検索サイトは便利ですが、その情報の信頼性には限界があると理解した上で利用することが大切です。
シリアルナンバーがないのはなぜ?理由を解説
愛用のギブソンや、中古楽器店で見つけた魅力的な一本にシリアルナンバーが見当たらないと、「これは偽物なのでは?」と不安に思うかもしれません。
しかし、シリアルナンバーがない理由は、必ずしも偽造品であるとは限りません。
その背景には、ギターが経てきた歴史や、製造された時代の特性など、複数の可能性が考えられます。
性急に偽物だと判断する前に、以下の理由を考慮することが重要です。
リフィニッシュや修理による消失
最も一般的な理由の一つが、ボディやネックの再塗装(リフィニッシュ)です。ヴィンテージギターが長年使用される過程で塗装が劣化し、全面的なリフィニッシュが行われることがあります。その際、サンディング(塗装を剥がす作業)によって、ヘッド裏の刻印やスタンプが消えてしまうのです。同様に、ネック折れの修理など、ヘッド周りの大きな修復作業によってもシリアルナンバーは失われることがあります。
1952年以前の初期モデル
ギブソンがシリアルナンバーを体系的に導入し始めたのは1952年頃からです。それ以前に製造されたモデルには、そもそもヘッドにシリアルナンバーが打たれていないのが普通でした。代わりに、ボディ内部に「F.O.N (Factory Order Number)」と呼ばれる工場での管理番号がスタンプされていることがありますが、これも全ての個体に存在するわけではありません。
プロトタイプやサンプル品
製品として市場に出る前に作られる試作品(プロトタイプ)や、楽器ショーなどで展示されるためのサンプル品には、正規のシリアルナンバーが打たれていないことがあります。これらの個体は非常に希少価値が高いですが、出自を証明するのが難しい場合もあります。
デカールタイプの剥がれ(70年代中期)
1975年から1977年頃にかけて、ギブソンはシリアルナンバーを刻印ではなく、デカール(転写シール)で貼り付けていました。このデカールは経年劣化や摩擦によって剥がれやすく、完全に失われてしまっている個体も少なくありません。
偽造品(コピーモデル)の可能性
もちろん、上記のいずれにも当てはまらず、意図的に作られた偽造品である可能性もゼロではありません。しかし、他の理由も十分に考えられるため、「シリアルがない=偽物」と短絡的に結論づけるのは避けるべきです。年代やモデルの仕様、パーツなどを総合的に見て判断することが求められます。
ギブソン シリアルナンバー 9桁以外の年代別パターン

不規則?ギブソン50年代のシリアルナンバー
1950年代は、ギブソンにとってレスポール・モデルの誕生など、黄金時代の幕開けとも言える重要な時期です。
しかし、シリアルナンバーに関しては、まだシステムが確立されておらず、手探りの状態であったことがうかがえます。
この年代のシリアルナンバーは、後のような体系的な規則性がなく、一見すると不規則に感じられるかもしれません。
その理由は、当時まだ生産管理が手作業に大きく依存しており、シリアルナンバーも厳密なデータベース管理というよりは、製造順の連番を記録する程度の意味合いだったためです。
1952年以前
前述の通り、1952年より前に製造されたギブソンには、基本的にシリアルナンバーは存在しません。年代を特定するには、ロゴの書体やパーツの仕様など、他の特徴から推測する必要があります。
1952年〜1961年
この時期から、ヘッドストックの裏側にインクスタンプによるシリアルナンバーが打たれるようになります。しかし、その形式は非常にシンプルでした。
- 1952年〜1953年中期: シリアルナンバーの前にアルファベットの「Y」や「Z」が付くことがあります。
- 1953年中期〜1961年初頭: 基本的に5桁または6桁の数字のみの連番が使用されました。
以下に、この年代のおおよそのシリアルナンバーと年の対応を示しますが、あくまで目安です。生産の都合上、番号が前後したり、飛び番になったりすることも珍しくありませんでした。
シリアルナンバー範囲 | 製造年 (目安) |
1 0100 – 1 6000 | 1953 |
2 1200 – 2 9900 | 1952 |
4 0100 – 4 3800 | 1954 |
9 0200 – 9 9999 | 1959 |
A 30000 – A 36200 | 1959 |
このように、50年代のシリアルナンバーは連番で管理されていたものの、その割り当ては非常に大雑把でした。
そのため、この年代のギターを正確に特定するには、シリアルナンバーだけに頼るのではなく、専門家による鑑定や、他のハードウェアの仕様と照らし合わせることが不可欠です。
混乱期!ギブソン60年代のシリアルナンバー
1960年代は、ロックミュージックの隆盛と共にギブソンギターの需要が爆発的に増加した時代です。
しかし、その裏側で、シリアルナンバーの管理は歴史上最も混乱した「暗黒時代」を迎えることになります。
この年代のシリアルナンバーを特定するのが極めて困難な理由は、生産本数の急増や工場の管理体制の変更が重なり、なんと「同じシリアルナンバーが複数の年にまたがって使用される」という事態が多発したためです。
例えば、シリアルナンバー「123456」というギターがあった場合、それが1963年製である可能性もあれば、1967年製である可能性もある、という状況が生まれてしまいました。
この混乱を理解した上でないと、ヴィンテージギターの価値を正しく判断することはできません。
なぜ混乱は起きたのか?
- 生産数の急増: ビートルズをはじめとするバンドブームにより、ギターの注文が殺到。生産を追いつかせるために、シリアルナンバーの厳密な管理が後回しにされたと考えられています。
- 管理体制の不備: 異なるモデルの生産ラインで、同じ範囲のシリアルナンバーを同時に使用してしまうなど、工場内での連携ミスがあったと推測されています。
60年代のシリアルナンバー特定方法
このため、60年代のギブソンの年代を特定するには、シリアルナンバーはあくまで一つの手がかりとし、他の仕様と総合的に判断する「総合鑑定」が必須となります。
- ポットデイト: ボリュームやトーンに使われている「ポテンショメーター(ポット)」に刻印された製造年月日。ギター本体の製造年より古い日付であるはずなので、年代を絞り込む強力なヒントになります。
- ヘッド角: 1965年頃を境に、ヘッドの角度が伝統的な17度から14度に変更されます。
- ナット幅: 1965年頃から、ナット幅が広い「ワイドネック」から狭い「ナローネック」へと仕様変更されました。
- ハードウェア: ペグ(糸巻き)やブリッジのブランド(KlusonからGibsonロゴ入りへ)、ピックアップカバーの仕様など、パーツの変遷も年代特定の重要な要素です。
60年代のギターは、こうした複数の証拠を積み重ねて初めて、その本当の生まれ年を明らかにすることができるのです。
ギブソンシリアルナンバー5桁の年代特定
5桁のシリアルナンバーを持つギブソンは、主に1960年代と1970年代初頭に存在します。
しかし、この「5桁」という情報だけでは、正確な年代を特定することは非常に困難です。
その理由は、5桁のシリアルが特定の年代に限定されたシステムではなく、60年代の混乱期に6桁のナンバーと並行して使われたり、70年代に別の体系で再利用されたりした歴史的経緯があるためです。
60年代の5桁シリアル
1960年代、特に前半から中盤にかけて、シリアルナンバーは基本的に連番で割り振られていました。
そのため、99999番以下の5桁の数字は、その連番の過程で当然のように存在します。
例えば、90000番台のシリアルは、記録上1962年と、1966年〜1969年の間に重複して使用されていることが確認されています。
この場合、シリアルナンバーだけを見ても、どちらの年代なのかは判別できません。
70年代の5桁シリアル
1970年代に入っても、5桁のシリアルナンバーが使われることがありました。
これは、60年代のナンバーシステムが継続されたり、新たな体系の中で一時的に使用されたりしたためです。
また、意図せずして5桁になっているケースも存在します。
例えば、6桁のインクスタンプの最初の数字が薄れて読めなくなってしまい、結果的に5桁に見えている、という可能性も考慮に入れる必要があります。
5桁シリアルの年代特定アプローチ
結論として、5桁のシリアルナンバーに出会った場合、年代を特定するには以下の総合的なアプローチが不可欠です。
- 「MADE IN U.S.A.」スタンプの有無: 1970年頃からヘッド裏にこのスタンプが追加されるようになります。スタンプがあれば70年代以降、なければ60年代の可能性が高いと絞り込めます。
- ボリュートの有無: 1969年後半から、ヘッドとネックの付け根に補強材として「ボリュート」が追加されます。この有無も年代を分ける大きな特徴です。
- その他の仕様: 前述のポットデイト、ナット幅、ハードウェアの仕様などを meticulously(細心の注意を払って)確認し、総合的に判断します。
5桁シリアルは、ギブソンの歴史の複雑さを象徴するナンバーと言えるでしょう。
ギブソンシリアルナンバー6桁の年代特定
6桁のシリアルナンバーは、1950年代後半から1975年までという非常に長期間にわたって使用されたため、ギブソンのシリアルナンバーの中で最も注意深く観察する必要がある体系です。
このナンバーを持つギターは、黄金期後半のヴィンテージから、仕様変更が多かった70年代のモデルまで、非常に幅広い年代にわたります。
年代特定が難しい理由は、単一のシステムではなく、ギブソンの歴史の中で最も生産体制が激しく変化した時期をまたいでいるためです。
6桁シリアルの主な変遷
- 1961年〜1962年頃:5桁からの連番として6桁のシリアルが登場します。この時期はまだ番号の重複は少ないですが、過渡期にあたります。
- 1963年〜1969年 (混乱期):前述の通り、生産数の急増によりシリアルナンバーの管理が追いつかず、同じ番号が複数の年にわたって使用される最も混乱した時期です。この期間の6桁シリアルは、番号だけでの特定はほぼ不可能です。
- 1970年〜1975年:シリアルナンバーの管理が少しずつ改善に向かいますが、まだ不規則な部分が残ります。この時期の特定には、「MADE IN U.S.A.」スタンプが重要な鍵となります。
6桁シリアルの年代を絞り込むポイント
以下に、6桁シリアルの年代を特定するための重要なチェックポイントを挙げます。
特徴 | 年代のヒント |
「MADE IN U.S.A.」スタンプがない | 1969年以前の可能性が高い |
「MADE IN U.S.A.」スタンプがある | 1970年以降の可能性が高い |
ヘッド付け根にボリュートがある | 1969年後半以降 |
シリアルナンバーが6桁で「A」から始まる | 1973年〜1975年頃 |
シリアルナンバーの前に「99」が付くデカール | 1974年 |
特に「MADE IN U.S.A.」のスタンプは、60年代と70年代を分ける大きな指標となります。
6桁のシリアルナンバーを持つギターの価値を正しく評価するには、これらの仕様変更の歴史を理解し、細部まで観察する眼が求められます。
まさに、ギター探偵のような知識と洞察力が必要となるナンバー体系なのです。
ギブソンシリアルナンバー7桁の年代特定
ギブソンのシリアルナンバーの中で、7桁のものは比較的珍しく、限定的な期間や特殊なモデルにのみ見られます。
もし7桁のシリアルナンバーを持つギブソンに出会ったら、それは標準的な製造ラインとは少し異なる背景を持つ個体かもしれません。
7桁シリアルは、特定の時期に試験的に導入されたシステムや、リイシュー(復刻)モデルに独自の番号として採用されたケースが主です。
そのため、8桁や9桁のシリアルのように、統一された明確な読み解き方が存在するわけではありません。
1974年〜1975年のデカールシリアル
7桁シリアルの代表的な例として、1970年代中期に見られたデカール(転写シール)タイプのナンバーがあります。
この時期、ギブソンは一時的にシリアルを刻印からデカールに変更しました。
- 形式: 「99 XXXXXX」 (99の後に6桁の数字)
- 読み方: この「99」は、製造年である「1974年」を示していると考えられています。
- 注意点: このデカールは非常に剥がれやすく、現存していても一部が欠けていたり、完全になくなっていたりすることが多いです。
リイシューモデルや限定生産品
1980年代以降に製造されたヒストリック・コレクションなどのリイシューモデルや、カスタムショップ製の限定モデルには、独自の7桁シリアルナンバーが採用されることがあります。
これらのナンバーは、元のモデルが製造された年代のシリアルを模した形式(例: 50年代のレスポールを復刻したモデルなら「9 XXXX」のように、元の年代の形式に似せる)に、リイシューとしての情報が付加されることが多く、その解読方法はモデルごとに異なります。
例えば、「Y R NNN」のような形式で、Yが製造年、Rがリイシューモデルの区分、NNNが製造順を示す、といった具合です。
7桁のシリアルナンバーは情報が限られているため、もし見つけた場合は、そのギターのモデル名を正確に把握し、「(モデル名) 7桁 シリアル」といった形で専門的な情報を調べたり、専門家や信頼できる楽器店に相談したりするのが最も確実な方法と言えるでしょう。
まとめ:ギブソン シリアルナンバー 9桁を理解し愛器を知ろう
- ギブソンのシリアルは製造年・日・工場・順を示すIDである
- 現行の主なシリアルは2005年後半以降の9桁システムである
- 1977年から2005年頃までは合理的な8桁システムが主流であった
- シリアルの場所は主にヘッド裏だがモデルによりFホール内やネックブロックにもある
- 1960年代は番号が重複しシリアルだけでの年代特定は極めて困難である
- 5桁や6桁のシリアルは「MADE IN U.S.A.」の有無など他の仕様と合わせて判断する必要がある
- シリアルナンバーがない個体もリフィニッシュや初期モデルなど偽造品以外の理由がある
- ヴィンテージの年代特定にはポットデイトなどパーツの確認が不可欠である
- オンラインのシリアル検索サイトは便利だが情報はあくまで参考程度に留めるべきである
- 正確な価値判断や年代特定には専門知識やリペアショップによる鑑定が最も有効である