ストラトキャスターを愛用しているけれど、リアピックアップの音が「細すぎる」「耳に痛い」と感じることはありませんか?
あるいは、もっと太く歪ませてロックなリフを弾きたいのに、ノイズが気になって思うような音作りができないと悩んでいる方もいるでしょう。
そんな悩みを一発で解決する手段として、ストラトにハムバッカーを搭載する改造(SSH配列やHH配列化)は、実はプロの間でも定番の手法です。
この記事では、ストラトにハムバッカーを載せるメリットや、「邪道」と言われることへの真実、そしておすすめのピックアップから改造にかかる費用までを徹底的に解説します。
理想のサウンドを手に入れて、あなたのギターライフをより充実させましょう。
ストラトにハムバッカーを載せるメリットとは?【音作り・ノイズ対策】
ストラトキャスターの伝統的なシングルコイルピックアップは、煌びやかで繊細なトーンが魅力です。
しかし、現代の音楽シーンやバンドアンサンブルにおいては、いくつかの弱点を感じる場面も少なくありません。
リアポジションにハムバッカーを搭載することで、それらの課題を克服し、実用性を大幅に向上させることができます。
リアのシングルコイル特有の「細さ・耳に痛い高音」を解消できる
多くのストラトユーザーが抱える悩みの一つに、リアピックアップの「音の細さ」があります。
特にアンプで歪ませた際、高音域(ハイ)が強調されすぎてしまい、「キャンキャン」とした耳に痛いサウンドになりがちです。
これをハムバッカーに交換することで、高音域の角が取れ、中音域に厚みのあるマイルドなトーンへと変化します。
ギターソロを弾く際も、音が細くならずにしっかりと伸びるサスティンが得られるようになります。
歪ませた時のノイズを減らし、太く力強いロックサウンドを作る
シングルコイルは構造上、どうしても「ジー」というハムノイズを拾いやすい性質があります。
特にゲインを上げて激しく歪ませると、演奏していない時のノイズが目立ってしまいます。
ハムバッカーはその名の通り「ハム(ノイズ)をバッキング(打ち消す)」構造をしているため、ハイゲインなセッティングでもノイズを大幅に抑えることが可能です。
これにより、ハードロックやメタルのような深く歪ませたジャンルでも、クリアで力強いサウンドを作ることができます。
バンドアンサンブルで埋もれず、リズム隊と馴染む中低音が得られる
バンドの中で演奏する際、ギターの音が他の楽器に埋もれて聞こえにくくなることがあります。
リアシングル特有の鋭い高音は、一見音が抜けているように感じますが、実際には音の芯が細く、ベースやドラムの低音と馴染みにくい場合があります。
ハムバッカーに変更すると、音の重心が下がり、中低音が充実します。
その結果、リズム隊の音と一体感が生まれ、バンド全体のサウンドを底上げするような、存在感のあるバッキングが可能になります。
ストラトにハムバッカーは「邪道」「ダサい」?評価と真実
インターネット上などでは、「ストラトにハムバッカーを載せるなんて邪道だ」「見た目がダサい」といった意見を目にすることがあります。
しかし、これらの評価はあくまで一部の主観や、特定の文脈における意見に過ぎません。
実際の音楽現場では、SSH(シングル・シングル・ハム)などの配列は非常に高く評価されています。
「邪道」と言われる背景と、ヴィンテージ派の視点
「邪道」とされる主な理由は、1954年の誕生以来続く「ストラトキャスター=シングルコイル3基(SSS)」という伝統的なイメージが強いためです。
ヴィンテージギターを愛するファンや、ブルースなどの伝統的なジャンルを好むプレイヤーにとっては、オリジナルの仕様こそが至高であり、改造は「本来の良さを損なう」と捉えられることがあります。
また、リアに大きなハムバッカーが載ることで、ピックガードのデザインバランスが変わることを嫌う美的感覚も存在します。
しかし、これらはあくまで「伝統」や「好み」の範疇であり、楽器としての優劣を決めるものではありません。
ヴァン・ヘイレンから現代まで!多くのプロが愛用する「実用性」
歴史を振り返れば、エディ・ヴァン・ヘイレンがストラトタイプのボディにハムバッカーを載せたことは、ロックギターの革命でした。
それ以降、80年代のスタジオミュージシャンをはじめ、数え切れないほどのプロギタリストがストラトにハムバッカーを搭載してきました。
彼らがこの改造を選んだ理由は、単に「一本のギターで、美しいクリーントーンと激しいディストーションサウンドの両方を出すため」という合理的なものです。
プロの現場で長年採用され続けている事実こそが、その高い実用性を証明しています。
SSHやHH配列は「ダサい」どころか「万能」な最適解
現代のポップスやロックでは、一曲の中でクリーン、クランチ、ハイゲインと多彩な音色を使い分けることが求められます。
フロントとセンターのシングルコイルで美しいアルペジオやカッティングを奏で、サビやソロではリアのハムバッカーで太く歪ませる。
この柔軟な対応力を持つSSH配列は、「ダサい」どころか、現代のギタリストにとって最も理にかなった「万能」な選択肢と言えます。
実際にハイエンドギターブランドの多くが、標準でSSHモデルをラインナップしていることからも、その需要の高さが伺えます。
改造の分かれ道!フルサイズかシングルサイズか?
いざハムバッカーを載せようと決めた時、最初に直面するのが「フルサイズ」にするか、「シングルサイズ」にするかという選択です。
それぞれにメリットとデメリットがあり、ギター本体の加工が必要になるかどうかも変わってきます。
【フルサイズハムバッカー】本格的なハムサウンドだが「ザグリ加工」が必要な場合も
レスポールなどに搭載されている一般的な大きさのハムバッカーです。
最大のメリットは、ハムバッカー本来のレンジが広く太いサウンドが得られることと、製品の選択肢が非常に豊富なことです。
しかし、取り付けるためにはピックガードをハムバッカー用に交換(または加工)する必要があります。
さらに重要なのがボディ側の空洞(ザグリ)です。
もしボディがシングルコイルの形にしか掘られていない場合、木部を削る「ザグリ加工」という大掛かりな改造が必要になります。
【シングルサイズハムバッカー】ボディ加工不要で手軽にパワーアップ
シングルコイルと同じサイズで作られたハムバッカーです。
このタイプの最大の利点は、ピックガードやボディの加工が一切不要で、ポン付けで交換できることです。
見た目の印象を大きく変えずに、サウンドだけを太くパワフルにすることができます。
ただし、構造上の制約から、フルサイズハムバッカーと全く同じ音が出るわけではありません。
独特の中音域のピークを持つものが多く、それが逆に「音が抜けやすい」として好まれる場合もあります。
あなたのストラトのボディ内部(ザグリ)を確認する方法
自分のストラトにフルサイズハムバッカーが載るかどうかは、ピックガードを外してみないと分かりません。
弦を緩めてピックガードを固定しているネジを外し、少し持ち上げて内部を覗いてみましょう。
リアピックアップの部分が、シングルコイルの形にぴったり掘られている場合は、フルサイズを載せるには木工加工が必要です。
一方、四角く大きく掘られている(通称:弁当箱ザグリ)場合や、最初からハムバッカーの形に掘られている場合は、無加工でフルサイズを搭載可能です。
近年のフェンダーなどの量産モデルは、コストカットや汎用性のために、最初からハムバッカーが入るように掘られているケースが多くなっています。
ストラトにおすすめの交換用ハムバッカー【定番&人気モデル】
数ある交換用ピックアップの中から、ストラトとの相性が良く、多くのユーザーから高評価を得ている定番モデルを紹介します。
自分の目指すサウンドに合わせて選んでみてください。
王道のロックサウンド:Seymour Duncan SH-4 JB / TB-4
交換用ハムバッカーの代名詞とも言える超定番モデルです。
中高域に特徴的なピークがあり、バンドアンサンブルの中で強烈な存在感を放ちます。
ストラトのリアに載せると、細さを解消しつつ、粘りのあるジューシーなロックサウンドが得られます。
フェンダー系のギターは弦の間隔が広いため、ポールピースのピッチを合わせた「TB-4(トレムバッカー)」を選ぶのが基本です。
ヴィンテージ感を残す:Suhr SSV / Thornbucker
ハイエンドギターブランドSuhr(サー)のピックアップは、音の分離が良く、クリアで上品なサウンドが特徴です。
「SSV」や「Thornbucker」は、ヴィンテージハムバッカーのニュアンスを持ちつつ、適度なパワー感があります。
歪ませても音が潰れにくく、シングルのフロントやセンターと切り替えた時の音量差や音質差が激しすぎないため、SSH配列のバランスを取りたい方に最適です。
シングルサイズならこれ:Seymour Duncan Hot Rails / JB Jr.
ボディ加工をしたくない方におすすめのシングルサイズハムバッカーです。
「Hot Rails (SHR-1)」は非常に高出力で、太くサスティンのあるヘヴィなサウンドが得られます。
「JB Jr. (SJB-1)」は、前述の定番SH-4のサウンドキャラクターをシングルサイズに凝縮したモデルで、中域の粘りが特徴です。
どちらも、見た目はシングルのまま劇的にサウンドを変化させることができます。
バランス重視のシングルサイズ:DiMarzio Pro Track
パワーを上げすぎず、ヴィンテージハムバッカー(PAF系)のような滑らかなトーンを目指したモデルです。
「シングルサイズハムは音がこもる」というイメージを覆す、クリアで扱いやすいサウンドが魅力です。
フロントやセンターのシングルコイルとの馴染みも良く、幅広いジャンルに対応できる優等生的なピックアップです。
ハムバッカー化改造にかかる費用とDIYの注意点
ピックアップ交換は、プロに依頼するか自分で行うかで費用が大きく異なります。
それぞれの相場と注意点を把握しておきましょう。
リペアショップに依頼する場合の料金相場(ザグリ加工・配線工賃)
楽器店やリペアショップに依頼する場合、ピックアップ本体代に加え、以下の工賃がかかります。
- ピックアップ交換工賃: 1個あたり3,000円〜6,000円程度。
- ピックガード加工・製作: 既存の加工なら数千円、新規製作なら10,000円〜20,000円程度。
- ボディザグリ加工: 5,000円〜10,000円程度(塗装のタッチアップが必要な場合はさらに高額)。
- 総合調整: 弦高やオクターブ調整などを含めてセット料金になることもあります。
安心と確実な仕上がりを買う意味でも、初心者はショップに依頼することをおすすめします。
自分で改造(DIY)する場合の手順と必要な工具・パーツ
自分で行う場合、工賃はタダですが、ハンダごて、ニッパー、ドライバーなどの工具が必要です。
基本的な手順は以下の通りです。
- 弦とピックガードを外す。
- 古いピックアップの配線を外す。
- 新しいピックアップをピックガードに取り付ける。
- 配線図に従ってハンダ付けを行う。
- 元に戻して音出し確認。
特にハンダ付けの技術が音質やトラブルの有無に直結するため、事前の練習が推奨されます。
意外な落とし穴!ポットの抵抗値(250kΩ→500kΩ)変更と音量バランス
見落としがちなのが「ボリュームポット」の抵抗値です。
通常、シングルコイルには250kΩ、ハムバッカーには500kΩのポットが使われます。
ハムバッカーを250kΩのまま使うと、高域が削れて音がこもって聞こえる場合があります。
逆に500kΩに交換すると、今度はフロントやセンターのシングルコイルの音がキンキンしすぎてしまうというジレンマが発生します。
対策としては、リアハムの配線にだけ抵抗を噛ませて擬似的に抵抗値を変える方法や、トーン回路を工夫するなど、少し高度な配線知識が必要になることがあります。
ハムバッカー搭載後の音作りと配線の工夫
ハムバッカーを取り付けただけでは、改造は終わりではありません。
シングルコイルと混在するSSHならではのセッティングや、便利な機能を追加することで、さらに使い勝手を良くすることができます。
シングルとハムの音量差・音質差を埋めるセッティング術
出力の高いハムバッカーと、低いシングルコイルが混在すると、切り替えた時に音量がガクンと変わってしまうことがあります。
これを防ぐための最も基本的な調整は「ピックアップの高さ」を変えることです。
リアのハムバッカーは弦から少し遠ざけ、フロント・センターのシングルは弦に近づけることで、音量バランスを均一に近づけます。
また、アンプのEQ設定も重要で、ハムバッカーに合わせてセッティングするとシングルが細くなりすぎる場合は、ミドルを少し多めに設定するとバランスが取りやすくなります。
コイルタップ配線で「シングルの音」も出せるようにする
4芯(配線が4本あるタイプ)のハムバッカーを選ぶと、「コイルタップ」という機能を追加できます。
これはスイッチ一つでハムバッカーの片方のコイルだけを使い、擬似的にシングルコイルの音を出す機能です。
ボリュームノブを引き上げるスイッチ(Push-Pullポット)などを増設すれば、見た目を変えずに「太いハムの音」と「繊細なシングルの音」を切り替えられるようになり、まさに万能なギターになります。
リアをハムにした時のハーフトーンはどうなる?
ストラトの魅力の一つである、センターとリアの「ハーフトーン(カッティングなどで使われるチャキチャキした音)」。
リアをハムバッカーにすると、このハーフトーンのニュアンスが変わってしまいます。
そこでよく行われるのが「オートタップ」という配線です。
セレクタースイッチをハーフトーンの位置にした時だけ、自動的にリアのハムバッカーがコイルタップ(シングル化)されるように配線します。
これにより、リア単体ではハムバッカー、ハーフトーン時は従来のストラトらしいサウンドを維持することが可能になります。
まとめ:ストラトにハムバッカーを載せて理想のサウンドを手に入れる
- リアをハムバッカーにすることで、音の細さを解消し、太く力強いサウンドが得られます。
- ハイゲインで歪ませてもノイズが少なく、現代的なロックやメタルにも対応可能です。
- バンドアンサンブルにおいて中低音が充実し、音が埋もれにくくなるメリットがあります。
- 「邪道」という意見もありますが、実用性を重視するプロギタリストには定番の改造です。
- SSH配列は、クリーンから激しい歪みまで一本でこなせる万能な構成です。
- ザグリ加工が不要な「シングルサイズハムバッカー」なら、手軽にパワーアップできます。
- 本格的な音を求めるなら「フルサイズ」がおすすめですが、ボディの加工が必要な場合があります。
- 改造時はピックアップ本体だけでなく、ポットの抵抗値(250kΩ/500kΩ)のバランスにも注意が必要です。
- コイルタップ機能を追加すれば、シングルの音も出せるようになり、音作りの幅がさらに広がります。
- 自分のプレイスタイルに合わせたピックアップを選び、最高の相棒へと進化させましょう。

