自宅でのギター練習において、大きな音が出せない環境で役立つのが「マルチエフェクター」と「ヘッドホン」の組み合わせです。
アンプを使わずに本格的なサウンドを楽しめるのか、接続はどうすればいいのか、疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
実は、マルチエフェクターにヘッドホンをつなぐことで、騒音を気にせずプロ並みの音質で練習することが可能です。
この記事では、マルチエフェクターとヘッドホンの正しい接続方法から、音が悪いと感じたときの改善策、そしておすすめの機材までを詳しく解説します。
マルチエフェクターにヘッドホンは直接つなげる?アンプなしでの練習について
結論から申し上げますと、マルチエフェクターにヘッドホンを直接つなげて演奏や練習をすることは可能です。
むしろ、現代のギター練習環境において、アンプを使わずにマルチエフェクターとヘッドホンだけで完結させるスタイルは主流になりつつあります。
ここでは、接続の可否やアンプなしで練習することの意義について具体的に解説します。
ほとんどのマルチエフェクターはヘッドホン接続に対応している
現在販売されているギター用マルチエフェクターのほぼ全ての機種が、ヘッドホンの接続に対応しています。
これは、マルチエフェクター自体が「アンプシミュレーター」という機能を内蔵していることが一般的になったためです。
アンプシミュレーターとは、大型のギターアンプから出る音響特性をデジタル技術で再現する機能のことです。
この機能により、物理的なアンプを通さなくても、ヘッドホンだけで迫力のあるアンプサウンドを聞くことができます。
古いモデルや一部の特殊なプロ仕様機材を除き、背面や側面にヘッドホンを挿すための端子が備わっていますので、安心して導入を検討してください。
アンプなしで練習するメリット(騒音対策・高音質)
アンプを使用せず、マルチエフェクターとヘッドホンだけで練習することには、大きく2つのメリットがあります。
1つ目は、時間や場所を選ばない「騒音対策」です。
アンプから音を出さないため、夜間や集合住宅でも周囲への音漏れを気にすることなく、思い切りギターをかき鳴らすことができます。
2つ目は、「高音質なステレオサウンド」で練習できる点です。
空間系エフェクト(リバーブやディレイなど)を含むプリセットは、ステレオ出力で聞くことでその真価を発揮します。
通常のアンプ1台では得られない、広がりのあるクリアなサウンドを耳元で直接感じながら練習できるため、没入感が高まり、練習の質も向上します。
ヘッドホン端子(PHONES)がない場合の対処法
稀に、非常にコンパクトなモデルや古い機種などで、専用の「PHONES」端子が見当たらない場合があります。
その場合でも、「OUTPUT(出力)」端子がヘッドホン出力と兼用になっているケースが多々あります。
OUTPUT端子がL(MONO)とRに分かれている場合、L(MONO)側にヘッドホンを接続することで音が聞こえることがありますが、片耳からしか聞こえない可能性が高いです。
このような場合は、以下の2つの方法で対処します。
- Y字型の変換ケーブルを使用し、LとRの出力を1つのステレオジャックにまとめる。
- 別途、小型のヘッドホンアンプを用意し、マルチエフェクターの出力につなぐ。
まずは取扱説明書のスペック表を確認し、ヘッドホン駆動に対応しているかチェックすることをおすすめします。
マルチエフェクターとヘッドホンの正しいつなぎ方と必要なもの
マルチエフェクターで快適に練習するためには、正しい接続手順と適切なケーブル選びが重要です。
ここでは、初心者の方が迷いやすい端子の場所や、プラグのサイズ違いへの対処法について解説します。
接続の基本手順と端子の場所(OUTPUT/PHONES)
接続の基本的な流れは以下の通りです。
- ギターとマルチエフェクターのINPUT(入力)端子をシールドケーブルでつなぐ。
- マルチエフェクターの「PHONES(ヘッドホン)」端子にヘッドホンのプラグを差し込む。
- マルチエフェクターの電源を入れる前に、本体やヘッドホンのボリュームが下がっていることを確認する。
ヘッドホンをつなぐ端子は、本体の背面または側面に配置されていることがほとんどです。
端子にはヘッドホンのアイコンが描かれていたり、「PHONES」という文字が記載されていたりします。
「OUTPUT」端子しかない機種の場合、設定メニューでOUTPUT端子の役割を「LINE/PHONES」に切り替える必要があるモデルもあります(BOSS GT-1など)。
プラグのサイズが合わない時は?変換プラグ(ステレオミニ・標準)の選び方
ヘッドホンやイヤホンのプラグには、主に2つのサイズがあります。
- 3.5mm ステレオミニプラグ: スマホや音楽プレイヤーで使われる一般的な細いプラグ。
- 6.3mm ステレオ標準プラグ: ギターシールドと同じ太さの大きなプラグ。
多くのマルチエフェクターのヘッドホン端子は、太い「6.3mm ステレオ標準プラグ」を採用しています。
一方、一般的なヘッドホンやイヤホンは細い「3.5mm ステレオミニプラグ」であることが多いため、そのままでは差し込めません。
この場合、「3.5mm メス – 6.3mm オス」の変換プラグが必要です。
100円ショップなどでも購入可能ですが、接触不良によるノイズを防ぐため、楽器店や家電量販店で販売されている音楽用の金メッキプラグを選ぶことをおすすめします。
音が片方しか聞こえない・聞こえない時のチェックポイント
接続したのに音が聞こえない、あるいは片耳からしか聞こえない場合は、以下のポイントを確認してください。
- プラグの差し込み不足: カチッと音がするまで奥までしっかり差し込まれているか確認しましょう。特に変換プラグを使用している場合、二重に接続箇所があるため注意が必要です。
- 変換プラグの種類: 「モノラル」用の変換プラグを使用していませんか?必ずプラグの先端に黒い線が2本入っている「ステレオ」用の変換プラグを使用してください。
- ボリューム設定: マルチエフェクター本体のアウトプットレベルや、エクスプレッションペダルの位置がゼロになっていないか確認してください。
これらを確認しても改善しない場合は、断線の可能性があるため、別のヘッドホンで試してみましょう。
ヘッドホンだと音が悪い?「ショボい音」になる原因と劇的な改善方法
「アンプで鳴らすとかっこいいのに、ヘッドホンで聞くとなんだか音がペラペラでショボい」
このように感じる場合、マルチエフェクターの設定が適切でない可能性が高いです。
ヘッドホン練習で迫力あるサウンドを得るための、重要な設定ポイントを解説します。
なぜアンプとヘッドホンで聞こえ方が違うのか?
ギターアンプから出る音は、スピーカーの振動が空気を揺らし、部屋の反響も含めて私たちの耳に届きます。
一方、ヘッドホンは耳のすぐそばでダイレクトに音が鳴るため、空気感や箱鳴り(キャビネットの響き)が欠如しやすく、平坦で硬い音に聞こえがちです。
また、ギターアンプ自体が音の角を丸めたり、特定の周波数を強調したりするフィルターの役割を果たしています。
そのため、アンプを通さない「素の音」をヘッドホンで聞くと、ジリジリとしたノイズが目立つ不自然な音に感じられるのです。
必須設定!アンプシミュレーターとキャビネットシミュレーター(IR)をONにする
ヘッドホンでリアルなアンプサウンドを再現するために最も重要なのが、「アンプシミュレーター」と「キャビネットシミュレーター」の設定です。
- アンプシミュレーター: アンプヘッド(増幅回路)の特性を再現する機能。
- キャビネットシミュレーター: スピーカーと箱(キャビネット)の響きを再現する機能。
スタジオのアンプにつなぐ時はこれらをOFFにすることもありますが、ヘッドホンを使用する際は必ず両方を「ON」にしてください。
特にキャビネットシミュレーター(またはIR:インパルスレスポンス)がOFFになっていると、歪みエフェクターを使った際に耳障りなノイズのような音になってしまいます。
アウトプット設定(出力設定)を「LINE/PHONES」に切り替える重要性
多くのマルチエフェクターには、接続する機器に合わせて出力特性を変える「アウトプットセレクト(Output Select)」という機能があります。
この設定が「JC-120」や「STACK AMP」などのアンプ用設定になっていると、ヘッドホンで聞いた時にバランスの悪い音になります。
ヘッドホンを使用する際は、この設定を必ず「LINE(ライン)」または「PHONES(ヘッドホン)」に合わせてください。
この切り替えを行うだけで、ヘッドホン向けに周波数バランスが整えられ、聴き心地が劇的に改善します。
ヘッドホン練習に最適!おすすめのマルチエフェクター5選【2025年最新】
ここからは、ヘッドホンでの自宅練習に特におすすめできる最新のマルチエフェクターを紹介します。
用途や予算に合わせて最適な一台を見つけてください。
自宅練習用マルチエフェクターを選ぶ3つの基準(サイズ・機能・Bluetooth)
自宅用として選ぶ際は、以下の3点を重視すると失敗が少なくなります。
- サイズ: 机の上に置けるデスクトップタイプや、ケースのポケットに入る小型サイズが便利です。
- ルーパー・リズムマシン機能: 一人での練習を充実させるための伴奏機能の有無を確認しましょう。
- Bluetoothオーディオ機能: スマホの音楽をワイヤレスでマルチエフェクターに飛ばし、ヘッドホンで聞きながら一緒に演奏できる機能です。
初心者・コスパ重視におすすめのモデル(ZOOM G2 FOUR / NUX MG-300 MKII)
コストパフォーマンスを重視するなら、以下の2機種が最適です。
- ZOOM G2 FOUR: 初心者でも扱いやすい操作性と、圧倒的なコストパフォーマンスが魅力。新開発のアンプモデリングにより、ヘッドホンでもリアルな音質を楽しめます。リズムマシンやルーパーも搭載しています。
- NUX MG-300 MKII: 低価格ながら高品質なIR(インパルスレスポンス)を搭載しており、リアルな真空管アンプの弾き心地を再現しています。PCとの連携も強力で、オーディオインターフェースとしても優秀です。
音質・操作性重視の定番モデル(BOSS GT-1 / MOOER GE150)
音質と使いやすさのバランスが良い、定番モデルです。
- BOSS GT-1: 長年愛されるベストセラー機。プロクオリティのBOSSサウンドが凝縮されており、頑丈で持ち運びもしやすい設計です。「EASY SELECT」機能により、音作りが苦手な人でも直感的に操作できます。
- MOOER GE150: アンプモデリングの質に定評があるMOOERの小型モデル。サードパーティ製のIRデータを読み込めるため、より本格的な音作りを追求したい中級者にもおすすめです。
スマホ連携で超小型!次世代モデル(Mooer Prime M1 / Line 6 POD Express)
最新技術を搭載した、超小型で多機能なモデルです。
- Mooer Prime M1: 手のひらサイズの超軽量ボディに、マルチエフェクターの機能を凝縮。スマホアプリですべての設定を行い、Bluetoothで音楽再生も可能。バッテリー内蔵のため、ケーブルレスでどこでも練習できます。
- Line 6 POD Express: 豆のような独特な形状ですが、中身はプロ愛用の「Helix」シリーズ譲りの高音質サウンドです。複雑な画面操作を排除し、ノブを回すだけで直感的に音色が作れるため、機械が苦手な人にもぴったりです。
マルチエフェクターに使うヘッドホンの選び方と注意点
良いマルチエフェクターを手に入れても、出口となるヘッドホンの選び方を間違えると良い音で練習できません。
ギター練習に適したヘッドホンの選び方を解説します。
モニターヘッドホンとリスニング用ヘッドホンの違いとは?
ヘッドホンには大きく分けて「リスニング用」と「モニター用」があります。
- リスニング用: 音楽を楽しく聴くために、低音や高音を強調(ドンシャリ)した味付けがされています。
- モニター用: 原音を忠実に再生するために、周波数特性がフラット(平坦)に作られています。
ギターの音作りや練習には、自分の演奏のアラやエフェクターの効果を正確に把握できる「モニターヘッドホン」が適しています。
リスニング用だと、低音が過剰に響いて音がぼやけたり、ピッキングのニュアンスが分かりにくくなったりすることがあります。
Bluetoothヘッドホンは使える?「遅延」とワイヤレスの注意点
普段使いのワイヤレスイヤホンやBluetoothヘッドホンをギター練習に使いたいと考える方も多いでしょう。
しかし、ギターの演奏モニターとしてBluetooth接続を使用するのは基本的におすすめできません。
理由は「遅延(レイテンシー)」です。
弦を弾いてから耳に音が届くまでにわずかなタイムラグが発生するため、リズムが取りづらく、非常に弾きにくい状態になります。
ただし、スマホからのバッキングトラック再生用としてBluetoothを使い、ギターの音自体は有線で聞くという使い方は問題ありません。
ギターの音を聞くためのヘッドホンは、必ず「有線接続」のものを選びましょう。
ギター練習におすすめの有線ヘッドホン・イヤホン
練習用として選ぶなら、以下のモデルが定番かつおすすめです。
- Audio-Technica ATH-M50x: 世界中のスタジオで使われているモニターヘッドホンの新定番。解像度が高く、低域の量感もしっかりあるため、ベース練習にも使えます。
- SONY MDR-CD900ST: 日本のレコーディングスタジオで標準的に使われている業界標準機。非常にクリアでノイズやミスを見つけやすいですが、長時間のリスニングにはやや耳が疲れることもあります。
- Sennheiser HD 25: 遮音性が高く、パンチのある音が特徴。軽量で頑丈なため、ラフに扱えるのも魅力です。
予算を抑えたい場合は、数千円クラスの楽器練習用ヘッドホン(Audio-Technica ATH-EP100など)でも、一般的なイヤホンよりはずっと練習しやすくなります。
スマホ音源と合わせて練習!ヘッドホン環境を最強にする活用術
ヘッドホンを使った練習環境をさらに充実させるために、スマホやPCを活用する方法を紹介します。
好きな曲に合わせて演奏したり、自分の演奏を録音したりすることで、練習のモチベーションが維持できます。
AUX INやBluetoothでバッキングトラックを再生する方法
多くのマルチエフェクターには「AUX IN(外部入力)」端子やBluetoothオーディオ受信機能がついています。
ここにスマホや音楽プレイヤーを接続することで、YouTubeの動画や練習用音源を再生しながら、その上に自分のギター音を重ねてヘッドホンで聞くことができます。
- AUX INの場合: ステレオミニケーブルでスマホのイヤホンジャックとつなぎます(iPhoneなどは変換アダプタが必要)。
- Bluetoothの場合: ペアリング設定を行うだけでワイヤレス再生が可能です。
この機能を使えば、まるでバンドの中で演奏しているような感覚で練習できるため、リズム感の向上にも役立ちます。
USBケーブルでスマホ・PCにつないで「弾いてみた」動画や録音を楽しむ
マルチエフェクターの多くは「オーディオインターフェース機能」を持っています。
USBケーブルでPCやスマホと接続するだけで、マルチエフェクターで作った高音質なサウンドをそのままデジタル録音できます。
これを使えば、DAWソフトでの作曲や、「弾いてみた」動画の音声収録が非常に簡単に行えます。
自分の演奏を客観的に聞き返すことは上達への近道ですので、ぜひ活用してみてください。
夜間の自宅練習でも迫力あるサウンドを楽しむコツ
夜間に小音量で練習する場合でも、ヘッドホンならではの工夫で迫力を出すことができます。
- 空間系エフェクトを深めにかける: リバーブやディレイを少し強めにかけることで、コンサートホールで弾いているような広がりを感じられ、小音量でも満足感が高まります。
- ルーパー機能を活用する: 自分でコード進行を録音し、それを再生しながらソロを弾くことで、一人でも重厚なアンサンブル練習が可能です。
周囲への配慮と自分の楽しみを両立できるのが、マルチエフェクターとヘッドホンを使った練習の最大の魅力です。
まとめ:マルチエフェクター ヘッドホン活用のポイント
マルチエフェクターとヘッドホンを組み合わせることで、場所や時間にとらわれない理想的な練習環境を構築できます。
正しい接続と設定を行えば、アンプに負けない素晴らしいサウンドでギターを楽しむことが可能です。
最後に、この記事の要点をまとめます。
- ほとんどのマルチエフェクターはヘッドホン接続に対応している
- アンプなしの練習は騒音対策になり、細かな音の確認にも最適である
- ヘッドホン端子がない場合はOUTPUT端子から変換プラグで接続できる
- ヘッドホンをつなぐ際はステレオ対応の変換プラグが必要である
- 音がショボい時はアンプシミュレーターとキャビネットシミュレーターをONにする
- 出力設定(Output Select)をLINE/PHONESにすることが重要である
- 初心者にはZOOMやNUXなどの高コスパモデルがおすすめである
- ヘッドホンは遅延のない有線タイプで、モニター用を選ぶのがベストである
- AUX INやBluetoothを使えばスマホの音源に合わせて練習できる
- 夜間でも周囲を気にせず没入感のある演奏が可能である

