「ワウペダルが欲しいけれど、種類が多すぎてどれを選べばいいかわからない」「ハイゲインサウンドに本当にマッチするワウが見つからない」——ギタリストなら一度はそんな悩みを抱えたことがあるのではないでしょうか。
Jim Dunlop CRYBABY EDDIE VAN HALEN SIGNATURE WAH EVH-95は、Eddie Van Halen本人が長年使い込んだ”Holy Grail”ワウを忠実に再現したシグネイチャーモデルです。
しかし、シグネイチャーモデルと聞くと「ファン向けのコレクターズアイテムでは?」と疑問に思う方もいるかもしれません。
本記事では、実際のユーザーの声や使用体験をもとに、サウンドの特徴、操作感、メリット、デメリット、そしてリアルな口コミまでを徹底的に掘り下げます。
この一本が自分のプレイスタイルに合うかどうか、記事を読み終える頃にはしっかり判断できるはずです。
Jim Dunlop CRYBABY EDDIE VAN HALEN SIGNATURE WAH EVH-95の特徴・概要
Eddie Van Halenの”Holy Grail”ワウを再現した開発背景
EVH-95の開発は、Eddie Van Halen本人がDunlopの開発チームに自身の”Holy Grail”——1990年代初頭からカスタマイズを重ねてきた愛用のCry Babyを預けたことから始まりました。
MXRカスタムショップチームがそのペダルを分析したところ、驚くべき事実が判明します。
Eddie独特のワウスタイル——主にペダルの中間域からヒール(かかと)側を多用するプレイ——が長年にわたって繰り返された結果、ポット(可変抵抗器)の抵抗体に独自のカーブが刻み込まれていたのです。
この「使い込みによる劣化」が、中音域により強い輪郭を与え、低域のスイープをさらに豊かにしていました。
つまり、EVH-95は単なるシグネイチャーモデルではなく、一人のギタリストが数十年かけて育て上げた「唯一無二の音」を科学的に分析し、再現したペダルなのです。
通常のCry Babyとの違い——High Qインダクターと広いスイープレンジ
標準的なCry Baby GCB-95と比較した場合、EVH-95にはいくつかの明確な違いがあります。
最も大きな差別化ポイントは、カスタム調製されたHigh Qインダクターの搭載です。
このインダクターにより、通常のワウよりもはるかに「ボーカルライク(人の声のような)」な質感が得られ、周波数のスイープレンジも広く設計されています。
さらに、Eddie本人のペダルから採取されたポットの経年変化カーブを忠実にクローンした特製ポットを搭載しており、中音域がより明確に定義され、低域側のスイープも増強されています。
結果として、標準的なCry Babyの「ギュワギュワ」としたサウンドをベースにしつつも、より太く、より表情豊かで、より広いレンジを持つワウサウンドが実現されています。
トゥルーバイパス・デュアルLED搭載のモダン設計
“Holy Grail”のヴィンテージなサウンドを再現しつつも、EVH-95は現代のギタリストが求める実用的な機能をしっかりと備えています。
まず、トゥルーハードワイヤーバイパスを採用しており、ペダルOFF時の信号劣化やハイ落ちの心配がありません。
ペダルボードの先頭に配置されることが多いワウペダルにとって、これは大きなアドバンテージです。
また、ペダルのつま先部分にはデュアル青色LEDが搭載されており、暗いステージでもON/OFF状態が一目で判別できます。
外観はVan Halen IIのジャケットに登場する黒×黄色のストライプギターをモチーフにしたグラフィックで統一され、ペダル上面にはEVHロゴ入りの平滑なゴム製滑り止めが施されています。
見た目のインパクトと実用性を両立させた、まさにモダンなロック・ワウペダルです。
Jim Dunlop CRYBABY EDDIE VAN HALEN SIGNATURE WAH EVH-95のスペック・仕様
基本スペック・電源・サイズ・重量
EVH-95の基本的なスペックを確認しておきましょう。
筐体は標準的なCry Babyと同サイズのダイキャスト・メタルケースを採用しており、重量は約1kg(カタログ値)です。
ただし、実際に手に取ると金属筐体の塊感があり、体感的にはかなりの重厚感があります。
電源は9Vバッテリー(006P)または9V DCアダプター(別売り)に対応しており、消費電流はわずか9mAと省電力設計です。
入出力は標準的な1/4インチ(6.35mm)フォンジャックで、あらゆるギターセットアップとの互換性があります。
信号処理方式はアナログで、製造はアメリカ・カリフォルニア州ベニシアの自社工場で行われています。
回路構成・インダクター・ポットの仕様
EVH-95の心臓部とも言えるのが、カスタム調製されたHigh Qインダクターと、Eddie本人のペダルから採取した経年変化カーブを再現した特製ポットです。
High Qインダクターは通常のCry Babyに搭載されるものよりもQ値(共振の鋭さ)が高く、これがボーカルライクなトーンの源泉となっています。
ポットはトラディショナルなシャフト&ギア機構を採用しており、ペダルの物理的な動きをダイレクトに音色変化へ変換します。
バイパス方式はトゥルーハードワイヤーバイパスで、機械式スイッチによる切り替えです。
なお、トーン調整用のノブやスイッチは搭載されておらず、回路設計はEddieの”Holy Grail”サウンドに完全に最適化された固定仕様となっています。
付属品と別途必要なもの
本体に付属するのは、ペダルのテンション調整用六角レンチのみです。
9V DCアダプターは付属しないため、バッテリー駆動を避けたい場合は別途購入が必要です。
Dunlop純正のECB-003などの9V DCアダプターが推奨されます。
また、シールドケーブルも当然ながら別途用意する必要があります。
パッチケーブルでペダルボードに組み込む場合は、標準的なCry Babyと同サイズであることを踏まえてスペースを確保しておきましょう。
Jim Dunlop CRYBABY EDDIE VAN HALEN SIGNATURE WAH EVH-95のおすすめポイント
ハイゲインサウンドとの圧倒的な相性——太く抜けるワウサウンド
EVH-95を語る上で最も見逃せないのが、ハイゲインサウンドとの圧倒的な相性の良さです。
一般的なワウペダルをハイゲインアンプと組み合わせると、歪みの中でワウの効果が埋もれてしまい、トーンの変化が感じにくくなることがあります。
しかしEVH-95は、広いスイープレンジとHigh Qインダクターの効果により、深い歪みの中でも倍音を全帯域から引き出し、アンプやギター固有の特性をくっきりと際立たせます。
ディストーションやオーバードライブをかけた状態でペダルを踏み込むと、太くエグみのある「ギュワッ」とした唸りから、鋭く切り裂くようなハイまで、実に表情豊かなワウサウンドが展開されます。
Marshall JCM800のようなブリティッシュ系ハイゲインアンプとの相性は特に素晴らしく、ハードロックやヘヴィメタルのリードプレイでは真価を発揮します。
ハムバッカー搭載ギターとの組み合わせでは、何も調整しなくてもぴったりとサウンドがハマるという声が非常に多く、HR/HM志向のギタリストにとっては「これ以上ないワウ」と言える仕上がりです。
踏み心地の良さとテンション調整機能による自由度の高い操作感
サウンドだけでなく、「足で操作する楽器」としてのフィーリングも秀逸です。
EVH-95のペダルは非常にスムースなロッキングモーション(踏み込み動作)を持ち、レスポンスが良く、踏んだ分だけ正確にトーンが変化します。
通常のCry Babyと比較して、ペダルのトラベル(可動範囲)が体感的に長く感じられるという声もあり、スイートスポットを探しやすい設計になっています。
かかと側に踏んだところからつま先側まで、すべての範囲で「おいしい」音が出るため、ワウ初心者でもストレスなく使いこなせるでしょう。
さらに、付属の六角レンチでペダルのピボット部分のテンション(トルク)を自由に調整できるため、軽い踏み心地が好みの方にも、しっかりとした抵抗感が好みの方にも対応できます。
ペダル上面の平滑なゴム製パッドは靴底をしっかりとグリップし、激しいステージングでも足が滑る心配がありません。
ライブで頼れる視認性・スイッチの確実性・堅牢な筐体
EVH-95はスタジオだけでなく、ライブパフォーマンスの現場で真に頼れるペダルとして設計されています。
まず、つま先部分に配置されたデュアル青色LEDは非常に高輝度で、足を載せた状態でも視認可能です。
暗いステージで「今ワウがONなのかOFFなのかわからない」というワウペダルにありがちな問題を完全に解消しています。
ON/OFFスイッチも特筆に値する出来で、明確なクリック感がありながらも過度に固くなく、確実に切り替えられます。
多くのワウペダルで問題となる「踏んだつもりが切り替わっていなかった」というトラブルが起きにくい設計は、ライブでの安心感に直結します。
筐体は分厚いダイキャスト・メタル製で、激しいステージワークにも耐える堅牢さを誇ります。
10年以上使い続けているというユーザーからも、筐体の耐久性に関する不満はほとんど聞かれません。
Jim Dunlop CRYBABY EDDIE VAN HALEN SIGNATURE WAH EVH-95の注意点・デメリット
クリーントーンやメロウなプレイスタイルには不向き
EVH-95が万能なワウペダルかと言えば、そうではありません。
多くのユーザーが一致して指摘するのが、クリーントーンとの相性の問題です。
広いスイープレンジとHigh Qインダクターの特性は、ハイゲインサウンドでは大きなメリットとなりますが、クリーンサウンドで使用すると効果が極端に出すぎてしまい、繊細なコントロールが難しくなります。
ジャズやブルースのメロウなワウプレイ、ファンク系のカッティングなど、クリーン〜クランチ域での使用を主に想定している方には、標準的なCry BabyやVOX V847、あるいはトーン調整機能を搭載した他のシグネイチャーモデルの方が適しているでしょう。
EVH-95はあくまで「ロック・ワウ」「リード・ワウ」として特化した性格を持つペダルであることを理解しておく必要があります。
トーン調整ノブ非搭載——音色カスタマイズの自由度が低い
EVH-95には、サウンドを調整するためのノブやスイッチが一切搭載されていません。
同じDunlopのシグネイチャーモデルであるDimebag Darrell Cry Baby From HellやSlash Cry Babyがトーン調整機能を備えているのに対し、EVH-95は「Eddieの音」一択という潔い設計です。
この割り切りはEddieのサウンド哲学を反映したものとも言えますが、自分好みに微調整したいタイプのギタリストにとっては不満点になり得ます。
もっとも、「調整の必要がないほど完成されたサウンド」と捉えるユーザーも少なくなく、シンプルさをメリットと感じるかデメリットと感じるかは、プレイヤーの志向次第です。
長期使用時のポットのガリ・トゥルーバイパスのポップノイズ
長期使用に関して知っておくべき注意点が2つあります。
1つ目は、密閉式ポットに発生するガリ(ノイズ)の問題です。
約2年の使用でポットにガリが発生し、通常使用できないレベルになったという報告があります。
密閉式のため接点復活剤での対処ができないのが厄介ですが、Dunlop公式サイトでEVH-95用の補修パーツ(ハーネス付きポット)が入手可能であり、取扱店に相談すれば交換対応が可能です。
2つ目は、トゥルーバイパス特有のスイッチング時のポップノイズです。
特に通電直後の最初のON/OFF切り替え時に比較的大きなポップノイズが出ることがあるため、ライブ本番前のリハーサルや音出しの段階で一度スイッチを切り替えておくことが推奨されます。
また、新品状態でペダルのヒンジ部分がギシギシと軋む個体があるとの報告もあり、個体差に注意が必要です。
Jim Dunlop CRYBABY EDDIE VAN HALEN SIGNATURE WAH EVH-95の評判・口コミ
ユーザーが評価するおすすめな点——サウンド・操作性・耐久性への高評価
EVH-95に対するユーザー評価は総じて非常に高く、特にサウンドと操作性に対する賞賛が目立ちます。
「通常のCry Babyに比べて明らかにクリーンで、中音域がはっきりと定義されている」「ワウなのに音が太くて、個性的で良い音」という声は非常に多く聞かれます。
操作感については「今まで使ったどのワウよりも使いやすい」「ペダルを踏んだ量に応じてトーンが程よく変わってくれる」と高く評価されており、「ワウの基準となる一台」「このペダルを基準として他のワウの評価を行うと分かりやすい」と、リファレンス的な存在として位置づけるユーザーもいます。
耐久性に関しても「タンクのように頑丈」「10年以上使用しているが筐体に問題なし」という報告があり、ステージでの信頼性は折り紙付きです。
Voxのワウから買い替えたユーザーからは「パンチとエグみはやはりこれ。
間違いなく素晴らしい」と高い満足度が示されており、他のワウペダルを数多く試した末にEVH-95に落ち着いたという体験談も複数見られます。
30年以上のギター歴を持つベテランプレイヤーからも「まさに求めていたサウンド。
ミッドブーストが素晴らしく、まるで人間の声のように鳴る」と絶賛されています。
購入前に確認すべき注意点——個体差・デザインの好み・用途の向き不向き
一方で、購入前に確認しておくべきポイントもいくつか挙げられています。
最も多い指摘は用途の向き不向きで、「クリーントーンやクランチでのカッティングには合わない」「チャカポコしたカッティングに使いたい人にはおすすめできない」という意見は一貫しています。
デザインについても好みが分かれるポイントで、「音は最高だが、ペダルボード上でEVHの文字とストライプ模様が目立ちすぎる」「自己主張が強すぎる」と感じるユーザーがいる一方、「写真で見るよりずっとカッコいい」「黒ベースなので意外と落ち着いている」と好意的に受け止める声もあります。
個体差に関しては、新品状態でのペダルの軋み音や、接続しただけでノイズが出る個体(不良品の可能性)の報告が少数ながらあるため、購入後の初期確認は丁寧に行うことをおすすめします。
また、LEDが明るすぎて暗いステージでは眩しいという声もあり、気になる場合はマスキングテープで光量を調整するという対処法が共有されています。
長期使用者のリアルな満足度——「ワウの基準になる一台」という声
購入から数年以上が経過した長期使用者の声は、購入を検討する上で特に参考になります。
約10年使用しているユーザーは「トゥルーバイパス、LED付き、アダプター対応、スイッチが固くない、トルク調整可能と、ワウに欲しい機能を全部持った模範的なワウ」と総括しており、長年使い続けても満足度が衰えていないことがうかがえます。
2年以上にわたりギグで使用しているユーザーからは「この先のキャリアでもずっと使い続けたい。
このペダルが自分を裏切ることはないと確信している」という強い信頼が寄せられています。
唯一の長期的な懸念点として前述のポットのガリ問題がありますが、補修パーツの入手が可能であることから、「諦めずに取扱店に相談すれば解決できる」という情報も共有されています。
総合的に見て、EVH-95の長期満足度は非常に高い水準にあると言えるでしょう。
まとめ:Jim Dunlop CRYBABY EDDIE VAN HALEN SIGNATURE WAH EVH-95
総合評価——どんなギタリストに向いているのか
EVH-95は、ハイゲイン環境で最大限の表現力を引き出すことに特化した、プロフェッショナルグレードのワウペダルです。
Eddie Van Halenのファンはもちろんのこと、ハードロックやヘヴィメタルを主戦場とするリードギタリスト全般に強くおすすめできます。
一方で、クリーントーンやファンク系カッティングを主な用途とするギタリストには、他の選択肢を検討する方が賢明です。
購入判断のポイント——買うべき人・他を検討すべき人
本記事で解説した内容を踏まえ、EVH-95の総合評価を以下にまとめます。
- ハイゲインサウンドとの相性は数あるワウペダルの中でもトップクラスであり、歪みの中でもワウの効果が埋もれない太く抜けるサウンドが得られる
- High Qインダクターと特製ポットにより、通常のCry Babyにはないボーカルライクで表情豊かなトーンが実現されている
- ペダルの踏み心地が非常にスムースで、可動範囲全体にわたって「おいしい音」が出るため、ワウ初心者にも扱いやすい
- 付属六角レンチによるテンション調整機能で、踏み込みの重さを自分好みにカスタマイズできる
- トゥルーバイパス搭載により、OFF時の音痩せやハイ落ちの心配がなくペダルボードへの組み込み自由度が高い
- デュアル青色LEDと明確なクリック感のスイッチにより、ライブステージでの視認性・操作の確実性が極めて高い
- クリーントーンやメロウなプレイスタイルには不向きであり、用途を選ぶ性格を持つペダルである点は要注意
- トーン調整ノブが非搭載のため、音色の微調整を求めるギタリストには物足りなさを感じる可能性がある
- 長期使用時にポットのガリが発生する場合があるが、Dunlop公式の補修パーツで対応可能である
- シグネイチャーモデルとしては手頃な価格帯(約200〜250ドル)であり、サウンド・操作性・耐久性を総合するとコストパフォーマンスは非常に高い
EVH-95は「すべてのギタリストに万能な一台」ではありませんが、ハイゲイン環境でのワウプレイにおいてはこれ以上ない選択肢です。
多くの長期使用者が「ワウの基準になる一台」と評するその実力は、シグネイチャーモデルの枠を超えた普遍的な完成度を物語っています。
ロックワウの決定版を探しているギタリストにとって、EVH-95は間違いなく試す価値のある一本です。

