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ギブソンの品質低下はいつから?理由と当たり年の見分け方

ギブソンギターの品質について、いつからか「低下した」という声が聞かれるようになりました。

特にヴィンテージ市場の盛り上がりとともに、過去のモデルが神格化され、現行品との比較で語られる機会も少なくありません。

ギブソンに憧れを持つ方、これから手に入れようと考えている方にとって、品質の変遷は非常に気になるテーマでしょう。

この記事では、ギブソンの品質低下がいつから始まったのか、その理由や背景を深く掘り下げます。

さらに、品質が不安定な時代の中でも評価の高い「当たり年」や、購入時に後悔しないための「ハズレ個体」の見分け方、ギブソン・カスタムショップの品質、そして「山野楽器時代のギブソンは良かった」という話の真相まで、網羅的に解説していきます。


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目次

ギブソンの品質低下はいつから?その歴史的背景と理由

ギブソンの品質低下はいつ始まったのか

ギブソンの品質低下が顕著になったのは、一般的に1970年代から1980年代半ばにかけての「ノーリン(Norlin)時代」であると言われています。

この時代の始まりは、1969年にギブソンの親会社であるCMI(Chicago Musical Instrument Co.)が、南米のビール醸造などを手掛ける巨大コングロマリット「ECL」に買収され、その後ノーリン・インダストリーズへと社名変更したことに端を発します。

もちろん、全てのモデルの品質が一夜にして低下したわけではありません。

しかし、経営の主導権が楽器職人からビジネスマンへと移ったことで、ギター作りの哲学が大きく変化し、品質のばらつきが目立ち始めたのがこの時期なのです。

具体的には、1970年代中盤頃から、それまでのギブソンが持っていた丁寧な手作業による作り込みが徐々に失われ、生産効率を優先した仕様変更が各モデルに見られるようになりました。

この傾向は1980年代前半まで続き、多くのオールドファンが嘆く「暗黒時代」へと繋がっていきます。

品質低下を招いたギブソンの経営上の理由

品質低下を招いた直接的な理由は、ノーリン社による経営方針の転換に集約されます。

彼らが最優先したのは、伝統的な楽器作りではなく、あくまでも企業としての「利益の最大化」でした。

これを実現するために、主に以下の3つの施策が実行されたのです。

1. 徹底したコスト削減

利益を増やす最も手っ取り早い方法がコストの削減です。

ギターの心臓部とも言える木材のグレードを落としたり、乾燥が不十分な材を使用したりすることが増えました。

また、それまで手間をかけて行っていた木材の選定プロセスも簡略化され、ギターの鳴りや響きに直接的な影響を及ぼしました。

2. 生産効率の追求

次に挙げられるのが、生産ラインの効率化です。

手作業で行われていた工程を可能な限り機械化・自動化し、1本あたりの製造時間を短縮することを目指しました。

例えば、レスポールのボディトップに見られる美しいアーチ形状は、より平坦で加工しやすい形状に変更されました。

ネックの接合(セットネック)といった重要な工程も簡略化され、ギター全体の剛性や鳴りの一体感が損なわれる一因となったのです。

3. 労働環境の変化

経営方針の転換は、現場で働く職人たちのモチベーションにも影響を与えたと言われています。

品質よりも生産ノルマが重視される環境下では、細部までこだわった丁寧な仕事をするのが難しくなります。

これらの理由が複合的に絡み合い、ギブソンギターの品質は徐々に、しかし確実にばらつきが大きいものへと変わっていきました。

品質低下が生んだ「ギブソン当たり外れ」問題

ギブソンの品質が均一でなくなった結果として生まれたのが、「当たり外れ」という問題です。

これは、同じモデル、同じ年に製造されたギターであっても、品質に大きな差がある状態を指します。

本来、工業製品は均一な品質であることが理想とされます。

しかし、ノーリン時代のギブソンは、前述したコスト削減や生産効率の追求により、品質管理体制が十分に機能しなくなりました。

その結果、非常に良く鳴る素晴らしい個体(当たり)と、まるで鳴らない、あるいは作りの粗い個体(ハズレ)が、同じ価格で市場に混在するようになってしまったのです。

この「当たり外れ」という概念は、特に中古のギブソンを探す際に多くのプレイヤーを悩ませる要因となっています。

年代やモデル名だけでは一概にそのギターの価値を判断できず、一本一本を丁寧に見極める必要が出てきました。

この状況が、後の「山野楽器による検品」が評価される土壌や、個体の選定眼を持つプレイヤーが重宝される文化を生み出すきっかけにもなったと言えるでしょう。

存在するギブソンのハズレ個体の共通点

では、具体的に「ハズレ」とされる個体には、どのような特徴が見られるのでしょうか。

もちろん個体差はありますが、一般的に指摘される共通点には以下のようなものが挙げられます。

音に関する特徴

最も分かりやすいのが音の悪さです。

ボディやネックが一体となって響かず、音が前に飛ばない「鳴らない」個体が代表的です。

アンプを通しても音がこもりがちであったり、サステイン(音の伸び)が極端に短かったりするケースも少なくありません。

これは、乾燥が不十分な木材の使用や、ネックとボディの接合精度が低いことに起因すると考えられています。

作りの粗さに関する特徴

細部の仕上げに問題が見られるのもハズレ個体の特徴です。

  • 塗装のムラや気泡、バインディング(縁飾り)部分のはみ出し
  • フレットの端の処理が甘く、指板の横を滑らせると引っかかる(バリ)
  • ネックが極端に反っている、またはねじれている
  • パーツの取り付け精度が悪く、ペグやブリッジが傾いている

これらの作りの粗さは、見た目の問題だけでなく、演奏性にも直接影響を与えます。

パーツの品質

コストダウンの影響は、ピックアップやペグ、ブリッジといったパーツ類にも及びました。

純正品でありながらチューニングが狂いやすいペグや、ノイズを拾いやすい電装系パーツが搭載されていることもあります。

これらの特徴を事前に知っておくことが、購入時の失敗を避ける第一歩となります。

ギブソンに存在する輝かしい「当たり年」

品質低下の歴史がある一方で、ギブソンには「この年代のモデルは素晴らしい」と評価される輝かしい「当たり年」も存在します。

暗黒時代とされるノーリン期を乗り越え、品質回復への道を歩み始めた後の年代に、特に評価の高い年が集中しています。

年代主な特徴と評価
1950年代~1960年代黄金時代(Golden Era)。PAFピックアップや良質なホンジュラス・マホガニーなど、最高の素材と職人技で製作。現在では数百万~数千万円で取引される伝説的なヴィンテージ。
1980年代後半1986年に経営陣が刷新され、品質回復への取り組みが開始。ノーリン時代の反省から、丁寧な作り込みが復活し始める。
1994年レスポール生誕40周年の翌年にあたり、特にレスポール・スタンダードクラシックの評価が高い。良質な木材が潤沢に使用され、作りも丁寧な個体が多いとされる最初の「当たり年」。
2003年カスタムショップ製ヒストリック・コレクションにおいて、よりヴィンテージに近いブラジリアン・ローズウッド(ハカランダ)指板が採用された最後の年として、非常に人気が高い。
2014年ヒストリック・コレクションが**「究極のヴィンテージ・リイシュー」と評価された年。ネックや指板の接着に伝統的なニカワ**を使用し、トラスロッドもヴィンテージ仕様に変更されるなど、サウンドに直結する大きなアップデートが行われた。

これらの「当たり年」とされる年代のモデルは、中古市場でも人気が高く、価格も高値で安定している傾向にあります。

もちろん、当たり年だからといって全ての個体が素晴らしいとは限りませんが、ギター選びの一つの重要な指標となることは間違いありません。

品質低下の中でも良いギブソンと出会うには

ギブソンレスポールにおけるハズレの見分け方

では、実際に店頭でギターを選ぶ際、レスポールの「ハズレ」個体を避けるにはどこを見れば良いのでしょうか。

いくつかの具体的なチェックポイントをご紹介します。

1. まずはアンプに繋がずに「生鳴り」を確認する

これが最も重要なポイントです。

アンプを通さずに弦を弾き、ボディやネックがしっかりと振動しているかを感じてください。

抱えているお腹や、ネックを握っている左手に「ビーン」という心地よい振動が伝わってくる個体は、ボディ全体が一体となって鳴っている証拠です。

音がボディ内部でこもってしまったり、振動がすぐに消えてしまったりする個体は避けた方が無難でしょう。

2. ネックの状態をあらゆる角度からチェックする

ネックはギターの演奏性を左右する心臓部です。

ヘッド側からボディ側を見て、ネックが左右にねじれていないか、また、ボディを水平に見てネックが大きく順反り・逆反りしていないかを確認しましょう。

多少の反りであればトラスロッドで調整可能ですが、大きなねじれや「元起き(ネックの付け根からの反り)」は修正が困難な場合があります。

3. 重量と全体のバランスを確かめる

レスポールは重量の個体差が大きいモデルです。

一般的に、極端に重い個体(5kg近く)は音が硬く、鳴りが鈍重な傾向があり、軽すぎる個体(3kg台前半)は音が軽薄になることがあると言われます。

4kg前後のものが最もバランスが良いとされることが多いですが、これはあくまで目安です。

実際にストラップで肩から下げてみて、ヘッド落ちしないか、構えた時にしっくりくるかどうかが最も重要になります。

これらのポイントを落ち着いてチェックするだけでも、大きな失敗は避けられるはずです。

ギブソンカスタムショップの品質という選択肢

もし予算に余裕があり、最高の品質を求めるのであれば、「ギブソン・カスタムショップ」製のモデルは最も確実な選択肢となります。

カスタムショップは、ギブソンのレギュラーラインとは完全に独立した特別な工房です。

そこでは、選び抜かれた熟練の職人たちが、最高級の木材を使い、伝統的な製法を守りながらギターを製作しています。

レギュラーラインとの主な違いは以下の通りです。

  • 木材のグレード: カスタムショップでは、木目や音響特性を厳しく選定された最高ランクの木材のみが使用されます。
  • 製作工程: ネックの接着にヴィンテージ同様の「ニカワ」を使用したり、より手間のかかるディープ・ジョイント構造を採用したりと、サウンドを最優先した伝統的な工法が用いられます。
  • 職人の技術: 熟練のクラフツマンが、一本一本のギターに多くの時間をかけて組み込みや仕上げを行います。そのため、作り込みの精度が非常に高いのが特徴です。

このように、カスタムショップは「利益や効率」ではなく、「最高のギターを作ること」を至上命題としています。

そのため、品質のばらつきは極めて少なく、どの個体も非常に高いレベルで安定しています。

「当たり外れ」を心配することなく、安心して最高のギブソンサウンドを手にしたい方にとって、カスタムショップは理想的な選択肢と言えるでしょう。

ギブソンヒスコレの値上がりから見る現在の価値

ギブソン・カスタムショップの中でも特に人気の高いシリーズが、過去の名器を忠実に再現した「ヒストリック・コレクション(通称ヒスコレ)」です。

このヒスコレは、近年中古市場での価格が著しく高騰しています。

値上がりの背景には、いくつかの理由が考えられます。

第一に、その圧倒的なクオリティです。

特に評価の高い2014年モデルのように、年々ヴィンテージの探求が進み、その製法が忠実に再現されるようになったことで、単なる「復刻版」ではなく、それ自体が価値を持つ楽器として認められるようになりました。

第二に、使用される木材の希少性です。

ヒスコレには現在では入手が困難になりつつある良質なマホガニーやメイプルが使用されており、今後の生産では同等の材を確保できない可能性があることから、資産価値としての側面も注目されています。

そして第三に、円安などによる海外からの需要増加です。

日本の市場は状態の良い中古品が多いため、海外のコレクターやプレイヤーからの買い付けが増え、国内の在庫が減少し、価格を押し上げる要因となっています。

ヒスコレの値上がりは、ギブソンというブランドが持つ歴史的価値と、カスタムショップが生み出す製品のクオリティが、現代において改めて高く評価されていることの証明と言えるでしょう。

狙い目と言われるギブソン2000年代の評価

ヴィンテージやカスタムショップには手が出ないけれど、良質なギブソンが欲しい、という方にとって、しばしば「狙い目」として名前が挙がるのが2000年代製のモデルです。

この年代の評価は一概には言えませんが、肯定的な意見の背景には、当時日本の正規代理店であった「山野楽器」の存在が大きく関わっています。

2000年代は、山野楽器が厳しい検品体制を敷き、質の高い個体を市場に供給していた時代です。

そのため、この時期に正規輸入品として日本に入ってきた個体には、比較的良質なものが多いと言われています。

また、木材に関しても、90年代後半から2000年代初頭にかけては、後年よりも良質な木材がまだ潤沢にあった時期とされ、作りの丁寧な個体を見つけやすいという声もあります。

ただし、注意点も存在します。

2000年代半ば頃から、ギブソン本体の品質管理に再びばらつきが出始めたという指摘もあり、全ての2000年代製が良いというわけではありません。

特に正規輸入品ではない並行輸入品などは、検品レベルが異なるため注意が必要です。

結論として、2000年代のモデルは「当たり」を見つけやすい魅力的な選択肢である一方、やはり個体の見極めが重要になる年代であると言えます。

山野楽器時代のギブソン品質は本当だったか

「山野楽器が代理店だった頃のギブソンは品質が良かった」という話は、多くのギタリストの間で語られる、もはや伝説のようなものです。

これは単なる思い込みや都市伝説ではなく、明確な根拠が存在します。

最大の理由は、山野楽器が独自に設けていた非常に厳しい「検品体制」にあります。

アメリカのギブソン・ファクトリーから出荷された製品は、一度日本の山野楽器の倉庫に集められ、専門の技術者によって一本一本細かくチェックされていました。

そこでは、ネックの状態、塗装の仕上げ、パーツの動作、電気系統など、多岐にわたる項目が検査されます。

そして、基準に満たないと判断された個体は、アメリカ本社に返品されるか、山野楽器のテクニカルサービスで調整・修理が施されてから、初めて全国の楽器店に出荷されていました。

つまり、日本の消費者が店頭で手に取るギブソンは、山野楽器というフィルターを通して品質が保証された、いわば「選抜された個体」だったのです。

また、日本市場向けに特別な仕様をオーダーした「山野オーダーモデル」なども存在し、当時の山野楽器がいかにギブソンの品質にこだわっていたかが伺えます。

この徹底した姿勢が、「山野楽器時代のギブソン品質」という信頼を築き上げたことは間違いないでしょう。

まとめ:ギブソンの品質低下はいつから?その歴史と現状を知り後悔しない一本を

ギブソンの品質低下がいつから始まったのか、その歴史的背景から現在の評価までを解説してきました。

<div class=”list-box-4″> <ul class=”list-3″> <li>ギブソンの品質低下は主に1970年代から80年代半ばのノーリン時代に顕著となった</li> <li>原因はコスト削減や生産効率を優先した経営方針への転換である</li> <li>品質のばらつきが大きくなり「当たり外れ」という問題が生まれた</li> <li>ハズレ個体には鳴りの悪さや作りの粗さといった共通点が存在する</li> <li>一方、50-60年代や94年、2014年などは評価の高い「当たり年」とされる</li> <li>良い個体を見分けるには生鳴りやネックの状態をチェックすることが重要である</li> <li>最高の品質を求めるならギブソン・カスタムショップという選択肢がある</li> <li>ヒスコレの価格高騰は品質と希少性が現代で再評価された結果である</li> <li>山野楽器は厳しい検品体制により国内流通品の品質を担保していた</li> <li>2019年以降の新体制では品質への回帰を掲げ、現行品の評価も向上している</li> </ul> </div>
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