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ギターのアームはいらない?デメリットと後付け・代用テクを解説

エレキギターを弾いていると、「このアームって本当に必要なのだろうか?」と感じることはありませんか。

レスポールなどアームがないギターを使っていると、華麗なアーミングプレイに憧れる一方で、ストラトキャスターなどを手に入れると、チューニングが狂いやすかったり、演奏中に邪魔に感じたりと、デメリットに悩まされることも少なくありません。

この記事では、ギターのアームが「いらない」と感じる理由から、実際にアームを外す方法、そしてアームを使わずにアーミングのような効果を得る代替手段まで、網羅的に解説します。

アームの後付けに関する情報も紹介しますので、あなたの演奏スタイルにアームは必要なのか、この記事を読んで最適な答えを見つけてください。

目次

なぜギターのアームは「いらない」と言われる?5つのデメリットを解説

ギターのアーム(トレモロアーム)は、表現の幅を広げる魅力的なパーツですが、多くのギタリストが「いらない」と感じるのには明確な理由があります。

ここでは、アームが敬遠されがちな5つのデメリットを具体的に解説します。

最大の理由はチューニングが狂いやすくなること

アームがいらないと言われる最大の理由は、チューニングが狂いやすくなる点です。

アームを操作すると、ブリッジが動き、弦の張力が変化します。

この動作により、ナットやブリッジサドル部分で弦がわずかにズレてしまい、元の音程に戻らなくなることが頻繁に起こります。

特に激しいアーミングを行うと、一曲の中でも音程がずれてしまうため、ライブやレコーディングでは致命的な問題になりかねません。

このチューニングの不安定さが、多くのアーム不要派を生み出す原因となっています。

演奏中にアームが邪魔に感じるケースとは?

演奏スタイルによっては、アームそのものが邪魔になることがあります。

例えば、右手をブリッジ付近に置いてミュートしながら弾くブリッジミュートや、リズミカルなカッティング、激しいストロークプレイを行う際に、アームが手に当たってしまい、演奏の妨げになることがあります。

また、意図せずアームに触れてしまうことで、音程が微妙に揺らいでしまうことも少なくありません。

このような演奏時のストレスから、アームを外してしまうギタリストも多く存在します。

弦交換や調整などメンテナンスの手間が増える

アームが搭載されたギター、特にフロイドローズのようなロック式のトレモロユニットは、構造が複雑なためメンテナンスに手間がかかります。

弦交換だけでも、通常のギターに比べて時間と知識が必要です。

さらに、弦の張力とブリッジ裏のスプリングのバランスを調整する必要があり、弦のゲージ(太さ)を変えるだけでも再調整が求められます。

このようなメンテナンスの煩雑さも、アームを敬遠する一因と言えるでしょう。

サスティン(音の伸び)が短くなる?

アーム付きのギターは、ブリッジがボディに固定されていない「フローティング」状態にあるため、弦の振動がボディに伝わりにくくなる傾向があります。

これにより、音が長く伸び続ける力、いわゆる「サスティン」が短くなることがあります。

レスポールのようにブリッジがボディにしっかりと固定されているギターに比べて、音の伸びやかさが失われると感じるプレイヤーもいます。

メロディアスなソロを弾く際など、豊かなサスティンを重視する場合にはデメリットとなり得ます。

初心者には操作が難しく演奏が不安定になりがち

ギター初心者にとって、アームの操作は演奏の難易度を上げる一因となります。

ピッキングやフィンガリングといった基本的な演奏に加えて、アームのコントロールまで意識するのは非常に難しいでしょう。

また、前述のチューニングの不安定さは、音感やピッチの感覚がまだ養われていない初心者にとっては大きなストレスになります。

まずは基本的な演奏技術を安定させるために、アームのないギターを選ぶか、アームを使わない練習に集中することが推奨されることが多いです。

本当に不要?アームを使うメリットと役割を再確認

アームにはデメリットがある一方で、それを補って余りあるほどの表現力をギターに与えてくれます。

ここでは、アームが持つ本来の役割と、アームでしか生み出せない魅力的なサウンドについて再確認してみましょう。

そもそもギターのアームは何のためにある?

ギターのアームは、正式には「トレモロアーム」や「ビブラートアーム」と呼ばれ、音程を滑らかに変化させるためのパーツです。

アームを押し下げると弦の張力が緩んで音程が下がり(アームダウン)、引き上げると張力が増して音程が上がります(アームアップ)。

この操作によって、音に揺らぎ(ビブラート)を加えたり、急激に音程を変動させたりと、通常の演奏では不可能な表現を生み出すことがアームの主な役割です。

チョーキングでは出せない音の表現が可能になる

チョーキング(ベンディング)は音程を上げるテクニックですが、アームは音程を下げることも可能です。

また、チョーキングではせいぜい2~3本の弦しか同時に音程を変えられませんが、アームを使えば6本の弦すべてを均等に、かつ滑らかに変化させることができます。

これにより、コード全体を揺らしたり、音を鳴らした後に急降下させる「ダイブボム」のような過激な効果も生み出せます。

コード弾きにもビブラート効果を加えられる

アームの本来の目的の一つは、単音だけでなくコード(和音)にもビブラートをかけることです。

ブルースなどで聴かれる、コードを押さえたままふわっとした浮遊感を出すプレイは、アームならではの表現です。

指で行うビブラートとは異なり、和音全体の響きを揺らすことで、独特の雰囲気を楽曲に与えることができます。

ジミヘンやジェフ・ベックのような個性的なプレイができる

アーミングといえば、ジミ・ヘンドリックスを思い浮かべる人も多いでしょう。

彼のプレイはアームを駆使することで、それまでのギターサウンドの常識を覆しました。

また、ジェフ・ベックのようにアームを繊細に操り、まるで歌うかのような表現をするギタリストもいます。

このように、アームはギタリストの個性を際立たせ、唯一無二のサウンドを創造するための強力なツールとなり得るのです。

「アームはいらない」派におすすめの選択肢とメリット

もしあなたがアームのデメリットを強く感じ、シンプルな演奏スタイルを好むのであれば、アームが搭載されていないギターを選ぶのが賢明です。

ここでは、アームなしギターのメリットと代表的なモデルを紹介します。

アームなしギターを選ぶメリットとは?

アームなしのギターを選ぶ最大のメリットは、デメリットの裏返し、つまり「チューニングの安定性」です。

ブリッジがボディにしっかりと固定されているため、弦の張力が変化しにくく、激しいプレイでもチューニングが狂いにくいのが特徴です。

また、構造がシンプルなため弦交換やメンテナンスが非常に簡単で、弦の振動がボディに直接伝わることで豊かなサスティンが得やすいという利点もあります。

どんなモデルがある?トレモロアーム非搭載の代表的なギター

トレモロアームが搭載されていないギターの代表格として、以下のモデルが挙げられます。

  • ギブソン・レスポール: 太くパワフルなサウンドと豊かなサスティンが特徴。
    ロックの王道モデルです。
  • フェンダー・テレキャスター: シャープで歯切れの良いサウンドが魅力。
    カントリーからロックまで幅広く使われます。

これらのギターは固定ブリッジを採用しており、アームを使わないプレイヤーにとって非常に扱いやすく、信頼性の高い選択肢となります。

【初心者向け】最初の1本はアームあり・なし、どちらを選ぶべき?

ギターをこれから始める初心者の方には、まずアームなしのギターから始めることをおすすめします。

理由は、チューニングの安定性が高く、メンテナンスも容易なため、演奏の基本技術の習得に集中できるからです。

レスポールタイプやテレキャスタータイプは、シンプルな構造で扱いやすく、挫折しにくいでしょう。

ただし、ヴァン・ヘイレンのようなハードロックが好きで、どうしてもアーミングをやりたいという強い意志がある場合は、最初からアーム付きのギター(ストラトキャスタータイプなど)を選ぶのも一つの手です。

その際は、チューニングが狂いやすいことを理解した上で、練習に取り組む必要があります。

ギターのアームを外したい!取り外し方法と注意点

すでにアーム付きのギターを持っていて、「やっぱりいらない」と感じた場合、アームは簡単に取り外すことが可能です。

ここでは、その方法と注意点について解説します。

トレモロアームの基本的な外し方を種類別に解説

トレモロアームの取り付け方式は、主に「ネジ式」と「差し込み式」の2種類です。

  • ネジ式(ストラトキャスターなど): アームを反時計回りにクルクルと回すだけで簡単に外せます。
  • 差し込み式: 特定の方向に引き抜くだけで外れるタイプがほとんどです。
    固い場合は、少し揺らしながら慎重に引き抜いてください。

特別な工具は基本的に不要で、誰でも手軽に着脱できます。

アームを外した後のギターはどうなる?ブリッジの調整は必要?

アームを外しただけでは、ブリッジはまだ動く状態のままです。

チョーキングした際にブリッジが浮き上がり、他の弦の音程が下がってしまう現象などが起こり得ます。

これを防ぎ、チューニングを安定させるためには、ブリッジを固定化する調整がおすすめです。

ギターの裏蓋を開け、スプリングを強く張ってブリッジをボディに密着させる「ベタ付け」という方法や、トレモロブロックとボディの間に木片などを挟んで完全に固定する方法があります。

これにより、アームなしギターに近い安定感が得られます。

アームが固くて取れない・抜けないときの原因と対処法

アームが固くて外れない場合、いくつかの原因が考えられます。

  • ネジの締めすぎ: 無理に力を入れず、一度締める方向に少し回してから緩めると取れることがあります。
  • ネジ山へのゴミ詰まりや錆: アームの根本に潤滑剤を少量スプレーし、少し時間をおいてから試してみてください。
  • ネジ山の摩耗: 長年の使用でネジ山が潰れてしまっている可能性もあります。

どうしても外れない場合は、無理に力を加えるとギター本体を傷つける恐れがあるため、楽器店やリペアショップに相談することをおすすめします。

アームなしでアーミング効果を出す方法【代替手段】

アームがないギターでも、演奏テクニックや機材を工夫することで、アーミングに近いサウンドを表現することが可能です。

ここでは、代表的な3つの代替手段を紹介します。

テクニックで代用!ネックベンド奏法とは?

ネックベンドは、レスポールタイプのギターなどで使われる力技です。

音を鳴らした状態で、ギターのボディを右手で支えながら、左手でネックのヘッド側を前方にぐっと押し込むことで、弦の張力が緩み、音程が下がります。

アームダウンと似た効果が得られますが、ネックに大きな負担がかかるため、やりすぎるとネック反りや破損の原因になる可能性があり、注意が必要です。

チョーキングやスライドを応用してアームダウンを再現する方法

チョーキングやスライドといった基本的なテクニックを応用することでも、アーミングのようなニュアンスを出すことができます。

例えば、1音チョーキングした状態でピッキングし、そこからゆっくりと元の音程に戻す「チョーキングダウン」は、アームダウンに近い滑らかな音程変化を表現できます。

また、ボトルネックなどを使ったスライド奏法も、滑らかな音程移動という点でアーミングと共通する表現が可能です。

エフェクターで代用できる?おすすめの種類を紹介

最も手軽かつ効果的な代替手段が、エフェクターの使用です。

特に「ワーミーペダル」や「ピッチシフター」といったエフェクターは、ペダル操作で音程を自在にコントロールできるため、アームを使ったようなダイブボムや過激なビブラートを完全に再現できます。

X JAPANのHIDEがレスポールタイプのギターで過激なアーミングサウンドを出していたのは、このワーミーペダルによるものです。

アームなしギターでアーミングプレイをしたい場合、最も現実的で効果的な選択肢と言えるでしょう。

アームなしギターに後付けは可能?方法と費用を解説

「やはりアームが欲しい」となった場合、アームなしのギターに後から取り付けることは可能なのでしょうか。

ここでは、アームの後付けの可否や方法について解説します。

アームの後付けはできる?できない?ギターの種類による違い

結論から言うと、アームの後付けは可能ですが、ギターの種類によって難易度と費用が大きく異なります。

テレキャスターやレスポールのような元々アームがないギターに、ストラトキャスターのようなシンクロナイズドトレモロやフロイドローズを取り付けるには、ボディに大きな穴を開ける「ザグリ加工」という大掛かりな改造が必要です。

ビグスビーなど後付けできるトレモロユニットの種類

大掛かりなボディ加工をせずに後付けできるトレモロユニットとして「ビグスビー(Bigsby)」が有名です。

ビグスビーは、ボディの表面にネジで固定するタイプが多く、比較的簡単に取り付けが可能です。

ただし、激しいアーミングには向いておらず、主に緩やかなビブラートをかけるためのユニットです。

他にも、ボディ加工を最小限に抑える様々な後付け用ユニットが販売されています。

リペアショップに依頼した場合の工賃はどのくらい?

アームの後付けは専門的な知識と工具が必要なため、プロのリペアショップに依頼するのが一般的です。

工賃は、取り付けるユニットの種類や加工の規模によって大きく変動します。

ビグスビーのような比較的簡単な取り付けでも数万円、フロイドローズのようなザグリ加工が必要な場合は、パーツ代と合わせて10万円を超えることも珍しくありません。

場合によっては、新しくアーム付きのギターを購入する方が安く済むケースもあるため、慎重な検討が必要です。

まとめ:ギターのアームはいらないと感じる理由と対策

  • ギターのアームはチューニングが狂いやすく、演奏の邪魔になるなどのデメリットがある
  • アームなしギターはチューニングが安定し、メンテナンスが容易である
  • アームの役割は音程を滑らかに変化させ、チョーキングでは不可能な表現を可能にすること
  • 初心者にはまず基本技術を習得しやすいアームなしギターが推奨される
  • 不要なアームは簡単に取り外しが可能だが、ブリッジの固定化調整が望ましい
  • アームが固くて取れない場合は、無理せずリペアショップに相談すべきである
  • ネックベンドやチョーキングダウンなどのテクニックでアーミングを代用できる
  • ワーミーペダルなどのエフェクターを使えば、アームなしでもアーミングを再現可能である
  • アームの後付けは可能だが、ギターの種類によっては高額な加工費がかかる
  • アームの要不要は自身の演奏スタイルや音楽性によって判断することが重要である
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