「ヴィンテージライクなディストーションが欲しいけど、どのペダルを選べばいいか分からない」「BOSS DS-1と何が違うの?」——こうした悩みを抱えるギタリストは少なくないでしょう。
MXR Custom Badass ’78 Distortion(M78)は、70年代後半のスタックアンプが生み出す荒々しくも太いディストーションサウンドを、コンパクトペダル1台で再現することを目指したモデルです。
本記事では、製品の特徴やスペックはもちろん、実際に使用した際のリアルな使用感、メリット・デメリット、そしてユーザーからのリアルな評判までを徹底的に解説します。
購入を検討している方が「自分に合うペダルかどうか」を判断できる内容になっていますので、ぜひ最後までお読みください。
Jim Dunlop MXR Custom Badass ’78 Distortionの特徴・概要
70年代の真空管アンプサウンドを再現するクラシック・ディストーション
MXR Custom Badass ’78 Distortionは、MXRの「Custom Badass」シリーズ第1弾として登場したディストーションペダルです。
クラシックなディストーション回路をベースに、MXRのエンジニアが独自のホットロッド・チューンを施しており、70年代後半のマーシャル系スタックアンプをフルアップにしたときのような、太くて荒々しいディストーションサウンドを得ることができます。
音の質感としては、Bad CompanyやThin Lizzyといった70年代ブリティッシュ・ロックを彷彿とさせるマッスルカーのようなドライブサウンドが特徴です。
モダンハイゲイン系のタイトで緻密な歪みとは一線を画し、ザラついた質感の中に暖かみと倍音の豊かさを感じられるヴィンテージ志向のトーンに仕上がっています。
回路の基本設計はBOSS DS-1のオリジナル回路(初期日本製モデル)をベースにしているとされ、いわゆる「Keeley Mod」に相当するクリッピングの変更機能まで内蔵しています。
つまり、ヴィンテージDS-1のサウンドと、それをモディファイしたサウンドの両方を1台で楽しめるペダルといえるでしょう。
クランチスイッチで切り替える2つのボイス
本機の大きな特徴のひとつが、本体上部に配置された「CRUNCH」スイッチです。
このミニスイッチを切り替えることで、LED・ダイオードのクリッピング方式が変わり、ペダルの音色キャラクターが大きく変化します。
CRUNCHスイッチOFFの状態では、比較的コンプレッション感のあるクラシックなディストーションサウンドが得られます。
一方、ONにするとクリッピングがより開放的になり、ダイナミックレンジが広がるとともに倍音成分がブーストされます。
結果として、音の前面への押し出し感が増し、コードの分離感やリフの明瞭度が向上します。
特にリズムパートでの厚みと輪郭の両立を求める場面で威力を発揮するモードです。
実質的に「2つのボイス」を持つペダルであり、通常モードではアンプをプッシュするダーティブースト的な使い方、CRUNCHモードではスタンドアローンのディストーションとしての使い方と、場面に応じた使い分けが可能です。
シンプルな3ノブ構成で初心者にも扱いやすい操作性
コントロールはOUTPUT、TONE、DISTORTIONの3ノブのみで、操作は極めてシンプルです。
ツマミの効き方がBOSSペダルのように素直で、回した分だけリニアに変化が感じられるため、エフェクター初心者でも直感的に音作りができます。
複雑なEQセクションやパラメータが多すぎて迷ってしまうということがなく、「歪み量」「音色」「音量」という3つの要素だけで完結するため、スタジオやライブのセッティングにかかる時間も最小限で済みます。
Jim Dunlop MXR Custom Badass ’78 Distortionのスペック・仕様
基本スペック・外観・サイズ
MXR Custom Badass ’78 Distortionは、MXRの定番コンパクト筐体を採用しています。
深みのあるメタリック・ジュエルレッドのヘアライン加工仕上げにオフホワイトの印字が施されたデザインは、ペダルボード上でも存在感を放ちます。
サイズは約6.6cm × 11.2cm × 14cm(幅×奥行×高さ)で、一般的なMXRコンパクトペダルとほぼ同じフットプリントです。
重量は他のMXRペダル(Distortion+など)と比較しても軽量で、ギグバッグのポケットに入れて持ち運ぶことも十分可能です。
入出力端子は1/4インチのモノラルジャック(Input / Output)を備え、フットスイッチはトゥルーバイパス方式を採用しています。
コントロール部の詳細(Output / Tone / Distortion / Crunchスイッチ)
本機のコントロールは以下の4つで構成されています。
OUTPUTノブはペダル全体の出力音量を調整します。
可変幅が非常に広く、ゲインを低めに設定しても十分な音量を確保できるほか、大きく上げることでアンプのフロントエンドをプッシュし、さらなる飽和感を得ることも可能です。
TONEノブは高域のカット/ブーストを行います。
絞り切った状態ではピックアタックが丸くなり、ウーマントーンに近いスムースな質感が得られます。
上げていくにつれてピックアタックが際立ち、アグレッシブで明瞭なトーンに変化します。
DISTORTIONノブは歪み量を調整します。
低い設定ではジャキジャキとしたクランチ〜軽いオーバードライブ、上げていくと厚みのあるディストーションへと変化します。
なお、このノブは3時付近から急激に歪みが増加する特性を持っており、低ゲイン域では緩やかに変化し、最終域で一気にラ ンプアップする非線形のテーパーが採用されています。
CRUNCHスイッチは本体上面のミニトグルスイッチで、ONにするとクリッピング方式が切り替わり、倍音成分の増加とダイナミックレンジの拡大が得られます。
電源仕様・消費電流・バイパス方式
電源は9V電池(006P)1個、または別売りの9V DCアダプターに対応しています。
消費電流はわずか6mA(DC9V時)と非常に低く、電池駆動でも長時間の使用が可能です。
パワーサプライを使用する場合も、消費電流が少ないため他のペダルとの電源共有で問題が起きにくい仕様です。
バイパス方式はトゥルーバイパスを採用しており、エフェクトOFF時の音痩せや信号劣化を最小限に抑えています。
Jim Dunlop MXR Custom Badass ’78 Distortionのおすすめポイント
オーバードライブからディストーションまでカバーする幅広いゲインレンジ
本機最大の魅力のひとつが、1台でカバーできるゲインレンジの広さです。
DISTORTIONノブを低めに設定すれば、軽いクランチやブルージーなオーバードライブサウンドが得られ、コードカッティングやアルペジオでもクリアな分離感を保てます。
ノブを上げていけば70年代ロックのパワーコードに最適な厚みのあるディストーションへ変化し、さらにCRUNCHスイッチをONにすることで飽和感と倍音をプラスした攻撃的なサウンドも作り出せます。
さらに、DISTORTIONを低く設定してOUTPUTを大きく上げれば、クリーンブースト的にアンプのパワー管を飽和させる使い方も可能です。
単なるディストーションペダルにとどまらず、プリアンプ的な役割まで担える守備範囲の広さは、ペダルボードの枠が限られるギタリストにとって大きなメリットです。
ピッキングニュアンスとギターボリュームへの優れた追従性
エフェクターに求められる重要な要素のひとつが、演奏者のタッチにどれだけ忠実に反応するかという点です。
本機はこの点で非常に高い評価を受けています。
ピッキングの強弱に対して敏感に反応し、軽く弾けばクリーンに近いニュアンスが、強く弾けば歪みと倍音が豊かに立ち上がります。
特に秀逸なのが、ギター側のボリュームノブへの追従性です。
ペダル側でディストーション多めのセッティングにしておいても、ギターのボリュームを絞るだけでクランチ、さらに絞ればほぼクリーンまでシームレスにコントロールできます。
この特性を活かせば、ライブ中にエフェクターを踏み替えることなく、手元の操作だけで多彩な音色変化をつけることが可能です。
真空管アンプで演奏しているかのような自然な歪みのレスポンスは、表現力を重視するギタリストにとって大きな武器になるでしょう。
価格以上の実力——高価なペダルにも引けを取らないコストパフォーマンス
MXR Custom Badass ’78 Distortionの実勢価格は新品で約2万円前後、中古であれば5,000〜10,000円程度で入手可能です。
この価格帯でありながら、より高価なブティック系ディストーションペダルと比較しても遜色ない——むしろ上回る場面もあるという評価が多く聞かれます。
トゥルーバイパス、低ノイズ設計、2ボイス切り替え機能を備えたうえで、MXRブランドの信頼性と耐久性が加わることを考えれば、コストパフォーマンスは極めて高いといえます。
初めてのディストーションペダルとしても、長年ペダルボードを組んできたベテランのバックアップとしても、満足度の高い1台です。
Jim Dunlop MXR Custom Badass ’78 Distortionの注意点・デメリット
Toneノブ12時以降の扱いにくさとアンプ側の設定が必要な点
本機のTONEノブは、12時(センター)の位置を境にキャラクターが大きく変わります。
12時を超えて上げていくと高域が急激に強調され、耳障りに感じたり、ファーティー(こもった破裂音のような質感)な音色になるという指摘が少なくありません。
実用的なスイートスポットは10時〜12時付近に集中しており、ノブの可変域全体を活用できるとは言いがたい面があります。
また、本機はペダル自体の周波数特性が比較的フラットであるため、アンプ側のEQ設定に音色が大きく左右されます。
特に高域寄りのチューニングが施されている傾向があり、アンプのTrebleやPresenceをいつもより控えめに設定しないと、キンキンした耳に痛い音になりがちです。
逆に言えば、ミッドが豊かなアンプ(マーシャル系など)との組み合わせでは真価を発揮しますが、相性の悪いアンプではピックアタックの質感が劣化するという報告もあります。
ペダル単体で完結する音作りを期待する場合は注意が必要です。
サステインの短さとモダンハイゲインには非対応
本機のディストーションは、ヴィンテージ・クラシックロック志向の音色設計であるため、サステインは比較的短めです。
ロングトーンで伸びやかに歌い上げるようなギターソロには不向きな面があり、ソロ用途で使う場合は別途ブースターペダルやオーバードライブを前段に接続してゲインとサステインを補うのが望ましいでしょう。
メインの用途としては、バッキングやリフの歪みとして使うほうが本機の良さを活かしやすいといえます。
また、メタルやジェント、モダンロックで求められるタイトでハイゲインなディストーションサウンドは、本機の守備範囲外です。
あくまで70年代〜80年代初頭のクラシックロック、ブルースロック、パンクロックなどに最適化された歪みであり、モダンハイゲインを求める方は他のペダルを検討すべきです。
Crunchスイッチの仕様に関する不満(フットスイッチ非対応・LEDの眩しさ)
CRUNCHスイッチは本体上面に配置された小型のミニトグルスイッチであり、演奏中に足で切り替えることはできません。
曲中にCRUNCH ON/OFFを切り替えて音色を変化させたいという使い方には対応できず、事前にどちらかのモードに設定しておく必要があります。
この点は、フットスイッチ式であればさらに実用性が高かっただけに、惜しいポイントとして挙げられることが多いです。
さらに、CRUNCHスイッチON時に点灯する青色LEDが「まぶしすぎる」という声も少なくありません。
暗いステージ上ではかなり目立つ明るさで、視界に入ると気になるというプレイヤーもいます。
気になる場合はLEDにテープを貼るなどの対策が必要になるかもしれません。
加えて、電池交換時のバッテリーコンパートメントへのアクセスが煩雑であるという指摘もあります。
頻繁に電池交換を行う方は、9V DCアダプターでの使用を前提にしたほうがストレスが少ないでしょう。
Jim Dunlop MXR Custom Badass ’78 Distortionの評判・口コミ
ユーザーが評価するおすすめな点
本機に対するユーザーからの評価で最も多く聞かれるのが、「オーバードライブからディストーションまでの守備範囲の広さ」と「ヴィンテージ感あふれるサウンドの質の高さ」です。
特にクランチ〜ミッドゲイン域でのサウンドに対する満足度が高く、「ネックポジションのストラトで弾くと、70年代ロックのダーティなストラトトーンがそのまま出てくる」「まるでヴィンテージ・プレキシをグラッシーなオーバードライブに設定したような、コード・ディフィニションの高い音が得られる」といった具体的な使用感が報告されています。
コストパフォーマンスに対する評価も極めて高く、「安く手に入れたにもかかわらず、何度もより高価なペダルを上回ったため、ずっとペダルボードに残り続けている」「肉厚で耐久性があり、ロックサウンドにはこれ以上のものはない」という声が複数見られます。
特に同価格帯のペダルとの比較において、音の分離感や倍音の豊かさで優位に立つという評価が一般的です。
ギターボリュームへの追従性を絶賛する声も目立ちます。
ペダルで歪みを作りつつ、ギターの手元操作だけでクリーンからクランチ、ディストーションまでシームレスにコントロールできる点は、ライブでのパフォーマンス向上に直結する実用的なメリットとして広く認知されています。
購入前に確認すべき注意点
一方で、購入前に把握しておくべき注意点もいくつか報告されています。
最も多い指摘が「アンプとの相性」に関するものです。
ミッドが豊かなマーシャル系アンプとの組み合わせでは圧倒的な実力を発揮するものの、相性の合わないアンプでは「ピックアタックの質感が悪くなり、満足な音が出せない」というケースもあります。
購入前に自分のアンプとの相性を試奏して確認することが推奨されます。
また、シングルコイルピックアップ搭載のギターでは「CRUNCHスイッチをONにしないと歪みが物足りない」という声があり、ハンバッカーと比較するとゲインのヘッドルームにやや差が出る傾向があるようです。
シングルコイルをメインに使用するギタリストは、試奏時にCRUNCH ON/OFF両方の状態を確認しておくとよいでしょう。
さらに、「TONEノブの12時以降は使えない」と感じるユーザーも一定数存在し、全体的にTONEの可変幅に対する不満が見られます。
とはいえ、10時〜12時付近のスイートスポットで使用する分には問題ないという意見が大勢を占めており、セッティングの工夫次第で十分に対応可能です。
BOSS DS-1やMXR Distortion+との比較での評価
本機はBOSS DS-1のオリジナル回路をベースとしていることもあり、DS-1との比較は多くのユーザーの関心事です。
両者を比較した場合、本機の方が「出力音量が明らかに大きい」「音が暖かく弦の分離感が向上している」「DS-1特有の圧縮感が軽減されてダイナミクスが豊か」と評価される傾向にあります。
DS-1最大の弱点とされてきた音量不足が改善されており、現代的なレベルで他のペダルと並べても音量負けしません。
一方、DS-1ならではのスナーリーで攻撃的なコンプレッション感を好むプレイヤーからは「’78は別物」という評価もあり、あくまで「改良版」であって「互換品」ではないという認識が一般的です。
MXR Distortion+(M104)との比較では、’78の方がゲインレンジが広く、より現代的な分離感と太さを持つと評価されています。
Distortion+のシンプルで原始的な歪みに魅力を感じるプレイヤーには一概に上位互換とは言えませんが、汎用性と扱いやすさでは’78が上回るという評価が多数派です。
また、同じMXRの「Super Badass Distortion(M75)」との比較では、M75は5ノブによるEQの自由度が高い反面、低ゲイン域でのアタックの鈍さやローミッドのウーリーさが指摘されており、「低ゲイン〜ミッドゲインでは’78の方が圧倒的に良い」という評価が聞かれます。
まとめ:Jim Dunlop MXR Custom Badass ’78 Distortion
こんなギタリストにおすすめ/おすすめしない
本機は、70年代のクラシックロックやブルースロックのような荒々しくも温かみのあるディストーションサウンドを求めるギタリストに最適です。
一方、モダンハイゲインやメタル系の緻密な歪みを求める方には向きません。
おすすめなのは、ブルースロックやクラシックロックを好むギタリスト、バッキングの歪みにこだわりたいプレイヤー、ピッキングのニュアンスやギターボリュームでの表現を重視する方、チューブアンプ(特にマーシャル系)と組み合わせて使いたい方、そしてコストパフォーマンスの高いディストーションを探している方です。
おすすめしないのは、モダンハイゲインやメタル系の歪みを求める方、サステインの長いリードトーンをこれ1台で完結させたい方、アンプとの相性を気にせず使えるペダルが欲しい方、演奏中にCRUNCHの切り替えを足で行いたい方です。
総合評価と購入判断のアドバイス
- 70年代後半のスタックアンプを彷彿とさせる、ザラついて太いヴィンテージ・ディストーションサウンドが最大の魅力
- CRUNCHスイッチにより1台で2つのボイスを使い分けられ、クリーンブーストからディストーションまで幅広くカバー
- ピッキングダイナミクスとギターボリュームへの追従性が極めて高く、手元で音色を自在にコントロール可能
- 3ノブのシンプルな操作系で、初心者から上級者まで直感的に音作りができる
- 消費電流6mAと省電力で、トゥルーバイパス採用により音痩せの心配も少ない
- TONEノブは12時以降で音質が劣化しやすく、実用的なスイートスポットが限定的な点は要注意
- サステインは短めのため、ギターソロ用途には別途ブースターの併用が望ましい
- アンプとの相性に左右される面があり、特にミッドが弱いアンプでは真価を発揮しにくい
- CRUNCHスイッチがフットスイッチ非対応で、演奏中の切り替えができない点は惜しい
- 新品約2万円・中古5,000〜10,000円前後という価格帯を考慮すれば、コストパフォーマンスは極めて優秀。ヴィンテージ系ディストーションの入門機としても、ベテランの定番ペダルとしても高い満足度が期待できる1台

