ベーシストなら一度は「SansAmp」の名前を耳にしたことがあるのではないでしょうか。
ライブでもレコーディングでも使える万能なプリアンプ/DIが欲しい、複数のベースを使い分けたい、アンプが故障したときのバックアップが欲しい——そんな悩みを抱えている方は多いはずです。
本記事では、TECH21 SansAmp BASS DRIVER DELUXEの特長からスペック、実際の使用感、メリット・デメリットまで徹底的に解説します。
購入を検討している方が知りたい情報をすべて網羅していますので、ぜひ最後までお読みください。
TECH21 SansAmp BASS DRIVER DELUXEとは
TECH21 SansAmp BASS DRIVER DELUXEは、ベーシストのための多機能プリアンプ/DIペダルです。
1989年に登場した初代SansAmpの流れを汲み、チューブアンプの温かみとキャラクターをアナログ回路で再現する「SansAmp技術」を搭載しています。
本機の最大の特徴は、デュアルインプットと6つのプログラマブルプリセットを備えている点です。
2本のベースを接続して瞬時に切り替えられるため、ライブ中にベースを持ち替えるプレイヤーにとって理想的なソリューションとなっています。
プリアンプ、DI、エフェクターとしての機能を1台に集約し、ステージでもスタジオでも活躍する実力派ペダルです。
製品の特長と差別化ポイント
デュアルインプットによる柔軟な運用
BASS DRIVER DELUXEが他のSansAmpシリーズと一線を画すのは、2系統の独立したインプットを備えている点です。
各インプットに3つずつ、合計6つのプリセットを保存できるため、異なるベースごとに最適化されたセッティングを瞬時に呼び出せます。
インプットの切り替えはフットスイッチ一つで行え、ノイズやポップ音が発生しない設計になっています。
1本のベースのみを使用する場合は、6つすべてのプリセットを自由に活用できます。
曲ごとに異なるトーンが必要な場合や、クリーンからオーバードライブまで段階的に切り替えたい場合に威力を発揮します。
アナログ回路によるチューブサウンドの再現
信号経路はすべてアナログ回路で構成されており、デジタル部分はプリセットの記憶と呼び出しのみに使用されています。
これにより、真空管アンプ特有の温かみ、太さ、そしてダイナミックなレスポンスを忠実に再現しています。
Blendコントロールを調整することで、原音とSansAmpサウンドのバランスを自在に設定可能です。
完全にドライな音から、フルにチューブエミュレーションがかかった音まで、無段階で調整できます。
プロ仕様のDI機能
バランスXLR出力を搭載し、PAシステムやレコーディング機器に直接接続できます。
内蔵のスピーカーエミュレーションにより、まるでマイクで収音したキャビネットのようなサウンドをダイレクトに出力します。
XLR出力にはレベル切り替えスイッチとグラウンドリフトスイッチを装備し、様々な現場環境に対応します。
エフェクトループの搭載
BASS DRIVER DELUXEにはエフェクトセンド/リターン端子が装備されています。
チューナーやその他のエフェクターをループに接続することで、必要なときだけ信号経路に挿入できます。
トーンに悪影響を与えるペダルをループに入れておけば、メインサウンドの品質を保ちながら必要なときだけ使用できる便利な機能です。
スペック・仕様
TECH21 SansAmp BASS DRIVER DELUXEの主要スペックは以下の通りです。
製品名はTECH21 SansAmp Bass Driver Deluxeで、製品カテゴリーとしてはベース用プリアンプ/DI/ストンプボックスに分類されます。
入出力端子について、入力は1/4インチ標準ジャックが2系統(デュアルインプット)、出力は1/4インチ標準ジャック(メイン出力)が1系統、パラレル出力が1系統、バランスXLR出力(DI出力)が1系統となっています。
また、エフェクトループとしてセンド/リターン端子を各1系統備えています。
コントロール類は、Level、Blend、Treble、Bass、Drive、Presenceの6つのノブを搭載しています。
スイッチ類として、フットスイッチが3個(プリセット/バンク切り替え用)、出力ブーストスイッチ、XLRレベル切り替えスイッチ(PAD)、グラウンドリフトスイッチ、ファンタムパワー/グラウンド切り替えスイッチを装備しています。
プリセット数は6(各インプットに3プリセット、または1インプット使用時は6プリセット)です。
電源は3通りの方法に対応しており、9Vバッテリー(006P)、9V DCアダプター(センターマイナス、別売)、ファンタムパワー(48V、XLR経由)で動作します。
EQ特性として、アクティブEQはブースト/カット各最大12dBの調整幅を持っています。
筐体は金属製で、堅牢な構造を採用しています。
おすすめな点
どんな環境でもレコーディングクオリティのサウンド
BASS DRIVER DELUXEの最大の魅力は、場所や機材を選ばず一貫したサウンドを得られる点です。
自分のアンプを持ち込めない現場でも、バックラインの質が悪いスタジオでも、本機があれば自分のサウンドを確実に再現できます。
プリアンプとしてアンプの前段に接続する使い方はもちろん、アンプのエフェクトリターンに直接接続してプリアンプ部をバイパスする使い方も可能です。
後者の方法を使えば、どんなアンプでもSansAmpのサウンドをダイレクトに出力できます。
演奏のダイナミクスに応答するレスポンス
本機のオーバードライブ回路は、ピッキングの強弱に対して非常に敏感に反応します。
軽くピッキングすればクリーンなトーン、通常の強さで弾けば軽いブレイクアップ、強くピッキングすればフルオーバードライブと、タッチの違いだけで多彩な表現が可能です。
これは真空管アンプの挙動を忠実に再現した結果であり、表現力豊かな演奏を求めるベーシストにとって大きなアドバンテージとなります。
アンプ故障時のバックアップとして
ライブ中にアンプが故障するという最悪の事態でも、BASS DRIVER DELUXEがあればPAに直接送ることで演奏を続行できます。
多くのプロベーシストがギグバッグに常備している理由がここにあります。
ファンタムパワーに対応しているため、電池切れの心配もなくXLRケーブル1本で電源供給とサウンド出力を同時に行えます。
直感的なプリセット操作
プリセットの保存方法は極めてシンプルです。
各ノブを好みの位置に調整し、保存したいプリセットのフットスイッチを2回踏むだけで完了します。
また、保存済みのプリセットを選択した状態でノブを回すと、現在の設定値から離れているほどLEDが速く点滅し、保存値に近づくと点滅が遅くなるという親切な機能も備えています。
これにより、以前の設定を確認しながら微調整することが容易になっています。
注意点
サイズと携帯性
オリジナルのBass Driver DIやプログラマブル版と比較すると、BASS DRIVER DELUXEは筐体サイズが大きくなっています。
ペダルボード上のスペースを多く占有するため、コンパクトなセットアップを好む方は事前にサイズを確認する必要があります。
また、ギグバッグのポケットに収まりにくい場合もあるため、携帯方法を検討しておくことをお勧めします。
高域設定時の自己発振
Drive、Presence、Trebleの各ノブを3時以降の高い位置に設定すると、不快な高音域のフィードバックや発振が発生する場合があります。
これはデジタル制御の特性上、従来のBass Driver DIとノブの位置に対する実際の効き具合が異なるためです。
従来機で3時の位置だった設定は、本機では1時〜2時程度に相当することが多いため、慣れが必要です。
ミッド帯域のコントロール
本機にはBass、Treble、Presenceのコントロールはありますが、独立したミッドコントロールは搭載されていません。
SansAmp特有の回路により若干ミッドがスクープされる傾向があるため、ミッドを強調したサウンドを求める場合は、別途イコライザーを併用するか、V2バージョン(ミッドコントロール搭載)の検討をお勧めします。
「SansAmpの音」になる傾向
本機を通すと、どのベースを使用しても「SansAmpらしいサウンド」に統一される傾向があります。
これは長所でもあり短所でもありますが、楽器本来のキャラクターを重視する方や、ベースごとの音色の違いを明確に出したい方には不向きな場合があります。
Blendコントロールで原音を多めにミックスすることである程度対応可能です。
完全なクリーントーンには不向き
本機はチューブアンプエミュレーターとしての性格上、完全にクリーンでハイファイなサウンドを出すことは得意ではありません。
最もクリーンな設定でも、若干の温かみやサチュレーション感が加わります。
スラップ奏法でのハイファイなトーンや、完全にクリーンなジャズサウンドを求める場合は、他の選択肢も検討した方がよいでしょう。
評判・口コミ
ユーザーが評価するおすすめな点
多くのユーザーがBASS DRIVER DELUXEの音質向上効果を高く評価しています。
「普通のベースとアンプの組み合わせが、驚くほどプロフェッショナルなサウンドに変わった」「非ミュージシャンに聴かせても明らかに音が良くなったと分かる」といった声が多数あります。
PAエンジニアからの評価も極めて高く、「SansAmpを通したベースの音は常に素晴らしい」「ミックスの中で非常に座りが良い」という意見が一般的です。
ライブサウンドの現場では、アンプの調子が悪いベーシストに対してSansAmpを使うよう勧めるエンジニアも少なくありません。
プリセット機能の実用性も好評です。
ライブ中に曲ごとにトーンを変えたいベーシストにとって、フットスイッチ一つで瞬時に切り替えられる機能は非常に重宝されています。
また、2本のベースを使い分けるプレイヤーからは、デュアルインプット機能によって機材トラブルやセッティングの手間が大幅に減ったという報告があります。
レコーディング用途での評価も高く、「DI録音でもアンプを通したような存在感のある音が録れる」「宅録のクオリティが格段に上がった」といった声が聞かれます。
購入前に確認すべき注意点
価格については、通常のBass Driver DIやプログラマブル版と比較して高価である点を気にするユーザーもいます。
デュアルインプットや6プリセットといった追加機能が本当に必要かどうか、購入前に検討することをお勧めします。
1本のベースしか使わず、プリセットも1〜2個で十分という場合は、プログラマブル版の方がコストパフォーマンスに優れています。
ミッド帯域の扱いについては意見が分かれています。
Jazz Bassとの組み合わせでミッドが不足すると感じるユーザーがいる一方で、そのスクープされたサウンドこそがSansAmpの魅力だと捉えるユーザーもいます。
自分の求めるサウンドとの相性を事前に確認することが重要です。
サイズについては、ペダルボードのスペースに余裕がない場合は注意が必要です。
特にコンパクトなセットアップを好むベーシストからは、もう少し小さければ完璧だったという声もあります。
一部のユーザーからは、高域の設定値を上げすぎた際の発振問題が報告されています。
ただし、適切な設定範囲内で使用すれば問題は発生しないため、本機の特性を理解した上で使用することが大切です。
まとめ
TECH21 SansAmp BASS DRIVER DELUXEについて、主要なポイントを総括します。
- デュアルインプット搭載で2本のベースを瞬時に切り替え可能、ライブでの機動性が高い
- 6つのプログラマブルプリセットにより、曲ごとのトーン切り替えがフットスイッチ一つで完結
- アナログ回路によるチューブアンプエミュレーションで、温かみのあるプロフェッショナルなサウンドを実現
- ファンタムパワー対応のDI機能により、電源不要でPA直結が可能、緊急時のバックアップとしても信頼性が高い
- エフェクトループ搭載で柔軟なシステム構築に対応
- ピッキングの強弱に敏感に反応するダイナミックなレスポンスが演奏表現の幅を広げる
- サイズが大きめで、コンパクトなペダルボードには収まりにくい場合がある
- 独立したミッドコントロールがなく、ミッド重視のサウンドには別途イコライザーが必要になることも
- 高域のノブを上げすぎると発振が起きる可能性があり、従来機と設定感覚が異なる点に注意
- 総合評価として、ライブとレコーディングの両方で一貫したサウンドを求めるベーシストにとって、投資価値の高い定番機材

