Paul Reed Smith(PRS)の中でも、特にヴィンテージ志向のギタリストから高い評価を得ている「McCarty 594」。
ギブソン・レスポールを彷彿とさせるサウンドキャラクターと、PRSならではの卓越した演奏性を両立させた、まさに理想の一本として多くのブログで語られています。
しかし、実際に購入を検討する段階になると、「本家レスポールとのサウンドの違いは?」「シングルカット(Singlecut)モデルの弾き心地は本当に良いのか?」「標準のピックアップで満足できるだろうか?」など、具体的な情報が欲しくなるものです。
また、中古市場での購入を考えている方にとっては、年式による仕様の違いも気になるところでしょう。
本記事では、PRS McCarty 594に関する様々なレビューを徹底的に調査し、そのサウンド特性、演奏性、弦高調整のポイントから中古品選びの注意点まで、購入を検討しているあなたが知りたい情報を網羅的に解説していきます。
PRS McCarty 594のレビュー:基本性能とサウンド

そもそもPRS マッカーティとはどんなギター?
PRS McCartyシリーズは、Paul Reed Smith(PRS)が提供するモデルラインナップの中でも、特にヴィンテージギターへの敬意と現代的な演奏性を融合させたシリーズとして知られています。
このシリーズは、ギブソンの黄金期を支えた伝説的な社長、テッド・マッカーティ氏へのオマージュとして1994年に誕生しました。
ポール・リード・スミス氏がギター製作における師と仰ぐマッカーティ氏から得た知識や哲学が、このモデルには色濃く反映されています。
PRSの代表モデルであるCustom 24が、モダンで多彩なサウンドと先進的な機能性を追求しているのに対し、McCartyシリーズはよりクラシックでウォームな、いわゆる「ギブソンライク」なサウンドキャラクターを目指して設計されました。
この方向性の違いは、ギターの仕様に明確に表れています。
項目 | Custom 24 | McCartyシリーズ |
---|---|---|
ボディ厚 | 標準 | やや厚い(McCarty Thickness) |
ピックアップ | モダン・高出力系が多い | ヴィンテージ・低出力系が多い |
ブリッジ | トレモロユニットが主流 | ストップテイルピースが多い |
コントロール | 1Vol, 1Tone, 5Wayブレードスイッチ | 2Vol, 2Tone, 3Wayトグルスイッチ |
フレット数 | 24フレット | 22フレット |
コンセプト | モダン、多機能、先進的 | ヴィンテージ、伝統的、ウォーム |
特に重要なのがボディの厚みです。
McCartyシリーズはCustom 24よりもわずかに厚いマホガニーバックを持っており、これが豊かな中低音域と伸びやかなサステインを生み出す要因の一つとなっています。
言ってしまえば、McCartyシリーズは「PRSが考える、理想のヴィンテージギター」を具現化したものと言えるでしょう。
そのため、ギブソン・レスポールのような太く甘いトーンを求めつつも、PRSならではの精密な作り込みや卓越したプレイアビリティを享受したいギタリストにとって、非常に魅力的な選択肢となっています。
シリーズ登場から現在に至るまで、McCartyはマイナーチェンジを繰り返しながら、PRSのラインナップにおける重要な柱として存在し続けているのです。
PRS McCarty 594 Singlecutの仕様について
PRS McCarty 594、特にシングルカット(SC)モデルは、McCartyシリーズの中でもさらに深くヴィンテージ・レスポールの領域に踏み込んだ、こだわりの仕様が満載のギターです。
このモデルを理解する上で欠かせない、特徴的な仕様をいくつか掘り下げてみましょう。
24.594インチの独自スケール
モデル名にもなっている「594」という数字は、ネックのスケール長(ナットからブリッジまでの弦長)が24.594インチであることに由来します。
これは、ポール・リード・スミス氏が所有する1950年代のヴィンテージ・レスポールを計測した際に発見した数値で、ギブソンの公式スペックである24.75インチよりもわずかに短いのが特徴です。
この約3.8mmの違いが、弦のテンション感をやや緩やかにし、独特の弾き心地とサウンドの「揺らぎ」を生み出します。
結果として、チョーキングがしやすく、サウンドに温かみとルーズさが加わる効果が期待できます。
Pattern Vintageネックシェイプ
McCarty 594には「Pattern Vintage」と名付けられた、PRSの中でも最も肉厚なネックシェイプが採用されています。
ただし、単に太いだけではなく、ローポジション側は緩やかなVシェイプ、ハイポジションに向かうにつれてUシェイプに変化する非対称な設計が施されており、握り込んだ際のフィット感は抜群です。
太いネックは豊かな鳴りとサステインに貢献する一方で、手の小さいプレイヤーには敬遠されることもありますが、この絶妙な削り出しによって、多くの人が「不思議と手に馴染む」と感じる握り心地を実現しています。
58/15 LT “S” ピックアップ
ピックアップには、ヴィンテージPAFの再現を目指して開発された「58/15」のコイルワイヤーの巻き数を減らしたローターン(LT)バージョンが搭載されています。
これにより、出力は控えめになり、ピッキングのニュアンスを非常に忠実に再現する、表現力豊かなサウンドキャラクターを獲得しました。
甘くウォームでありながら、高音域のきらびやかさも失われておらず、クリーンからクランチサウンドでその真価を発揮します。
また、プッシュ/プルトーンノブによるコイルタップ機能も備えており、ハムバッカーの太いサウンドと、芯のあるシングルコイルサウンドを瞬時に切り替え可能です。
こだわりのハードウェア
ブリッジは、チューン・オー・マチックとストップテイルピースから成る2ピース構造を採用。
これはレスポールの仕様を踏襲していますが、PRS独自の工夫が凝らされています。
サドルは弦が滑らかに乗るアーチ状になっており、チューニングの安定性に貢献。
また、ペグにはギアの遊びを調整できる機構を備えたヴィンテージスタイルのチューナーが搭載され、弦振動をロスなくボディに伝達します。
これらの細部にわたるこだわりが、McCarty 594の卓越したサウンドと安定性を支えているのです。
人気のprs シングルカットモデルの特徴
PRSにおけるシングルカット(Singlecut)モデルは、その名の通りボディの片側だけがカッタウェイされた形状を持つギターで、ギブソン・レスポールを彷彿とさせる伝統的なルックスが特徴です。
PRSは元々ダブルカッタウェイのモデルで名を馳せましたが、シングルカットモデルの登場により、より幅広いギタリストのニーズに応えるラインナップを完成させました。
McCarty 594 Singlecutを筆頭に、PRSのシングルカットモデルにはいくつかの共通した魅力があります。
第一に、サウンド面での利点です。
ダブルカッタウェイモデルと比較して、シングルカットモデルはネックとボディの接合面積が広く、ボディ自体の質量も大きくなる傾向があります。
これにより、一般的に豊かで厚みのある中低音域と、長いサステインが得られるとされています。
レスポールが持つ、あの図太く粘りのあるサウンドキャラクターを求めるプレイヤーにとって、この形状は大きな魅力となるでしょう。
第二に、PRSならではの演奏性への配慮です。
伝統的なレスポールは、ハイポジションでの演奏時にヒール部分が手に当たり、弾きにくさを感じるという声が少なくありません。
しかし、PRSのシングルカットモデルの多くは、ボディ裏のヒール部分が滑らかに削り取られており(ヒールカット)、ハイフレットへのアクセスが格段に向上しています。
また、ボディトップのアーチ形状や、体にフィットするように施されたバックコンターなど、長時間の演奏でもストレスを感じさせないための工夫が随所に見られます。
つまり、「レスポールのサウンドとルックスは好きだが、演奏性には不満がある」というギタリストの悩みを解決してくれる存在なのです。
PRSのシングルカットモデルは、価格帯や生産国によっていくつかのラインナップに分かれています。
- Coreライン (USA製): McCarty 594 Singlecutなど、最高峰の木材と技術で製作されるフラッグシップモデル。
- S2ライン (USA製): Coreラインの設計思想を受け継ぎつつ、生産工程を効率化してコストを抑えたコストパフォーマンスに優れたモデル。
- SEライン (インドネシア製): PRSの品質管理のもとで生産される、最も手に入れやすい価格帯のモデル。近年品質が飛躍的に向上しています。
このように、予算や求めるクオリティに応じてモデルを選べるのも、PRSシングルカットの魅力の一つと言えるでしょう。
伝統的なスタイルに現代的な解釈と最高のプレイアビリティを求めるなら、PRSのシングルカットモデルは間違いなく検討すべき選択肢です。
マッカーティ 594のピックアップ交換とサウンドの変化
PRS McCarty 594は、標準搭載されている「58/15 LT」ピックアップによって、ヴィンテージライクで表現力豊かなサウンドを実現しています。
しかし、ギタリストの音楽性の変化や、より特定のサウンドを追求したいという欲求から、ピックアップの交換を検討するケースも少なくありません。
ここでは、McCarty 594のピックアップを交換した場合に、サウンドがどのように変化する可能性があるのかを考察します。
標準の58/15 LTは、低出力(ローゲイン)なピックアップです。
この特性により、ギター本体の鳴りやピッキングの強弱といったニュアンスがストレートに出力され、非常に繊細なサウンドメイクが可能です。
クリーンやクランチでは絶品のトーンを奏でますが、一方でモダンなハイゲインサウンド、例えばメタルやハードコアのような攻撃的で飽和感の強い歪みを求める場合、「少し物足りない」「音がすっきりしすぎている」と感じる可能性があります。
そこで考えられるのが、PRSのCustom 24などに搭載されているような、より高出力なピックアップへの交換です。
例えば、PRSの「\m/ (Metal)」ピックアップや、セイモア・ダンカン社の「SH-4 (JB)」、ディマジオ社の「DP100 (Super Distortion)」といった、パワフルなモデルが候補に挙がるでしょう。
これらのハイゲインピックアップに交換した場合、以下のようなサウンドの変化が期待できます。
- 歪みの乗りが良くなる: アンプを深く歪ませた際に、よりサチュレーション(飽和感)が強く、コンプレッションの効いたタイトなサウンドが得やすくなります。
- 中音域の押し出しが強くなる: 特にモダンなメタルサウンドで求められる、アグレッシブでパンチのあるミッドレンジが強調されます。
- サステインの向上: ピックアップ自体のパワーが弦振動をより長く拾うため、音の伸びが良くなったように感じられることがあります。
しかし、ピックアップ交換にはメリットだけでなく、考慮すべき点も存在します。
ハイゲインピックアップに交換することで、McCarty 594が本来持っていた「ヴィンテージ感」や「繊細さ」は薄れてしまう可能性が高いです。
58/15 LTが得意としていた、ボリュームを絞った際の鈴鳴りのようなクリーンサウンドや、ピッキングニュアンスによる表情の変化は、コンプレッションの強いハイゲインピックアップでは再現しにくくなります。
言ってしまえば、ギターのキャラクターが「ヴィンテージ志向の万能選手」から「モダンなロック/メタル特化型」へと大きくシフトするのです。
結論として、McCarty 594のピックアップ交換は、自身の音楽性とギターに求める役割を明確にした上で判断することが重要です。
もし、基本的なヴィンテージトーンは維持しつつ、もう少しだけパワーが欲しいという場合は、58/15 LTよりは出力が高いものの、過度にモダンではないPAF系のピックアップ(例: PRS 57/08, 59/09など)を選ぶという選択肢もあります。
どのようなサウンドを目指すのかを具体的にイメージし、慎重にピックアップを選ぶことが、後悔のないカスタマイズへの鍵となるでしょう。
PRS McCarty 594のレビュー:演奏性と購入ガイド

PRSは座って弾きにくい?演奏性の評価
「PRSのギターは座って弾きにくい」という噂を耳にしたことがあるかもしれません。
この評価は、一部のモデルや個人の体格、弾き方によっては事実かもしれませんが、PRSのギター全体、特にMcCarty 594のようなモデルに当てはめるのは早計と言えるでしょう。
この噂が生まれる背景には、PRSの代表的なダブルカッタウェイモデルのボディ形状が関係していると考えられます。
一部のモデルでは、座って構えた際にボディのくびれが浅く、右足の太ももに乗せた際の安定感が低いと感じる人がいるようです。
また、ギター全体のバランスがややヘッド寄り(ヘッド落ち)に感じられる個体も存在し、左手でネックを支える力が必要になることから「弾きにくい」という印象に繋がることがあります。
しかし、これは全てのPRSモデルに共通するわけではありません。
むしろ、多くのブログやレビューで指摘されているように、PRSのギターは総じて演奏性が高いと評価されています。
特に今回テーマにしているMcCarty 594、中でもシングルカットモデルは、座って弾いた際のバランスが非常に良いことで知られています。
その理由は、シングルカット形状によるボディ下部の質量と、考え抜かれたボディバランスにあります。
太ももの上でギターが安定し、両手を離してもギターのお尻が下がっていくようなことが少ないため、プレイヤーはピッキングやフィンガリングに集中できます。
これは、リラックスした状態で長時間練習したり、レコーディングしたりする上で大きなアドバンテージとなります。
さらに、立ってストラップで構えた際のバランスも秀逸です。
3.6kg前後という、レスポールタイプとしては比較的軽量な重量も相まって、肩への負担が少なく、ステージでの長時間の演奏にも耐えうる設計となっています。
もちろん、演奏性の感じ方には個人差が大きく影響します。
ネックの太さ(McCarty 594は太めのPattern Vintageシェイプ)や、ボディの厚み、自身の体格や構え方によって、最適なギターは変わってきます。
例えば、非常に小柄な方であれば、McCarty 594のボディ厚やネックの太さが少々大きく感じられる可能性は否定できません。
結論として、「PRSは座って弾きにくい」という評価は、一部のモデルや状況に限られた話であり、McCarty 594に関してはむしろ「非常にバランスが良く弾きやすいギター」と評価するのが妥当です。
もし演奏性に不安がある場合は、先入観を持たずに楽器店で実際に座って構えてみることが、最も確実な確認方法と言えるでしょう。
PRS McCartyの弦高調整と弾き心地
ギターの弾き心地を決定づける最も重要な要素の一つが「弦高」です。
PRS McCarty 594は、その卓越した作り込みにより、弦高調整の自由度が高く、プレイヤーの好みに合わせたセッティングを追求しやすいギターとして評価されています。
McCarty 594に採用されているPRS独自の2ピース・ブリッジは、弦高調整とオクターブチューニングを精密に行えるように設計されています。
ブリッジ側にある2つのスタッド(ネジ)を回すことで、ブリッジ全体を上下させ、6本の弦すべての高さを一括で調整できます。
これにより、大まかな弦高セッティングを素早く行うことが可能です。
一般的に、PRSギターは工場出荷時、12フレット上で1弦側が約1.6mm、6弦側が約2.0mmという比較的低めの弦高にセッティングされていることが多いです。
これは、速弾きなどのテクニカルなプレイにも対応しやすい、現代的なセッティングと言えます。
しかし、弾き心地の好みは千差万別です。
- 弦高を低くするメリット: 弦を押さえる力が少なくて済むため、運指が楽になり、速いフレーズが弾きやすくなります。
- 弦高を低くするデメリット: ピッキングが強いと弦がフレットに当たって「ビビり」が発生しやすくなります。また、サステインが若干短くなる傾向があります。
- 弦高を高くするメリット: 弦がしっかりと振動するため、豊かで力強い鳴りと長いサステインが得られます。チョーキングやスライドがしやすくなるという意見もあります。
- 弦高を高くするデメリット: 弦を押さえるのに力が必要になり、特にコードを押さえる際に疲れやすくなります。
McCarty 594は、ネックの反りに対する強度やフレット処理の精度が非常に高いため、かなり低い弦高にセッティングしてもビビりが出にくいという特徴があります。
そのため、テクニカルなプレイを好むギタリストは、限界まで弦高を下げてセッティングを詰めていく楽しみがあります。
一方で、ブルースやロックで多用される深いチョーキングや、力強いカッティングを多用するプレイヤーは、少し弦高を上げて、弦が暴れても音が詰まらないようにセッティングすると良いでしょう。
また、弦高調整はネックの反り具合と密接に関連しています。
トラスロッドを調整してネックを適切な状態(完全なストレートか、わずかに順反り)にした上で、弦高を決定するのが基本です。
PRSのトラスロッドは効きが良く、微調整がしやすいのも特徴です。
結論として、PRS McCarty 594は、高品質なハードウェアと精密な木工技術によって、幅広い弦高セッティングに対応できるポテンシャルを持っています。
自分のプレイスタイルに合わせて弦高を追い込むことで、そのギターが持つ最高の弾き心地を引き出すことが可能です。
もし自分で調整するのが不安な場合は、信頼できるリペアショップに相談することをお勧めします。
PRS McCarty 594のブログでの評価まとめ
PRS McCarty 594は、その登場以来、多くのギタリストやブロガーによってレビューされ、その評価が語られてきました。
ここでは、様々なブログで見られる共通の評価をまとめ、このギターのパブリックイメージを明らかにします。
ポジティブな評価
多くのレビューで共通して絶賛されているのは、以下の点です。
- 卓越した演奏性: 「とにかく弾きやすい」という声が圧倒的に多いです。ネックシェイプが手に馴染む、ハイポジションへのアクセスが容易、座奏・立奏時のバランスが良い、といった点が挙げられます。初心者から上級者まで、ストレスなく演奏に集中できる点が高く評価されています。
- チューニングの安定性: 「チョーキングしてもチューニングがほとんど狂わない」「次の日に弾いてもズレが少ない」など、チューニングの安定性は特筆すべき点として多くのブログで言及されています。これは、精度の高いペグやナット、ブリッジの設計によるものです。
- サウンドの質の高さ: 「上から下まできれいに鳴るハイファイなサウンド」「ピアノのよう」と表現されることが多いです。低音から高音までバランスが良く、それでいてヴィンテージライクな温かみも持ち合わせています。生音の鳴りの良さも頻繁に指摘されています。
- 作りの良さと美しさ: フレットの処理や塗装、木材の杢目など、楽器としての完成度の高さは誰もが認めるところです。所有欲を満たしてくれる工芸品のような美しさも、PRSの大きな魅力の一つです。
ネガティブ・改善点として挙げられる評価
一方で、いくつかの改善点や好みが分かれる点も指摘されています。
- レスポールとは異なるサウンド: レスポールを意識したモデルではありますが、「本家レスポールの図太く雑味のあるサウンドとは違う」という意見が多数見られます。McCarty 594はより整理された、モダンでクリアなサウンドキャラクターであり、これを好むかどうかが評価の分かれ目となります。
- モダンなハイゲインには不向き: 標準搭載の58/15 LTピックアップは低出力なため、メサブギーのレクチファイアで鳴らすような、ゴリゴリのモダンハイゲインサウンドには「コレジャナイ感」があるというレビューが見られます。
- コントロールノブが軽すぎる: ボリュームやトーンのノブのトルクが軽く、微調整がしにくいという声があります。これは意図的な設計ですが、細かい操作を好むプレイヤーには不満点となるようです。
- ピックガードがない: デザイン上の理由からピックガードがありませんが、ピッキングによるボディへの傷を気にするユーザーからは、ピックガードが欲しいという意見もあります。
これらの評価を総合すると、PRS McCarty 594は「ヴィンテージ・レスポールのフィーリングを持ちながら、PRSならではの現代的な解釈と最高の品質で仕上げられた、極めて完成度の高いギター」と言えます。
ただし、そのサウンドはあくまで「PRS流のレスポール」であり、本家ギブソンとは異なる魅力を持つ楽器として理解することが重要です。
PRS McCarty 594の中古市場と選び方
PRS McCarty 594は、その高い品質と人気から、新品だけでなく中古市場でも活発に取引されています。
新品は高価で手が出しにくいと感じる方にとって、中古品は魅力的な選択肢となりますが、購入する際にはいくつか知っておくべきポイントがあります。
中古市場の価格帯
McCarty 594の中古価格は、モデルのグレードや年式、状態によって大きく異なります。
おおよその目安は以下の通りです。
- Coreライン (USA製): 35万円~60万円程度。10TopやArtist Packageなどの上位グレードや、状態の良い個体は高値で取引されます。
- S2ライン (USA製): 15万円~25万円程度。比較的手に入れやすい価格帯で、USA製の品質を体験したい方におすすめです。
- SEライン (インドネシア製): 8万円~15万円程度。最もリーズナブルですが、近年のモデルは品質が非常に高く、コストパフォーマンスに優れています。
中古で選ぶ際の注意点:年式による仕様変更
PRSのギターは、毎年少しずつ仕様が変更されることがあります。
McCarty 594において、最も大きな仕様変更があったのは2020年です。
この年を境に、主に以下の点が変更されました。
- 塗装: ポリウレタン系塗装から、より薄くヴィンテージライクな「ニトロセルロース・ラッカー」塗装に変更されました。ラッカー塗装は、経年変化を楽しめる点や、ボディの鳴りをより引き出す効果があると言われています。
- ペグ: PRS独自のロック式ペグから、より軽量で伝統的なヴィンテージスタイル(クルーソンタイプ)のペグに変更されました。
2020年以前のモデルはロックペグによる利便性を、2020年以降のモデルはラッカー塗装やヴィンテージペグによる鳴りや雰囲気を重視する、という選び方ができます。
どちらが良いというわけではなく、完全に好みの問題です。
中古品を探す際は、商品説明で年式や仕様をしっかりと確認することが重要です。
状態のチェックポイント
中古ギターを購入する際は、以下の点を重点的にチェックしましょう。
- ネックの状態: ネックの反り、ねじれがないか。トラスロッドに余裕があるか。
- フレットの残り: フレットの消耗具合は演奏性に直結します。極端に減っている場合は、フレット交換(高額なリペア)が必要になる可能性があります。
- 電装系: ボリュームやトーンにガリ(ノイズ)がないか。ピックアップセレクターやコイルタップは正常に機能するか。
- 傷や打痕: 外観の美しさを重視する場合はもちろん、木部に達するような深い傷はサウンドに影響を与える可能性もゼロではありません。
- 付属品: オリジナルのハードケースや、保証書、タグなどが揃っているかも価値に影響します。
結論として、PRS McCarty 594を中古で探すことは、賢い選択肢となり得ます。
特に、生産が休止されている「Artist Package」のような希少なモデルに出会える可能性があるのは、中古市場ならではの魅力です。
年式による仕様の違いを理解し、楽器の状態をしっかりと見極めることで、満足のいく一本を見つけることができるでしょう。
まとめ:PRS McCarty 594のレビュー総括
- PRS McCarty 594はヴィンテージギターへの敬意と現代的な演奏性を両立させたモデルである
- Custom 24より厚いボディを持ち、ウォームで豊かな中低音が特徴である
- 独自の24.594インチスケールが緩やかなテンション感と独特のサウンドを生む
- Pattern Vintageという肉厚ながら握りやすいネックシェイプを採用している
- 低出力の58/15 LTピックアップはピッキングニュアンスの再現性に優れる
- シングルカットモデルは豊かなサステインと演奏性の高いヒールカットが魅力である
- ピックアップ交換でモダンなサウンドにも対応可能だが、本来の良さは失われる可能性がある
- 演奏時のバランスは非常に良く、「座って弾きにくい」という評価は当てはまりにくい
- 2020年モデルからラッカー塗装とヴィンテージスタイルのペグに変更された
- 中古市場では年式による仕様の違いを理解して選ぶことが重要である