MENU

Jim Dunlop WAY HUGE Swollen Pickle Jumbo Fuzz MKIIS WHE401S レビュー解説|凶暴で繊細な七変化ファズ

「ファズペダルが欲しいけれど、どれを選べばいいか分からない」

「Big Muff系は好きだけど、もっと音作りの幅が欲しい」——そんな悩みを抱えるギタリストは少なくないでしょう。

Way Huge Swollen Pickle Jumbo Fuzz MKIISは、伝説的ペダルビルダーJeorge Tripps氏がBig Muffを独自に再解釈し、7つものパラメータで音色を追い込める異色のファズペダルです。

しかし、その圧倒的な自由度ゆえに「使いこなせない」という声があるのも事実。

本記事では、実際の使用感やメリット・デメリット、リアルなユーザー評価まで徹底的に掘り下げ、この製品があなたに合うかどうかを判断するための情報をお届けします。

目次

Swollen Pickle MKIIS とは?製品の概要と位置づけ

Swollen Pickle Jumbo Fuzz MKIISは、Way Huge Electronicsが手がけるハイゲイン・ファズペダルです。

Way Hugeは1992年にJeorge Tripps氏が立ち上げたブランドで、1990年代に生み出された初代Swollen Pickleは入手困難なカルト的存在として高騰を続けていました。

その後Jim Dunlop(現Dunlop Manufacturing)との提携により復刻・進化を遂げ、現在のMKIISに至ります。

本機の基本回路はBig Muffをベースとしていますが、Tripps氏が「自分の理想のMuffサウンド」を追求した結果、典型的なBig Muffの音響領域を大きく超えた独自のキャラクターを持っています。

フルサイズのMkIIと同じ回路・機能をよりコンパクトな筐体に収めたのがこのMKIIS(”S”はSmallの意)であり、ペダルボードへの収まりの良さと本格的な音作りの両立を実現したモデルです。

他製品との差別化ポイント

ファズペダル市場には数え切れないほどの選択肢が存在しますが、Swollen Pickle MKIISが際立つ理由は明確です。

まず特筆すべきは、外部5ノブ+内部2トリマーによる計7パラメータという圧倒的なコントロール数です。

一般的なファズペダルがVolume・Tone・Fuzzの3ノブ程度であるのに対し、本機はミッドレンジの削り量(SCOOP)、コンプレッション特性(CRUNCH)、さらに内部のクリッピング特性(CLIP)やSCOOPの効き幅(VOICE)まで調整可能です。

これにより、1960年代風のヴィンテージファズから、80年代的なディストーション、さらにはHM-2ライクなチェーンソーサウンドまで、1台でカバーできる守備範囲の広さを実現しています。

次に、Big Muff系の弱点とされるローエンドのブーミーさが抑制されている点も重要です。

SCOOPとFILTERを組み合わせることで実質的な2バンドEQとして機能させることができ、Big Muffでは難しかった「抜けの良いファズサウンド」を作り出せます。

あるファズ愛好家のコミュニティで「典型的なMuffのサウンドスケープを大きく超えている」と評される所以はここにあります。

また、大手楽器店が主催した15機種によるブラインド・ファズシュートアウトにおいて、全ラウンドを勝ち抜いて優勝した実績を持つ点も見逃せません。

ブランドバイアスを排した純粋な音質勝負で頂点に立ったという事実は、本機の実力を雄弁に物語っています。

スペック・仕様

Swollen Pickle Jumbo Fuzz MKIISの主要スペックは以下の通りです。

製品型番はWHE401Sで、エフェクトタイプはアナログ・ファズ、入出力はそれぞれ1/4インチ標準ジャックが各1系統です。

外部コントロールとしてLOUDNESS(音量)、SUSTAIN(ゲイン/ファズ量)、FILTER(トーン/バンドパスフィルター)、SCOOP(ミッドカット量)、CRUNCH(コンプレッション強度)の5つのノブを備えます。

内部トリマーとしてVOICE(SCOOPの効き幅調整)とCLIP(クリッピングダイオードの切替:スムーズ〜オープン)の2つが搭載されています。

電気的仕様として、入力インピーダンスは36kΩ以上、出力インピーダンスは26kΩ以下、ノイズフロアは-82dBVです。

バイパス方式はTrue Hardwire Relayを採用しています。

電源は9V電池(006P)またはDC9Vセンターマイナスアダプターで、消費電流は3.1mAと極めて省電力です。

筐体サイズは約95mm(幅)×120mm(奥行)×45mm(高さ)、重量は約400gとなっています。

消費電流がわずか3.1mAであるため、9V電池での駆動時間は非常に長く、パワーサプライの出力容量を圧迫しない点も実用上のメリットです。

実際の使用感

外観・ビルドクオリティ

手に取ってまず感じるのは、筐体の堅牢さです。

厚みのあるメタルケースは「所有するペダルの中で最も頑丈」と表現されることもあるほどで、ステージでの激しい使用にも十分耐えうる造りです。

グリーンメタリックのヘアライン仕上げに黄色のレトリングが映え、実売価格帯からすると高級感のある佇まいに仕上がっています。

9V電池ドアが底面に設けられており、電池交換時に裏蓋全体を外す必要がないのは地味ながら嬉しい配慮です。

操作感・音作りのプロセス

5つの外部ノブは適度なトルク感があり、回した際のフィーリングは良好です。

ただし、各パラメータが相互に影響し合う設計であるため、1つのノブを動かすと他のパラメータとのバランスが変化します。

特にSCOOPの効き方は非常に強烈で、FILTERとの組み合わせによって劇的に音色が変わります。

CRUNCHノブは独特の機能を持っています。

公式にはコンプレッション調整と説明されていますが、実質的にはファズが発動する前のヘッドルームを調整するコントロールです。

CRUNCHを上げるとギター側のボリュームが高くないとファズがかからなくなるため、アンプのナチュラルなオーバードライブを活かしたクランチサウンドも作り出せます。

これはファズペダルとしては珍しい機能であり、本機の守備範囲を大きく広げている要因です。

内部トリマーのCLIPを回すことで、スムーズなウォームファズからオープンで攻撃的なサステインファズまで連続的に変化させることができ、VOICEはSCOOPがカットするミッド帯域の深さを設定します。

これらにアクセスするには裏蓋を外す必要がありますが、一度好みの設定を見つければ頻繁に触る必要はないでしょう。

サウンド特性

本機のサウンドを一言で表現するなら「コントロールの幅が広いBig Muff」ですが、その実態はもう少し複雑です。

Big Muffのローのブーミーさが抑えられ、攻撃的で暴れるようなハイの質感が特徴的です。

ガレージロック、インディーロック、ハードコア、スラッジ、シューゲイザーなど、幅広いジャンルに対応できるポテンシャルを秘めています。

SUSTAINを低めに、FILTERを高めに設定すると太くロアリングなファズが得られます。

SCOOPを深くカットすればBig Muff的なドンシャリサウンドに、SCOOPをゼロにすればミッドの詰まった抜けの良いトーンに変化します。

CRUNCHを上げればオーバードライブ的な使い方も可能で、「ルードでサギーなダーティリズムトーン」が生まれます。

近年注目されているのは、ハイゲインアンプとの組み合わせによるHM-2的チェーンソーサウンドの再現です。

LOUDNESS最大、FILTER最大付近、SUSTAIN最小付近、SCOOP最大、CRUNCH最小という設定で、5150系やMarshall DSLのハイゲインチャンネルに入力すると、スウェディッシュ・デスメタル的な極悪トーンが得られるとして、ハードコア〜メタルコア系のプレイヤーに再評価されています。

おすすめな点

Swollen Pickle MKIISをおすすめできる最大の理由は、1台で複数のファズキャラクターをカバーできる汎用性の高さです。

ヴィンテージファズ、モダンハイゲインファズ、クランチオーバードライブ、チェーンソーディストーション——通常であれば複数のペダルを揃えなければならないサウンドバリエーションを、本機1台と少しの探究心があれば手に入れることができます。

次に、他のペダルとの組み合わせの良さが挙げられます。

RATを前段に置いた「RAT→Swollen Pickle」の組み合わせは特に評価が高く、グロリアスなサウンドと称されています。

チューブスクリーマー系でブーストする使い方や、Plumes等のオーバードライブでエッジを制御する使い方も好評です。

ペダルチェインの中で単体としても、組み合わせの一部としても高い性能を発揮する柔軟性は、長くペダルボードの中核を担えるポテンシャルを意味します。

ベースギターでの使用が可能な点も見逃せません。

ジャズベースやミュージックマンのスティングレイとの組み合わせで問題なく使用できるとの報告があり、別途ベース専用モデルを購入する必要がない点は経済的です。

True Hardwire Relayバイパスの採用により、エフェクトOFF時の信号劣化がない点も、シグナルチェインを重視するプレイヤーにとっては重要なメリットです。

そして価格面でも魅力的です。

実売30,000円前後という価格帯は、このクラスの品質と機能を持つペダルとしてはコストパフォーマンスが高く、中古市場でも比較的手頃な価格で流通しています。

注意点

購入前に必ず知っておくべき注意点がいくつかあります。

最も重要なのは、音作りの学習曲線が急峻であるという点です。

7つのパラメータが相互に影響し合うため、Big Muffのように「プラグインして即座に良い音」というわけにはいきません。

多くの設定では期待と異なる音になることもあり、最適なセッティングを見つけるには時間と忍耐、そして各コントロールの相互関係を理解する耳が必要です。

初めてのファズペダルとしては難易度が高く、ある程度ファズの扱いに慣れたプレイヤーが手にすることで真価を発揮するペダルと言えます。

LOUDNESSの出力レベルが非常に高い点にも注意が必要です。

ユニティゲイン(原音と同等の音量)のポイントが極めて低い位置にあり、12時を超えるとアンプやスピーカーに深刻なダメージを与える可能性があります。

実際に「スピーカーを飛ばした」という報告も存在するため、最初は必ずLOUDNESSを絞った状態から音出しを始めてください。

ノイズに関しても留意すべきです。

ノイズフロア-82dBVというスペック上の数値は悪くありませんが、実使用においてはバックグラウンドハムが感じられるケースがあります。

演奏中はマスキングされて目立ちませんが、静かなパートや演奏の合間ではノイズゲートの併用が推奨されます。

ライブ使用時のノブの誤操作リスクも指摘されています。

5つの外部ノブがペダルトップに配置されているため、ステージ上で足が当たって設定が変わってしまう可能性があります。

本機はノブ位置の僅かな変化で音色が大きく変わるため、ライブ頻度の高いプレイヤーはノブロックやテープでの固定を検討した方がよいでしょう。

内部トリマー(VOICE / CLIP)へのアクセスには裏蓋を外す必要があります。

一度決めればそう頻繁に触るものではありませんが、セッティングの試行錯誤段階では面倒に感じることがあるかもしれません。

評判・口コミ

ユーザーが評価するおすすめな点

多くのユーザーが口を揃えて称賛するのが、その圧倒的な音色の多様性です。

「出せるファズの種類の幅に驚く」「マイルドなクランチからアルマゲドンまで自在」「1960年代ファズから80年代ディストーションまでノブ数回転で到達」など、1台でここまで幅広いサウンドが出せることに対する驚きの声は非常に多く見られます。

長期使用者からの信頼も厚く、「唯一のファズとして10年以上使い続けている」「手放したことを後悔してもう一度買い直した」「DS-1やRAT、チューブスクリーマーと並ぶクラシックペダルの仲間入りをしつつある」といったコメントが示すように、一時的な流行ではなく長く愛される実力を持つペダルとして認知されています。

他のペダルとの組み合わせの良さを評価する声も目立ちます。

「RATとSwollen Pickleの組み合わせは至福」「オーバードライブでブーストすると別次元のサウンドになる」「POG2を前段に入れると凄まじいヘヴィサウンドが得られる」など、ペダルチェインの中での柔軟性が高く評価されています。

ハードコア・メタル系プレイヤーからの支持も近年急速に拡大しています。

「HM-2的なチェーンソーサウンドが出せる」「ブティックHM-2クローンを全部売ってSwollen Pickleに一本化した」という声もあり、従来のBig Muff系ユーザー以外にも支持層が広がっています。

購入前に確認すべき注意点

音作りの難しさに関する声は一貫して存在します。

「多くの設定で音が悪く聞こえる」「10年所有しているがダイヤルインが難しい」「Big Muffのようなプラグ&プレイではない」というコメントに代表されるように、本機を手にしたすべてのユーザーが満足しているわけではありません。

時間をかけて設定を追い込む意欲がない場合、持て余してしまう可能性は高いでしょう。

音質面の批判として「結局は低音過多なMuffにすぎない」「EQペダルと組み合わせないと真価を発揮しない」という意見も一部に存在します。

特にSCOOPやCRUNCHのコントロールが「完全にオフの状態にならない」ため、常にやや癖のあるトーンが乗る点を気にするユーザーもいます。

ただし、この点については「各EQコントロールの相互作用を理解していないだけ」「ダイヤルインに十分な時間をかければ解決する」という反論も多く、評価が分かれるポイントです。

フットスイッチの耐久性について懸念を示す声がごく少数ありますが、大多数のユーザーからは耐久性に関する問題は報告されておらず、個体差の可能性も考えられます。

MkII・MkIII Smallsとの違い

Swollen Pickleシリーズには複数のバージョンが存在するため、購入時に混乱しやすいポイントを整理します。

フルサイズのMkII(WHE401)は本機MKIISと同じ回路・機能を持ちますが、筐体が大きく、ペダルボードのスペースを取ります。

MKIISはそのサウンドと機能をそのまま小型筐体に移植したモデルであり、音質面での差はありません。

一方、MkIII Smalls(より後に発売された最小サイズ版)は、内部トリマーのVOICEとCLIPがスイッチ式に簡略化されています。

これにより操作はシンプルになりますが、連続可変による微調整ができなくなるため、コントロールの粒度(グラニュラリティ)はMKIISの方が上です。

「ノブの方がスイッチより常に優れている」という意見は多く、細かい音作りを重視するならMKIIS、手軽さを重視するならMkIII Smallsという棲み分けになります。

こんな人におすすめ/おすすめしない

本機が特に向いているのは、1台のファズペダルであらゆるサウンドをカバーしたい方、セッティングの追い込みを楽しめる方、Big Muff系のサウンドが好きだがもっとEQの自由度が欲しい方、そしてハードコア・メタル系のプレイヤーでHM-2的なトーンにも興味がある方です。

ベーシストにとっても、専用モデルなしに良質なファズが得られる選択肢として検討に値します。

一方、プラグ&プレイで即座に使える即戦力を求める方、シンプルなファズサウンドが1つあれば十分な方、初めてのファズペダルを探している初心者には、もう少しコントロールがシンプルなモデル(EHX Big Muff Pi等)から始めることをおすすめします。

まとめ

  • Swollen Pickle MKIISは、Big Muff系回路をベースに7つのパラメータで徹底的に音を追い込めるハイゲイン・ファズペダルである
  • ヴィンテージファズからモダンハイゲイン、オーバードライブ的クランチ、HM-2的チェーンソーサウンドまで1台でカバーする驚異的な汎用性を持つ
  • 15機種によるブラインド・ファズシュートアウトで優勝した実績があり、音質面での実力は折り紙付き
  • フルサイズMkIIと同等の回路・機能を小型筐体に収め、ペダルボードへの収まりが良い
  • RAT、チューブスクリーマー系、オーバードライブ等との組み合わせで真価をさらに発揮する
  • 消費電流3.1mAと極めて省電力で、電池駆動でも長時間使用可能
  • 音作りの学習曲線は急峻で、最適設定を見つけるには時間・忍耐・経験が必要。初心者には難易度が高い
  • LOUDNESSの出力が非常に高く、スピーカーを飛ばすリスクがあるため音量の扱いには細心の注意が必要
  • バックグラウンドノイズが気になるケースがあり、ノイズゲートとの併用が推奨される
  • 総合評価:音作りを楽しむ意欲があるプレイヤーにとっては、価格帯を超えた価値を持つ一生モノのファズペダル。実売約30,000円前後でこの表現力は圧巻であり、ファズの深淵を覗きたいすべてのギタリストに検討をおすすめする
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次