Ibanez(アイバニーズ)のAZ Premiumシリーズに興味をお持ちで、「どのモデルを選んだら良いのだろう?」「上位機種のPrestigeと具体的に何が違うのか?」「実際の評判や弾き心地はどうなのだろう?」といった疑問を抱えているかもしれません。
多くのギタリストから高い評価を得ているAZシリーズの中でも、Premiumは絶妙なポジションにあり、その詳細は分かりにくい部分もあります。
この記事では、Ibanez AZ Premiumのコンセプトから、2025年の最新モデルを含むラインナップのスペック、Prestigeシリーズとの詳細な比較、そしてユーザーのリアルな評判まで、あらゆる情報を網羅的に解説します。
最後まで読めば、あなたにとって最適なAZ Premiumモデルを見つけるための、全ての知識が手に入るでしょう。
Ibanez AZ Premiumとは?シリーズの立ち位置とコンセプトを解説
AZシリーズにおけるPremiumの立ち位置は?Prestige・Standardとの違い
Ibanez AZ Premiumは、AZシリーズの中で「Prestige」と「Standard」の間に位置するミドルグレードのモデルです。
日本製(Made in Japan)でシリーズの頂点に立つ「Prestige」が持つ高品質な仕様やプレイアビリティを継承しつつ、インドネシア工場での生産により高いコストパフォーマンスを実現しています。
一方で、エントリー向けの「Standard」よりも高品質な木材やパーツが採用されており、プロユースにも耐えうるスペックを備えているのが大きな特徴です。
グレード | 生産国 | 主な特徴 | 価格帯の目安 |
---|---|---|---|
Prestige | 日本 | 最高峰の木材とパーツ、S-TECH WOODネック、チタンサドルなど最上位仕様 | 24万円~30万円台 |
Premium | インドネシア | Prestigeに迫るスペックとこだわり、ローステッドメイプルネック、ステンレスフレット | 16万円~23万円台 |
Standard | インドネシア | AZシリーズの基本設計を高いコストパフォーマンスで実現 | 9万円台 |
このようにAZ Premiumは、まさに「良いとこ取り」のシリーズと言えるでしょう。
「Designed to Inspire」- プレイヤーを鼓舞する設計思想
AZ Premiumシリーズは、「Designed to Inspire(インスピレーションを与えるために設計された)」というコンセプトを掲げています。
これは単に高品質なギターを作るだけでなく、プレイヤーの創造性を刺激し、新たな音楽表現を生み出すための「体の一部」となることを目指している証です。
公式サイトでは「オリジナル・ハードウェア、突詰められたセットアップ、上質な弾き心地を追求したネックグリップ、フレットエッジ球面加工」がPremiumシリーズの標準仕様であると謳われています。
細部にまで宿るクラフトマンシップが、プレイヤーのインスピレーションを最大限に引き出します。
AZ Premiumに共通する主な特徴とスペック(ローステッドメイプルネック等)
AZ Premiumシリーズの多くのモデルには、グレードを超えた共通の高品質な仕様が採用されており、これが人気の理由にもなっています。
ローステッドメイプルネック:
ネック材に加熱処理を施すことで、形状の安定性と耐久性を向上させています。
ヴィンテージギターのような枯れた鳴りと、豊かなサステインをもたらします。
ステンレスフレット:
一般的なニッケルシルバーフレットに比べて硬度が高く、摩耗に強いのが特徴です。
滑らかな弾き心地が長期間持続し、明瞭なサウンドにも貢献します。
Gotoh製ハードウェア:
チューニングの安定性に定評のあるGotoh® MG-Tロッキング・マシンヘッドや、スムーズなアーミングを実現するT1502トレモロ・ブリッジなど、信頼性の高いパーツが採用されています。
蓄光サイドドット:
指板サイドのポジションマークには蓄光素材が使われており、暗いステージ上でも視認性を確保します。
これらの仕様は、本来であればより高価格帯のギターに搭載されることが多く、AZ Premiumが非常に高いコストパフォーマンスを誇ることを示しています。
Ibanez AZ Premiumのモデル一覧とスペック比較
【2025年最新】AZ Premium 新モデルのスペックと発売日
2025年7月17日には、注目のAZ Premium最新SPOTモデルが登場予定です。
特徴的な2つのモデルがラインナップされており、現代ギタリストの多様なニーズに応えます。
Ibanez AZ47P2K-DEB (Dragon Eye Burst)
ハワイアンコア・トップにゴールドパーツを組み合わせた、豪華なルックスが特徴のHSHレイアウトモデルです。
項目 | スペック |
---|---|
ボディ | Hawaiian Koa top / American Basswood body |
ネック | AZ Oval C Roasted Maple neck |
指板 | Ebony fretboard |
ピックアップ | DiMarzio® Air Norton (H), True Velvet (S), The Tone Zone® (H) |
ブリッジ | Gotoh® T1502 tremolo bridge |
販売価格 | ¥236,500(税込) |
発売予定日 | 2025年7月17日 |
Ibanez AZ26P1-BK (Black)
ブラック・グロス・フィニッシュにゴールドパーツが映える、モダンでシンプルなSSHレイアウトモデルです。
項目 | スペック |
---|---|
ボディ | American Basswood body |
ネック | AZ Oval C Roasted Maple neck |
指板 | Ebony fretboard |
ピックアップ | Seymour Duncan® Hyperion (S), Hyperion (S), Hyperion (H) |
スイッチ | dyna-MIX9 switching system w/Alter Switch |
ブリッジ | Gotoh® T1502 tremolo bridge |
販売価格 | ¥231,000(税込) |
発売予定日 | 2025年7月17日 |
ピックアップ配列(HSH/SSH/HH)ごとの人気モデルとサウンド特性
AZ Premiumは、ピックアップの組み合わせによって多彩なサウンドバリエーションを提供しています。
自分のプレイスタイルに合った配列を選ぶことが重要です。
HSH (ハム-シングル-ハム):
最も汎用性が高い配列です。
パワフルなハムバッカーサウンドから、繊細なシングルコイルのハーフトーンまで、1本で幅広いジャンルをカバーできます。
新モデルの「AZ47P2K-DEB」や「AZ47P1QM-DEB」がこのタイプです。
SSH (シングル-シングル-ハム):
ストラトキャスターを源流とする、定番の組み合わせです。
フロントやミドルでの煌びやかなクリーントーンやカッティング、リアでの力強いドライブサウンドを両立させたいギタリストに適しています。
「AZ26P1-BK」や「AZ24P1QM-DOB」などが代表的です。
HH (ハム-ハム):
フロント・リア共にハムバッカーを搭載し、パワフルで太いサウンドが特徴です。
ロックやメタルなど、歪みを多用するジャンルで真価を発揮します。
「AZ42P1-PBE」などがこの配列を採用しています。
ボディ材・指板材から選ぶ、あなたに合ったモデルの見つけ方
サウンドキャラクターを決定づける木材の組み合わせも、モデル選びの重要な要素です。
ボディ材:
AZ Premiumの多くは、クセが少なく素直な音響特性を持つ「アメリカン・バスウッド」を基本としています。
モデルによっては、トップに杢目の美しい「キルトメイプル」や「ハワイアンコア」を貼り合わせており、見た目の豪華さに加え、高音域の輪郭を強調する効果もあります。
指板材:
指板材はサウンドの立ち上がりやニュアンスに大きく影響します。
- ローズウッド: 暖かく、粘りのある中音域が特徴。ブルースやロックに適しています。(例: AZ42P1-PBE)
- エボニー: 硬質で、速いサウンドの立ち上がりとクリアな音質が魅力。テクニカルなプレイやメタルに向いています。(例: AZ47P2K-DEB)
- ローステッドメイプル: ネック材と同じく加熱処理されたメイプル。硬質でアタック感が強く、クリアなサウンドです。(例: AZ24P1QM-DOB)
これらの組み合わせによって、同じAZ Premiumでもサウンドキャラクターは大きく変化するため、好みのサウンドに合わせて選ぶことが推奨されます。
7弦モデル「AZ427P2QM」のスペックと特徴
AZ Premiumシリーズには、現代のラウドミュージックシーンに欠かせない7弦モデル「AZ427P2QM」もラインナップされています。
6弦モデルの優れたプレイアビリティやコンセプトを継承しつつ、7弦ギタリスト向けに最適化されています。
項目 | スペック |
---|---|
ボディ | Quilted Maple top / American Basswood body |
ネック | AZ7 Oval C Roasted Maple neck |
指板 | Rosewood fretboard |
ピックアップ | Seymour Duncan® Hyperion 7 (H) ×2 |
ブリッジ | Gotoh® T1572S tremolo bridge |
スイッチ | dyna-MIX10 switching system w/Alter Switch |
カラー | TUB(Twilight Blue Burst) |
ブリッジには7弦専用のGotoh® T1572Sを搭載し、ピックアップも7弦用に開発されたHyperion 7を採用するなど、低音弦の再生能力とチューニングの安定性を高いレベルで両立させています。
Prestigeとの違いは?約10万円の価格差を徹底比較
サウンドの違いはどれくらい?アルダーボディ(Prestige) vs バスウッドボディ(Premium)
サウンド面での最も大きな違いは、ボディ材に起因する音の特性です。
Prestigeシリーズの多くが採用する「アルダーボディ」は、中音域に特徴があり、ブライトで音抜けが良い傾向にあります。
あるレビューでは、PrestigeモデルのAZ2402は「アンサンブルの中で音が埋もれにくい」と評価されており、ロックなどバンドサウンドでの存在感を重視する場合に有利です。
対して、Premiumシリーズで主流の「バスウッドボディ」は、特定の音域にクセがなくフラットな特性を持つため、ピックアップやアンプのキャラクターを素直に出力します。
演奏性やネックの握り心地に差はあるのか?S-TECH WOODとの比較
基本的な演奏性やネックシェイプ(AZ Oval C)に関しては、PremiumとPrestigeで大きな差は感じられない、というのが多くのユーザーに共通する意見です。
ただし、Prestigeのネックには「S-TECH WOOD」という窒素加熱処理技術が国内工場で施されており、より高い寸法安定性と耐久性を追求しています。
とはいえ、Premiumのローステッドメイプルネックも非常に高い品質を誇ります。
個体差を考慮すれば、演奏性において価格差ほどの違いを体感することは少ないかもしれません。
ブリッジ・ノブ・ジャックなどパーツの違いと操作性への影響
サウンドや演奏性以外に、細かなパーツの仕様に違いが見られます。
これらは日々の使い勝手に影響を与えるポイントです。
ブリッジサドル:
PrestigeのT1802ブリッジは「チタンサドル」を、PremiumのT1502ブリッジは「スチールサドル」を採用しています。
チタンはよりブライトで倍音豊かなサウンドに、スチールはよりソリッドで力強いサウンドに貢献すると言われています。
コントロールノブ:
Prestigeには滑り止めのゴムが巻かれた「Sure-Grip IIIノブ」が採用されており、演奏中の確実なボリューム・トーン操作をサポートします。
アウトプットジャック:
一部のPremium初期モデルではジャックが奥まった位置にあり、ワイヤレストランスミッターが挿さりにくいという報告がありましたが、Prestigeや近年のモデルでは改善されているようです。
結論:価格差分の価値はある?どちらを選ぶべきかの判断基準
結論として、どちらを選ぶべきかは個人の価値観と予算に左右されます。
「最高の品質とサウンドの抜け、細部までこだわり抜かれた操作性」を求めるなら、価格差を投資してPrestigeを選ぶ価値は十分にあります。
特に、日本製であることへの信頼感や、所有欲を満たしたい方には最適です。
一方で、「プロユースにも耐えうる品質を、できるだけコストを抑えて手に入れたい」と考えるなら、AZ Premiumは極めて優れた選択肢と言えます。
Prestigeに迫るプレイアビリティとサウンドを、より現実的な価格で体験できるでしょう。
評判・レビューからわかるAZ Premiumのリアルな長所と短所
【メリット】高いコストパフォーマンスとジャンルを問わない汎用性
AZ Premiumの最大のメリットは、その圧倒的なコストパフォーマンスにあります。
多くのレビューで「この価格でローステッドメイプルネックやステンレスフレット、Gotoh製パーツが手に入るのは驚異的」と評価されています。
また、dyna-MIXスイッチングシステムによる多彩なサウンドバリエーションも高く評価されており、ポップスからメタルまで、1本で幅広い音楽ジャンルに対応できる汎用性の高さも大きな魅力です。
【デメリット】クリーントーンの音作りが難しいという評価は本当か?
一部のユーザーレビューでは、「クリーントーンの音作りの幅が狭い」という意見が見られます。
これは、特にSeymour Duncan製のHyperionピックアップが搭載されたモデルにおいて、中低域が比較的スッキリしている特性に起因する可能性があります。
歪ませた際の音の分離感やキレは素晴らしい一方で、太く甘いジャズのようなクリーントーンを求める場合は、物足りなさを感じるかもしれません。
Ibanezもこの点を認識しており、”幅広く使えるクリーン・トーン”をコンセプトにした「AZ-N」シリーズをPrestigeラインで展開しています。
クリーンサウンドを最重要視する場合は、そちらも検討すると良いでしょう。
購入前に知っておきたい注意点:ネックのコンディションと個体差
AZ Premiumは高い品質管理のもとで製造されていますが、工業製品である以上、ネックのコンディションには個体差が存在します。
あるレビューでは、購入時に若干のネック反りや、使用に伴うハイ起き(ネックの反り)、フレットのバリ(エッジのささくれ)が発生したという報告もありました。
これらは多くの場合、トラスロッド調整やフレットの擦り合わせで解消できる範囲ですが、購入時には信頼できる楽器店でしっかりと検品・調整してもらうことが重要です。
ワイヤレスが挿さらない?一部モデルのジャック形状と対策
一部の初期モデルのレビューでは、アウトプットジャックがボディに深く埋め込まれた舟形プレートを採用しているため、BOSS WL-20などのL字型ワイヤレストランスミッターが物理的に干渉して挿さらない、という問題が指摘されていました。
この点はユーザーからのフィードバックを受けてか、近年のモデルやPrestigeシリーズでは形状が変更され、問題なく使用できるようになっているようです。
もしお使いのワイヤレスシステムがある場合は、購入前に実機で確認することをおすすめします。
Ibanez AZ Premiumの価格相場と購入ガイド
モデル別の新品販売価格はいくら?
Ibanez AZ Premiumの新品販売価格は、モデルの仕様によって幅があります。
比較的シンプルな仕様のモデルは16万円台から見られますが、キルトメイプルトップや特殊なピックアップレイアウトを持つSPOTモデルなどは23万円を超えることもあります。
一例として、主要な楽器店の販売価格(税込)を見ると、以下のようになっています。(※2025年7月時点の調査情報であり、変動する可能性があります)
- AZ47P2K-DEB: 約236,500円
- AZ26P1-BK: 約231,000円
- AZ24P1QM-DOB: 約176,000円
- AZ22S1F-TKS: 約93,500円(※Standardに近い価格帯のモデル)
ご自身の予算と求めるスペックを照らし合わせながら、モデルを絞り込んでいくと良いでしょう。
中古の価格相場と選ぶ際のチェックポイント
AZ Premiumは中古市場でも人気があり、流通が見られます。
価格相場はモデルや状態によりますが、新品価格の7割~8割程度が目安となるでしょう。
中古品を選ぶ際は、価格だけでなくギターの状態を慎重にチェックすることが不可欠です。
- ネックの状態: 反り、ねじれ、ハイ起きがないか
- フレットの残り: 極端に摩耗していないか(ステンレスフレットは摩耗しにくいですが要確認)
- 電装系: ボリューム・トーンノブにガリ(ノイズ)はないか、スイッチは正常に機能するか
- 外観: 大きな打痕や塗装の剥がれがないか
- 改造の有無: ピックアップなどが交換されていないか
信頼できる中古楽器店で購入し、保証が付いているとより安心です。
どこで買える?主要な取扱楽器店とオンラインストア一覧
Ibanez AZ Premiumは、全国の主要な楽器店やオンラインストアで購入可能です。
主な取扱店:
- MUSICLAND KEY
- イシバシ楽器
- 島村楽器
- クロサワ楽器
- chuya-online
- デジマート(各楽器店のオンラインモール)
店舗によって在庫状況や販売価格、特典などが異なるため、複数の店舗を比較検討することをおすすめします。
購入前に試奏するべき?確認したいポイントを解説
可能であれば、購入前には必ず試奏することを強く推奨します。
スペック表やレビューだけでは分からない、あなた自身との相性を確認することが最も重要です。
試奏時のチェックポイント:
- ネックの握り心地: AZ Oval Cシェイプが自分の手に馴染むか
- ボディのフィット感: 構えた時のバランスやコンター加工のフィット感
- 生鳴り: アンプに繋がない状態で弾いた時のボディやネックの振動
- アンプからの出音: 狙い通りのサウンドが出せるか、クリーントーンとドライブサウンドの両方を確認
- 操作性: ボリュームノブの位置やスイッチの操作感
納得のいく一本を見つけるために、時間をかけてじっくりと試奏してみてください。
まとめ:ibanez az premiumの完全ガイド
- Ibanez AZ PremiumはPrestigeに迫る高品質を高いコストパフォーマンスで実現したミドルグレード
- ローステッドメイプルネックやステンレスフレットなど価格を超えた仕様が標準搭載
- HSH、SSH、HHなど多彩なピックアップ配列で幅広いジャンルに対応
- Prestigeとの主な違いは生産国、ボディ材(アルダー/バスウッド)、パーツの材質
- 基本的な演奏性においてPremiumとPrestigeに大きな価格差ほどの違いはないとの評価が多い
- サウンドはPrestigeがブライトで抜けが良く、Premiumは素直な特性を持つ
- 一部モデルはクリーントーンの音作りが難しいという意見もある
- ワイヤレスが挿さらないジャック問題は近年のモデルでは改善傾向にある
- 購入時は個体差を考慮し、信頼できる店舗で検品・調整してもらうことが重要
- 最適な一本を見つけるには、スペックだけでなく試奏によるフィーリングの確認が不可欠