「ギターだけでアンビエントなパッドサウンドを作りたい」「コードを無限に伸ばして、その上で自由にソロを弾きたい」——ギタリストなら一度は抱くそんな願望に応えるペダルとして、tc electronic INFINITE SAMPLE SUSTAINERは大きな注目を集めています。
いわゆる「フリーズペダル」の一種ですが、内蔵リバーブ、FXループ、TonePrintによる深いカスタマイズ性を備え、従来のフリーズペダルとは一線を画す存在です。
一方で、「EHX Freezeとどう違うのか」「サステイン音の品質は実際どうなのか」「即応性に問題はないのか」といった疑問を抱えて購入をためらっている方も少なくないでしょう。
この記事では、本機の特徴・スペック・メリット・デメリットを網羅的に解説し、実際のユーザーから寄せられているリアルな評判もテーマ別に整理しました。
記事を最後まで読めば、このペダルが自分の演奏スタイルや用途に合うかどうか、確信を持って判断できるはずです。
tc electronic INFINITE SAMPLE SUSTAINERの特徴・概要
サンプル&サステインの基本コンセプト——「フリーズペダル」の進化形
tc electronic INFINITE SAMPLE SUSTAINERは、演奏中のギターサウンドの一瞬を切り取り(サンプリングし)、それを無限にサステインさせるペダルです。
シングルノート、ダブルストップ、コードのいずれもサンプリング可能で、そのサステイン音をバックグラウンドに敷きながらリアルタイムで別のフレーズを演奏できます。
同種のペダルとしてはElectro-HarmonixのFreezeやGamechanger AudioのPlus Pedalが知られていますが、本機がそれらと決定的に異なるのは「単にフリーズさせるだけ」にとどまらない点です。
サンプルを最大で無限にレイヤーとして重ねていくことができ、さらに内蔵リバーブやモジュレーション、外部FXループまで搭載しています。
フリーズペダルというよりも、「リアルタイムパッドジェネレーター」と呼ぶほうがその本質に近いかもしれません。
フットスイッチはラッチモードとモメンタリーモードの切り替えに対応しています。
ラッチモードではスイッチを1回踏むとサステインが開始され、もう1回踏むと新たなレイヤーが追加されます。
サステインを完全に停止したいときはダブルタップです。
モメンタリーモードでは、足を置いている間だけサステインが有効になるため、ここぞという瞬間にピンポイントで使うことも可能です。
Hall of Fameベースの内蔵リバーブとモジュレーション
本機の大きなアドバンテージのひとつが、tc electronicの定番リバーブペダル「Hall of Fame」のエンジンをそのまま内蔵している点です。
サステイン音に対してリバーブを適用できるだけでなく、TonePrintエディターを使えば14種類のリバーブタイプから選択でき、ディケイタイム、プリディレイ、ディフュージョン、モジュレーションの深さまで細かく追い込めます。
さらに、モジュレーションセクションも搭載されており、クラシックコーラス、アドバンスドコーラス、クラシックフランジャー、アドバンスドフランジャー、ビブラート、ビブラートランプ、トライコーラス、トライコーラスオルタネート、TZフランジャーの9種類から選べます。
重要なのは、このモジュレーションがサステイン音にのみ適用される設計になっている点です。
ドライ信号には一切影響しないため、演奏中のタッチやニュアンスが損なわれることがありません。
本体上面のトグルスイッチでDry/Reverbを切り替えられるため、リバーブなしのピュアなサステイン音と、リバーブを纏った幻想的なパッドサウンドをワンタッチで使い分けることができます。
TonePrintによる圧倒的なカスタマイズ性
tc electronic製品の大きな特徴であるTonePrintテクノロジーが、このペダルでも最大限に活用されています。
本体前面のロータリースイッチにはTP1、TP2、TP3の3つのプリセットスロットが用意されており、TonePrintアプリ(PC/Mac/iOS/Android対応)を通じて自分だけのサウンドを保存できます。
TonePrintエディターで編集可能なパラメーターは膨大です。
リバーブとモジュレーションの全パラメーターに加え、サステイン音のためのハイカット/ローカットを含む2バンドEQフィルター、各セクションの出力ルーティング(インプット→サステイン、サステイン→リバーブ、サステイン出力、リバーブ出力、センドループレベル、リターンループレベルなど)、ノブのアサイン変更やカーブの調整まで可能です。
インフィニットモード使用時には、新しいレイヤーを追加するたびに既存レイヤーを何dB減衰させるかを0〜12dBの範囲で設定でき、音が際限なく積み上がる問題をコントロールできます。
さらに、TonePrint設定でリバーブを「Always On」に設定すれば、サステインエフェクトを使っていない通常の演奏時にもドライ信号にリバーブが適用される状態を作ることもできます。
つまり、サステイナーとリバーブペダルを1台で兼務させることすら可能なのです。
tc electronic INFINITE SAMPLE SUSTAINERのスペック・仕様
本体サイズ・端子・電源などの基本仕様
tc electronic INFINITE SAMPLE SUSTAINERの主要スペックは以下の通りです。
本体サイズは幅72mm×奥行120mm×高さ50mmで、一般的なコンパクトエフェクターとほぼ同等のフットプリントに収まっています。
ペダルボード上のスペースを圧迫しにくいサイズ感は、多くのペダルを並べるプレイヤーにとってありがたい設計です。
電源は9V DCアダプター駆動で、消費電力は100mAです。
アダプターは付属しないため、別途用意する必要があります。
9V電池での駆動にも対応しています。
価格は149ドル/149ポンド(発売時)で、内蔵リバーブやTonePrint機能を考慮すると、このクラスとしてはコストパフォーマンスの高い設定です。
製造は中国で行われています。
USB端子はMini-B規格が採用されており、TonePrintアプリとの接続に使用します。
現代のUSB-C標準からすると旧世代の規格である点は留意が必要です。
コントロール類とモード構成(L1/L2/L3/Infinite/TP1〜3)
本体上面のコントロールは、Decay(サステイン音の減衰時間)、Level(サステイン音の音量)、Fade In(サステイン音の立ち上がり時間)の3つのノブに加え、FX Typeロータリースイッチ、Dry/Reverbトグルスイッチ、Latch/Momentaryトグルスイッチで構成されています。
FX Typeロータリースイッチでは7つのポジションを選択できます。
L1はシングルレイヤーモードで、新しいサンプルが前のサンプルを置き換えます。
コードチェンジに追従させたい場面に向いています。
L2は2レイヤーモード、L3は3レイヤーモードで、それぞれ上限を超えると最も古いレイヤーが消去されます。
Infiniteモードでは無制限にレイヤーを重ねることが可能で、壮大なサウンドスケープを構築できます。
TP1、TP2、TP3はTonePrintプリセットスロットで、アプリで作成したカスタム設定を呼び出すために使用します。
Fade InノブとDecayノブは共に、瞬時のオン/オフから最大約1秒のフェードイン/フェードアウトまでを連続的にコントロールできます。
これにより、パッドサウンドのような滑らかなスウェルイン/アウトから、瞬発的なサステイン効果まで幅広い表現が可能です。
接続・ルーティングの詳細(FXループ・バイパスモード)
入出力端子は、インプット、アウトプットのメインジャック(モノラル)に加え、センド/リターンジャックによるFXループを装備しています。
このFXループはサステイン音のみに適用されるため、ディレイ、ディストーション、モジュレーションなどの外部エフェクトをサステインレイヤーだけに掛けるといった高度なルーティングが可能です。
また、センド端子を利用してサステイン音だけを別のアンプやミキサーに送る使い方もできます。
バイパスモードはTrue BypassとBuffered Bypassの切り替えに対応しており、TonePrintアプリから設定を変更できます。
ペダルボード全体の構成やバッファーの有無に応じて、最適なバイパスモードを選べる柔軟性があります。
さらに、ドライキルオプションも用意されており、サステイン音のみを出力したい場面——たとえばキーボード的なパッドサウンドとして別系統に送るケースなど——にも対応します。
tc electronic INFINITE SAMPLE SUSTAINERのおすすめポイント
アンビエント・ドローン制作に最適な多層レイヤリング機能
本機の真骨頂は、何といっても多層レイヤリングによるサウンドスケープの構築力です。
Infiniteモードでは理論上無制限にレイヤーを重ねることができ、1音ずつ丁寧に積み上げていくことで、ギター1本とは思えないほど豊かなパッドサウンドが生まれます。
このレイヤリングの楽しさは、使い始めるとすぐに体感できます。
モメンタリーモードでスイッチを踏むたびに新しいノートが重なり、しかも微妙なオシレーションの変化が毎回異なるため、同じ操作をしても二度と同じサウンドは生まれません。
多くのユーザーが「何時間でも弾いていられる」「インスピレーションが止まらない」と口を揃えるのは、この予測不能な創造性にあります。
さらに、TonePrintエディターでInfiniteダンピングの値を調整すれば、新しいレイヤーが追加されるたびに古いレイヤーが段階的に減衰していく挙動を細かくコントロールできます。
音が際限なく膨張して収拾がつかなくなる心配がなく、常にバランスの取れたサウンドスケープを維持できるのは非常に実用的な設計です。
内蔵リバーブ+FXループで「これ1台」の完結力
フリーズペダルを使う場面では、ほぼ確実にリバーブを併用したくなります。
サステインされた素のギター音は、リバーブなしではどうしてもループ感が目立ちやすいからです。
EHX FreezeやGamechanger Plus Pedalにはリバーブが内蔵されていないため、必然的に別のリバーブペダルが必要になります。
その点、本機はHall of Fameベースの高品質リバーブを内蔵しているため、追加のペダルなしでも完成度の高いパッドサウンドが得られます。
「サステイナーを買ったらリバーブがおまけで付いてくる」という表現は言い得て妙で、実際にTonePrintの3スロットすべてをリバーブ設定として使い、サステイナーとしてよりもリバーブペダルとしてメインで活用しているユーザーもいるほどです。
加えて、FXループの存在がこの完結力をさらに押し上げます。
サステインレイヤーにのみディレイやコーラスを掛ける、あるいはサステイン音だけをオーバードライブで軽く歪ませるといった、通常なら複雑な配線が必要なルーティングが、この1台のループ端子だけで実現します。
練習ツールとしても優秀——コードをフリーズしてソロ練習
華やかなアンビエントサウンドに目が行きがちですが、実は練習ツールとしての実用性も本機の大きな魅力です。
たとえば、Cmaj7のコードをフリーズさせてその上でスケール練習をする、あるいはドローンとしてルート音を鳴らしっぱなしにしてモードの響きの違いを耳で確認する——こうした使い方が、メトロノームやバッキングトラックを用意することなく即座に始められます。
L1モード(シングルレイヤー)を使えば、コードチェンジに合わせてスイッチを踏むだけで背景のサステイン音が切り替わるため、ジャズのコード進行を追いながらのスケール練習にも対応できます。
この使い方は特にソロギタリストやジャズギタリストから高く評価されています。
tc electronic INFINITE SAMPLE SUSTAINERの注意点・デメリット
フットスイッチの即応性——EHX Freezeとの決定的な違い
本機を検討しているユーザーが最も注意すべきポイントが、フットスイッチを踏んでからサステイン音が発音するまでのタイムラグです。
体感で約0.5秒程度の遅延があり、Fade Inノブを最小に設定してもこの遅延は解消されません。
EHX Freezeはスイッチを踏んだ瞬間にゼロアタックでフリーズ音が立ち上がるため、ピアノのサステインペダルのようなリアルタイムの即応性を持っています。
一方、INFINITE SAMPLE SUSTAINERは構造上、スイッチを踏んだ後にサンプルを取得してからループ再生を開始するため、どうしても一瞬の間が生じます。
これはアンビエントなパッドを構築する用途では気にならないレベルですが、「曲中でリアルタイムにコードをフリーズさせながらその上でソロを弾く」といった俊敏な操作が求められる用途では致命的な弱点になり得ます。
ピアノのサステインペダル的な使い方を想定している方は、購入前にこの特性を必ず理解しておくべきです。
また、ノートのアタック部分(ピッキングの瞬間)をサンプリングしてしまうと、歪みやノイズを含んだ不自然なサステイン音になる点も注意が必要です。
「弾いてから一拍置いてスイッチを踏む」というコツを身につける必要があり、この操作感に馴染むまでにはある程度の練習時間を見込んでおくべきでしょう。
サステイン音に生じる「揺らぎ・ウォブル」の好み問題
本機のサステイン音には、ループ再生の性質に由来する微妙なモジュレーション——いわゆる「ウォブル」や「揺らぎ」——が不可避的に生じます。
これは短いサンプルをシームレスにループさせる仕組み上の特性であり、完全にフラットで静止したサステイン音にはなりません。
この揺らぎをポジティブに捉えるユーザーは多く、「パッドライクな有機的な質感が生まれる」「リバーブやモジュレーションを足せば非常にスムーズに聴こえる」と評価されています。
実際、アンビエント系の用途ではこの微妙な動きがむしろ魅力として機能します。
しかし、安定した純粋なサステイン音を求めるユーザーにとっては、この揺らぎが「不安定で不自然」「コードトーンが濁る」と感じられる場合があります。
特にEHX Freezeと直接比較すると、Freezeのほうがフリーズ音の安定性で優れているという評価が多く見られます。
これは技術的には、EHX系のペダルがサンプルを前後方向に往復再生(A→B→B→A)するのに対し、本機が一方向にループ再生(A→B→A→B)するため、ループの継ぎ目で音量やピッチの微小な変化が知覚されやすいことが原因と考えられています。
重要なのは、これは「欠陥」ではなく「特性」であるということです。
tc electronic自身もこの挙動を意図的な設計として説明しています。
しかし、この特性がオンラインのデモ動画では判別しにくいことも事実であり、可能であれば購入前に店頭で実機を試奏することを強くおすすめします。
TonePrint環境への依存とドキュメント不足
本機のポテンシャルを最大限に引き出すにはTonePrintエディターの利用が事実上必須ですが、このソフトウェア環境にはいくつかの制約があります。
まず、TonePrintアプリはWindows、macOS、iOS、Androidに対応していますが、Linuxには対応していません。
TonePrintなしでは本機は前面パネルの基本設定でしか使用できず、14種類のリバーブタイプの選択、モジュレーションの詳細設定、EQフィルター、ルーティングのカスタマイズといった本機の核心的な機能にアクセスできません。
Linuxユーザーからは「ペダルの真の実力のごく一部しか使えない」という声が上がっており、購入前にソフトウェア環境の確認が必要です。
また、付属のマニュアルおよびtc electronic公式サイトのドキュメントが非常に簡素であることも、多くのユーザーが指摘している不満点です。
TonePrintエディターの操作方法や各パラメーターの効果を理解するには、有志が作成したYouTubeチュートリアル動画に頼らざるを得ないのが現状です。
直感的に操作できるペダルではあるものの、その豊富な機能を使いこなすまでの学習コストは決して低くないことを覚悟しておくべきでしょう。
そのほか、USB端子がMini-B規格であること、MIDI入力やエクスプレッションペダル入力が非搭載であること、モノラル出力のみでステレオに対応していないことも、用途によっては制約になり得るポイントです。
tc electronic INFINITE SAMPLE SUSTAINERの評判・口コミ
ユーザーが評価するおすすめな点
本機に対する肯定的な評価は、特にアンビエント/ドローン系のサウンドメイキングを目的とするユーザーに集中しています。
TonePrintのカスタマイズ性は最も高く評価されているポイントで、「競合製品では太刀打ちできないレベルの自由度」「ルーティング、EQ、モジュレーション、リバーブのすべてを1台で完結できるのは驚異的」といった声が多数を占めます。
特に、モジュレーションがサステイン音のみに適用され、ドライ信号に影響しない設計は、実際に使い込んだユーザーほど高く評価する傾向があります。
内蔵リバーブの品質についても、「サステイナーのおまけとは思えないクオリティ」「TonePrintスロットをすべてリバーブ設定にして、リバーブペダルとしてもメイン使用している」など、想定以上の活用がなされています。
リバーブを「Always On」に設定することでサステイン非使用時にもドライ信号にリバーブを適用できることが発見されてからは、この点の評価がさらに高まっています。
サウンドの温かみについても好意的な意見が多く、「EHX Freezeよりも温かくオーガニック」「ハモンドオルガンのような響きがある」と、競合製品のやや無機質なフリーズ音と比較して本機の音色を好むユーザーが少なくありません。
コストパフォーマンスも高く評価されており、「この機能セットでこの価格はペダル市場全体で見ても破格」「Gamechanger Plus Pedalの数分の1の価格で、機能面では上回る部分すらある」という声が上がっています。
購入前に確認すべき注意点
否定的な評価は、主にEHX Freezeからの乗り換えや、即応性の高いフリーズ機能を期待して購入したユーザーから寄せられています。
最も深刻な不満は前述の「揺らぎ」に関するもので、「予約購入したが1時間で売りに出した」「デモ動画では分かりにくいが、実機では重いモジュレーションがかかった不安定な音質がある」という率直な報告があります。
EQペダルを複数試しても解消できなかったというケースも報告されており、この特性が許容できるかどうかは極めて個人的な好みの問題です。
電源まわりの注意点として、「記載されたアンペア数と正確に一致する電源が必要で、多くのペダルとは異なり、余裕のある電源を使うと正常動作しない」という報告があります。
一般的なペダルでは電流容量に余裕がある電源を使っても問題ないことが多いため、この仕様は知らないとトラブルの原因になりかねません。
tc electronicがペダルに適合電源を同梱すべきだという意見も見られます。
また、フリーズ音の安定性について「当初は絶賛していたが、使い込むうちにコードをフリーズさせた際の不安定さが気になり始め、最終的にEHX Freezeに戻った」という、時間をかけた末の評価変更を報告するユーザーもいます。
短時間の試奏では気にならなかった特性が、長期使用で顕在化する可能性がある点は留意しておくべきでしょう。
満足度を左右する「用途の相性」——向いている人・向いていない人
ユーザーの満足度を分析すると、非常に明確なパターンが浮かび上がります。
それは、本機の満足度が「何を期待して購入したか」によって劇的に変わるということです。
本機に向いているのは、アンビエント、シューゲイズ、ポストロックなどのジャンルで、ゆったりとパッドやドローンを構築したいプレイヤーです。
また、自宅練習でドローン/コードフリーズを活用したいギタリスト、TonePrintエディターを使って音を追い込むことに抵抗がないユーザーにも強くおすすめできます。
リバーブペダルとしての機能も兼ねたいペダルボード効率重視のプレイヤーにも最適です。
一方、本機に向いていないのは、EHX Freezeのようなゼロアタックの即応性を求めるプレイヤーです。
ライブ中にリアルタイムでコードを切り替えながらフリーズを使いたい場面が多い方、完全にフラットで揺らぎのないサステイン音を求める方、TonePrintを使わずに本体のみで完結させたい方には、期待とのギャップが生じやすいでしょう。
まとめ:tc electronic INFINITE SAMPLE SUSTAINER
総合評価——アンビエント特化のフリーズペダルとしての実力
tc electronic INFINITE SAMPLE SUSTAINERは、単なるフリーズペダルの域を超え、ギタリストがリアルタイムでパッドサウンドやサウンドスケープを構築するための創造的ツールです。
その真価は「即座にフリーズさせる」ことではなく、「音を重ね、加工し、育てていく」プロセスにあります。
購入判断のポイント——あなたに合うかを見極める3つの基準
購入を検討する際に確認すべきは、「即応性よりも音作りの深さを重視するか」「TonePrintアプリを使える環境があるか」「サステイン音の有機的な揺らぎを許容できるか」の3点です。
この3つにすべてYesと答えられるなら、本機は価格以上の価値を提供してくれるでしょう。
本記事の要点を以下にまとめます。
- 製品カテゴリ:サンプル&サステイン(フリーズ)ペダル。演奏中のサウンドをサンプリングし、無限にサステインさせるギター用エフェクター
- 最大の強み:TonePrintによる14種リバーブ、9種モジュレーション、2バンドEQ、詳細ルーティングなど、競合を圧倒するカスタマイズ性
- 内蔵リバーブ:Hall of Fameエンジン搭載。サステイナーとリバーブペダルの1台2役が可能で、コストパフォーマンスが高い
- レイヤリング:1層/2層/3層/無限層の4モード。無限モードではダンピング量の調整により音の積み上がりを制御可能
- FXループ内蔵:サステイン音のみに外部エフェクトを適用でき、創造的なルーティングの幅が広い
- 即応性の制約:フットスイッチから発音まで約0.5秒のラグがあり、EHX Freezeのようなゼロアタックのフリーズとは根本的に異なる操作感
- サステイン音の揺らぎ:ループ再生に由来する微妙なモジュレーションが不可避。アンビエント用途では魅力になるが、安定したフリーズ音を求めるユーザーには不向き
- ドキュメント・ソフトウェアの課題:マニュアルが簡素でTonePrint依存度が高い。Linux非対応、USB Mini-B採用、MIDI/エクスプレッション非搭載など制約あり
- 電源の注意:記載アンペア数と正確に一致する電源が必要との報告あり。購入時に適合電源の確認を推奨
- 総合評価:アンビエント/ドローン/パッド構築用途では現行のフリーズペダル中トップクラスの多機能モデル。ただし「万能なフリーズペダル」ではなく、用途との相性が満足度を決定的に左右する製品

