「アンプシミュレーターやマルチエフェクターの音が、どこか平面的で物足りない」「自宅録音でスタジオクオリティのマイキングサウンドを実現したい」——そんな悩みを抱えるギタリストは少なくないでしょう。
Universal Audio UAFX OX Stompは、従来のIR(インパルスレスポンス)ローダーとは根本的に異なる「ダイナミック・スピーカー・モデリング」技術を搭載し、本物のキャビネットをプロがマイキングしたかのようなサウンドをペダル1台で実現するスピーカーエミュレーターです。
この記事では、OX Stompの特徴・詳細スペック・メリット・デメリット・リアルな評判を徹底的にまとめました。
購入を検討している方が後悔しない判断ができるよう、良い点も悪い点も包み隠さずお伝えします。
Universal Audio UAFX OX Stompの特徴・概要
ダイナミック・スピーカー・モデリングとは?従来のIRとの違い
OX Stompの最大の特徴は、Universal Audio独自の「ダイナミック・スピーカー・モデリング」技術です。
従来のIR(インパルスレスポンス)は、特定の瞬間のスピーカーの応答を「静的」にキャプチャーしたものです。
そのため、ピッキングの強弱やギターのボリューム変化に対する反応が一定で、どうしても平面的なサウンドになりがちでした。
一方、OX Stompのダイナミック・スピーカー・モデリングは、スピーカーとキャビネットの物理的な挙動をリアルタイムでシミュレートします。
ピッキングを強くすればスピーカーが押し出されるような反応が得られ、弱く弾けば繊細なニュアンスがそのまま再現されます。
この動的な応答性こそが、「音がそこにある」と評される理由です。
22種類のキャビネット×6種類のマイクで無限の組み合わせ
OX Stompには、Universal Audioが厳選した22種類のキャビネットモデルが搭載されています。
Fender Twin、Vox AC30、Marshall Plexi 4×12、Fender Bassmanなど、ロックやブルース、ジャズまで幅広いジャンルをカバーする名機が揃っています。
さらに、6種類のマイクエミュレーション(ダイナミック、コンデンサー、リボン各2種)を組み合わせることで、同じキャビネットでもまったく異なるキャラクターのサウンドを作り出せます。
マイクの選択によって、太く前に出るサウンドから、繊細で空気感のあるサウンドまで自在にコントロールできるのは、実際のレコーディングスタジオさながらの体験です。
プリアンプペダル・マルチエフェクターとの相性抜群
OX Stompは単体で使用するものではなく、アンプのプリアンプセクション、プリアンプペダル、またはマルチエフェクターと組み合わせて真価を発揮します。
Victory V4シリーズ、Friedman IR-X、Revv G20などのプリアンプペダルと組み合わせれば、まるで高級チューブアンプをプロがマイキングしたかのようなサウンドが得られます。
また、BOSS GX-100やLine 6 Helixなどのマルチエフェクターの内蔵キャビネットシミュレーターをオフにしてOX Stompを通すことで、「マルチエフェクターなのに本物のアンプのような音」という評価を受けるほどの劇的な音質向上が期待できます。
Universal Audio UAFX OX Stompのスペック・仕様
基本スペック・入出力端子
OX Stompの基本仕様は以下の通りです。
製品タイプはダイナミック・スピーカー・エミュレーターペダルで、入力端子は1/4インチTS(モノラル)を1系統、出力端子は1/4インチTRS(ステレオ)を1系統備えています。
USB端子はUSB-Cで、ファームウェアアップデートに使用します。
Bluetooth機能を内蔵しており、UAFX Controlアプリとのワイヤレス接続が可能です。
フットスイッチは2つ搭載されており、プリセット切り替えやエフェクトのオン/オフに割り当てられます。
筐体サイズは他のUAFXペダルと同様のコンパクト設計で、ペダルボードへの収まりも良好です。
内蔵エフェクト(1176コンプ・リバーブ・ディレイ等)
OX Stompは単なるキャビネットシミュレーターではありません。
Universal Audioの名機エミュレーションが複数内蔵されており、これ1台でレコーディングチェーンを完結できるポテンシャルを持っています。
1176 Studio Compressorは、Universal Audioの代名詞とも言える名機のエミュレーションです。
Input、Output、Attack、Release、Ratioの各パラメータをアプリから詳細に調整でき、ギターサウンドに適度なコンプレッションと存在感を加えられます。
Plate Reverbは、Pre Delay、Decay、Mix、Treble、Bassなどのパラメータを備えた本格的なプレートリバーブです。
常時オンの「味付け」から深いアンビエンスまで幅広く対応します。
Stereo Delayは5つのモード(Dual、Crossover、Ping Pong、Chorus、Flanger)を搭載しています。
左右独立したディレイタイム設定、フィードバック、モジュレーション、ハイ/ローカットフィルターなど、専用ディレイペダル顔負けの機能を備えています。
Chorus/Flangerモードでは、ディレイタイムを短く設定することでモジュレーションエフェクトとしても使用可能です。
4-Band EQは、High、High-Mid、Low-Mid、Lowの4バンドに加え、High CutとLow Cutフィルターを装備しています。
出力先の環境に合わせた最終調整に威力を発揮します。
電源要件・サイズ・重量
電源は9V DCセンターマイナスで、消費電流は400mAです。
この消費電流は一般的なアナログペダルと比較するとかなり高めのため、パワーサプライを使用する場合はアイソレートされた出力で十分な電流供給能力を持つものが必要です。
付属のACアダプターを使用するか、高品質なペダルボード用パワーサプライの使用が推奨されます。
Universal Audio UAFX OX Stompのおすすめポイント
プロがキュレーションした即戦力サウンド
OX Stompの大きな魅力は、膨大なIRライブラリから「当たり」を探す必要がないことです。
Universal Audioのサウンドエンジニアチームが厳選した22種類のキャビネットと6種類のマイクは、どの組み合わせを選んでも「使える音」が出ます。
多くのユーザーが指摘するように、サードパーティのIRを何百と試して理想の音を探す作業は、時間と労力を大きく消費します。
OX Stompなら、その時間を演奏や創作に充てることができます。
プロのキュレーションによる品質保証は、特に機材選びに時間をかけられないアマチュアミュージシャンにとって大きなメリットです。
ルームマイク機能で3次元的な奥行きを実現
OX Stompが他のキャビネットシミュレーターと一線を画すのが、ダイナミック・ルーム・モデリング機能です。
本体の「Room」ノブを回すだけで、まるで実際のスタジオで録音しているかのような空間の響きが加わります。
このルームサウンドはステレオで出力されるため、ヘッドフォンやスタジオモニターで聴くと驚くほどの立体感が得られます。
ドライでタイトなサウンドから、広大なライブルームの響きまで、ノブ1つで自在にコントロールできる手軽さは、他のペダルにはない強みです。
コンプ・リバーブ・ディレイ内蔵でペダルボードを省スペース化
399ドルという価格は、単体のキャビネットシミュレーターとしては高価に感じるかもしれません。
しかし、内蔵されているエフェクトを考慮すると、その評価は変わります。
Universal Audioの1176コンプレッサーペダル単体でも相当の価格がしますが、OX Stompにはそのエミュレーションが含まれています。
さらにプレートリバーブ、ステレオディレイ、4バンドEQまで搭載されているため、これらを個別に揃える場合と比較すれば、むしろコストパフォーマンスに優れていると言えます。
ペダルボードのスペース節約という観点からも、複数のペダルを1台に集約できるメリットは大きいです。
Universal Audio UAFX OX Stompの注意点・デメリット
ヘッドフォン出力・XLR出力が非搭載
OX Stompの最も指摘される欠点が、ヘッドフォン出力の非搭載です。
自宅での静かな練習を想定しているユーザーにとって、これは大きな障壁となります。
ヘッドフォンで練習するには、別途ヘッドフォンアンプや、ヘッドフォン出力を持つオーディオインターフェースが必要です。
また、XLR出力も搭載されていないため、ライブでPAシステムに直接接続する場合は、DIボックスなどの追加機材が必要になります。
上位機種のOX Amp Top Boxにはこれらの出力が搭載されていることを考えると、ペダルサイズに収めるためのトレードオフとはいえ、残念なポイントです。
詳細設定にはスマホアプリが必須
OX Stompの本体で操作できるパラメータは限られています。
Room、Speaker Drive、Output、2つのマイクレベル、そしてプリセットの切り替えが本体で可能な操作のほぼすべてです。
1176コンプレッサーの設定、EQの調整、ディレイやリバーブの詳細パラメータ、マイクタイプの変更、キャビネットの入れ替えなど、音作りの核心部分はすべてUAFX Controlアプリからの操作が必要です。
スマートフォンを持っていない、またはアプリの操作が苦手なユーザーにとっては、この仕様はストレスになる可能性があります。
Bluetooth接続の安定性に課題あり
アプリ依存の設計において最も問題視されているのが、Bluetooth接続の安定性です。
iOSでは比較的安定しているという報告がある一方、Android端末では接続に苦労するケースが多く報告されています。
特にAndroid 14へのアップデート後に接続できなくなったという事例もあります。
Universal Audioはファームウェアアップデートで改善を図っていますが、「設定を変更するたびに接続待ち→アプリ再起動→再接続」というサイクルを繰り返す羽目になることもあるようです。
ライブ会場など、時間的制約のある環境での使用には不安が残ります。
事前に自宅でしっかりと設定を詰めておくことが推奨されます。
Universal Audio UAFX OX Stompの評判・口コミ
ユーザーが評価するおすすめな点
OX Stompのサウンドクオリティについては、ほぼ例外なく高い評価を受けています。
「音が3次元的」「まるで本物のアンプがそこにあるよう」「IRでは絶対に出せない生々しさ」といった声が多く聞かれます。
特にSpeaker Drive機能への評価が高く、「ピッキングへの反応がアンプそのもの」「弾いていて気持ちいい」という感想が目立ちます。
静的なIRでは得られない、弾き心地の向上を実感しているユーザーが多いようです。
プリアンプペダルとの組み合わせについても、「Victory V4 + OX Stompで完璧なトーンが手に入った」「Friedman IR-Xとの相性が抜群」など、具体的な組み合わせを挙げて絶賛する声があります。
マルチエフェクターユーザーからは、「GX-100の音が劇的に良くなった」「Helixの内蔵キャブより明らかにリアル」といった評価も寄せられています。
内蔵エフェクトの品質についても、「1176コンプが使えるだけでも価値がある」「ディレイとリバーブが思った以上に優秀」と、おまけ以上の実力が認められています。
購入前に確認すべき注意点
一方で、アプリの使い勝手については厳しい意見が多く見られます。
「音は最高だがアプリが面倒」「接続の手間を考えると売却を検討した」という声は珍しくありません。
特にファームウェア2.0アップデート後に問題が発生したという報告が複数あり、「アップデート前は安定していたのに、更新後から接続できなくなった」という不満も聞かれます。
Bluetooth接続という仕様上、スマートフォンのOSアップデートや機種変更によって突然使えなくなるリスクがある点は、購入前に認識しておくべきでしょう。
ヘッドフォン出力の非搭載については、「なぜ省いたのか理解できない」「サイレント練習派には致命的」という意見が多いです。
自宅での練習がメインの用途であれば、この点は特に重視すべきポイントです。
こんな人におすすめ・おすすめしない人
OX Stompが特におすすめなのは、以下のようなギタリストです。
プリアンプペダルをメインに使用しており、高品質なキャビネットシミュレーターを探している方には最適です。
自宅でのレコーディングにおいて、スタジオクオリティのギターサウンドを手軽に得たい方にも強くおすすめできます。
マルチエフェクターの音をワンランク上げたいと考えている方、IRの海から「当たり」を探す時間を節約したい方にも向いています。
一方、以下のような方にはおすすめしにくいです。
ヘッドフォンでの練習がメインの方は、別途機材が必要になる点を考慮すべきです。
スマートフォンアプリの操作が苦手な方、Bluetooth接続のトラブルに対処する自信がない方も、ストレスを感じる可能性があります。
サードパーティのIRを使いたい方、ライブでPAに直接接続する機会が多い方も、この製品の制約を不便に感じるかもしれません。
まとめ:Universal Audio UAFX OX Stomp
総合評価:音質は最高峰、運用面に課題あり
Universal Audio UAFX OX Stompは、サウンドクオリティという点では現行のキャビネットシミュレーターの中でトップクラスの実力を持つ製品です。
ダイナミック・スピーカー・モデリング技術による生々しい反応、ルームマイクによる立体的な音像、そして1176コンプやリバーブ、ディレイといった充実した内蔵エフェクトは、価格以上の価値を提供しています。
しかし、ヘッドフォン出力やXLR出力の非搭載、アプリ依存の操作体系、Bluetooth接続の安定性といった運用面での課題も存在します。
これらは「音」とは直接関係ない部分ですが、日々の使い勝手に大きく影響するポイントです。
購入判断のポイント:どんなギタリストに向いているか
OX Stompの購入を検討する際は、自分の使用環境と照らし合わせることが重要です。
プリアンプペダルやアンプヘッドと組み合わせて、レコーディングやライン出力でのライブ演奏をメインに考えているなら、OX Stompは最良の選択肢の1つとなるでしょう。
一方、ヘッドフォンでの自宅練習がメインの用途であれば、別の選択肢(ヘッドフォン出力を持つマルチエフェクターや、OX Amp Top Boxなど)を検討した方が良いかもしれません。
競合製品との比較と最終アドバイス
同価格帯の競合製品としては、Strymon Iridium、Walrus Audio ACS1、Two Notes Torpedoシリーズなどがあります。
これらと比較したOX Stompの強みは、ダイナミック・モデリングによる「弾き心地」と、内蔵エフェクトの充実度です。
弱点は前述の通り、出力端子の制約とアプリ依存の操作性です。
最終的には、「音質と弾き心地を最優先するか」「利便性と汎用性を重視するか」という価値観の問題になります。
OX Stompは前者を極限まで追求した製品であり、その点を理解した上で購入すれば、きっと満足できる相棒になるはずです。
Universal Audio UAFX OX Stomp 総合評価まとめ
- ダイナミック・スピーカー・モデリングにより、従来のIRでは得られないリアルな弾き心地を実現している
- 22種類のキャビネット×6種類のマイクで、幅広いサウンドメイクに対応できる
- ルームマイク機能による3次元的な音像は、他のペダルにはない大きな強みである
- 1176コンプ、プレートリバーブ、ステレオディレイの内蔵エフェクトは専用機に迫る品質を持つ
- プリアンプペダルやマルチエフェクターとの組み合わせで、劇的な音質向上が期待できる
- ヘッドフォン出力非搭載のため、サイレント練習には別途機材が必要となる
- XLR出力非搭載のため、PAへの直接接続にはDIボックスが必要となる
- 詳細な音作りにはスマホアプリが必須で、Bluetooth接続の安定性に課題がある
- 400mAの消費電流に対応できるパワーサプライが必要となる
- 音質を最優先するギタリストには強くおすすめできるが、利便性重視の方は慎重に検討すべきである

