ギタリストであれば、一度はその名を耳にしたことがあるであろうPaul Reed Smith(PRS)の「Silver Sky」。
現代の3大ギタリストの一人、ジョン・メイヤーのシグネチャーモデルとして華々しく登場し、その評価は多岐にわたります。
一見すると伝統的なストラトキャスターのようですが、細部にまでPRSならではの哲学とこだわりが詰め込まれており、「ただのコピーモデルではない」という声も多く聞かれます。
一方で、「Fenderの音とは違う」「ヘッドの形が…」といった意見も存在し、購入を検討している方にとっては、その実態が気になるところではないでしょうか。
この記事では、「PRS Silver Sky」の評価について、インターネット上の様々な情報を基に多角的に分析します。
USAモデルとSEモデルの違い、多くの人が口にする「弾きやすさ」の秘密、サウンドの感想、中古市場での価格相場、そして豊富なカラーバリエーションまで、あなたが知りたい情報を網羅的に解説していきます。
この記事を読めば、Silver Skyがあなたにとって「最高のストラトタイプ」になり得るのか、その答えが見つかるはずです。
PRSシルバースカイの多角的な評価とその魅力

シルバースカイはどんなギター?その特徴を解説
PRS Silver Skyは、世界的ギタリストのジョン・メイヤーとPaul Reed Smithが2年以上の歳月をかけて共同開発した、非常に注目度の高いエレクトリックギターです。
このギターの最大の特徴は、ジョン・メイヤーが愛用してきた1963年製および1964年製のヴィンテージ・ストラトキャスターのフィーリングと、PRSが誇る現代的な製造技術やプレイアビリティを融合させた点にあります。
言ってしまえば、ヴィンテージギターの持つ独特の鳴りやフィーリングをリスペクトしつつ、ツアーなどの過酷な環境でも安定して使える信頼性や、現代の音楽シーンに対応できるサウンドを両立させることを目指して設計されました。
その結果、ボディシェイプや3シングルコイルのピックアップレイアウトは伝統的なスタイルを踏襲していますが、細部にはPRSならではの独創的なアイデアが満載です。
例えば、ヘッドストックはチューニングの安定性を高めるために角度をつけた3対3のペグレイアウトを採用。
これは、弦のテンションを均一化し、ストリングガイドを不要にするための合理的な設計です。
さらに、ブリッジやペグ、ピックアップ、果てはノブやジャックプレートに至るまで、ほとんどのパーツがSilver Skyのために専用開発されたオリジナル品であることも、PRSの並々ならぬこだわりを示しています。
このようにSilver Skyは、単なるヴィンテージギターの模倣ではなく、ジョン・メイヤーの理想とPRSの技術力が結集した「現代における理想のシングルコイルギター」の一つの答えと言えるでしょう。
シルバースカイが「弾きやすい」と評される理由
Silver Skyが多くのギタリストから「弾きやすい」と評価されるのには、いくつかの明確な理由が存在します。
それは、ネックの握り心地、指板の仕様、そしてボディ形状といった要素が、プレイヤーの演奏体験を向上させるために緻密に計算されているからです。
まず、ネックシェイプはジョン・メイヤーが所有する1963年、64年頃のヴィンテージ・ストラトキャスターを基に設計されています。
しかし、単に再現するだけでなく、指板のモデルによって微調整が加えられている点がポイントです。
ローズウッド指板モデルは比較的しっかりとした握り心地のCシェイプに近く、メイプル指板モデルは少しスリムなソフトVシェイプのような感触で、プレイヤーの好みに合わせて選べるようになっています。
次に、指板のラディアス(R)です。
USAモデルではヴィンテージ・フェンダーと同じ7.25インチRが採用されています。
この仕様はコードプレイでの握りやすさに貢献する一方、一般的には弦高を下げるとハイポジションでのチョーキング時に音詰まりしやすいというデメリットが指摘されます。
しかし、Silver SkyはPRSの高いセットアップ技術により、この問題をクリアしており、スムーズなチョーキングが可能です。
ちなみに、後述するSEモデルでは、よりモダンな8.5インチRが採用され、さらに弾きやすさを追求しています。
そして、ボディの形状も演奏性に大きく寄与します。
伝統的なコンター加工(体の当たる部分の削り)に加え、PRSの特徴でもあるダイナミックなカッタウェイ(ボディのえぐれ)が施されているため、ハイポジションでの演奏が非常にスムーズです。
これらの要素が複合的に絡み合うことで、Silver Skyはヴィンテージギターのフィーリングを損なうことなく、現代のプレイヤーがストレスなく演奏に集中できる「弾きやすさ」を実現しているのです。
購入者のリアルな感想から見る評価
Silver Skyの評価を語る上で、実際に所有したり試奏したりしたユーザーの感想は非常に参考になります。
発売当初は、そのルックスから「PRSが作ったストラトのコピー」といった見方が強く、賛否両論を巻き起こしました。
しかし、時間が経つにつれて、実際に楽器に触れた人々からは、その完成度の高さを称賛する声が数多く聞かれるようになっています。
多くのレビューで共通して挙げられる肯定的な評価は、「楽器としてのバランスの良さ」です。
これは、サウンド、演奏性、重量など、ギターを構成する様々な要素が高いレベルでまとまっていることを意味します。
サウンド面では、「どのピックアップポジションでも使える音」「シングルコイル特有の煌びやかさがありながら、耳に痛い高音がなくローノイズ」といった感想が目立ちます。
特に、クリーンサウンドが苦手とされがちなリアピックアップでも、耳障りが良く音楽的に使えるという評価は、このギターのサウンド設計の優秀さを物語っています。
一方で、注意点として挙げられる評価もあります。
最も多いのは、「Fenderストラトキャスターの音を求めて買うと期待外れになる可能性がある」というものです。
Silver SkyはあくまでPRSが解釈したシングルコイルギターであり、Fenderとは異なる独自のキャラクターを持っています。
太く丸いながらも抜けるモダンなサウンドは、ヴィンテージFenderの枯れたサウンドとは方向性が異なります。
総じて、発売当初のルックスに関する議論は落ち着き、現在は純粋に「良いギター」として高く評価されているのが現状です。
見た目で判断せずに一度試奏してみると、その魅力に気づかされる、という声が非常に多いギターと言えるでしょう。
豊富なシルバースカイのカラーバリエーション(色)
PRS Silver Skyの魅力の一つに、その多彩で美しいカラーバリエーションが挙げられます。
PRSのギターはもともと塗装の美しさに定評がありますが、Silver Skyも例外ではありません。
そのカラーは、自動車メーカーのテスラなどをイメージしているとも言われており、クラシックな雰囲気からモダンで個性的なものまで、幅広いラインナップが用意されています。
これにより、プレイヤーはサウンドや演奏性だけでなく、自身のスタイルや好みに合わせてルックスを選ぶ楽しみも味わえます。
USAモデルとSEモデルでは、それぞれ異なるカラーが展開されており、選択の幅をさらに広げています。
以下に代表的なカラーをモデルごとにまとめてみました。
モデル | 主なカラーバリエーション |
---|---|
USA Silver Sky | Moc Sand Satin, Faded Black Tee Satin, Polar Blue, Frost, Tungsten, Midnight Rose, Venetian Blue |
SE Silver Sky | Moon White, Piano Black, Stone Blue, Storm Gray, Overland Gray, Nylon Blue, Summit Purple |
USAモデルには、Moc Sand Satin(モカサンド・サテン)やFaded Black Tee Satin(フェイデッド・ブラック・ティー・サテン)のような、艶を抑えた落ち着いた雰囲気のサテンフィニッシュがあります。
一方で、Midnight Rose(ミッドナイト・ローズ)やVenetian Blue(ヴェネチアン・ブルー)のような、深みのあるメタリック系のカラーも人気です。
SEモデルでは、Piano Black(ピアノ・ブラック)やMoon White(ムーン・ホワイト)といった定番色に加え、Storm Gray(ストーム・グレイ)やNylon Blue(ナイロン・ブルー)など、モダンでスタイリッシュなカラーが揃っています。
これらの豊富な選択肢は、Silver Skyが単なる楽器としてだけでなく、プレイヤーの個性を表現するためのツールとしても考えられていることの表れです。
自分のプレイスタイルに合った一本を見つけるだけでなく、心惹かれるカラーを探すのも、Silver Skyを選ぶ上での大きな醍醐味と言えるでしょう。
購入前に知るべきPRSシルバースカイの評価と比較

PRSシルバースカイUSAモデルとSEモデルの違い
PRS Silver Skyには、アメリカのPRS工場で生産されるハイエンドな「USAモデル」と、より手頃な価格帯で提供される「SE(Student Edition)モデル」の2種類が存在します。
SEモデルは、USAモデルの基本的なコンセプトやデザインを継承しつつ、仕様や生産国を変更することで、優れたコストパフォーマンスを実現しています。
購入を検討する上で、この両者の違いを理解しておくことは非常に重要です。
最も大きな違いは、生産国とそれに伴う使用パーツや木材のグレードです。
USAモデルがメリーランド州の自社工場で製造されるのに対し、SEモデルはインドネシアの提携工場で製造されています。
この違いが、両者の価格差に最も大きく影響しています。
具体的にどのような点が異なるのか、以下の表にまとめました。
項目 | USA Silver Sky | SE Silver Sky | 主な特徴・影響 |
---|---|---|---|
生産国 | アメリカ | インドネシア | 価格と品質管理に最も影響する要素 |
ボディ材 | アルダー | ポプラ | アルダーは中音域に特徴。ポプラはよりフラットな音質特性を持つ |
ネックシェイプ | 63/64年製ベースの専用シェイプ | USAよりやや薄め | SEはより現代的で幅広いプレイヤーに馴染みやすい握り心地 |
指板R | 7.25インチ | 8.5インチ | SEの方が指板がフラットで、チョーキングなどのテクニカルなプレイがしやすい |
ピックアップ | 635JM | 635JM “S” | 基本的なキャラクターは同じだが、SEの方がやや高出力なセッティング |
ブリッジ | 6点支持シンクロナイズド・トレモロ | 2点支持シンクロナイズド・トレモロ | 2点支持の方がアーミングのスムーズさや可動域で有利とされるモダンな仕様 |
ペグ | ロック式ペグ | ノンロック式(ヴィンテージスタイル) | ロック式は弦交換が容易で、チューニングの安定性も高い |
ナット材 | 牛骨 | 人工骨 | 牛骨は自然な鳴りとサステインに貢献すると言われる |
塗装 | ニトロセルロース・ラッカー | ポリウレタン系 | ラッカーは薄く、ボディ鳴りを引き出すとされる。経年変化も楽しめる |
付属ケース | ハードケース | ギグバッグ | 持ち運びや保護性能に差がある |
このように、SEモデルはただの廉価版ではなく、指板Rやブリッジの仕様など、よりモダンなプレイアビリティを意識した設計になっている点が特徴です。
どちらを選ぶかは、予算はもちろん、ヴィンテージ志向かモダン志向かというプレイヤーの好みによっても変わってくるでしょう。
PRSシルバースカイSEの価格帯は?
PRS Silver Sky SEモデルの価格帯は、その高い品質とプレイアビリティを考慮すると、非常にコストパフォーマンスに優れていると言えます。
USAモデルが高価で手が出しにくいと感じる多くのギタリストにとって、SEモデルはSilver Skyの世界を体験するための魅力的な選択肢となっています。
具体的には、新品の実売価格は、おおよそ12万円から14万円程度が中心となっています(2024年時点)。
この価格は、為替レートや販売店によって多少の変動はありますが、多くのギターブランドにおける中級者向けモデルが位置する価格帯です。
この価格で、ジョン・メイヤーがサウンドやプレイアビリティを監修したギターが手に入るという点は、SEモデルの最大の魅力でしょう。
例えば、同価格帯にはFenderのPlayerシリーズやPlayer Plusシリーズなど、多くの優れた競合モデルが存在します。
それらと比較した場合、Silver Sky SEの強みは、PRSならではの徹底した品質管理と、モダンな演奏性への配慮にあります。
前述の通り、8.5インチの指板ラディアスや2点支持トレモロなど、ヴィンテージライクなルックスの中に現代的な仕様を取り入れているため、「ヴィンテージの雰囲気も好きだが、弾きやすさも妥協したくない」というプレイヤーには最適な選択肢となり得ます。
また、USAモデルと共通のデザイン哲学を持っているため、安価なモデルにありがちな「見た目だけのコピー」とは一線を画す、所有欲を満たしてくれるクオリティも備えています。
これから本格的にギターを始めたい初心者から、すでに何本かギターを所有している中級者以上のプレイヤーのセカンドギターまで、幅広い層におすすめできる価格設定と言えるでしょう。
PRSシルバースカイの中古市場での評価と価格
PRS Silver Skyは新品市場だけでなく、中古市場でも非常に人気が高く、その評価は価格にも反映されています。
中古品を狙うことで、新品よりもリーズナブルにこの優れたギターを手に入れることが可能です。
ただし、モデルによって価格帯や注意点が異なるため、購入前にはしっかりと情報を集めることが重要です。
まず、USAモデルの中古価格ですが、状態の良いもので20万円台後半から30万円台で取引されることが多く、新品価格からの値下がり幅は比較的小さい傾向にあります。
これは、元々の評価が高いことに加え、限定カラーや初期モデルなど、希少価値を持つ個体が存在することも理由の一つです。
特に人気のカラーやコンディションが良好なものは、高値で安定しています。
一方、SEモデルの中古価格は、8万円から10万円前後が中心的な相場です。
新品価格から見ると値下がりはしますが、それでも同価格帯の他のギターと比較すると、高い人気を維持していることがわかります。
手軽にSilver Skyの魅力を味わいたい方にとっては、非常に魅力的な価格帯と言えるでしょう。
中古でSilver Skyを購入する際には、いくつか注意すべき点があります。
ネックの状態
ギターの演奏性に最も影響する部分です。反りやねじれがないか、信頼できる楽器店のスタッフに確認してもらうのが最善です。
フレットの減り
フレットの消耗が激しい場合、交換に高額な費用がかかることがあります。残量が十分にあるかを確認しましょう。
電装系の状態
ボリュームやトーンにガリ(ノイズ)がないか、ピックアップセレクターが正常に動作するかなど、サウンドに関わる部分のチェックは必須です。
改造の有無
前オーナーによってピックアップやパーツが交換されている場合があります。オリジナルの状態にこだわりたい場合は、事前に確認が必要です。
付属品の有無
USAモデルであればオリジナルのハードケース、SEモデルであればオリジナルのギグバッグが付属しているかどうかも、査定価格に影響するため確認しておくと良いでしょう。
これらの点を踏まえ、保証がしっかりしている信頼のおける楽器店で購入することが、中古ギター選びで失敗しないための鍵となります。
注意!同名の別製品「シルバースカイ リファ」とは
PRS Silver Skyについて情報を集めている際に、全く異なるジャンルの製品が検索結果に表示されて戸惑った経験がある方もいるかもしれません。
それは、美容ブランド「ReFa(リファ)」から発売されているヘアブラシ、「ReFa HEART BRUSH(リファハートブラシ)」の限定カラー”シルバースカイ”です。
これはギターとは全く関係のない製品であるため、情報を探す際には混同しないよう注意が必要です。
この「シルバースカイ リファ」は、その名の通り、きらめく空をイメージしたような美しいシルバー系のカラーリングが特徴のヘアブラシです。
ReFaブランドは、美容ローラーなどで非常に高い知名度を誇り、このハートブラシも「梳かすだけで髪がまとまり、ツヤが出る」とSNSなどで話題となり、プレゼントとしても人気の高い商品です。
「シルバースカイ リファ」の製品概要
- 製品名: ReFa HEART BRUSH(リファハートブラシ)
- カラー名: Silver Sky(シルバースカイ)
- 製品ジャンル: 美容雑貨(ヘアブラシ)
- 価格: 3,300円(税込)
- 販売元: 株式会社MTG
このように、ギターのPRS Silver Skyとは価格帯も製品カテゴリーも全く異なります。
特に、インターネットで「シルバースカイ」というキーワードだけで検索すると、このヘアブラシの情報とギターの情報が混在して表示されることがあります。
ギターの情報を探している場合は、「PRS シルバースカイ ギター」や「ポールリードスミス シルバースカイ」のように、ブランド名や関連する単語を組み合わせて検索することで、より正確な情報を効率的に得ることができます。
プレゼントなどで「シルバースカイ」を探している家族や友人がいた場合も、どちらの製品を探しているのか確認してあげると親切かもしれません。
まとめ:PRSシルバースカイの評価を理解し最適な一本を選ぼう
- Silver Skyはジョン・メイヤーとPRSが共同開発したギターである
- ヴィンテージの感触と現代的な演奏性を両立させている
- サウンドはバランスが良くローノイズと評価される
- Fenderストラトとは異なる独自のキャラクターを持つ
- 弾きやすさはネック形状やセットアップ技術に由来する
- USAモデルとSEモデルでは仕様や価格に大きな違いがある
- SEモデルは高いコストパフォーマンスで人気である
- 中古市場でも人気が高く価格は安定している
- 多彩なカラーバリエーションも魅力の一つである
- 同名のヘアブラシ製品(リファ)があるので検索時に注意が必要だ