「ワウペダルが欲しいけど、最初の一台はどれを選べばいいのかわからない」「定番のCry Babyって実際どうなの?」——そんな悩みを抱えるギタリストは少なくないでしょう。
1966年の登場以来、ジミ・ヘンドリックスやエリック・クラプトンをはじめとする伝説的ギタリストたちの足元を支えてきたJim Dunlop CRYBABY WAH GCB-95は、ワウペダルの代名詞ともいえる存在です。
しかし「定番」という言葉だけでは、本当に自分に合うのかは判断できません。
本記事では、実際の使用感やサウンドの特徴、メリット・デメリット、そしてユーザーのリアルな評価まで、購入前に知っておくべき情報をすべてお伝えします。
製品の特長──半世紀以上愛され続ける理由
「これぞワウ」を体現するサウンドキャラクター
GCB-95の最大の特長は、踏み込んだ瞬間に得られる、あの唯一無二のワウサウンドです。
高域側の変化量が非常に大きく、つま先側を深く踏み込めば鋭く叫ぶようなトーンが飛び出します。
この攻撃的な高域のピークこそがCry Babyの名前の由来であり、歪みエフェクターと組み合わせた際に真価を発揮します。
クランチからハイゲインまで、歪んだ音との相性は抜群で、ロック、ブルース、メタルなど幅広いジャンルで「あの音」を再現できます。
一方、かかと側に戻せば中低域が強調された太いトーンが得られるため、ファンクのカッティングでリズミカルに踏み込めばチャカポコとした気持ちの良いリズムワウも楽しめます。
この可変域の広さは、マルチエフェクター内蔵のワウ機能とは一線を画すポイントです。
他製品との差別化ポイント
ワウペダル市場にはVOX V845やV847-A、Ibanez WH10、XOTIC XW-1など多くの選択肢がありますが、GCB-95はそれらと比較していくつかの明確な違いがあります。
VOX系のワウペダルがやや丸みのある上品なトーンを持つのに対し、GCB-95はエフェクトの掛かりが強く、反応にスピード感があります。
3機種を並べて比較した場合、コードストロークへのワウの掛かりはGCB-95が頭ひとつ抜けているとされています。
シュッとエフェクトが立ち上がる即応性は、アグレッシブなプレイスタイルに特に適しています。
また、現行モデル(Rev.I)にはイタリア製の赤いFaselインダクター(リイシュー)が搭載されており、往年のヴィンテージワウに通じる音楽的な響きを実現しています。
100Kオームの「Hot Potz」ポテンショメーターとの組み合わせにより、ペダルの動きに対する反応が速く、表現力豊かなワウサウンドが得られます。
圧倒的な堅牢性
パウダーコートされたダイキャストスチール筐体は「戦車のように頑丈」と形容されるほどで、ライブでのハードな使用にも余裕で耐えます。
実際に10年、15年以上使い続けているユーザーも珍しくなく、「最初に買ったCry Babyをいまだに使っている」という声は数え切れないほどあります。
長く使える定番を求めるなら、この堅牢さは大きな安心材料です。
スペック・仕様
GCB-95の主要スペックは以下の通りです。
製品名はJim Dunlop GCB-95 Cry Baby Standard Wahで、生産国はアメリカ(USA製)です。
筐体にはダイキャストスチールが採用されており、寸法は幅100mm×奥行250mm×高さ63mmとなっています。
重量は約1.7kgです。
電源は9V電池(006P型)またはACアダプター(9V DC、センターマイナス)に対応しており、消費電流はわずか約900µA〜1mAです。
入出力端子はそれぞれ1/4インチ(6.35mm)標準ジャックが1系統ずつ搭載されています。
内部にはイタリア製Faselインダクター(赤、リイシュー)と100Kオーム Hot Potzポテンショメーターが搭載されています。
バイパス方式はバッファードバイパスで、トゥルーバイパスではありません。
日本国内での実勢価格は新品で14,000円〜16,800円前後、中古では4,000円〜7,000円前後が相場です。
消費電流が約1mAと非常に少ないため、9V電池でもかなり長時間の駆動が可能です。
1日1時間程度の使用であれば、電池1本で約3ヶ月持ったという実体験も報告されています。
おすすめな点──GCB-95を選ぶべき5つの理由
1. プラグ&プレイの究極のシンプルさ
GCB-95には外部から操作できるノブやスイッチが一切ありません。
ギターからケーブルを挿し、ペダルを踏むだけ。
それだけで、数々の名曲で聴いたあのワウサウンドが手に入ります。
セットアップに悩む必要がないため、初めてワウペダルを導入する方にとってこれ以上ないほど扱いやすい製品です。
エフェクターの効果が派手でわかりやすいため、「踏んだ瞬間に自分が上手くなったような気持ちになれる」というのも、初心者にとっては嬉しいポイントでしょう。
2. 歪みサウンドとの抜群の相性
GCB-95の高域のピーク特性は、歪み系エフェクターとの組み合わせで最も活きます。
ワウを歪みの前段に配置すればイコライザー的な効果が強まり、後段に配置すればワウの掛かり方がよりダイナミックになります。
この接続順序の違いだけでもまったく異なる表現が得られるため、一台で何通りもの使い方が楽しめます。
ロックのギターソロでは、踏み込んだ瞬間に音が前に飛び出すような存在感を得られるでしょう。
3. 圧倒的なコストパフォーマンス
新品で14,000円〜16,800円前後、中古なら4,000円台から入手可能という価格設定は、USA製のプロ仕様ペダルとしては驚くべきコストパフォーマンスです。
初心者が最初の一台として購入するにも、プロが信頼できるバックアップとしてボードに組み込むにも、価格面でのハードルが低いのは大きな魅力です。
4. MOD(改造)の豊富な選択肢
GCB-95は世界で最も売れているワウペダルであるがゆえに、トゥルーバイパス化、ポット交換、インダクター交換など、改造に関する情報が膨大に蓄積されています。
ペダルの内部ポットを調整するだけでもスイープの開始位置を変えられるため、高域のキツさを抑えて好みのトーンに追い込むことが可能です。
「3分でできる簡単な調整で、それだけで天国のようなサウンドになった」という声もあり、カスタマイズの余地が広い点は長く付き合ううえで大きなメリットです。
5. ブースターとしても使える汎用性
つま先側を踏み込んだ状態で固定すれば、トレブルブースター的な使い方もできます。
ソロ時に音量と高域を持ち上げて音を前に出したい場面で重宝するテクニックで、Led Zeppelinの「Whole Lotta Love」のリードサウンドのような使い方が可能です。
ワウとしてだけでなく、音作りの幅を広げるツールとして活用できる点は見逃せません。
注意点──購入前に知っておくべきこと
トーンサック(音痩せ)は覚悟が必要
GCB-95で最も多く指摘される弱点が、バッファードバイパスに起因するトーンサックです。
エフェクトをOFFにした状態でも信号がバッファ回路を通るため、ペダルをつないだだけで原音の高域が若干削られ、音が痩せたように感じることがあります。
気にならないという方も多いですが、原音の透明感を重視するプレイヤーにとっては無視できない問題です。
根本的に解決するにはトゥルーバイパスMODが必要になります。
重量とサイズはペダルボードの敵
約1.7kgという重量は、コンパクトエフェクター数個分に相当します。
フルサイズの筐体はペダルボード上のスペースも大きく占有するため、ボードの構成によっては配置に苦労するかもしれません。
軽量・コンパクトを求めるなら、同社のCry Baby Mini(CBM95)も検討する価値があります。
LEDインジケーターが非搭載
GCB-95にはエフェクトのON/OFFを示すLEDが搭載されていません。
暗いステージ上では、ワウが掛かっている状態なのかどうかを視覚的に確認できないため、慣れるまでは踏み間違いに注意が必要です。
自分でLEDを追加するMODも存在しますが、購入直後の状態では不便に感じる場面があるでしょう。
ACアダプター端子の独特な仕様
電源端子が3.5mmミニプラグ(しかもチップがプラス)という、一般的なエフェクター用アダプターとは異なる規格を採用しています。
さらに端子が筐体の側面に位置しているため、ペダルボード上での配線が煩雑になりがちです。
専用アダプターの購入が推奨されるほか、電池駆動の方がノイズも少なく配線もすっきりするため、あえて電池を選ぶユーザーも少なくありません。
高域のピークがキツく感じる場合がある
GCB-95の個性でもある高域の強さは、裏を返せば「耳が痛くなるほどピーキー」に感じる場合があるということです。
特にクリーントーンで使用する際、つま先側を最大まで踏み込むと金属的で刺さるような音になることがあります。
この点が気になる方は、内部ポットの調整でスイープ範囲を変更するか、よりマイルドなGCB-95F(Classic)やVOX系のワウを検討するのも一つの手です。
ゴム足がペダルボード固定の妨げに
底面に取り付けられた大きなゴム足は、床に直置きする分には滑り止めとして機能しますが、ペダルボードにマジックテープで固定する際には邪魔になります。
ボードに組み込む場合は、ゴム足を取り外す必要があることを事前に知っておきましょう。
評判・口コミ
ユーザーが評価するおすすめな点
GCB-95に対する満足度は総じて非常に高く、多くのユーザーが「これぞ定番」「初めてのワウならこれ一択」と太鼓判を押しています。
特に評価が集中しているのは、やはりそのサウンドです。
「数々の名曲で聴いたあのワウサウンドがそのまま出る」「歪みと組み合わせた時のロックサウンドは唯一無二」という声は非常に多く、サウンド面での満足度はワウペダル市場でもトップクラスといえます。
ビルドクオリティへの信頼も厚く、「10年以上使い続けている」「最初に買ったCry Babyをいまだに現役で使っている」という長期ユーザーの報告が数多く見られます。
数十年のキャリアを持つプロミュージシャンからも「今まで使った中で一番良いワウペダル」という評価が寄せられており、初心者からベテランまで幅広い層に支持されていることがわかります。
コストパフォーマンスについても「この価格でUSA製のこのクオリティは破格」「初心者が歪みの次に買うエフェクターとして最適」という声が多く、入門機としての評価は極めて高いです。
また、「余計な機能がないのが逆に良い。
ノブの調整に悩まなくていい」「いろいろなワウを試した結果、結局一番安いGCB-95に戻ってきた。
プラグ&プレイで完璧」というシンプルさを評価する意見も根強くあります。
上位モデルやシグネチャーモデルを複数試した末に、標準モデルであるGCB-95に回帰するユーザーが一定数存在する事実は、この製品の本質的な完成度の高さを物語っています。
購入前に確認すべき注意点
一方で、注意すべき点としてユーザーから繰り返し指摘されているのがトーンサック問題です。
「ペダルボードに組み込んだだけで音が変わる」「バイパス時の音痩せが気になってMODした」という報告は少なくありません。
トゥルーバイパスを必須と考えるプレイヤーには、購入前にこの仕様を理解しておくことが重要です。
高域のキャラクターについても好みが分かれます。
「クリーンで使うと高域がキツすぎる」「ティニーで金属的な音に感じた」という意見がある一方、「歪みと合わせればそのピーキーさが最高に気持ちいい」という意見もあり、使用する音楽ジャンルやアンプとの組み合わせによって評価が大きく変わるポイントです。
耐久性に関しては、大多数が長期使用に満足している一方で、「複数回故障した」「毎回異なる箇所が壊れる」という少数の報告も存在します。
また、古いモデルではバッテリーケースのプラスチックが経年劣化で割れるケースも報告されています。
中古購入の際はリビジョンの確認が推奨されます。
サイズと重量に関する不満も一定数見られます。
「ペダルボードでスペースを取りすぎる」「1.7kgは持ち運びに不便」という声は特にコンパクトなボードを組むプレイヤーから上がっています。
ボードのスペースが限られる場合は、同等のサウンドをよりコンパクトな筐体で実現するCry Baby Miniも選択肢に入るでしょう。
中古市場に大量のGCB-95が出回っていることについて、「それだけ多くの人が買って手放しているのでは」という懐疑的な見方をするユーザーもいます。
ただし、これは単純に累計販売台数が圧倒的に多いことの裏返しでもあり、必ずしも製品の問題を示すものではないという点は補足しておきます。
まとめ
- サウンド:高域のピークが強く、歪みとの相性は抜群。「これぞワウ」というクラシックなサウンドを即座に得られる
- 操作性:ノブもスイッチもなく、踏むだけで使える究極のシンプル設計。初心者でも迷わない
- ビルドクオリティ:ダイキャストスチール筐体は「戦車のように頑丈」。10年以上の長期使用報告も多数
- コストパフォーマンス:新品14,000円〜16,800円前後、中古4,000円台〜。USA製プロ仕様としては破格
- 汎用性:ロック、ブルース、ファンク、メタルまで幅広く対応。ブースター的な使い方も可能
- トーンサック:バッファードバイパスのため、バイパス時の音痩せが気になるユーザーもいる。トゥルーバイパス化にはMODが必要
- 重量・サイズ:約1.7kgはペダルボード上では存在感大。コンパクト派にはCry Baby Miniも要検討
- LED非搭載:ON/OFF表示がなく、暗いステージでは視認性に難あり
- 電源仕様:3.5mmミニプラグ(チッププラス)という独自規格。専用アダプターの購入か電池駆動が推奨
- 総合評価:ワウペダルの「原点にして頂点」。初めての一台としても、長年寄り添う相棒としても、これを選んで後悔することはまずないでしょう。ただし、トゥルーバイパスや音色の微調整を求めるなら上位モデルやMODの検討を

