2台のアンプの切り替えや、ギターの持ち替えをスマートに行いたいと考えたことはありませんか。
そんなギタリストの悩みをシンプルに解決してくれるのが、今回レビュー解説する「Jim Dunlop MXR A/B BOX M196」です。
2012年に限定生産されたこのモデルは、その堅牢な作りと信頼性から、今なお多くのプレイヤーに支持されています。
この記事では、MXR M196の基本的な特徴からスペック、リアルな使用感、価格相場、そして具体的な使い方まで、あらゆる情報を網羅的に解説します。
M196の導入を検討している方や、便利なスイッチャーを探している方の疑問をすべて解消できる内容になっていますので、ぜひ最後までご覧ください。
MXR M196 A/B BOXとは?ギタリストに選ばれる理由を完全解説
結論:シンプルで頑丈!一台あると便利な万能スイッチャー
MXR M196 A/B BOXは、1つの入力信号を2つの出力先(AまたはB)に切り替えるための、非常にシンプルで頑丈なスイッチャーです。
電子回路を介さないパッシブ設計により音質への影響を最小限に抑え、MXRならではの堅牢な筐体はステージ上での高い安定性を実現します。
アンプやギターの切り替え、チューナーへの信号分岐など、ギタリストの「あると便利」なニーズに的確に応える、信頼性の高いツールとして評価されています。
そもそも「A/B BOX」って何?基本的な役割と仕組みをわかりやすく解説
A/B BOXとは、ギターからの信号(インプット)を、スイッチ一つで2系統の出力(アウトプットA/B)に切り替えることができる機材のことです。
例えば、Aには歪み用のMarshallアンプ、Bにはクリーン用のJC-120アンプを接続し、曲調に合わせて瞬時にアンプを切り替えるといった使い方が代表的です。
また、インプットとアウトプットを逆に接続することも可能で、2本のギターを1台のアンプに繋ぎ、スイッチで持ち替えるといった用途にも使用できます。
なぜ人気?2012年に限定生産された背景と希少性
MXR M196が今なお人気を集める理由の一つに、その希少性が挙げられます。
このモデルは2012年7月に限定生産品として発売され、ごく短期間で生産が終了しました。
その後、ループ機能を備えた後継機的なモデル「M198 Dual Loop Box」へ生産が移行したため、M196が市場に出回った数は非常に少ないです。
このため、中古市場でも見つけるのが簡単ではなく、その希少価値が所有欲を刺激する一因となっています。
MXR M196のスペックとサウンドを左右する際立った特徴
一目でわかるスペック一覧(サイズ、重量、端子、電源)
MXR M196の基本的な仕様を一覧表にまとめました。
特に、一般的なコンパクトエフェクターよりも大きいサイズが特徴的です。
項目 | 仕様 |
---|---|
モデル名 | M196 A/B BOX |
サイズ | 124mm (W) × 93mm (D) × 57mm (H) |
端子 | Input, Output a, Output b, Thru, 9Vdc |
バイパス方式 | True Hardwire(トゥルー・バイパス) |
電源 | 9V電池または9V AC/DCアダプター(LED点灯用) |
その他 | パッシブ回路(電源なしでも動作可能) |
あえて大きい?MXRならではのサイズ感がもたらす抜群の安定性
多くのメーカーが小型のA/B BOXを製造する中で、M196はMXRの18V駆動エフェクター(DIME DISTORTIONなど)と同じ、大きめの筐体を採用しています。
これは意図的な設計であり、筐体をあえて少し重く作ることで、ステージ上でスイッチを踏んだ際のぐらつきを防ぎ、抜群の安定性を確保するためです。
小さい方がボード内で場所を取らないという利点もありますが、この確かな安定感を好んでM196を選ぶプレイヤーも少なくありません。
音質劣化は心配ない?トゥルーハードワイヤー・バイパスの真実
M196は、信号が電子回路を通らない機械式の「トゥルーハードワイヤー・バイパス」を採用しています。
これは、スイッチがオフの状態では、入力された信号が内部の回路を一切経由せず、そのまま出力される方式です。
そのため、エフェクターを接続することによる音質の変化や劣化(いわゆる音痩せ)を最小限に抑えることができます。
原音を重視するギタリストにとって、この仕様は大きなメリットと言えるでしょう。
電源不要でも使える?9V電源とLEDランプの役割とは
M196は9V電池またはACアダプターで電源を供給できますが、この電源はAとBのどちらが選択されているかを示すLEDランプを点灯させるためだけに使用されます。
スイッチング機能自体は電源を必要としない機械式のパッシブ回路で動作するため、万が一ライブ中に電池が切れたり、アダプターが抜けたりしても、A/B BOXとしての機能は問題なく動作し続けます。
音が出なくなる心配がないという点は、ライブで使用する上で非常に重要なポイントです。
チューナー接続に便利!常時出力される「Thru端子」の活用法
M196には、「Thru」と表記された端子が搭載されています。
この端子からは、スイッチのON/OFFに関わらず、インプットに入力された信号が常にそのまま出力されます。
ここにチューナーを接続しておくことで、演奏中も常にチューナーへ信号を送り続けることが可能です。
これにより、ペダルボードの信号ライン上にチューナーを接続することで生じる音痩せのリスクを回避できます。
MXR M196のリアルな音質と使用感を徹底検証
音痩せはする?パッシブ回路がサウンドに与える影響
M196はバッファーなどの音質補正回路を内蔵していない、完全なパッシブ回路です。
そのため、長いケーブルを使用したり、多くのエフェクターを直列で接続したりするシステム環境では、高音域が若干減衰する、いわゆる「音痩せ」を感じる可能性があります。
しかし、これはM196固有の問題ではなく、パッシブ仕様のスイッチャー全般に言えることです。
シンプルな接続環境であれば、音質の変化はほとんど気にならないレベルと言えるでしょう。
実際のユーザーからの評判・口コミを調査(Amazonレビューまとめ)
Amazonのカスタマーレビューでは、190件以上の評価で平均4.3(5段階)と、非常に高い評価を得ています。
肯定的な意見としては、「作りが頑丈で安心感がある」「操作がシンプルで分かりやすい」「ノイズがなくクリア」といった、堅牢性や信頼性、音質に関するものが多く見受けられました。
一方で、少数ながら「サイズが大きくてボードの場所を取る」という意見もあり、購入前にサイズ感を確認する必要があることがわかります。
スイッチの踏み心地とライブでの操作性はどうか?
M196に採用されているフットスイッチは、しっかりとしたクリック感があり、操作の確実性が高いです。
前述の通り、筐体が大きく重量もあるため、ステージ上で力を込めて踏んでも本体が動いてしまう心配はほとんどありません。
暗いステージでもLEDでどちらのチャンネルが選択されているか一目でわかるため、ライブでの操作ミスを防ぎやすい設計になっています。
個人ブログから見る「有ると便利」と評価される本当の理由
個人のレビューブログを分析すると、M196が「有ると便利」と評価される具体的な理由が見えてきます。
例えば、メインのレスポールとサブのテレキャスターでアンプやエフェクターのセッティングを分けたい場合、このA/B BOXがあればギターを持ち替えると同時に足元のスイッチ一つでシステム全体を切り替えることが可能です。
このように、複数の機材を使い分ける際のセットアップを劇的に簡略化し、演奏に集中できる環境を構築できる点が、高く評価される本当の理由と言えます。
MXR M196を導入するメリットと購入前の注意点
ここがおすすめ!M196を選ぶべき3つのメリット
MXR M196を導入するメリットは、主に以下の3点に集約されます。
- シンプルな操作性:余計な機能がなく、直感的に使えるため、機材操作が苦手な方でも迷うことはありません。
- 高い堅牢性と安定性:MXR製品ならではの頑丈な金属製筐体は、過酷なツアーやライブでも安心して使用できる信頼性を提供します。
- 音質劣化の少なさ:トゥルーハードワイヤー・バイパス仕様により、ギター本来のサウンドを損なうことなくシステムに組み込めます。
購入前に知っておきたい注意点・デメリットはある?
多くのメリットがある一方で、購入前にはいくつかの注意点も考慮する必要があります。
まず、限定生産品であるため新品での入手は非常に難しく、中古市場で探すのが基本となる点です。
また、その大きなサイズはペダルボードのスペースを圧迫する可能性があるため、設置場所をあらかじめ確認しておく必要があります。
さらに、バッファー非搭載のため、システムによっては別途バッファーペダルが必要になるケースも考えられます。
M196はどんなギタリストにおすすめ?具体的な活用シーンを紹介
MXR M196は、特に以下のようなギタリストにおすすめです。
- クリーンと歪みで2台のアンプを使い分けたい方
- ハムバッカーとシングルコイルなど、特性の違うギターをライブで持ち替えたい方
- とにかく頑丈でトラブルの少ない、シンプルなスイッチャーを求めている方
- チューナーを信号ラインから独立させて音痩せを防ぎたい方
これらのニーズを持つギタリストにとって、M196は非常に有効なツールとなるでしょう。
MXR M196の多様な使い方と接続パターン
【基本】2台のアンプを切り替える接続方法
最も基本的な使い方が、2台のアンプの切り替えです。
- ギターからのシールドをM196の「Input」に接続します。
- 「Output a」からアンプAへ、「Output b」からアンプBへそれぞれシールドを接続します。
- フットスイッチを踏むことで、出力先のアンプをAとBで切り替えることができます。
【応用①】2本のギターを瞬時に持ち替える接続方法
M196はパッシブ回路のため、信号の流れを逆にしても問題なく機能します。
- ギターAを「Output a」に、ギターBを「Output b」に接続します。
- 「Input」からアンプへシールドを接続します。
- フットスイッチで、アンプへ送るギターの信号をAとBで切り替えることができます。
【応用②】チューナーアウトとして使い音痩せを防ぐ接続方法
Thru端子を使わずに、A/Bの片方をミュートスイッチ兼チューナーアウトとして使う方法もあります。
- ギターを「Input」に、アンプを「Output a」に接続します。
- チューナーを「Output b」に接続します。
- チューニングする際は、スイッチをBに切り替えます。これによりアンプへの信号がミュートされ、音を出さずにチューニングが可能です。
AとBの同時出力は可能?その効果と注意点
M196は、AとBのスイッチを同時にオンにすることで、両方のアウトプットから信号を同時に出力することも可能です。
これにより、2台のアンプを同時に鳴らす、いわゆる「アンプミックス」サウンドを作ることができます。
ただし、これは単純な信号の分岐であり、ステレオ出力とは異なるため注意が必要です。
また、アンプの組み合わせによっては位相の問題が発生する可能性もあることを知っておく必要があります。
MXR M196の価格相場と現在の入手方法
発売当時の価格と現在の希望小売価格はいくら?
2012年の発売当時、M196の実売価格は6,900円(税込)程度でした。
その後、国内代理店であるモリダイラ楽器の公式サイトでは、希望小売価格が16,500円(税込)と表記されています。
これは、生産終了後の再評価や為替レートの変動などが影響していると考えられます。
限定生産品で入手困難?中古市場での価格相場をチェック
前述の通り、M196は限定生産品であり、新品での入手は困難です。
そのため、主に中古楽器店やオンラインのフリマサイト、オークションなどで探すことになります。
中古市場での価格相場は、商品の状態にもよりますが、おおむね8,000円から15,000円前後で取引されることが多いようです。
今からM196を手に入れるための探し方のコツ
M196を探す際は、デジマートやJ-Guitarといった楽器専門の検索サイトでアラート設定をしておくと、出品された際に通知を受け取ることができ便利です。
また、Amazonや楽天市場、Yahoo!ショッピングなどの大手ECサイトでも、中古品が出品されることがあります。
根気強く定期的にチェックすることが、状態の良い個体を見つけるコツと言えるでしょう。
他モデルとの違いは?M196と比較検討されやすい製品
M197 Loop Box / M198 Dual Loop Boxとの機能的な違い
M196と同時期に発売されたMXRのユーティリティペダルには、「M197 Loop Box」と「M198 Dual Loop Box」があります。
M197はエフェクター群をひとまとめにしてON/OFFできる1ループボックス、M198はそれを2系統備えた2ループボックスです。
特にM198は、ミュートスイッチの活用によりA/B BOXとしても使用できる多機能性が特徴で、M196の生産がM198に移行した形跡が見られます。
純粋な信号切り替えのみを求めるならM196、エフェクトループも活用したいならM198が選択肢となります。
BOSS LS-2やOne Controlなど他社の人気A/B BOXと比較
A/B BOX市場には、多くの競合製品が存在します。
例えば、定番のBOSS「LS-2 Line Selector」は、6種類のモード切り替えや各ラインのレベル調整が可能で、非常に多機能です。
また、One Controlの「Minimal Series AB BOX」は、超小型サイズが特徴で、ペダルボードの省スペース化に貢献します。
これらの製品と比較して、M196は機能のシンプルさと筐体の堅牢性に特化したモデルであると言えます。
ループ機能も必要?M198ではなくM196を選ぶべき人
M198 Dual Loop BoxはA/B BOXとしても使えるため、機能面だけを見ればM198の方が優れているように思えます。
しかし、「エフェクトループは使わない」「とにかく操作が簡単なものが良い」というギタリストにとっては、M196のシンプルさが大きな魅力となります。
見た目の好みや、必要最低限の機能で十分と考えるならば、M196は依然として非常に良い選択肢です。
まとめ:Jim Dunlop MXR A/B BOX M196 レビュー解説
- M196は1入力2出力を切り替えるシンプルなA/B BOXである
- 2012年に短期間のみ生産された希少性の高い限定モデル
- MXRならではの大きく重い筐体により高い安定性を実現
- 電源はLED点灯専用であり、電源が無くてもスイッチャーとして機能する
- トゥルーハードワイヤー・バイパス採用で音質への影響が極めて少ない
- 常時出力のThru端子はチューナー接続に最適で音痩せを回避できる
- 2台のアンプ切り替えや2本のギターの持ち替えといった多様な使い方が可能
- 限定品のため入手は中古市場がメインとなり、価格は8,000円から15,000円が相場
- ループ機能が不要で、純粋な信号切り替えを求めるギタリストに最適
- 発売から時間が経った現在でも、その信頼性とシンプルさで価値を失わない名機である