これからギターを始めようとしている方や、手軽に弾ける2本目を探している方にとって、YAMAHA APX600 NTは非常に魅力的な選択肢です。
しかし、購入を検討する際には「生音の響きはどうなのか」「本当に弾きやすいのか」といった疑問が尽きないことでしょう。
実際にこのモデルは、一般的なアコースティックギターとは異なる特徴を持っており、選ぶ人によって評価が大きく分かれるギターでもあります。
この記事では、YAMAHA APX600 NTのレビュー解説を中心に、その特徴や音質、実際の評判について詳しく紐解いていきます。
プロの視点からメリットだけでなく注意点も公平に分析しますので、あなたにとって最適な一本かどうかの判断材料にしてください。
YAMAHA APX600 NTとはどんなギター?特徴と基本スペック
YAMAHA APX600 NTは、エレクトリック・アコースティックギター(エレアコ)のロングセラーであるAPXシリーズのエントリーモデルです。
アンプに繋いで演奏することを前提に設計されていますが、自宅での練習用ギターとしても高い人気を誇ります。
まずは、このギターが多くのプレイヤーに選ばれ続けている理由となる、構造上の特徴と基本スペックについて解説します。
演奏性を追求した「薄胴ボディ」と「ショートスケール」の魅力
APX600最大の特徴は、一般的なアコースティックギターに比べてボディが薄く設計されている「薄胴ボディ」にあります。
この薄さにより、体にピタリとフィットするため抱えやすく、立って演奏する際も座って弾く際もストレスを感じにくいのが利点です。
また、弦長(スケール)は634mmという「ショートスケール」を採用しています。
一般的な650mmのギターと比較して弦の張り(テンション)が柔らかくなるため、弦を押さえる指の力が少なくて済みます。
これにより、初心者の方が最初にぶつかる壁である「Fコード」などのバレーコードも押さえやすくなっています。
ライブや配信ですぐ使える!高性能ピックアップ(SYSTEM65)搭載
APX600には、YAMAHA独自のピックアップシステム「SYSTEM65」が搭載されています。
これは、弦の振動を電気信号に変換し、アンプやスピーカーから音を出すための装置です。
ブリッジ下に埋め込まれたバーセンサー式のピエゾピックアップは、各弦のバランスを整えながらクリアなサウンドを出力します。
コントロールパネルには3バンドイコライザー(LOW/MID/HIGH)が付いており、手元で細かく音質を調整できるため、ライブハウスや配信環境でも即戦力として活躍します。
また、視認性の高いクロマチックチューナーも内蔵されているため、別途チューナーを用意する必要がなく、いつでも正確なチューニングが可能です。
YAMAHA APX600 NTの主要スペック一覧表
YAMAHA APX600 NTの基本的な仕様は以下の通りです。
| 項目 | 仕様 |
| ボディタイプ | APXカッタウェイ(薄胴) |
| 表板(トップ) | スプルース |
| 裏・側板 | ナトー |
| ネック | ナトー他 |
| 指板・下駒 | ローズウッド |
| 弦長(スケール) | 634mm |
| 指板幅(ナット部) | 43mm |
| ピックアップシステム | SYSTEM65(1wayモノラルPU) |
| コントロール | Vol/3-band EQ/Tuner/Mid FQ |
| 電源 | 単3乾電池 × 2 |
| 塗装 | グロス仕上げ(ネック裏はマット) |
YAMAHA APX600 NTの音質と弾き心地を徹底レビュー
ギター選びで最も気になるのは、やはり実際の音質と弾き心地です。
ここでは、アンプを通さない生音の状態と、アンプを通したライン出力の音質、そして演奏性について深掘りして解説します。
生音(アンプなし)の音量は小さい?低音の響きとボディ鳴りの評価
結論から申し上げますと、APX600の生音は一般的なドレッドノート型のアコースティックギターに比べて音量が控えめで、低音の響きも軽めです。
これはボディが薄く容量が小さいため、物理的に空気の振動が抑えられる構造になっているからです。
しかし、これは必ずしも欠点ではありません。
中高音域の粒立ちが良く、歯切れの良いサウンドは、コードストロークをした際に軽快な印象を与えます。
また、生音が大きすぎないことは、集合住宅や夜間の自宅練習においては「近所迷惑になりにくい」という大きなメリットにもなります。
腹に響くような重低音を求める方には物足りないかもしれませんが、すっきりとした音色は歌の邪魔をしにくいとも言えます。
アンプを通した音質は?バンド演奏やライン録音での実力
APX600が真価を発揮するのは、やはりアンプに繋いだときです。
搭載されているピックアップシステムは非常に優秀で、バンドアンサンブルの中でも埋もれない、輪郭のくっきりとしたサウンドを出力します。
特に薄いボディ構造は、大音量の環境でも「ハウリング(音が共鳴してキーンとなる現象)」が起きにくいという利点があります。
アンプを通した音は、ピエゾピックアップ特有の硬さはあるものの、イコライザーで補正することで温かみのある音作りも可能です。
オーディオインターフェースに直接繋いで録音する「ライン録音」でもノイズが少なく扱いやすいため、宅録や弾いてみた動画の作成にも適しています。
初心者や女性でも弾きやすい?ネックの握り心地と抱えやすさ
弾きやすさに関しては、同価格帯のギターの中でもトップクラスと言えます。
ネックの形状はスリムで握りやすく、手の小さい女性やお子様でもコードフォームを維持しやすい設計です。
また、ボディには「カッタウェイ」と呼ばれる切り込みが入っているため、ハイポジション(高い音が出るフレット)までスムーズに指が届きます。
これにより、コード弾きだけでなくギターソロのようなリードプレイにも挑戦しやすくなっています。
エレキギターに近い感覚で弾けるため、エレキからの持ち替えを考えている方にとっても違和感が少ないでしょう。
【評判・口コミ】YAMAHA APX600 NTのリアルな評価まとめ
実際にAPX600 NTを購入したユーザーや、試奏したプロの意見はどうなのでしょうか。
ネット上のレビューや動画などの情報を分析し、良い評価と悪い評価を公平にまとめました。
良い評判:デザインの良さと圧倒的な弾きやすさへの支持
多くのユーザーが高く評価しているのは、やはりその「弾きやすさ」と「取り回しの良さ」です。
「ボディが薄いので抱えていても疲れにくい」「ネックが細くてコードが押さえやすい」といった声が数多く寄せられています。
また、デザインに関しても好評です。
サウンドホール周りの装飾(アバロン貝風のインレイ)や、スタイリッシュなボディシェイプは、価格以上の高級感があると評価されています。
チューナー内蔵の便利さや、単3電池で駆動するというランニングコストの良さも、実用面での高評価ポイントとなっています。
悪い評判:購入直後の弦高の高さと指板の着色汚れについて
一方で、いくつかのネガティブな意見も見受けられます。
特に多いのが「購入時の弦高が少し高い」という指摘です。
個体差はありますが、工場出荷時の設定では弦高が高めに感じられ、サドルを削って調整したというレビューが散見されます。
また、「弾いていると指先が黒くなる」という報告もあります。
これは指板材(ローズウッドなど)の染色に使われている染料や研磨剤が手に付着するためで、何度か弾いてクロスで拭き取っていくうちに落ち着くことがほとんどですが、気になる方は注意が必要です。
YouTubeレビュー動画での評価(プロギタリストの視点)
YouTubeなどで活動するプロギタリストや講師のレビューでは、このギターの「コストパフォーマンス」と「役割の明確さ」が評価されています。
「3万円台でこれだけ使えるエレアコは貴重」「ステージやライブでガンガン使うためのギターとして優秀」といった意見が目立ちます。
また、初心者に対しては「挫折せずに続けるための最初の一本」として推奨されることも多いです。
プロの視点からは、生音のクオリティよりも、アンプを通した時の実用性や、トラブルの少なさといったYAMAHA製品ならではの信頼性が評価の軸となっています。
購入前に知っておくべきYAMAHA APX600 NTの注意点・デメリット
メリットの多いAPX600ですが、購入してから後悔しないために知っておくべき構造上の注意点があります。
ここでは、スペック表だけでは見落としがちなポイントを解説します。
トップ材は「合板」仕様!単板モデル(FG/FSシリーズ)との違い
APX600のボディトップ(表板)には、「スプルース」が使われていますが、これは「合板(ラミネート)」仕様です。
上位機種や、同価格帯のFG800/FS800シリーズなどが採用している「単板(ソリッド)」ではありません。
単板のギターは弾き込むほどに木が振動しやすくなり音が育っていきますが、合板のギターは経年による音の変化が少ない傾向にあります。
その反面、合板は温度や湿度の変化に強く、割れにくいという耐久性の高さがメリットです。
音の深みや成長を楽しみたい方にとっては、合板仕様であることがデメリットになる可能性があります。
生音重視なら不向き?用途に合わせた選び方
前述の通り、APX600は生音が控えめです。
そのため、「アンプには繋がず、部屋で豊かな生音を楽しみたい」「キャンプや屋外で大きな音で弾き語りをしたい」という用途には不向きな場合があります。
生音の豊かさを最優先する場合、同じYAMAHAでもボディが厚いFGシリーズや、上位のLLシリーズなどを検討した方が満足度は高いでしょう。
逆に、夜間練習やライン出力メインの用途であれば、この特性は強みになります。
快適に弾くために「弦高調整(セットアップ)」が必要な場合がある
通販サイトなどで購入した場合、検品はされていても、プレイヤーごとの好みに合わせた弦高調整までは行われていないことが一般的です。
APX600は弾きやすいギターですが、さらに弾きやすくするためには、楽器店で「弦高調整」を依頼することをおすすめします。
サドルを少し削って弦高を下げるだけで、驚くほど弾き心地が向上することがあります。
初心者の方は、購入後に一度専門店に持ち込んで状態を見てもらうと、より快適なギターライフをスタートできるでしょう。
YAMAHA APX600 NTと他モデルの違いを比較検証
YAMAHAにはAPX以外にも魅力的なアコースティックギターのラインナップがあります。
ここでは、よく比較検討されるモデルとの違いを明確にし、どちらを選ぶべきかを検証します。
APX600とCPX600の違いは?生音の迫力を取るか、抱えやすさを取るか
APX600の兄弟機として「CPX600」というモデルが存在します。
両者の主な違いはボディの厚さとサイズです。
APXは薄胴でコンパクトですが、CPXはボディの厚みがしっかりあり、一般的なアコースティックギターに近い深さを持っています。
そのため、CPX600の方が生音の音量が大きく、低音の響きも豊かです。
アンプを通した音は似ていますが、生音での迫力やアコースティックらしい響きを重視するならCPX600、抱えやすさと取り回しを重視するならAPX600という選び分けになります。
同価格帯のYAMAHA FS830・FG830とどちらを選ぶべきか
実売価格が近いモデルとして、YAMAHAの「FS830」や「FG830」も有力な候補になります。
これらはエレアコではなく、純粋なアコースティックギターです(ピックアップ非搭載)。
最大の違いは、FS830/FG830はトップ材に「スプルース単板」を使用している点です。
また、サイド・バック材にローズウッドを採用しており、音の響きやきらびやかさはAPX600よりもFS/FGシリーズの方が優れています。
「アンプには繋がない」「とにかく良い音で弾きたい」という方はFS830/FG830を、「将来的にライブや配信をしたい」「弾きやすさ優先」という方はAPX600を選ぶのが正解です。
新品・中古の価格相場とおすすめの購入方法(通販vs実店舗)
APX600 NTの新品実売価格は、時期や店舗にもよりますが3万円台後半から4万円台前半が相場です。
中古市場では2万円台で見かけることもありますが、エレアコは電気系統のトラブル(ガリや接触不良)のリスクがあるため、初心者が個人売買や状態の不明確な中古品に手を出すのはリスクがあります。
新品を購入する場合、Amazonやサウンドハウスなどの大手通販サイトはポイント還元や価格面で有利です。
一方で、実店舗のある楽器店で購入すれば、その場での調整やアフターサポートが受けやすいというメリットがあります。
初めてのギターで調整に不安がある場合は実店舗、少しでも安く手に入れたい場合や自分で調整に出せる場合は通販、という選び方がおすすめです。
YAMAHA APX600 NTはこんな人におすすめ!
ここまでの特徴を踏まえて、YAMAHA APX600 NTは具体的にどのような人におすすめなのかをまとめます。
挫折したくないギター初心者や手が小さい女性・子供
ギターを始めるにあたって最大の敵は「弾きにくさによる挫折」です。
APX600は弦長が短く、ボディも薄いため、物理的な負担が非常に少ないギターです。
指が痛くなりにくく、コードが押さえやすいため、上達を実感しやすく楽しみながら続けられます。
特に小柄な方や女性、お子様にとっては、最適な入門機となるでしょう。
普段はエレキギターを弾いていてアコギに持ち替えたい人
普段エレキギターを弾いている人が、急に大きなボディのアコギを持つと、右手の位置やネックの太さに違和感を覚えることがよくあります。
APX600のネックシェイプと薄いボディはエレキギターからの持ち替えでも違和感が少なく、スムーズに演奏に入れます。
ライブの曲中で1曲だけアコギを使いたい、といった場合にも重宝します。
自宅練習用やライブ用のサブギターを探している中級者
すでに高級なアコースティックギターを持っている中級者以上の方にとっても、APX600は魅力的なサブギターになります。
「高価なギターをライブハウスに持っていくのは怖い」「湿度管理を気にせずリビングに置いておきたい」といったニーズに応えられるタフさと手軽さがあるからです。
しっかり調整すればライブでも十分通用するサウンドが出るため、実践的なセカンドギターとして活躍します。
まとめ:YAMAHA APX600 NT レビュー解説の重要ポイント
YAMAHA APX600 NTは、伝統的なアコースティックギターの枠にとらわれず、現代のプレイヤーが求める「弾きやすさ」と「実用性」を追求したモデルです。
生音の迫力こそ控えめですが、それを補って余りある取り回しの良さと、アンプを通した時の安定したサウンドは、初心者から経験者まで幅広い層に支持されています。
最後に、今回のレビュー解説のポイントをまとめます。
- YAMAHA APX600 NTは薄胴ボディとショートスケールで圧倒的に弾きやすい。
- 高性能ピックアップSYSTEM65を搭載し、ライブや配信で即戦力になる。
- チューナー内蔵で単3電池駆動のため、使い勝手が非常に良い。
- 生音は控えめだが、中高音がクリアで近所迷惑になりにくい利点がある。
- アンプを通した音はハウリングに強く、バンド演奏に適している。
- デザイン性が高く、小柄な人や女性でも抱えやすいサイズ感である。
- トップ材は合板仕様であり、耐久性は高いが音の成長は単板に劣る。
- 購入直後は弦高が高く感じることがあるため、調整するとより快適になる。
- 生音重視ならFG/FSシリーズ、アンプ出力と弾きやすさ重視ならAPXが最適。
- 挫折したくない初心者や、エレキからの持ち替え派に強く推奨できる一本である。

