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Ibanez TS808HWV2 レビュー解説|ノイズの注意点と音質

Ibanezの伝説的なオーバードライブ、Tube Screamer。

その最高峰モデルとして登場した「TS808HWV2」について、実際の音質や特徴、そして気になる評判を詳しく知りたいと考えている方も多いのではないでしょうか。

特に、ハンドワイヤードという高級仕様に見合う価値があるのか、ノーマルモデルとの違いは何か、そして「ノイズが大きい」という噂の真相は、購入前に必ず押さえておきたいポイントです。

この記事では、Ibanez TS808HWV2のスペックや特徴、音質に関する詳細なレビュー、そして購入における最大の注意点であるノイズ問題まで、あらゆる情報を網羅的に解説します。

最後まで読めば、あなたがTS808HWV2を本当に手に入れるべきかどうかが明確になるでしょう。

目次

結論:Ibanez TS808HWV2 レビュー解説|購入すべき人と注意点

TS808HWV2はこんな人におすすめ!

Ibanez TS808HWV2は、特定のこだわりを持つギタリストにとって最高の選択肢となり得ます。

まず、価格やノイズのリスクよりも、わずかな音質の向上やパンチ感を最優先する方におすすめです。

また、職人による日本製ハンドワイヤードという所有感を満たすスペックや、高級感のあるデザインに価値を見出す方にも適しています。

単体での使用や、バンドアンサンブルの中で音の存在感を際立たせたい場合には、その真価を発揮するでしょう。

購入を慎重に検討すべき人はこんな人

一方で、すべての人におすすめできるペダルではありません。

特に、ブースターとしての使用をメインに考えている方は注意が必要です。

特定のセッティングでは、ノーマルのTS808よりも目立つノイズが発生する可能性が指摘されており、メーカーもこれを「仕様」としています。

バラードのソロやレコーディングなど、静寂な環境での使用を想定しているギタリストにとっては、このノイズが致命的になることも考えられます。

コストパフォーマンスを重視する方や、ローノイズな環境を絶対条件とする方は、購入を慎重に検討すべきでしょう。

この記事でわかるTS808HWV2の全て

この記事では、TS808HWV2の公式スペックから、実際の使用者による詳細な音質レビュー、そして賛否両論を呼んでいるノイズ問題の真相まで、あらゆる角度から深く掘り下げていきます。

良い点も悪い点も包み隠さず解説することで、あなたの機材選びにおける最適な判断をサポートします。

Ibanez TS808HWV2の主な特徴とスペックは?旧モデルとの違いも解説

特徴①:一台ずつ手作業で配線された日本製ハンドワイヤード仕様

TS808HWV2の最大の特徴は、プリント基板を使わず、職人の手作業によって配線される「ハンドワイヤード製法」で作られている点です。

Made in Japanにこだわり、一台一台丁寧に組み上げられることで、音の劣化が少なく、よりダイレクトで太いサウンドを実現するとされています。

この丁寧な作り込みが、ハイエンドモデルとしての価値と所有感を高めています。

特徴②:音質を追求した「JRC NJM4558」オペアンプと「MOGAMI OFCケーブル」

心臓部であるオペアンプには、数々の試作を経て選ばれた「JRC NJM4558」を搭載しています。

これにより、Tube Screamer特有の温かみと透明感のあるミドルレンジを忠実に再現。

さらに、内部配線材には高品質な「MOGAMI社製OFCケーブル」を採用し、信号のロスを最小限に抑え、音痩せの少ない抜けの良いサウンドを追求しています。

特徴③:最大+6dBの出力ブースト機能で音圧アップ

回路の最終段にブースト機能が追加され、旧モデルのTS808HWと比較して最大出力レベルが+6dB向上しました。

これにより、バンドアンサンブルの中でも埋もれない力強いサウンドメイクが可能です。

アンプをさらに強くプッシュしたい時や、ソロパートで一歩前に出るような音圧が必要な場面で大きなアドバンテージとなります。

特徴④:9V/18V駆動対応で広がるサウンドの可能性

電源は一般的な9Vに加え、18Vでの駆動にも対応しています。

18Vで使用するとヘッドルームとダイナミックレンジが広がり、よりマイルドでありながらハリのある、クリアなサウンドが得られます。

これにより、歪みの質感をコントロールし、幅広い音楽スタイルに対応できる柔軟性を備えています。

特徴⑤:高級感あふれるブラックアルマイトノブとモダンなデザイン

伝統的なTube Screamerのフォルムを踏襲しつつも、ルックスは一新されました。

黒色アルマイト処理を施した削り出しのアルミ製ノブを採用するなど、ハイエンドモデルにふさわしい高級感のある外観に仕上げられています。

細部にまでこだわったデザインは、ペダルボード上での存在感を際立たせるでしょう。

TS808HWV2の全スペック一覧表

TS808HWV2の主な仕様を以下にまとめました。

項目スペック
モデル名TS808HWV2
製法ハンドワイヤード
コントロールOverdrive, Tone, Level
バイパストゥルーバイパス
オペアンプJRC NJM4558
内部配線材MOGAMI OFC Cable (AWG21)
入出力端子Input, Output (標準フォーンジャック)
電源9V-18V DC (センターマイナス) または 9V電池
消費電流7mA@9V / 11mA@18V
サイズ77(W) x 133(D) x 60(H) mm
重量約545g
製造国日本

【音質レビュー】ノーマルTS808やTS9の音とどう違う?

音の傾向はTS系そのもの|レンジが広くローミッドにパンチがある

TS808HWV2の基本的なサウンドは、Tube Screamer特有の中域にフォーカスしたオーバードライブです。

その上で、ノーマルのTS808と比較すると、サウンドのレンジがやや広がり、特にローミッド(低中域)のパンチが気持ち良く感じられるというレビューが多く見られます。

音の輪郭がより鮮明になり、音抜けも向上している印象ですが、その違いは「微差」であり、劇的にキャラクターが変わるわけではないようです。

周波数特性の比較で判明した「出力レベルの高さ」

技術的な周波数特性の計測データによると、TS808HWV2はTS9(1st Reissue)とほぼ同じ周波数カーブを描いています。

しかし、最も大きな違いは出力レベルにあり、TS808HWV2の方が全帯域にわたって約5dBから7dB高いことが示されています。

これは、前述の特徴である「+6dBブースト機能」が設計通りに機能していることを裏付ける結果です。

音量差が「良い音」に聞こえる?レビュー動画を見るときの注意点

人間の耳は、周波数特性の違いよりも音量の差に敏感です。

そのため、YouTubeなどの比較動画で同じツマミ位置で比較した場合、出力レベルが高いTS808HWV2の方が「確実に良い音」に聞こえやすい傾向があります。

レビューを参考にする際は、この音量差による効果を冷静に考慮し、後段のアンプやエフェクターへの影響も含めて判断することが重要です。

単体使用とブースター使用での音質の印象

単体でクランチサウンドを作るような使い方では、そのパンチ感や音の太さが活き、非常に心地よいドライブサウンドが得られます。

しかし、他の歪みペダルやアンプのゲインをブーストする目的で使う場合、後述するノイズの問題が顕在化しやすくなるため、音質以外の要素も考慮に入れる必要があります。

【最重要】購入前に知るべき最大の注意点!ノイズ問題の真相は?

ブースターとして使うとノイズが発生する?ノーマルTS808との比較

TS808HWV2に関して最も多く報告されている注意点が、ブースターとして使用した際のノイズです。

あるユーザーの検証動画では、BOSS DS-1Xを後段に置いた同じセッティングで比較したところ、ノーマルのTS808はノイズレスだったのに対し、TS808HWV2は「サー」というホワイトノイズがはっきりと発生したことが示されています。

これは設計上の特性である可能性が高いと考えられます。

メーカー回答は「仕様」|設計ミスではないのか?というユーザーの声

このノイズ問題について販売店経由でメーカー(Ibanez)に調査を依頼したところ、「仕様」であるとの回答が得られたという報告があります。

多くのユーザーはハイエンドモデルに対してローノイズであることを期待するため、この回答は「設計ミスを仕様と言い換えているのではないか」という不信感を生んでいます。

ブースターとしての使用が一般的なTube Screamerにおいて、ノイズが増える改悪とも取れる仕様は、ユーザーにとって大きな懸念点です。

電源オン時の「ポップノイズ」も仕様との報告あり

ホワイトノイズに加え、エフェクターのスイッチを最初に入れた際に「パンッ」という大きなポップノイズが発生する個体もあるようです。

これも突入電流によるもので「仕様」との回答があったと報告されています。

大音量の環境ではアンプやスピーカーにダメージを与える可能性もゼロではないため、特にスイッチャーを使わずに直接使用する方は注意が必要かもしれません。

ノイズが気にならない使用シーンと、問題になる可能性のあるシーン

このノイズは、すべての状況で問題になるわけではありません。

ロックバンドのアンサンブルの中など、大音量で演奏している状況ではほとんど気にならないでしょう。

しかし、バラードのソロで音を伸ばす時や、静寂なパート、そしてレコーディングなどでは、ノイズが音楽の邪魔をしてしまう可能性が非常に高いです。

自身の演奏スタイルや使用環境を考慮して、この「仕様」を許容できるかどうかが購入の大きな分かれ道となります。

Ibanez TS808HWV2のリアルな評判・口コミを徹底調査

【良い評判】音が太く、音抜けが良く、所有感を満たすという声

ポジティブな評価としては、「ノーマルより音が太く、クリアで音抜けが良い」「18V駆動時のサウンドが素晴らしい」といった音質面での声が見られます。

また、「ハンドワイヤード、日本製という響きが良い」「デザインがかっこいい」など、製品のクオリティや所有感を満たす点を評価する口コミもあります。

音質そのものへのこだわりが強いユーザーからは、高く評価されているようです。

【悪い評判】価格の割にノイズが大きい、期待外れだったという声

一方で、ネガティブな評価のほとんどはノイズ問題に集中しています。

「ハイエンドを謳う価格なのにノイズが大きいのはありえない」「ブースターとして使えない」「ノーマルの方が総合的に優れている」といった厳しい意見が目立ちます。

音質の微細な向上よりも、ノイズというデメリットの方が大きく感じられたユーザーにとっては、期待外れの結果となってしまったようです。

インフルエンサーのレビューはどこまで信用できる?

エフェクター購入の際にYouTubeなどを参考にする方は多いですが、注意が必要です。

インフルエンサーは製品が売れることを優先し、ノイズのような不都合な事実には触れないケースが少なくありません。

彼らのレビューはエンターテイメントや広告の一環と捉え、メリットだけでなくデメリットにも言及しているか、複数の情報源を確認するなど、批判的な視点を持つことが大切です。

Ibanez TS808HWV2の価格は?コストパフォーマンスを考える

新品のメーカー希望小売価格と実売価格の相場

Ibanez TS808HWV2のメーカー希望小売価格は57,200円(税込)です。

実際の販売価格(実売価格)は、販売店によって異なりますが、おおむね4万円台前半から半ばで推移していることが多いようです。

月産数に限りがあるため、タイミングによっては品薄になる可能性も考えられます。

ノーマルTS808やBOSS技シリーズとの価格差は妥当か?

ノーマルのTS808が1万円台後半、BOSSの技クラフトシリーズが同程度の価格帯であることを考えると、TS808HWV2は倍以上の価格設定です。

ノイズレスで高い完成度を誇るBOSS製品などと比較した場合、TS808HWV2のノイズという「仕様」を考慮すると、コストパフォーマンスが良いとは言いがたいのが正直なところです。

ハンドワイヤードという価値をどう評価するか

この価格差の大きな要因は、日本製ハンドワイヤード製法による手間とコストです。

この製造方法による音質への貢献度や、職人技への対価として価格に納得できるかどうかが、個人の価値観によって評価が分かれるポイントと言えるでしょう。

【Q&A】Ibanez TS808HWV2についてよくある質問

どんなギタリストにおすすめできますか?

ノイズ問題を理解し、それを許容できるギタリストにおすすめできます。

具体的には、単体でのオーバードライブとして音の太さやパンチを最優先したい方や、ハンドワイヤード製品の所有感に価値を見出す方です。

静かな環境での演奏やローノイズを重視する方には、他の選択肢を検討することをお勧めします。

ノイズ対策にノイズゲートは必要ですか?

ハイゲインなセッティングやブースターとして使用する際にノイズが気になる場合は、ノイズゲート(ノイズサプレッサー)の使用が有効な対策となります。

ただし、TS808HWV2のためにわざわざ別のペダルを追加することに抵抗を感じるユーザーも少なくないでしょう。

中古で購入する際の注意点はありますか?

中古品を検討する際は、必ず実機を試奏し、ノイズの程度を確認することをおすすめします。

特にブースターとして使用した際のノイズレベルや、スイッチオン時のポップノイズの有無は個体差がある可能性も否定できないため、ご自身の機材環境でチェックすることが重要です。

まとめ:Ibanez TS808HWV2 レビュー解説

Ibanez TS808HWV2のメリット・デメリット総括

TS808HWV2は、伝説的なTube Screamerサウンドを現代の技術とこだわりで再構築した、魅力と課題を併せ持つペダルです。

メリットとしては、レンジが広くパンチのある音質、+6dBのブースト機能、18V駆動によるサウンドの拡張性、そして日本製ハンドワイヤードという高い所有感が挙げられます。

一方で、最大のデメリットはブースター使用時に発生しうるノイズであり、これはメーカーが「仕様」と認めています。

また、その価格設定も大きな判断材料となるでしょう。

最終的な購入判断のポイント

最終的に、Ibanez TS808HWV2を購入すべきかどうかの判断は、「ノイズという仕様を許容し、その上で音質や所有感に価格分の価値を見出せるか」という点に尽きます。

ロック系のバンドアンサンブルで存在感のあるサウンドを求めるギタリストには良い選択肢かもしれませんが、ローノイズな環境を求めるギタリストにとってはリスクの高い投資となる可能性があります。

この記事で得た情報を元に、ご自身のプレイスタイルと照らし合わせ、後悔のない選択をしてください。

  • Ibanez TS808HWV2は日本製ハンドワイヤード仕様のハイエンドモデルである
  • ノーマルTS808よりレンジが広く、ローミッドにパンチのある音質を持つ
  • 回路の最終段にブースト機能があり、最大出力が+6dB向上している
  • 9Vだけでなく18V駆動にも対応し、よりクリアなサウンドメイクが可能である
  • ブースターとして使用した際にノイズが発生するとの報告が多数ある
  • メーカーはこのノイズを「仕様」と回答しており、購入前の理解が必須である
  • 電源オン時に大きなポップノイズが発生する個体も報告されている
  • 価格はノーマルモデルの倍以上であり、コストパフォーマンスの判断は難しい
  • ノイズを許容できるかどうかが、購入における最大の判断基準となる
  • インフルエンサーのレビューは鵜呑みにせず、多角的な情報収集が推奨される
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